【完結】機動戦士ガンダム実況_カルト教祖プレイ   作:すも

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今回は番外編となります。


閑話⑧<地球圏の反応>

<地球圏の反応>

 

◯<アムロ・レイ>

 

「……なるほど、あれが貴方が見た未来なのか」

 

ZZのコックピットで意識を取り戻したアムロはモーレスから見せてもらった未来のビジョンを思い返していた。

 

「あれを見たら確かにこんな手段を取りたくなるのは分かる。だが、だからといってこれは」

 

ZZの全天周囲モニターには眩い緑の光を放つ大型MAの姿が映っており、中にいる教祖が既に人間ではなくなっていることをアムロはNTの勘で察していた。

 

「なんてことを、人間を辞めて機械になるなんて」

「レイ大尉、ご無事ですか!」

「ああ伍長か」

 

アムロが独り言ちているとカツ・コバヤシ伍長が合流してきた。

 

「よかった、先程から声を掛けてましたが返事がなかったのでハッチを開けようかと思いましたよ」

「すまない、少し気絶していてな。他のパイロットは?」

「はい、ゲーブル大尉達もご無事です。今のところ犠牲者はおりませんが、何が起きているんですか?先程から輝いている暖かくて優しい光は一体?」

「見ての通りさ。俺達は彼を止めることが出来なかった」

 

コバヤシ伍長の疑問にアムロは少し苦い表情を浮かべて答える。

 

「そうですか……とにかく一度帰還しましょう」

「そうだな、ここにいても俺達に出来る事は何もない。帰還するか」

 

コバヤシ伍長に先導してもらいつつ帰還するアムロは考え込んでいた。

 

(彼の目的は達成された。とりあえず人類は暫くの間安定し繁栄するだろう……しかしここまでしないと人は争いを止められないのか)

 

「これからどうなるんだろうな、人類は」

 

人の愚かさを嘆きつつもアムロは人類の行く末に思いをはせるのであった。

 

 

 

◯<バスク・オム>

 

「そうか、レイ大尉達は無事だったか。艦隊の被害は?」

「先ほど報告がありましたが損害はありません。艦隊は無傷です」

「なるほど、なるほど……ククッ」

 

ティターンズ艦隊が無傷だと理解したバスク大佐は苦笑していた。

 

「大佐?」

「いや、軍人として情けないが相手の理不尽さについ笑ってしまってな。ZZガンダムのハイメガキャノン一斉射撃と戦略レベルの核攻撃を受けても傷一つ負わせられず、しかも核攻撃から我々を庇う余裕まであった。ニュータイプがあれ程の力を持っているとは」

「……」

 

バスク大佐の独白に副官のダニンガン少佐は沈黙した。彼もバスク大佐と同じくNTの理不尽さを実感していたのだ。

 

「そしてこの敗北を素直に受け入れている自分がいるのだ。おかしいだろう?今までの私なら絶対に認めるはずがない。それにスペースノイドについても以前のような敵意を持つことができんのだ」

「それは、まさか」

「まあどう考えても洗脳だろうな。先程から輝いているこの緑の光はただの賑やかしではあるまい。我々を洗脳する為のものだろう。それがわかっていても危機感が湧かないとは我ながら変わり過ぎだな」

「この光は地球圏全域に広がっています。大佐の懸念通りならば」

「ああ、最早手遅れだ……本部に通信を繋げろ。長官閣下も既に状況を把握しておられるだろうが我々の方から報告しなければならん」

 

軍人として上官への報告の義務があるバスク大佐はジャミトフ・ハイマン長官へ連絡を取ろうとしていた。

 

「あの想定外の核攻撃については……」

「それは後でいい、というより私の予想通りなら相手の方から白状するだろうよ」

 

 

 

◯<ジャミトフ・ハイマン>

 

「……わかった、艦隊は無事なのだな?ならば艦隊は撤収し基地にて待機せよ」

 

バスク大佐からの報告を受けたジャミトフ長官はいつもより険しい表情を浮かべていた。

 

「観測されたサイコウェーブの出力は?」

「け、計測不能です。観測した限り規格外のサイコウェーブが地球圏に広がっております」

「人類への影響はどうなる?」

「わ、わかりません。これ程のサイコウェーブが観測されるなど想定外です。人類に与える影響は未知数ですし、そもそもこんな状況は想定しておりません」

 

困惑した表情で観測データを分析するニュータイプ研究者達を見てジャミトフ長官は溜息をつきそうになったが我慢する。彼らが不甲斐ないのではなく相手が理不尽なのだと理解していたからだ。

 

「いやあ、しかしスゴイ事になったね。彼が何か企んでいるのはわかっていたが、まさかこんな事をするとは」

「ゴップ議長、何用ですか?」

 

ゴップ議長から連絡が来たジャミトフ長官は議長が何か報告があるのだと察する。

 

「君に話しておきたい事が2つほどあってね。1つ目は首相から連絡があったよ、あの戦略核による攻撃は自分達による独断行動だとね」

「……せめて私に話を通して欲しかったのですが」

「首相は全責任は自分にあるとティターンズを責めるつもりはないらしい。事実を公表して法の裁きを受け入れると……いやはや魂消たよ。憑き物が落ちたように晴れやかな表情を浮かべていたが、まさかあの光が?」

「ええ、おそらくそうなのでしょう。部下もまるで別人のように落ち着いていました。本人も自覚があるようでしたが」

「あの大佐までもか。ニュータイプの力は凄まじいな」

 

過激派の人間が尽く大人しくなっていることがわかった2人はNTの出鱈目な力に少しだけ絶句する。

 

「ところでもう1つの話は何が?」

「ああすまない、教祖の盟友と名乗る男から連絡があってね……ラプラスの箱が開かれると」

「ここでですか。いや、今だからこそ公表するのか」

 

厄ネタであるラプラスの箱が公表されると聞きジャミトフ長官は眉間に皺を寄せる。

 

「うむ、この絶好の機会を彼らが見逃すわけがない。宇宙に適応した新人類の参政権の保証……教祖が見せた奇跡を見たスペースノイド達は熱狂的な反応を示すだろうね。仮に政府が受け入れなくても民衆が納得しない」

「先人達も傍迷惑な物を遺してくれたものです」

 

ラプラスの箱を遺した当時の政治家達に文句を言うジャミトフ長官だったが、当時の政治家達もこんな状況を想定できるわけないので仕方ないだろう。

 

「私もそう思うよ。あのあやふやな条文を法制化する必要がある。新人類、いやニュータイプの定義から始めなければならん……少し考えただけでも連邦議会議長としてやるべき事が多すぎるな。ううむ、始める前からウンザリする。何か理由をつけて議長を辞めたくなってきたよ」

「お察しします」

「君もこの騒動の後始末があるしお互い大変だな。まったく老人を酷使しないでほしいよ」

 

ゴップ議長の愚痴を聞きつつこれからが大変だとジャミトフ長官は少し憂鬱な表情を浮かべていたのであった。

 

 

 

◯<シャア・アズナブル>

 

「おお……!これがニュータイプの真の力なのか!」

「ええ、ニュータイプは戦争の道具ではありません。これこそがニュータイプの真価なのです」

 

地球圏に広がる緑の光を見て感嘆の声を上げるブレックス議員の隣でクワトロ・バジーナ第一秘書……シャア・アズナブルは考え事をしていた。

 

(ララァ、見ているか?モーレス殿は人類に叡智を授けてくれたぞ。君も生きていればこの光景を一緒に見ることができただろうに)

 

ララァに思いをはせつつシャアはブレックス議員にある話をする。

 

「先生、以前お話した件ですが、私はサイド3に戻ろうと考えています」

「おおっ、あの件か。君も遂に決断したのだな」

「ええ、ダイクンの名を使い政治家として立候補します。アルテイシアにも言われましたし、私も自分が出来る範囲で世の中を変えようと思います」

「素晴らしい、私も喜んで協力するよ」

 

シャアとブレックス議員は地球圏の未来は明るいと晴れやかな表情を浮かべていた。しかしその後ラプラスの箱が公表された影響でダイクンの遺児としてサイド3だけでなく地球圏で祭り上げられ苦労することになるのだがそれはまた別の話である。

 

 

 

◯<ビスト家>

 

「見ているかカーディアス、やはり彼に箱を任せて正解だったな」

「はい、人の革新をこの目で見ることができるとは」

 

「……姉さん、ジオン・ズム・ダイクンが提唱したニュータイプってこうでしたっけ?」

「私にわかるわけないでしょアルベルト」

 

 

 

◯<ゾルタン・アッカネン>

 

「はえー……これがスーパーニュータイプ、いやウルトラニュータイプ様の御力ってわけか」

 

サイド6の学園都市コロニーにて緑の光を眺めていたゾルタンは魂消ていた。

 

「人間を辞めてまで人を救うだなんて素晴らしい自己犠牲の精神ですこと……ま、俺には関係のない話だ。助けてもらった恩もあるしせめてお祈りでもしとくか……南ー無ー」

 

 

 

◯<カミーユ・ビダン>

 

「……やはり貴方は可哀想な人だ。自分を捨ててまで人を救おうとするなんて」

「カミーユ?」

「いやなんでもないよ」

 

自宅にて家族と一緒に緑の光を見たカミーユは少し悲し気な表情を浮かべていた。

 

 

 

◯<カイ・シデン>

 

「見届けましたよモーレス殿、貴方の献身を。そして感謝しますよ、歴史的瞬間を特等席で立ち会わせてもらえて!」

 

シロッコの独白を聞きつつカイはモニターに映る大型MAの姿を眺めていた。

 

「彼はどうなったんだ?」

「君も気付いているだろう?モーレス殿は人を辞めて人類繁栄の礎となったのだ!」

「いや出鱈目過ぎるだろサイコフレーム……金属フレームにサイコミュ・チップを鋳込んだだけでこんな事が出来るとかおかしいだろ」

「ハハハ、私もそう思う!」

 

ハイテンションなシロッコに少し呆れつつカイは隣の少女の様子を確認する。

 

「師匠……機械になっちゃった」

(機械、機械か。確かにアレは神ではなくシステムの一部、機械と表現するのが正しいな)

 

少女が悲し気に呟いた言葉に納得したカイはこれからどうするのかシロッコに尋ねる。

 

「アンタはこれからどうするんだ?」

「地球圏の行く末を特等席で見守るつもりだ。既に連邦政府にラプラスの箱を公表すると伝えてある。この奇跡を見た彼らも無視することは出来ないだろう」

「あのふざけた条文か、当時の政治家もこんな形で新人類が出てくるとは思わなかっただろうな」

「フフッ、オールドタイプの彼らに想定できるわけがない……君はこの後フォン・ブラウン市内で解放しよう。映像記録は撮ってあるのだろう?ジャーナリストとして記事にするのは止めないさ」

 

解放されるとわかってホッとするカイだが少し気になる事があった。

 

「地球圏はどうなると思う?」

「人類に叡智を与えた結果地球圏は繁栄の時を迎えるだろう。モーレス殿が望んでいた真の世界平和だ」

「楽観的だな、当分の間は繁栄するだろうが未来もそうだとはわからないだろ」

「君は逆に悲観的だな。あの未来のビジョンを見たらそうなるのも無理はないが」

 

シロッコととりとめのない話をしつつカイは人類の行く末に思いをはせるのであった。




スペースノイド「「「「「うおおおおおおお!!」」」」」
連邦政府&ティターンズ&アースノイド「「「緑の光がすごく綺麗」」」(洗脳済)
シロッコ「未来のビジョンで気になる技術が幾つもあった。よし、アナハイムで引き続き研究するぞ!」



読者の皆さんがホモ君のプランが上手くいくわけないと思ってて笑ってしまいました。
それとガンダムの新作アニメ発表で楽しみしてたらネタバレをくらいました……知りたくなかったなぁ。ネタバレは悪い文明。



次回最終回となります。更新速度は遅くなりますが頑張って投稿していこうと思います。
感想くれると嬉しいです。
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