明日と明後日、というか暫く更新できないかも? まぁ今までも適当ではあったけど。
ちょっくらテストと言う名の人生のクライシスに挑まねばならんでな。
どーぞ、区切りのいいとこまで
一方その頃、別室では──、
「やめとけって、ホムラ! エミリアたんにまたどやされるぞ!?」
「関係あるか。エミリアは私の親ではない。私の行動を制限などできない」
「つってもよ……お前も、無理したんだろ?」
「………」
「あのおっかない女相手にここに入院するほどの無茶をした。万全でもないはずだ。今はエミリアたんに任せて俺らはここで大人しくしていようぜ、な?」
「………嫌だ」
「んなっ、あんまり駄々を捏ねるなよな!」
「私は私の状態より信念を優先する。我が身可愛さで足を止めるわけにはいかない」
「だーもう! そうだったこの子ってば頭でっかちだった!」
「何とでも言え、じゃあな」
「っと、待てよ。俺も行く」
「ダメだ」
「は、はぁ!? なんだよダメって!」
「お前は腹が割かれてたんだぞ? 病み上がりで無茶を言うな」
「──ブーメラン! 我が身を顧みずもここまで来たら天然だな! 自分の言った言葉をもっとよく考えろよな!?」
「はぁ、あのな?」
「な、なんだよ」
「私とお前とでは鍛え方が違う。お前は弱く、私は強い。それだけの話だろう」
「ぬ、ぐぬぬ………このやろう、ハッキリ言いやがるじゃねぇか。でも! 俺のが年上だ」
「……誇るところが歳しかないとはな。そのような歳の取り方はしたくないな」
「うるせぇ! 俺だってわかってるよ! すげー情けねーって! それでも! 俺はお前より年上で、お前は俺よりも未来がある。だから、お前が行くなら俺も行く。それが俺なりの信念ってやつだ。それなら文句ないだろ?」
「そうか。勝手にしろ、阿保の助」
「あ、あほのすけって……今日日聞かねぇな」
病院服姿の二人はベッドを降りて、床の上に立つ。
立ち上がったスバルも別段身体に違和感はなく、むしろここに来た時よりも身体が軽い気すらする。
自分を治したという治癒魔法がそれだけ凄いものなのか、あるいはそれを施した治癒術士がそれだけ優秀であったのか。
そこら辺の説明を聞く前にエミリアたんが言ってしまったために真実はわからないが、異世界に来て初日に出オチという結末で終わらずに済んだのはまず間違いなく治してくれたその人のおかげだ。
スバルの窮地を助けてくれたホムラ、エミリアたんの次に感謝すべき人物だ。
まだ、わからないことばかりだ。
この扉の先は、スバルにとって未知の世界。
まだ、スバルが安心して息をつける時は来ない。
この世界で生きていかなければいけない以上、人との繋がりを作ることは必須事項だ。
一つの失敗で監獄に、なんてこともありえないわけではない。
なにせここは貴族の屋敷であるようなのだから。
失敗しないよう精一杯気を配ろう。
その覚悟を胸に、スバルは扉をくぐった。
◆◇◆
「な、なななななな──」
「ほ、ホムラ……?」
と、息巻いてエミリアたんのいる部屋に入ったところ、隣にいたホムラが急に壊れた。
「け、『剣聖』ラインハルト・ヴァン・アストレア!!?」
突然、目を輝かせてそう言い放った。
「え、誰なんだ?」
「お前っバカ! 知らないのか!? 騎士中の騎士! 王国の剣! この国に知らぬ者などおらぬ稀代の英雄! 私が尊敬するこの国の絶対正義だ!」
「へ、へー……」
「はは、それは多分に過分な評価で痛み入るよ」
「お、おお、俺にもわかるぞ。凄まじい爽やかイケメンのオーラを感じる。こいつ、強いッ」
「ホムラか! つか、いい加減放せよ!」
「ん? まだ盗人容疑は晴れていなかったのか? 私が言った通りにちゃんと伝えたのか、エミリア」
「もう、馬鹿にしないでよね! 言われた通りちゃんとクルシュさんには納得してもらってわよ。でも……」
「何か別の問題が起きた、と。話題に事欠かないやつだな、フェルト」
「うるせー、あたしには何が何だかわかんねーんだよ! おい姉ちゃん、急になんだってんだよ!」
「あ、えっと、それは………」
「──私から説明しましょう」
「ラインハルト……」
「これをご覧になってください」
「これ、エミリアたんが盗まれたっていう徽章か? 綺麗に光ってんな、これも魔法なのか?」
「これは所有者の資質を計る特別な徽章。クルシュ様がおっしゃられた通り、この徽章こそがこの国の次代の王を決める試金石なのです」
「へぇ、次代の王様を………え? それをなんでエミリアたんが?」
「………まさか」
「えっと……………私は第四十七代ルグニカ王国次期王候補の一人、です」
「えぇぇぇぇぇ!?」
「嘘だろ!? このぽわんぽわんな姉ちゃんが!?」
「ぽ、ぽわんぽわんとか言わないの! 私だって色々努力してるんだから」
「──そして」
部屋の空気を、ラインハルトの一言が断ち切った。
「その徽章が、貴方が手にした時にも反応した」
「え?」
「は?」
ラインハルトはフェルトの手に徽章を握らせ、そうして掲げさせる。
すると、徽章が一際強く赤い光を灯す。
徽章につけられた宝石が美しく輝く。
「あなたもまた、次代の王候補たる選ばれし者だということです。──フェルト様」
「えぇぇぇぇぇぇぇ!?」
「は、はぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
「なるほどな」
「つきましては私にご同行くださいますよう願います、フェルト様」
「うげぇ、なんだよフェルト様って、気色わりー呼び方してんじゃねー!」
「え、エミリアたん、フェルトが王様候補って……まじなのか?」
「わ、私も、何が何だかさっぱりで……候補者の最後の一人は今までずっと見つかってなくて……」
「それが今日、この場において見つかった。これは運命のお導きでしょう。今この時より、王選は始まるのです」
「お、王様だ~ぁ? そんなの誰がなるか! 放せ! あたしは帰る!」
「なりません」
「なっ、このっ!」
「ラインハルト、一大事なのはわかるけど、ちょっと落ち着いて………」
「いいえ。エミリア様、これはもはや一大事などに収まる話ではありません。大問題です。──まさか、このようなところで、このような機会に、このようにして貴方様に相まみえることが叶うとは、これを運命のお導きと言わずして何というのでしょう」
「本当に何言ってんだ!? 意味わっかんねーぞ!」
「──貴方様こそはルグニカ王家の唯一の生き残り。その混じり気のない純一の金糸に火を思わせる紅の瞳、まず間違いありません。私の加護もそれが確かであることを示している」
「そ、そんな、フェルトちゃん、本当なの……?」
「知るか! 勝手にあたしの出自を仕立て上げてんじゃねー! あたしの家族はロム爺と、そこのホムラだけだ! 王家だなんだ知ったことか!」
「お、おいおい、ラインハルト、さん、だっけか?」
「なんだい」
「取り敢えずフェルトも嫌がってることだしここは穏便に……」
「すまないが、部外者には口を出さないで貰いたい」
「……っ」
「あなたらしくない言い方……本当に、どうしちゃったの、ラインハルト?」
「申し訳ありませんが、これは王命によるものです。エミリア様と言えど、反抗することは許されません」
「お、王命って……」
「御身の説得が叶わないのは僕の未熟さ故──しかし、今は付いてきて頂きます」
ラインハルトの手がフェルトへと翳される。
そこから尋常ならざるマナが放たれ、フェルトがマナ酔いし気を失う──その前に、
「──『剣聖』ラインハルト殿」
「君は……」
「すまないが、私はどうやら未だ彼女の家族のようだ。──ならば、家族を守るのが私の信念だ」
同時、
「ごめんなさい、それがあなたの仕事なのはわかってるけど、フェルトちゃんの意思も尊重してあげて欲しいの」
「お、俺もエミリアたんに賛成するぜ! おう!」
エミリア、スバルもまたフェルトの前に立つ。
三人の人間がフェルトを守ろうと立ちはだかる。
方や大精霊と契約する王選候補者の少女。
方や尋常らざる炎を扱うエルフの少女。
そして、無力な市民。
ラインハルトが騎士として手を出すことはできない布陣だった。
「そうですか──ならば致し方ない」
──重い、重い、圧がのしかかった。
「──っ!」
「──ッ!」
「な、んだこれ……エミリアたん……? ホムラ……?」
エミリアとホムラが地面に手を衝く。
まるで突然足に力が入らなくなったかのように、弱々しくその体を地に伏せさせた。
スバルも対面の優男の膨れ上がった圧に冷や汗をかくが、立てなくなるほどではなかった。
だが、スバルより遥かに強いはずの二人が先に戦闘不能に陥った。
「なんで……からだに、力が入らない……」
「これは──マナが奪われているのか」
「僕の加護です。命に別状はありません。しかし無理に動かない方がよろしいでしょう」
それはマナ欠乏症。
ラインハルトが構えると、周囲から世界の恵みが奪われていく。
否、周囲のマナが喜々として彼の元へと集まっていく。
彼が意識を変えただけで、精霊に連なる者は戦うことすら許されない。
己のマナに歯向かわれたエミリアたちは行動不能を余儀なくされた。
加護。加護とはなんだ。スバルにはわからない。
わからないことばかりだ。
目の前の男が気まぐれに人を殺すようなそんな野蛮人ではないことは確かだが、しかし──後ろで不安そうな顔をしている一人の女の子に無理に迫っているのも確かだ。
なら、スバルはスバルのできることをするだけだ。
「お、お前! 『剣聖』だかなんだか知らねぇが、こんないたいけな女の子に強引に迫って男として恥ずかしくねーのかよ!」
「………」
「好きな子ほど虐めたくなる男心ってやつか!? はっ! ガキじゃねぇんだから口で言えよ! 気持ち伝えたいならな! それとも何か!? その年になってそんなこともできないのか!? 仕事だか何だか知らねぇが、女の子泣かせてまですることなのか!? 英雄様よぉ!?」
「そうだね、僕は間違った決断をしようとしている」
「はっ、わかったらさっさと──」
「──しかし、僕は僕の『運命』を受け入れている。こうして生まれ、僕が選んだ以上、僕は僕の役目を全うしなければならない」
「──っぐ」
一層増した圧によって、ついにスバルも膝をつく。
上を向くことも叶わず、ラインハルトがどんな顔をしているのかもわからない。
ラインハルトはゆっくりと一歩を踏み出し、フェルトの正面へと動いた。
そうして、
「フェルト様、貴方にもまた為すべき『運命』があるはずです。御無理は承知のこと、今この場での理解は求めません。しかし、運命には抗えないのです。──何人たりとも」
「………何が、運命だっ、何が生まれたからだっ、女の子一人に何を背負わせる気だッ! 運命だか何だか知らねぇが、外野が勝手に押し付けてんじゃねぇ!」
「兄ちゃん……」
「君の言うことも分かる。だが彼女が生まれ、王族として唯一生き延び、こうしてこの場で見えたことは彼女が生まれ持った宿命であると。彼女が舞台を降りることは世界が認めません」
「わけの、わか、らない………ことを………」
「す、スバル……っ!」
「病み上がりで無理をするからだ………馬鹿者」
無理して声を上げていたスバルは休息にマナを奪われてついには意識を失ってしまった。
もともと病み上がりであった彼の顔色は悪い。
すぐにでも決着をつけなければ身体によくないだろう。
「フェルト様、失礼」
「く、そ………」
ラインハルトが再び手を翳すと、フェルトもまた落ちた。
逆流した芳醇なマナの圧力がフェルトの感覚を狂わせ、意識を簒奪する。
フェルトの身体が崩れ落ち、ラインハルトへともたれ掛かる。
その身体を抱きかかえ、ラインハルトはゆっくりと外へ歩き出す。
倒れ伏す少女らから視線を外し、背中を晒した。
「──アル、イーラッ!!」
──その瞬間、油断を感じ取ったホムラが渾身の一撃を放つ。
マナが欠乏した状態での強引な大魔法の行使。
当然、それは彼女のオドを削って発動された。
オドが削れようと、この屋敷が燃え尽きようと、大した問題ではない。
大事なのは、今、再び、ホムラが信念を侵されようとしていること。
尊敬するはずの英雄の、正義の代行者の凶行に、ホムラは理解が及んでいない。
しかし、理由があろうとなかろうと、家族を見捨てることはあり得ない。
もう二度と、家族を見殺しにすることなど、あってはならないのだ。
「──残念だが、僕に魔法は通用しない」
しかし、抵抗もむなしく、ラインハルトはこちらを振り向くこともないまま、魔法は彼に衝突する寸前にその姿が掻き消えた。
「くっ、私は、また………!」
「君の家族を奪う形になってしまったのは僕の不徳の致すところだ。いずれ罰を受けるだろう」
その言葉を最後に、ラインハルトは部屋を後にした。
二人が動けるようになったのは、それからしばらく後のことだった。
◆◇◆
◆◇◆
ラインハルトが屋敷を出る際のクルシュ様たちとの会話。
「これは何事だ!」
「ラインハルト、お前!」
「お爺様、クルシュ様、手出しは無用に願います。これは王命です」
「なんだと!?」
「剣聖よ、それが卿の決断か」
「はい」
「それが卿の、そしてその娘の魂を最も輝かせる決断だと誓えるか」
「──剣に」
「そうか。ならば私も手を出すまい。しかし、その娘を説得できなかったならば、その責任は卿のものであることを忘れるな」
「は」
なお、フェリスには後でめっちゃ怒られます。
◆◇◆
と、ここでなんとストーリーが分岐するんですねぇ~
ストーリーというか、単にどっちでもいいだけなんだけど
そう、それはエミリア陣営に付くか、あるいはフェルト陣営に付くか──デス!
ちなみにエミリアにつくとスバルへのレムの好感度が下がったり、ベティに友達ができたり、ホムラがラムに懐いたり、レムとホムラがいがみ合ったり、ロズワールに魔法習ったりと、まぁ色々ありますが、一番変わるのは、スバルくんの苦労具合ですかね。
エミリア陣営に付くと、わんちゃんスバルくんが一度も死なない可能性があります。
もうめーっちゃ大事な場面で覚醒するかのように死に戻りの存在を知るかも知れません。熱いです。
フェルト陣営につくと、特に今のところ深掘りする予定もなく、王戦開始まで話が飛ぶと思います。
フェルト陣営で書ける面白い話ってなんだ。わからん。
でもまぁ、ホムラがフェルトと仲良く陣営作りしてる様は見れるかもしれない。
あと剣聖と和解して尊敬を取り戻すか。
うん、とくになんにもねーな! トンチンカンの気苦労が増えるくらいか!
そんだけ! 以上! あぁ、あと最新話でちょびちょび続き更新してるので良ければ
どっち陣営に付くか。展開に変わりはないです。超気分です。
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エミリア陣営
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フェルト陣営