Re:ゼロからオリ為す異世界生活   作:萎える伸える

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 コンバンハ、テスト勉強さぼって我慢できずに小説を書いていたら危うく留年して中退して高卒になってフリーターになって三十歳くらいでニートになっていた可能性のある伸えるデス。

 それはさておき……テスト~、お~わり~! お待たせ仕りまして御免仕る! 物語は動き始め、運命の歯車は狂い始める! さぁ、終わりの始まりだァ!


『帝座を照らす灯火』

 

 

「何をしている、今すぐその不届き者を捕縛せよ!」

 

「「「はっ!」」」

 

 

 文官集団の一人による号令で呆然としていた騎士たちが動く。

 たった二人でここまで来た侵入者を百近い騎士が続々と囲んでいく。

 

「ホムラ、お前さん何か作戦があるんじゃろうな……?」

 

「作戦だと?」

 

 現状の最悪さに肝を冷やすように慌てて問う巨人族。ロム爺だ。あるいはバルガ・クロムウェルと言うべきかもしれない。

 秘密の通路から王城へと侵入しようとしていたロム爺を引き止め、あろうことか正面から乗り込むことを提案したホムラはその問いに平然と返した。

 

「そんなもの、あるはずがなかろう」

 

「なんじゃと!?」

 

「いくら私と言えどこの人数の近衛騎士を相手取ることはできん」

 

「ならば何故正面から押し入った!?」

 

「正義の味方がコソコソと侵入するなどありえん。正義の味方たるもの正面から正々堂々行くべきだろう」

 

「お主は阿呆なのか!? ぐ、ぐぬぬぬ、お主を信じたわしが愚かじゃった……!」

 

「ハッ、正面から来ようと小細工を弄そうと結果に然して変わりはあるまい。──どちらにせよ、あの男を攻略しなければフェルトは連れ戻せん」

 

「むぅ……」

 

 ホムラの指し示す先にいるのは当然『剣聖』ラインハルト・ヴァン・アストレア。

 彼は今もフェルトの傍で彼女の身を守っており、フェルトが口を出すことを防いでいる。

 

「──何を話している! 大人しくしろ!」

 

「王城へと侵入した者に対して武力制圧もせずに問答とは、余裕だな?」

 

「──覚悟!」

 

「ほ、ホムラっ!?」

 

 

「ふっ──やれ、閻魔!」

 

 

 

『──委細承知』

 

 

 

「何を、ぐぁあ!」

「なっ、がッ!」

「ぐ……立ち上がれん……!」

 

 

 一瞬にして生まれる死屍累々。いや、死んではいない。

 取り囲んでいた騎士が次々に地に付していく。

 まるで肩に巨岩でも乗りかかったかのように鍛え上げられた肉体を重圧が襲う。

 

 

 逃れたのは一部の騎士と王選候補者、マイクロトフ議長、そしてナツキスバルだけだ。

 

「これはこれは、なんと……」

 

「この神聖な日に何という蛮行、許し難い!」

 

「許しなど乞うものか、むしろ許されざるはお前たちの方だ」

「ラインハ──」

「──フェルト! そいつを押さえておけ!」

 

 騎士団長が命じようとした刹那、被せるようにホムラはフェルトに命じた。

 

「フェルト様」

「動くなよ。これも約束の一つ、だろ?」

「………仰せのままに」

 

「ラインハルトッ、くッ! うぐッ!」

 

「無理に動かぬ方がいいぞ、さもなければ貴様の魂が潰れかねん」

 

「ぬぅ………」

 

「さて、」

 

 周囲を見渡せば動けるのは僅か十数人。

 フェルトにラインハルト。

 王選候補者クルシュ・カルステン公爵に騎士フェリックス・アーガイル。 

 同じくアナスタシアに最優の騎士ユリウス・ユークリウス。

 血染めの花嫁プリシラ・ヴァ―リエルに流浪の傭兵アルデバラン。

 そしてエミリアにナツキスバル。

 

 あとはちらほらと抗えそうな者が数人、そしてどうしてか効いていないマイクロトフという老人。あれはおそらくミーティアか何かだろうとホムラはあたりをつけた。

 

「だいぶスッキリしたな」

 

「ふむ、ここまで侵入を果たしこの国の精鋭をただ一言で行動不能にするとは……ただ者ではありませぬな。先ほど正義の味方であると仰られていましたが、ならばこの行いにどのような理由があるのか、伺ってもよろしいですかな?」

 

「良いだろう、」

 

「──良いわけがあるか、貴様。妾をおいて目立とうなどと笑止千万! その不敬この手で誅してくれる!」

 

「姫さん……ここは空気読んどこうぜ、まぁそれが姫さんらしいけどさ」

 

「『太陽の加護』か。けったいな名だな。その傲岸ぶりに相応しいと見える。大方生まれもよく、才能も有り思慮もあるが、世間知らずで自意識過剰な自惚れ屋といったところだろう?」

 

「おぉすげぇな嬢ちゃん、だいたい合ってる。──だいたい合ってるが、それはちと姫さんを舐めすぎだな」

 

「──来い『陽剣』!」

 

「姫さんは飛び切りいい生まれで、飛び切り才能も地頭もあって、飛び切り自信過剰なお転婆姫だぜ?」

 

 

 それは原初の炎。

 初代から帝国の玉座を照らし続けた灯火。

 その輝きは栄光の復権、その力は太陽の如く。

 抗うなかれ、其は天下の意向なり。

 

 

「──悪いが、『火』で私を斬れるとは思わない方がいいぞ」

 

 

 だが、ホムラは魔剣十本が一つ『陽剣』の一振りに対して回避する素振(そぶ)りを見せない。

 それも当然のこと。『火』が彼女を傷つけるはずがないのだから。

 

「陽剣が陰っただと……?」

 

「『太陽の加護』、大変結構だ。だが、私にとって『火』とは家族。傷つけ合うものではない」

 

「むっ」

 

 プリシラの放った火炎はホムラを傷つけることなく、その周囲を戯れるように揺蕩う。

 ホムラが手を翳せば、『火』は極小まで集約し、その掌に収まった。

 

「戦いの才能は確かにあるのだろう。天賦の才大変結構だが、才能だけで生きていけるほど世界は貴様の都合の良いようにできてはいない! お返しするぞ」

 

 ホムラが指を弾けば、勢いよく圧縮された火球がプリシラへと向かう。

 プリシラは陽剣を盾にするように構え──衝突。 

 

 ダァン、と強烈な破裂音が響き、プリシラを姿を煙幕が覆い隠した。

 

「姫さんッ!? 無事か!」

 

「──気安く妾の心配などするな、アルデバラン」

 

 その声と同時、陽剣の一振りによって煙が晴れた。

 そこには傷一つないプリシラの姿があった。

 プリシラは陽剣を盾にして事なきを得た。元々は陽剣の火、例え圧縮されようと陽剣で押さえきれぬことはない。つまり、これはこちらを害する意思のない虚仮脅しの一撃だ。

 

 プリシラは陽剣がホムラに対して効力を成さないことを悟り、後ろへと下がり陽剣を納めた。

 陽剣が効かぬ以上、この場はプリシラの出番ではない。

 この王城に侵入せしめ、己を愚弄した不届き者に天誅を咥える役目はプリシラのものではなかった。それが天意ということ。

 

 

「気に食わんガキじゃ」

 

「大して変わらぬだろう自惚れ屋」

 

「おいおい、姫さんの陽剣と互角ってまじかよ、姫さんが押し負けるところ初めて見たぜ、おれぁ」

 

「互角ではない、勘違いするな。真に遺憾じゃが、火の系統魔法に関してはあ奴の方が一家言あるようじゃの。ふん、陽の魔法が使えればこうはいくものか」

 

「はぇ~、そりゃまたすげぇ嬢ちゃんがいたもんだぜ、なぁ?」

 

「ああ、ホムラはすげぇんだぜ! ──ってそうじゃねーだろ! なんで急にこんな一大事になってんだよ! もうちょっと慌てるとかビビるとかないわけ!? 状況についてけてないの俺だけ!? りありー!?」

 

 アルに話を振られ、スバルが困惑を口に出せば、あらぬところから返答が返ってきた。

 

「んにゃ、わたしも正直わけわかんにゃい。急にオドが乱れるし、魔法が言うこと聞かないしでやんなっちゃう」

 

「魔法が使えない?」

 

「ん、オドが乱されてゲートが無理やり閉じられてるみたい。スバルきゅんは……あの子の力の範囲から外れてるみたいだね、仲良さそうだったもんね。まさか共犯だったりしにゃいよね?」

 

「んな馬鹿なことするかよ! がーっ! だけど今現にそのめちゃくちゃやってる奴が目の前にいるわけで……」

 

「ほんとだよね。あの子がここに来た理由ならだいたい予想がつくけど……まさか本当にそれだけの為にここに来たのかなぁ? だとしたらあの子相当頭おかしいんじゃにゃいの? スバルきゅんもわかってるなら止めてあげなよ、どう考えてもこのままじゃ極刑だよ?」

 

「………そう、だよな。ホムラの奴、何考えてんだ……? フェルトを取り戻すにしたって、もうちょっと方法があるだろうがよ」

 

「ま、相手がラインハルトじゃ今しかないって考えも分からなくもないけどねー」

 

「……? それまたなんで……」

 

「んー? それはね~」

 

 スバルがその答えを聞く前に、予想外の人物、あるいは精霊物が驚きの声を上げた。

 

 

「あ~! どこかで感じたことのある魔力だと思ったら! ようやく思い出したよ~!」

 

「ちょ、ちょっとパック? 今出てきちゃったら作戦が……」

 

「いやいやぁ、リア~流石に今はそれどころじゃないと思うよ~、あの子を止めないと色々とまずいでしょ~?」

 

「そ、そうよね。うん、そうだと思う。あのままじゃあの子本当にお尋ね者になっちゃう。それで、思い出したって、何を?」

 

「むむむ~、この火のマナの感じ、リアは覚えてない?」

 

「マナの感じ……? んー……」

 

 じっとホムラを見つめるエミリア、するとホムラの纏う力にとあるものを感じた。

 

「えっ、これってもしかして、──精霊? え、え? それに、この炎って……」

 

「そうだよ、このマナはあいつのだ」

 

 パックは確信を持って告げる。

 

 

「それで? どうして君がその子に力を貸しているんだい? ──メラクェラ」

 

 

『──我、メラクェラにあらず。否。断固否定』

 

 

 ホムラの肩の上にまるで火山の火が押し込められたかのような存在感を放つ赤の球体が姿を現した。

 

 

『我、名を閻魔。真意を司る者。故、我大精霊メラクェラの係累なれど同一にあらず、呼称ホムラの眷属なり』

 

「眷属などと言うな。お前は私の家族なのだから」

 

『肯定必定、我らの結びに言葉は無用。在るが儘こそ我らが誓約なり』

 

「ああ、有るが儘に、思うが儘に、私は正義を執行する」

 

『断罪断行、我、閻魔、汝に力を奉ずるもの』

 

「我が名はホムラ、審判を下す者。力を貸せ、閻魔」

 

『委細承知』

 

 

 ホムラと閻魔の息はぴったりでその会話には一片の隔たりも見えない。

 

「あらら~、随分と入れ込んだみたいだね、意外だなぁ」

 

「ホムラが、あの精霊と……?」

 

 エミリアとパックが二人にしかわからぬ反応を見せる中、ホムラはこの場に残った唯一行動可能な者に視線を合わせる。

 

 

「さて、後はお前だな」

 

「初めまして、そう名乗ることが不相応なほどに、君の凶行は許容しがたい。同じ精霊使いとして、そして何よりもこの場で動ける唯一の近衛騎士として、動けぬ同胞に代わって私が君のこれ以上の蛮行を許さない。君は先ほど騎士と名乗ったが、それが今の君の行いに対しどれほど不釣り合いな称号か、身をもって知ると良い!」

 

「口上が長いな、うだうだ言わずにかかってこい」

 

 

「──いざ、尋常に」

 

「正々堂々迎え撃とう」

 

 

 

 赤一色の極星と、六色に輝く虹星が激突した。

 

 

◆◇◆

 

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