内容皆無のちょっと未来の小話。
アンケートに答えてくださった方、まっこと有難きことこの上なきですことヨ!
ホムラの所属先はフェルト陣営に決まりました。すなわちホムラたそがフェルトと仲良うなりつつ、王選まで時間が飛びます! いぇい! いくぜ! 完結まで右往左往試行錯誤しながら一直線! スバルは死ぬ! テストがヤバい作者も死ぬ! ヨロシクッ!
焼け野原となった大地に、立ち昇る炎のような赤髪をもった少年が立ち尽くしていた。
その手には振り切っただろう剣が握られていた。
それは知る人ぞ知る秘宝、『剣聖の家系』にのみ受け継がれる【龍剣】だ。
その名はまさしく龍を屠る剣。
今は亡き最強の生命体をも屠る至極の剣だ。
それが、この場において振り下ろされた事実の示すところは──ここに龍に足る存在が現れた証明であり、そしてそれを下した『英雄』が生まれたことの証左だ。
その者こそは怪物を殺す怪物──現代の『剣聖』ラインハルト・ヴァン・アストレアだ。
『──………ぅ』
その場から動かず、その身についた返り血を落とすことも剣についた血糊を落とすこともせずにいたラインハルトは、加護によって強化された聴覚で周りには聞こえぬその微かな声を聴きとった。
──ありがとう。
それは確かな感謝だった。
「───。」
それにラインハルトが返す言葉はない。
どういたしましてと、そういつも通りの言葉を返せたらどれほどよかったか。
しかし、
怪物となった少女を殺した英雄は、英雄であることしか選べぬ『運命の奴隷』は、その儚き微笑みの前になんら表情を浮かべることはなかった。
『──………』
「───どうか、安らかに」
龍剣に袈裟斬りにされ、命の命脈を断たれ、魂すらも破壊され地に付した白髪の少女は、この時をもって逝った。
少女の惨状も周りの被害も酷いもので、辺りには少女だけでなく仲間であった騎士たちが殺し合った形跡が、その結果が残っていた。
散乱する死体。ある死体はくし刺しにされ、ある死体は焼かれ死に、ある死体は己の腹に剣を突き立てている。
およそ平常な死に方ではない。
この場で何があったのか、どうしてこんなことになってしまったのか。
それは死んだ少女以外にはわからぬこと。
結果は出た。運命は定まった。
もう、時が戻ることはない。
少女の運命が覆ることはない。
故に、ラインハルトにできるのはせめてもの祈りと、その命を奪った責任を負ってこれからも生きていくことだけだ。より多くの人を救う為に。
そう決意を新たにし、ラインハルトがこの場を去ろうとしたその時だった。
「どう、して」
背後に気配が現れる。
「……──スバル」
振り向きその姿を視認したラインハルトはその少年の名を呼んだ。
「どう、して」
「………」
しかし、少年──スバルが返事を返すことはなく、帰ってきたのは変わらず疑問の言葉だけだった。
その疑問に、ラインハルトは答える義務があるだろう。
彼女の友として、同じく彼女の友であるスバルに対して。
「なんで、殺した」
「仕方なかった。彼女はもう助からなかったんだ」
「そん、なの……」
「………スバル」
「そんなこと、あるかよ……ッ! 助からなかった? 違う! まだ、できることはあったはずだ! まだ話せることが、話さなきゃいけないことが、話したいことがたくさんあったんだ。まだ、伝えなきゃいけないことが、たくさん……っ、なのに、なんでっ、なんで──ホムラが!?」
絶望に顔を染めて慟哭するスバル。
彼女の亡骸に縋りつき、身体を抱え、二度とは開かぬ瞳にどうしようもない衝動をその胸に宿す。
慟哭。慟哭。慟哭。スバルの心が張り裂けそうなほど叫んでいる。
理解を拒み、現実を拒絶し、亡き少女を抱きしめて嗚咽を漏らす。
「ほむら……っ!」
指先から熱が消え去り、脳もまた恐ろしいほど冷え込んでいく。
呼吸ができず、思考がまとまらない。
今の自分の状態を表す言葉を、スバルは知らない。
「──彼女は、僕が殺した」
後ろから、声がかかる。
動揺していたはずの思考は、途端にクリアになり──
「──ラインハルトぉぉぉぉぉォォォ!!!」
その瞬間、スバルは己の中に淀み溜まったそれがなんであるかを悟った。
──どうしようもない憤怒であると。
◆◇◆