Re:ゼロからオリ為す異世界生活   作:萎える伸える

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オレの名前はナギサ。ただの野生の鬼族だ。よろしくな

 炎の夜から時は経ち、現在……

 

「やべぇ……」

 

 この世界の主人公たる少年、ナツキ・スバルは、小規模な苦難に直面していた。

 そう、皆さんご存じ『トンチンカンの三人衆』である。

 フェルトと出会う前の彼らはこうして路上で無辜の民から恐喝して日々を謳歌しているのだ。

 なんともけしからん話である。

 しかし、そんなこと露とも知らないスバルはたかが無法の三人衆を相手に死を覚悟していた。

 安い命である。

 

「お、おおおお、俺に手を出してみろ! 警官呼んでやっからな! とんでもなくでけぇ声で叫ぶぞ! 恥も外聞も未練も誇りもなく女声で叫んでやるからなぁぁあ!!」

 

 スバルは恥もへったくれもなくファイティングポーズを取りながら叫んだ。

 

「なぁに言ってんだこいつ」

 

「いいから早く身ぐるみを剥いじまおうぜ、ほんとに叫ばれても面倒だ」

 

「ならお前、ガストン、あいつの身動き封じて口塞いどけ」

 

「あいよ」

 

 が、スバルの勇猛な口上も意に介さず、ガストンと呼ばれた大男がスバルをその巨体で拘束しようと歩み寄る。

 ガストンと言えば、将来他の二人と共にフェルトの仲間(舎弟)になり、ラインハルトに大層扱かれたのち、『流法』の才能に目覚めていたはずだ。

 『流法』ってのはアレだ。

 体に流れるマナを自在に操って、肉体の一部を強化したりするやつ。

 例えるなら、ハンターハンターの『流』。

 てか、オレはまんまそれだと思ってる。

 と、そんなことよりスバルな。

 いくらまだ『流法』の使い手ではないとはいえ、純粋にあの巨体だ。

 スバルが勝つのは厳しいだろうな。

 やるなら『原作』通り金的くらいだろ。

 

「ち、近づくんじゃねぇ!」

 

「恨むんなら、こんな路地裏に一人でのこのこ入ってきちまった自分自身を恨むんだな! 肝っ玉の小せぇチビ野郎!」

 

「うるせぇ! お前の方がちっちゃいだろうが! やんのか!? あぁん!?」

 

「てめー、言っちゃいけねぇこと言ったな! それ言ったら戦争だぞおらぁ!?」

 

 後ろで好き放題言っていたカンバリーに対し、スバルが反論……というか暴言を返すと。

 売り言葉に買い言葉、カンバリーが腕まくりをして前に出た。

 まさに一触即発というところで、ガストンがカンバリーの首根っこを掴んでひょいと持ち上げた。

 それだけでカンバリーは中空でジタバタするほか何もできなくなった。

 

「やめとけ。お前はろくに人を殴れやしねぇのに売られた喧嘩を買う癖を直せってんだ」

 

「うるせぇ、ガストン! おめー、体でっけぇからっておれ様のこと見下してんだろ!?」

 

「してねぇ。おれは仲間を見下したりしねぇ」

 

「ぐぅ……男前かよ! ガストンてめーよぉ!」

 

 まるで茶番のような会話だが、その実、スバルはまだこの危機を逃れていない。

 さて、()()()()()()

 よっしゃ……息を合わせて、せーの……っ!

 

「そこまでにしとけ、誰かに見られる前に早くそいつを……」

 

「「――そこまでよ(だ)」」

 

「――。」

 

 時が止まるとはこのことだろうか、とでもスバルは思っているのだろう。

 それはオレも実感している。

 さて、こっからどう出る、お嬢さん。

 出だしがオレと被っちまったわけだが。

 ふむ、なんか「え? えっ?」って感じの雰囲気出してるしオレからいくか。

 

「ハッハ―! これまでの貴様らの狼藉、とくと見させてもらったぜ!」

 

 次にラチンス、お前は『な、なんだてめーは!?』という。

 

「な、なんだテメーは!?」

 

 よーしよし、予想通りだ。

 なればこそ、盛大に名乗ろうじゃないか。

 そこの見知らぬ見知った銀髪のハーフエルフと、誰もが知る黒髪の異邦人に覚えてもらえるように。

 

「オレはナギサ。ただの野生の鬼族だ。よろしくな」

 

 ふっ、決まった。

 

「オニ族だぁ? そのオニ族さまが何しに現れたっていうだ?」

 

「そりゃお前、お前らが有り金を撒き上げようとしていた彼を助けるためよ」

 

「えっ、そうなの!? あっ、いや……ふん、そんなことだろうと思ったわ」 

 

「……いや、それは無理がない?」

 

 なんか可愛いハーフエルフがいるがそれは一旦無視。

 オレはとくに怪我のないスバルに声を掛けた。

 

「それより君、大丈夫そうか?」

 

「あ、ああ……おお、助かったぜ! いや、まだ助かってねぇな。どうか、卑賎なわたくしめをお助けくださいませ、お願いしまっす!」

 

「はっは、いいぞ()()()()、同郷の(よしみ)だ。助けてやる」

 

「え……、は? お前いまなんて」

 

 なんて言ってスバルを困らせてみる。

 どうせ、一週目は何やってもスバル死ぬしな!

 てか、一回は死んでもらわないと困る。

 じゃないと、死に戻りの能力をスバルが認知しないし。

 となると、何回か死んでもらわないとスバルはちゃんと『死』を認識できないか……。

 ま、それは()()()()()()()()()()()()()()()()()によるな。

 なんとなく、できるんじゃねぇかなぁとは思うしな。

 ほら、オレの持つ『加護』の関係で。

 と、言ってる間にトンチンカンをとっちめ終えた。

 

「「「ぐえぇ……」」」

 

「なんだなんだ、根性がねぇな。せめて『流法』ぐらいは使ってくんねぇと」

 

 まぁ使えないの知ってるけど。

 まぁ! 使ったところでオレの方が強いけどね!

 オレってば最強の亜人族、鬼族様だからなぁ!

 と、そうやって図に乗るのは後にして。

 

「改めて、自己紹介をさせてくれ。

 オレの名前はナギサ。鬼族のナギサだ。

 そして、多分きっとおそらくメイビー、百パーセントお前と同郷だ、兄弟。

 お前の名前は?」

 

「お、俺は菜月昴、です。

 って、マジに言ってんのか? 同郷って、お前も……?」

 

「そう、日本生まれの転生者だ。

 お前は見たところ転移者か?」

 

 実際、スバルが転生なのか、転移なのか、異世界召喚なのか、よくわかってねぇんだよな。

 今のところは転移みたいだけど、あるいは『嫉妬の魔女』が召喚したのか。

 転移したんなら、何が原因なのか。

 わっかんねぇなぁ。

 

「マジか……! じゃ、じゃあ、俺を召還した美少女とか知ってたりとか……!」

 

「美少女? なに、お前の妄想? そういうの悲しくなんないの? 大丈夫? もしかして、妄想癖がヤバい思い込みが激しいタイプのオタクくんなの?」

 

「ぐはっ」

 

「はっは、冗談だよ。オレもオタクだからね。異世界に来てテンションぶち上がってんのはわかるぜ。傍から見たら死ぬほどイタいけど」

 

「ぐへっ」

 

「まぁそりゃオレも同じだったからな。経験済みって奴だ。まぁオレはそのとき、こぉんなちっちゃな子供で? お前は今、普通に成長しきった男であるわけだが?」

 

「ぐあぁあぁぁあああ!! もう、もうやめてくれぇ!! これ以上、俺の過ちを掘り返さないでくれぇ、俺のライフはもうゼロだよ!」

 

「そうかそうか、じゃあ後、小一時間ほどこのネタで弄り倒して……」

 

 なんだこいつ(この主人公)、おもしれぇな。

 叩けば鳴るおもちゃかよ。

 異世界産の弄られ役パネェな。

 

「あ、あのー……」

 

「「あ」」

 

 等身大の主人公くんが面白くて、彼女がいるの忘れてた。

 これも全部、弄られ役がお似合いなスバルくんが悪い。

 

「っとと、悪い。君もいたんだったな。

 オレはナギサで、こいつはスバルだ。君の名前は?」

 

 『俺の扱い雑じゃねぇか!?』なんて幻聴が聞こえる。

 うん、気のせいだろ。

 

「――私はエミリア。ただのエミリアよ」

 

 あれ? これ、一章の素晴らしい一幕を台無しにしてね?

 エミリア、オレがいるからかタイミングが悪いのか知らんけど『サテラ』って名乗ってくれてないじゃーん。

 

 やっべ、どうやって修正……いや、その必要なくね?

 だってサテラって名乗ったら、てか名乗るせいでスバルは死に戻りの一周を混乱で無駄にするわけだから……

 嗚呼。よっしゃ、オレってばファインプレイ的な!?

 

 はい。原作ファンの皆様、申し訳ありませんでした。

 

 もうこうなったら最大効率でスバル導いてやろうじゃねぇか!? あぁん!?

 

  こうして、オレのオレによるオレのためのスバルを最高効率で導く異世界生活が始まったのだった……!

 

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