どうせ更新しない癖にこうやって無駄に興味を引くタイトルを付けるのは如何かと思う。
スバルの妹に転生した。以上。──完ッッッ!!!
とはいかないよな。
初めまして諸君、我が名はブルータス。嘘である。
はっはっは、すまない。本当の名前はきらきら星だ。きらきら星だッ!!!
嘘じゃないッ!
いや厳密には
なんでこんな変てこりんな名前になってのかって!?
当然、あっしは知っているさ!
そう、うちの頭ゆるふわなオカンが女の子の名前は自分が決めるって譲らなかったからだ!
生まれた瞬間、
「……あなたの名前はきらほしよ……」
と、そう言われたあっしの気持ちがお前にわかるか……!?
──嬉しかったッ!
なんてったって前世の名前は
生んでくれたことには感謝しているが、よその、それも人ですらない存在の名前を自分の子につけるのはよしてほしいね! 愛してくれたし不自由もなかったから別にいいんだけどね! 死んだけど!
てなわけで親不孝にも両親が病気で亡くなった次の日に交通事故で死んだピカチュウこと菜月綺羅星14歳!
花の中学二年生である!
前世男として何かプライドはないのかって!?
ハッハァ! 在るわけない! なんてったってあっしの夢はかわいい女の子に生まれ変わることだったからなァ!
存分に無垢な少年共の初恋を奪ってやるぜってなもんだい!
はーはっはっはっは!!!
って、思ってた時期があっしにもありました。
なんと、転生した世界は、というより生れ直した
頭お花畑だけど割と真理をついてくる天然母に──。
家族の前だと常にハイテンションで何かとお姫様扱いしてくる多芸パパに──。
極めつけは、絶賛不登校中の精神休養中引き籠りお兄ちゃん──。
ええ、これあれですわ。リゼロですわ。
そして今さっき暗い顔をしたお兄ちゃんがいってきますも言わずにおそらくコンビニに行った直後である。
いやいや、まさかね。今まで14年間何の異変も違和感もなかったし、順調にお母さん似の天然あざといどちゃくそ可愛い女の子として世の男子の初恋を奪ってきたし、それでクラスメートの女の子に嫌われたりハブられたりもしたけど、でも保健室登校して頑張ってきたし!
まさか、ただ家にいるだけの私がお兄ちゃんに巻き込まれて異世界転移するなんてことは──。
──なんか床が光ってるんですけど。
──食べてたアイスが消えたんですけど!?
「え、えぇぇぇぇぇぇぇ!???」
「え、いや、違うんです!! フリじゃないですぅぅぅ! ちょっと抱き心で! ほんと、え、
徐々に世界の輪郭が朧げになっていく。
光で包まれて、何も見えなくなって。
「え、まだお母さんにいってきますしてない! お父さんにただいま言ってない! まだ、産んでくれてありがとうって、あたしのパパママになってくれてありがとうって!! 親孝行、まだなんにも────」
気づけばあっしは意識を失って。
気づけば、
「あん? なんだか急に現れたように感じたが、気のせいか? 大丈夫か、嬢ちゃん。そんなとこで倒れてっと危ないぜ」
「あ、あなたは……」
ああ、気づけば、目の前にはよくよく見覚えのある顔に傷のある果物屋さんが……
「あ? 俺はただの果物屋って……おい! こんなとこで気絶すんな! ったく、どうなってんだ」
ああ、これやっちまった。
とんでもねぇ親不孝だ。
くっ、起きてしまったことは仕方がない。
こうなれば、あっしのやるべきことは一つだ。
──危ないことは全部お兄ちゃんに任せて生き残ろう!
絶対元の世界に帰るんだ!
そう心に決めた14歳のブラコン美少女(元オス)であった…………
◆◇◆
◆◇◆
◆◇◆
「なんでお前までこっちに来てるんだよ!?」
「こっちのセリフだおらァ! ダメお兄ちゃんめぇ! ちょっと高校デビュー失敗したからっていじけてサボって不登校の引きこもりになった貧弱お兄ちゃんめぇ! 誰のせいであたしが巻き込まれたと思ってるんだぁ!?」
「言いすぎじゃねぇ!!?」
人のいる往来でこんなにバカ騒ぎできるのは世界にもこの兄妹だけではないだろうか。
「人の店ん前でぎゃーぎゃー騒ぐんじゃねぇ!!」
「あ、おじさん! その説はお世話になりました!」
「おう、おっさん! 妹がお世話になりました!」
ただでさえうるさかったガキが分身でもしたかのように増えてこのありさまである。
頭の血管がキレそうになっている俺は決して悪くない。決して。
「お前らなァ、寄ってたかって人をおっさん扱いするんじゃねぇ! ったく、連れが見つかったようで何よりだな嬢ちゃん。もう倒れるようなヘマするんじゃねぇぞ」
「うぅ……なんてや゛ざじい゛おじさんなんですかっ……! お礼にパパ活してあげましょうか……?」
「なんだかわからねぇが断る。絶対に碌なことじゃねぇと俺の勘が言ってるからな」
なんとも鋭い直感である。
大正解だ。
それを受け入れた日にはきっと奥さんからビンタが飛んで、娘を連れて家を出て行かれて、挙句の果てに奥さんが再婚した後に養育費を払わされ続けることだろう。慰謝料もふんだんに払ってなァ!?
「ちょっとだけ……ちょっとだけだから……」
「近づくな! 触ろうとするな! 何考えてやがる!?」
「おっさんッ! うちの妹に手出すつもりか!? おっさんの風上にも置けねぇぞ!?」
「お前らグルか!? 質の悪い当たり屋かなんかなのか!? あぁ!?」
「まったくもぉ、冗談じゃないですかぁ、そんな怒った顔したらぷんぷん! ですよぉ?」
「おう分かった。てめぇら揃って俺を馬鹿にしてるんだな、いいじゃねぇかその喧嘩買ってやるッ」
「あー待て待て! 妹の不手際は俺が謝るから何卒! どうかお許しください! ほら、お前も謝れよ!」
「えぇ、ごめんなさぁ~い。うちのお兄ちゃんが」
「…………はぁ~~~~、もういいからどっか行ってくれ。お前らの相手をしてると胃もたれしそうだ」
この強面のおっさんにここまで言わせるとは、我が妹ながら恐ろしい。
だがそれはそれとして。
「お前、赤の他人のおっさんに対して失礼が過ぎるぞ。そんなんだから学校でもハブられるんだろ」
「えぇ!? お兄ちゃんが言う!? あのお兄ちゃんがぁ!?」
「なんでそんなに驚くんだよ!!」
「だってお兄ちゃんってあれでしょ? あれで……あれで、あれじゃん!!」
「あれしか言ってねぇな!?」
ふざけた会話を続けていると、喧騒が騒がしくなってきた。
「どけどけどけー!!」
「どぅぇ──!???」
お兄ちゃんが突き飛ばされる。
「ちょっと! 待ちなさい!」
「あははははは! お兄ちゃんってばこけてやんの!! ぶべっ!?」
今度は私が誰かとぶつかって地面とキスした。
「人を嗤った天罰だ、バカ妹が」
「んもぉ、バカお兄ちゃんめぇ」
お兄ちゃんが手を差し出してくれる。
「あっ……ごめんなさい」
「あーいやいや、怪我とかしてないから大丈夫って……」
声の方を振り返ればそこにいたのは絶世の美少女──。
「ぎゃあああ!! 目が潰れるぅぅぅ!!!」
「え、えぇ!? 急にどうしたの!? 私のせい!?」
「いやいや、これはこの世にあらざる美少女を見た正常な反応……って、どぅぇ──!!?」
「えっ、また!?」
そんな感じでやんややんやと騒いだ兄妹は結局、正体不明(仮)の銀髪美少女を困惑させたのだった。
◆◇◆
◆◇◆
◆◇◆
「絶対こっち!!」
「いいや、絶対こっちだ!!」
「「エミリアはどっちだと思う!?」」
「え、えーっとぉ……」
二人して銀髪美少女ことエミリアを困らせる兄妹。
「なんだあんたら、フェルトを探してんのか? それだったら……」
「汚いおじちゃんうるさい! 今大事な話してるところだから!」
「き、汚いおっちゃん……」
「バカ野郎、妹! 小汚いおっちゃんだって必死に生きてるんだぞ!!」
「小汚い……」
「もう! 二人とも少し大人しくして!」
「……おお、エルフの嬢ちゃん、いい子だな。銀髪だな、ちょっと怖いなとか思ってごめんな」
「え、あ、いや」
「フェルトならここをまっすぐ行った先にある盗品蔵にいると思うぜ、お互い強く生きようぜ、あばよ」
「あ、ありがとう!」
「ふっ、これが俺たちのコンビネーション!」
「これが私の女としての魅力!!」
「おい、そこは二人の力って言うところだろうが!?」
「はぁ……二人を連れてきたの失敗だったかしら……」
ひたすらにやまかしく騒ぐ二人を見て、二人の提案を断り切れなかった少し前のことを後悔し始めたエミリアだった。
「あはは、二人とも悪意だけはないんだよね。悪意だけは。うん……これは質が悪いね」
お供のペットもフォローできなかった。
「本当よ……でも、悪い子たちじゃないんだなっていうのは分かるのよね。それが更に残念というか」
「リアの容姿にびっくりしない子たちなんて久しぶりだったもんね」
「うぅ、このまま進んで本当に大丈夫かしら」
「ま、何かあればボクがフォローするからだいじょーぶ、だいじょーぶ!」
「うん、頼りにしてるわね、パック」
「任せといてよ!」
「ほら、二人とも行くわよ!」
「ぐすっ、娘の成長を見れてボクは嬉しいよ……」
「……本当に大丈夫なのかしら」
不安を拭えないままに三人もとい三人と一匹は盗品蔵へと向かった。
「なんじゃい貴様らは合言葉も知らんと」
「合言葉? ふふん、もちろん知っているよお爺さん。なんとかに毒!なんとかに針!なんとかかんとかでドラゴンをぶっ殺せ! だよね!」
「なんで知っとるんじゃ!? それにいくらなんでもそんな物騒な合言葉にはしとらんわ!!」
「え、ホントに合ってるのか!? なんでそんなの知ってるんだよお前!」
「え。そりゃあ、えへへ……恥ずかしくて言えないよ」
「何が!?」
我が妹ながら変な奴だと思う。切実に。
「えぇ?? お兄ちゃんも自家発電中にお母さんに部屋に入られたら同じこと思う……むぐっ!?」
「ああぁぁぁちょっと一旦黙ろうか!? な! 女の子がそういう言うのダメ絶対!」
「がぶ!」
「あいったぁ!?」
「へんだ! 意中の女の子の前だからって格好つけちゃって! そんなんだから童て──」
「言わせねぇよ!?」
「もう二人とも!」
「だぁ!! いい加減にせんかい!! 貴様ら、何しに来よったんじゃ!!」
「あ、そうだよお爺さん! 徽章! 徽章が盗まれたの! フェルトって子がここにいるんでしょ?」
「むぅ? フェルトじゃと? それは──」
「げっ」
その声に振り向くと、盗品蔵の前に見覚えのある少女がいた。。
噂をすればである。フェルトだ。
「ああああ──!!! お兄ちゃん!」
「おう!」
「「確保──ッッ!!!」」
「ぎゃー!!? なんなんだお前らっ!!?」
咄嗟の判断が功を奏し、逃げられる前に彼女を捕まえることが出来た。
◆◇◆
◆◇◆
◆◇◆
「お兄ちゃんを死なせたり……しないんだから……ごふっ」
「な、にを……なんで、なんで!? 何してるんだッッ!!! キラリッ!!!」
あっしの家族内での
その声も遠く。
今はただ暗くなっていく視界と、冷たくなっていく身体を感じていた。
「ふふっ、富裕層の子なのかしらね。思った通り、とてもいいお腹の色をしているわ」
交渉がまとまりかけたところで突然背後に現れた黒装束の女──エルザ。
彼女がお兄ちゃんの腸を切り裂こうとした刹那、あっしの体は考える前に動いていた。
「……あれ、どうして……生き残るって、決めたのにな……ぐふっ」
ずるりとお腹からナイフが抜けて、地面にバタンと倒れた。
しかし痛みは感じなかった。
だけど苦しかった。
でも、これでよかったと思った。
「きらり…………」
「お兄ちゃん…………しんじゃ、だめだよ」
どうやら、あっしは自分で思っていたよりお兄ちゃんのことが、ナツキスバルくんのことが好きだったらしい
そりゃ当然か。
ずっとファンだったんだもの。
家族として生まれてからずっと過ごしてきたんだもの。
そりゃあ、殺されると分かってて見殺しになんて、出来るわけないよね。
ああ、ごめんなさい。パパ、ママ、親不孝な娘で…………
「──」
綺羅星の瞳から、ハイライトが消えた。
「キラリぃぃぃぃぃいいいいいいい!!!!!!!!!」
お兄ちゃんの慟哭が聞こえた気がした。ごめんね、おにいちゃ──────。
「……あれ?」
「きらりっ!!」
「おわっと」
何かが抱き着いてきた。
むっ、もしやあっしのおっぱいが目当てか!?
「きゃー!! へんたーい!!!」
ぺシンッッ!!!
「あいたぁぁ!!? あれぇぇぇ!!? ここは感動の再会をするところでは!?」
と、思ったらお兄ちゃんでした。知ってました。
ていうか、感動の再会って……もしかしてあっしにも『死に戻り』が……?
あれ、でも……
「……よかった。本ッ当によかった。なんでか分からないけど、お前が生きててよかった……っ!!」
見渡す限り、ここは盗品蔵の中だった。
ということは、死ななかった?
あの状態から?
──そんな馬鹿な。
いったい何が。
「え、え? どういうこと? 何があったの?」
「っ、ぐっ、ほんとに……」
「あーもう! うざったい! どいてお兄ちゃん!」
「ばんぐらでぃっしゅ!?」
泣きぐずるお兄ちゃんをどかして私はすべてが終わった様子の盗品蔵を見てあることを察しながらも隣にいた
「はじめまして、イケメンですね! ところで、いったい何が起こったんですか? あたしは確かに死んでいたはずなんですけど……!!」
彼なら分かると思った。
「はじめまして、僕はラインハルト・ヴァン・アストレア。気軽にラインハルトと呼んで欲しい」
「わかった! それで、ハルトくんはあたしの身に何が起こったのか分かる?」
「ハルトくん……? いや、僕にも詳しいことは、だけど──君は死んだ状態から生き返ったんだ、僕の見間違えじゃなければね」
「生き返った……? わぁーお」
そんな馬鹿な。『死に戻り』ならぬ『生き返り』ってか!? なんの捻りもねぇな! もっと捻れ! 物書きのプライドはねぇのか!?
「そんなことってあるんですか? もしかしてあたしって呪われてたり……」
呪われてるとしたら確実に【嫉妬の彼女】だけど、彼女に呪われてるとかぞっとしないよ!?
「ん……君はどうやら特別な加護を授かっているらしい」
「え?」
「今それを確かめられる加護を授かった。それによると……」
「え? え? え?」
あっしの困惑をおいてイケメンことハルトくんが告げる。
「君のもつ加護は──『不死鳥の加護』だ」
「えぇぇぇぇぇぇ??」
「奇遇だね、僕も同じ加護を持っているんだ」
そうにっこり笑ってイケメンが言った。
ああ、うん、知ってる。
へぇ、ふーん。不死鳥の加護ねぇ。
なんてもの授けてくれてるんだクソ観覧者どもがぁぁぁぁぁああ!!!!
あっしは心の中で世の不条理を叫んだ。
思い付きの極致だよね。