ヒフミの言葉で、その場の温度が凍った。
ホシノは目を大きくて開き、ヒフミはそっと目を伏せて「言って、なかったんですね…」と呟いたがその言葉は誰にも聞かれることはなかった。
数秒、数分かはわからないが、随分と間が空いてから悲痛な目をしたホシノがまた話し始めた。
「……それは、いつ?」
「あ、えぇと……
「……………………ん?5年、じゃなくて?」
たっぷりの間を空けたあと、ホシノは思わず首を傾げて聞き返した。その後ろでは、セリカがシロコや先生にムゥの年齢を訪ねていた。
ホシノの記憶ではムゥは19歳で、成人年齢であるが20歳にはなっていないはずなのだ。
だからヒフミの50年前、という発言は5年前の間違いだと確信していたが、更に上の言葉が紡がれた。
「え?50年前であってますけど……あ、でも前世と今世合わせてらしいですが」
「………んん?」
ひたすらに、ただひたすらに先生を含めたその場の全員は困惑した。
50年 前世 今世
どれも想像の中でしか聞かない言葉だったからだ。
「………あ、えっと……その、亡くした家族は前世での家族、と言っていたのでこの世界では」
『ごめん、ちょっとなにいってるかわから無いや』
この数ヶ月生活を共にしていた先生も匙を投げた。
それに、最近はその手の奴読んでないな~なんて現実逃避をする始末。
正直に言ってヒフミは、先生がムゥの過去について知らないことを驚いていた。
なぜならここ数ヶ月の連絡ではよく先生についての愚痴、を聞かされていて、だいぶ心を許しているように見えていたからだ。
(む、ムゥちゃん……自分から自分のこと話さないから…)
実を言うと、ヒフミもムゥの過去についてはヒフミから聞いてそれからどんどん掘り下げた上でようやく聞けた結果だった。
ムゥいわく、「聞いても面白くないし子供の聞くような話では無いので」だそうだ。
そうじゃない……と、ヒフミが思っていた瞬間。
ドゴォン!!!
「なに!?」
「先生こっち!!!」
突然、爆発音が響き渡った。
ヒフミがぴゃぁ!と飛び上がり、シロコは先生の頭を下げさせて全員で周囲を警戒した。
「皆さん!ぎ、銀行が!」
アヤネが指を指した先の闇銀行は張られていた一部のガラスが飛び散り外から中が伺えるようになってしまっていた。
◻️
◻️
◻️
「ひ、ひぃぃ!?な、なんで!?」
目の前で、無様にがくがくと震える四角頭のロボットを見下ろして、銃口を突きつけます。
……いえ、くっつけると振動が伝わってきて不快なので離します。
そもそも総務部の場所さえ、教えてくれればいいのに逃げるからこうなるのですよ。
「そんなの、案内表に書いてあったろ!?」
そんなプラゴミ、最初の爆発で吹き飛びましたよ。だからオマエに聞いてるのです。
「だぁぁぁあ!?八つ当たりじゃん!?四階の突き当たり!!」
4階……どこの突き当たりかはわかりませんが、まぁいいでしょう。
「あがっ!?」
引き金を一度だけ引けば、銃弾が四角頭に飲み込まれて倒れました。一応まだ侵入がバレていないみたいなのでここで落としておきます。
ここから増援を呼ばれても、面倒なことになりますからね。
さて……さっさと証拠書類を手に入れて帰りましょう。
そして、総務部の部屋を制圧………と言うよりはただ入れただけでした。何せヒト一人も、ましてや警備ロボットもいませんでしたからね。
うぅん……どうしましょうか。
適当に総務部のヒトを脅して、証拠書類を印刷させようと思っていたのですがこれでは……あの四角頭をつれてくるべきでしたかね?
って、端末にロックがかかってませんね。雑ですね。助かりましたが。
えぇと……………ありました。
とても分かりやすく、【アビドス集金】と。
あとはこれを、現物にして………念のため、情報のコピーも取っておきましょう。
コピーの所要時間は約8分です。
この間に、何事もなければ良いんですけれどね………暇ですし、銀行内の様子でも………ん?
《うへー此処までは計画通り!次のステップに進もうー! リーダーのファウスト、指示を願う!》
……んん?
《……えッ!?もしかしてファウストって、わ、私ですか!?リーダーッ!?私がァ!?》
《えぇ、ファウストがボスです!因みに私は覆面水着団のクリスティーナだお♧》
だ、だおって………こっちの世界のネットでもその語尾があるのは知ってましたが、リアルで言ってるのは初めて聞きましたが、覆面水着………あぁいや、それより何故皆さんがここに……?
それに、なんで
ですが、何故強盗なんて………つけられていたなら、アイツの顔を見た可能性がありますね。
ということは、皆さんも証拠を強奪しに来た。ということですかね。普通に強盗をしているように見えますが。
シロコさんに至っては怯えられ過ぎていてざっと一億はバックに詰め込まれてます。
《ちょっとむ…さ、彩雲!?さっさと出てきなさい!帰るわよ!!!》
……なんだか、セリカさんが子供を探す姉、もしくは母親みたいですね。ムゥは精神も肉体も上なのですが。
………クソババァは、ムゥをこんな風に呼んだことは無かったですね。___むしろムゥが呼ぶ側でましたし。
糞親父は……
……やめましょう。
今にいらない事まで思い出します。
さて、コピーも終わりましたし、皆さんと合流しましょう。
道は……裏口から入ったのでわかりませんが、一階なのはわかっているので良いです。
【窓ガラスを撃ち抜く】
正直ここが何階かも忘れましたが……まぁ、この身体は爆弾が直撃して捥げない程丈夫なのでこのくらいは余裕でしょう。
【窓から飛び降りる】
……そういえば、着地はどうしましょうか。
ヒーロー着地……は足腰が死にますので、ランディング(パルクールの着地技術)しか無いですね。
ダァン!!!
「っつぅ……」
……流石に足は痺れますがね。
じーんと来ましたよじーんって。
この衝撃を膝で受け止めるとか頭おかしいですね。やったヒトは絶対に膝の皿が砕けてます。
痺れも収まりましたし皆さんは………あ、ノノミさんと目が合いました。こっちですこっち。外です。
「外に出てたんなら言いなさいよ!?」
ずっと呼んでたのよ!?と、お耳をピコピコと動かしながら言うセリカさん。
とても撫でたくなりますが、我慢します。
と言うかムゥは皆さんの連絡先は知りませんよ。そう言ったのは全て先生とアロナに任せていますし、ムゥの携帯にはゲームと数人の連絡先しか入ってませんよ。
さて、と。
皆さんの撤退準備も出来ているようですし殿は勤めましょう。おそらくアヤネさんが通信をジャックしていたのでしょうが、マーケットガードは若干遅れる程度、ですよ。
ほら来ましたよ。
「そ、そんな!通信は全てジャックしていたのになんで!」
精密な携帯はジャックできてもおもちゃの携帯はジャックできない、そんな理屈ですよ。
「や、奴らを捕まえろ!道路を封鎖、マーケットガードさっさと動け!!」
銀行員がそう叫ぶと辺りからガシャガシャと現れました。
まずは、皆さんを先に撤退させなければなりませんしまだ
【広範囲に煙幕を展開させる】
「殿はやります。行っれくらさい」
「は!?ちょっと何言って『行こう。セリカ』~~~っ!わかったわよ!!」
セリカさんはうがーっとしてから他の皆さんを捲し立てて撤退していきます。
たまには先生も役にたちますね。
『ムゥ、後で話、あるからね』
「……はい?」
ムゥの返事を聞かずに先生は皆さんと撤退していきました。なんですかアレ。
なんか、不穏な感じがします。
何かしましたっけ?
もしかして置いていったことですか?
……わからねぇです。
とりあえず、適当にマーケットガードを散らして__
「ちょ、ちょっと足元がきゃぁ!?」
「あ、ああアル様!?大丈夫ですか!?」
「はぁ……社長、足場悪いんだからしんちょう……に…」
「「「…………」」」
「はへぇ!?む、ムゥ様!?」
「なんか、でました」
「あっははっ!なんかって酷くない?」
どこから沸いてきましたかコイツら。
というか、なんで闇銀行にいるんですか。
………まぁ、今はマーケットガードに八つあ……蹴散らすのが先なので社長達もさっさと散ってください。
「あ、扱いが酷い様な……そ、そうよ!覆面水着団!貴女あの人達の仲間なんでしょう?どこに行ったの?」
覆面水着団………皆さんなら、あっちですよ。
そう指を差せば、社長達は走り去っていきました。
あそこまで目をキラキラさせた社長は稀なので、良いものを見ました。
それじゃ、さっさと蹴散らして皆さんと合流しましょう。
力尽きました。
ところで皆さんイベントはどうです?
わたしわね!
溜めてたチケット40連でウイ二人来てくれちゃ!!あとはハナコ狙うだけ!
それでなんですけどわりとマジでモチベがゲーム本体に持ってかれてこっちのモチベがやばいです。たすけて