【完結】機動戦士ガンダム実況_カルト教祖プレイ   作:すも

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初投稿です。今回は番外編となります。



【】内の台詞はテレパシーで交信している設定です。


閑話④<バスク大佐の懸念>他

<バスク大佐の懸念>

 

 

 

「大佐、現地に展開する部隊より火星に存在するジオン残党の基地全ての制圧が完了したと報告がありました」

「よし、よくやった」

 

宇宙世紀0091年、火星に派遣されたティターンズと連邦軍の合同艦隊総指揮官であるバスク・オム大佐は副官のダニンガン少佐の報告を受けて機嫌をよくする。前回のアクシズ討伐と違い今回の遠征では損害が非常に軽微かつ計画通りに進んだからだ。

 

「逃げ出した残党についてはどうなっている?」

「問題ありません。現地の住民達はこちらを歓迎して友好的な態度を示しており、ジオン残党の捜索に進んで協力してくれているということです。これならば掃討作戦も予定より早く完了するかと」

「なるほど」

 

掃討作戦についても問題なく進んでいることを確認したバスク大佐は笑顔を浮かべた。

 

「しかし火星独立ジオン軍を名乗りながら火星人共に嫌われ見限られるとは無様だな」

「火星人達の行動は当然かと。火星の住民からすればジオン残党は自分達を虐げてきた圧制者です。嫌々従っていただけで忠誠心など欠片もないでしょう」

「ククッ、それもそうだな」

 

バスク達は火星の今後について雑談をする。

 

「マーズジオンが壊滅した後は火星に警戒すべき勢力は存在しない。連邦軍のパトロール部隊を駐留させれば治安維持は十分だろう」

「連邦政府は火星を見捨てないという姿勢を見せる必要があるのは理解できますが、貧乏くじを引かされた連邦軍の部隊には同情しますな。まぁこれからは定期的に地球圏から補給便が送られるようですし、アナハイムが火星開発に参入するそうですから火星も少しずつ発展していくかと。火星人達もそれがわかっているから我々を歓迎したのでしょう」

「フン、現金な奴等だ」

 

ダニンガン少佐の発言を聞きバスク大佐は眉間に皺を寄せる。

 

(ルナリアン共め増長しおってからに。しかし連邦政府は地球圏の復興事業に注力している現状、火星開発ができる余力があるのはアナハイムだけか。火星安定の為と言われれば止めることもできん)

 

「大佐?」

「いや、何でもない……そういえば今回の作戦ではレイ大尉は随分と役に立ったようだが」

 

少し不機嫌になりつつもバスク大佐は話題転換する。ダニンガン少佐も空気を読んで相槌を打った。

 

「はい、レイ大尉の活躍は驚異的でした。あれで数年以上ブランクがあったとは信じられません」

「そうだな、ニュータイプは敵に回すと恐ろしいが味方になるとあれほど頼もしいとは」

「連邦軍から引き抜いた甲斐がありましたな。オマケとして付いてきたコバヤシ伍長もなかなか優秀なようです」

「あの小僧も役に立ったか、思わぬ拾い物だ」

 

ジオン残党のニュータイプ部隊への備えとして引き抜いたレイ大尉が予想以上に役立ったと会話を続ける。ちなみにバスク大佐達はレイ大尉についてそれなりに好印象を持っていた。自分達と同じアースノイドかつ一兵士として分を弁えた態度を取っていたからだ。

 

「ニュータイプ研究所が寄越した強化人間達と比べてレイ大尉達は安定している。レイ大尉並とは言わんが強化人間も扱いやすくなればいいのだが」

「ええ、強化人間達は精神的に不安定な人間が多いですし、実戦で使うには些か心配になります」

「強化人間については試行錯誤の段階だからな、研究が進めばいずれ安定するだろうよ」

 

機嫌を直したバスク大佐は引き続きジオン残党の掃討作戦を続けるのであった。

 

 

 

 

「……連中正気か?いや、ジオンは最初から狂っていたか」

 

1ヶ月後、火星の治安維持活動が一段落したバスク大佐はマーズジオンから押収した資料を見て呆れた様子を見せた。

 

「連中あの有様で連邦政府の打倒が可能だと思っていたとは」

「妄想するだけなら自由ですからな、実際に可能かどうかは別ですが」

 

資料には強化人間やアクシズから提供されたプルシリーズを使ったクローン兵士の量産を予定しており、機が熟した暁には地球圏に帰還し地球連邦政府の打倒を目指すというバスク大佐達からすれば「それはひょっとしてギャグで言っているのか?」としか言いようがない計画が書かれていたのだ。

 

「随分と気の長い計画だな、火星という僻地で準備するとしたら何年かかる事やら」

「アクシズの醜態を考えればその前に内部抗争で自壊するかと。仮に戦力を揃えられたとしても地球圏がマーズジオンを受け入れるわけがありません。これは計画書ではなく妄想を書き連ねた怪文書です」

 

マーズジオンの計画書を呼んだバスク大佐は最早嘲笑する気も起きずただ呆れ果てていた。

 

「一年戦争でジオン公国ができなかったことが、ジオンの残り滓でしかない残党にできるわけないだろうに」

「できるかどうかが問題ではないのでしょう。ジオン残党にとって連邦政府の打倒とスペースノイド独立は決して譲れないものなのかと」

「フン、まるで宗教だな」

「仰る通り悪質な宗教と言っても過言ではありません。ですがマーズジオンが壊滅した以上最早ジオン残党にまとまった勢力は存在しません。残っている狂信者達も流石に現実を直視するしかないでしょうな」

「そうだな、ザビ家の生き残りの小娘は政府の監視下にあるし残党共はもう何もできんだろう……問題はあのカルト教団だ」

salus(救済)教団ですか」

 

ジオン残党については脅威ではないと判断したバスク大佐であったが、今の地球連邦にはジオン以上に厄介な存在がいると苦い表情を浮かべる。

 

「カルト共は地球圏のスペースノイドの半数近くを掌握した。あそこまで巨大化するとこちらから迂闊に手を出すことができん」

「ええ、それに政府としても教団が大人しくしているなら見逃すしかないでしょうな。下手に刺激して教団が決起すれば地球圏が荒廃するのは確実ですから」

「情けない話だ。カルト共を止めることができんとは」

 

バスク大佐にとってsalus(救済)教団は30バンチ事件で自分を嵌めた連中かつ地球連邦を内側から侵食するカルト教団であった。査問会議行きとなった忌々しい記憶を思い出し不機嫌になる。

 

(長官閣下から再三教団に手を出すなと警告されたが……言われなくても今の教団に手を出すものか。一年戦争並の戦乱を引き起こすなど冗談ではない)

 

スペースノイド弾圧の為なら非道な手段を使う事を躊躇しないバスク大佐であるが、曲がりなりにも佐官にまで登り詰めた人物である。教団を敵に回すことの危険性については十分理解していた。自分の行動が戦乱を引き起こすかもしれないとなれば慎重になるのは当然だろう。

 

「ニュータイプと宗教があれほど相性がいいとは思いませんでした。政治家達の間でニュータイプ脅威論が流行るのも無理はありませんな」

「ああ、ニュータイプ研究所に多額の投資をするのもわかる、あの教祖並のニュータイプが政界に進出してきたらと恐れるのは当然のことだ」

(それに厄介なことに政界進出を後押しすることができる秘策を奴等は所持している)

 

バスク大佐はラプラスの箱の真実について思いをはせる。ジャミトフ長官がローナン・マーセナス議員を説得(尋問ともいう)した際に立ち会っていたため箱の中身について知ることができた。

 

(あの忌々しい箱め、あの曖昧な条文に効力があるとは思いたくないが馬鹿な民衆は真に受けるだろう。全くふざけた話だ!当時の政治家達は何を考えてあんな条文を追加したのだ……いや、多分深い理由はないのだろうな。当時はニュータイプという概念は存在しなかったのだし)

 

当時の政治家達が残した傍迷惑な置き土産について考えると頭痛がしてきたのでバスク大佐は思考を打ち切ることにしたのであった。

 

 

 

 

 

<カミーユとシロッコの邂逅>

 

「ほう、これはこれは……」

「貴方は?」

 

宇宙世紀0091年、フォン・ブラウンにて大学生として暮らしていたカミーユはある日不思議な男と邂逅を果たした。

 

「まさか君がここにいるとはな、不思議な縁もあることだ……初めましてカミーユ・ビダン君」

「アンタなんで僕の名前を……えっ、なんだこの感覚は?」

 

初めて会ったはずの男に対してカミーユな奇妙な感覚を覚える。

 

【そうだな、ここで会ったのも何かの縁だ。少し茶でも飲みに行かないかね?すぐ近くに本格的な紅茶を出す喫茶店があるのだよ】

【アンタ、モーレスさんと同じニュータイプ……わかりました】

 

とりあえず敵意がないことは理解したカミーユは目の前の男に付いて行くことにした。

 

 

 

「……美味い」

「そうだろう?地球産の茶葉を使った本格的な紅茶だ。この店に来るまでは紅茶の良し悪しについてわからなかったが、一度味わえば大量生産品のティーバッグなど飲めなくなる。それとこの店はコーヒーも絶品だ、サラも連れて月2回は通う程気に入っているのさ」

 

パプテマス・シロッコを名乗る男と他愛のない雑談をしつつ、いつも通っているカフェでは味わえない紅茶の味に舌鼓を打ちながらカミーユは疑問を覚える。この男は何が目的で茶に誘ったのだろうかと。

 

「そう警戒しなくてもいい、特に目的があるわけではないよ。偶然君と出会ったから茶に誘っただけさ。しかし君とこうやって茶を飲むことになるとは予想できなかったよ。本来の歴史では殺し合う関係だった私達がな……これもモーレス殿のおかげだな」

「なんですか殺し合う関係って、モーレスさんが何をしたんですか?」

「ふむ、荒唐無稽な話になるが……君なら信じてくれるか。少し長話になるが構わないかな?」

 

NT空間に連れてこられたカミーユはシロッコの話を聞くことにした。

 

【さてビダン君、君はモーレス殿が存在しなかった世界がどうなっていたと思うかね?】

【……勘ですけど悲惨なことになってたんだろうなとわかります】

【ああ、君の予想通りさ】

 

 

 

【まずはデラーズ紛争だな、この世界ではコロニー落としを防ぐことができたが、本来は阻止することができず北米の穀倉地帯に落下して地球環境に甚大なダメージを与えていた】

【いきなり大惨事じゃないですか】

【ああ、大勢の人間が死んだ。その後創設されたティターンズが30バンチにて毒ガスを散布し1500万の命が失われた】

 

 

 

【次は宇宙世紀0087年、対ティターンズ勢力として誕生したエゥーゴとティターンズによるグリプス戦役の勃発だ。地球連邦の内部抗争だが後半になってアクシズも参加して三つ巴となった。結果はティターンズが敗北しエゥーゴが勝利したが実際はアクシズの一人勝ちだな。それとグリプス戦役では君はエゥーゴの一員として参加し、ティターンズに参加していた私と殺し合いになった】

【内部抗争って何やってるんですか……ジオンじゃあるまいし。それと僕も巻き込まれていたんですね】

【そうだ、最終的に君は生き残ったが私に精神を道連れにされて廃人になったようだな】

【ええ……?】

 

 

 

【その次は第一次ネオ・ジオン紛争だ。グリプス戦役で漁夫の利を得たアクシズはネオ・ジオンと名乗り各サイドに侵攻を始めた。内部抗争で疲弊した地球連邦軍に止める力はなく一時は地球本土に侵攻され、ダブリンにコロニーが落とされた】

【……色々と言いたいことはありますけど、第一次ってことは第二次もあるんですか?】

【うむ、それは後で話そう。その後ネオ・ジオンは内部抗争が勃発して消耗し、派遣された連邦軍艦隊に敗北、ネオ・ジオンは消滅した】

【ああ、その世界でもアクシズは内輪揉めしてたんですね……】

 

 

 

【そして宇宙世紀0093年には第二次ネオ・ジオン紛争が起きる。赤い彗星のシャア・アズナブル……いやキャスバル・レム・ダイクンを旗頭にした新生ネオ・ジオンが地球連邦政府に宣戦を布告した。小惑星5thルナが地球に落下し慌てた地球連邦政府は和平交渉を行った】

【なんでジオンはコロニーやら小惑星を地球にポンポン落とすんだよ……命を何だと思ってるんだ!】

【それだけではない、ネオ・ジオンはアクシズを地球に落とし地球連邦政府を粛正し地球を死の星に変えようとしたのだ】

【……それ、アースノイドだけでなくスペースノイドにも多大な影響がありますよね?どう考えても共倒れじゃないですか】

【大丈夫だとも。最終的に人の意思の力によって奇跡が起き、地球に落下していたアクシズは押し返されたからな】

【なんでいきなりオカルト展開になるんだよ!?ふざけているのか!?】

【いや私に言われても困るのだが】

 

 

 

「……さっきはすみませんでした。貴方に怒ったところで無意味だとはわかってたんですがついカッとなって」

「落ち着いてくれてよかった。あんな話を聞けば君が動揺するのも無理はないさ」

 

NT空間から帰ってきたカミーユは死んだ目をしながら頭を抱えていた。嘘だと思いたかったが持ち前の高いNT能力によってシロッコが真実を話していると理解したのだ。

 

「ちなみに第二次ネオ・ジオン紛争後の様子についてもモーレス殿からある程度ビジョンで見せてもらっているが、知りたいかね?」

「いえ結構です」

 

これ以上聞いても気が滅入るだけだとカミーユは持ち前の直感で察した。

 

「そうか、まぁ君も疲れているようだしここまでにしようか。会計は私が払うから気にしないでくれ」

「いいんですか?助かりますけど」

「構わないさ、こちらから茶に誘ったのだから金を出すのは当然のことだ……ではまた縁があれば会おうじゃないか」

 

シロッコと別れたカミーユはフォン・ブラウンにあるアパートに帰ることにした。

 

(あのシロッコって人、本当に話がしたかっただけみたいだな。まぁ紅茶は美味しかったしそれは別にいいけど……モーレスさんか)

 

帰り道を歩きながらカミーユはモーレスについて考えが及んだ。

 

(あの人はモーレスさんからビジョンを見せてもらったと言っていた。だとするとモーレスさんはあの地獄のような未来を予知してそれを防ぐために今まで必死に動いていたんだな……でも何をするつもりなんだろう?)

 

モーレスの最終目標がわからないカミーユは彼が何をするつもりなのか不思議に思う。

 

(……まあいいか、あの人が世界平和の為に動いているのは確かだし酷いことにはならないだろう)

 

カミーユはモーレスの目指す世界が何であれ本来の歴史よりはマシな結末になるだろうと結論付けた。モーレスの人柄は知っていたし両親を仲直りさせてくれた恩人であることから彼を疑う事はなかったのだ。

 

(それよりあの紅茶本当に美味しかったな、今度ファを連れて行ってみようか。値段は高いけど払えないほどじゃなかったし……よし、今度一緒に行くとするか)

 

ガールフレンドのファと茶を飲みに行こうと決めたカミーユであったが、その際にサラを連れたシロッコと再会することになるのであった。




ニタ研研究者「レイ大尉、貴方の為に調整した強化人間です!」
ロザミア「アムロお兄ちゃん!」
カツ「ええ……?」(ドン引き)
アムロ「……能力が低くてもまともな人間を寄越してくれないか」

様子を見ていたダニンガン少佐「……大佐、レイ大尉の言い分は尤もかと」
バスク大佐「うむ、アレはないな……」
→ロザミアはチェンジされゲーツ・ギャバになりました。



地球連邦政府&ティターンズ「「頼むからこれからも大人しくしてくれ……!」」
教団「わかりました!(救済の日が来るまでは)大人しくします!」



更新速度は遅くなりますが頑張って投稿していこうと思います。
感想くれると嬉しいです。
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