【完結】機動戦士ガンダム実況_カルト教祖プレイ   作:すも

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番外編その2となります。今回は前後編の前編です。


番外編②<カイ・シデンのレポート~木星船団の今(前編)〜>

<カイ・シデンのレポート~木星船団の今(前編)〜>

 

「あれがネオ・ジュピトリスか。しかし大きいなぁ、超大型輸送船だとは聞いていたが実際に見てみるとすごい迫力だ」

 

宇宙世紀100年12月、木星と地球圏を行き来する超大型輸送船ネオ・ジュピトリスは木星へと帰還しようとしており、ジャーナリストのカイ・シデンは木星船団の現状を取材するという名目でネオ・ジュピトリスに乗り込もうとしていた。

 

「スゴイだろう?あの大型タンク全てがヘリウム3を輸送する為の貯蔵タンクなのさ。それに船の内部には工場もあってMSの製造もできるそうだ。まぁ使う機会はないがね。居住性については旧ジュピトリスより大幅に向上していてな……」

 

カイの隣で話すおしゃべりな男はクルトと名乗り、元ジオン兵だったが今は木星船団の一員として働いているとの事であった。話を聞いたところ地球圏に行く際にサイド3に一時的に帰郷していたらしい。

 

「おっと、もっと話したいがもうすぐ搭乗時間だな。シャトルに乗り込むか」

「ええ、そうですね」

 

ネオ・ジュピトリス行きのシャトルに乗るため2人は移動する。

 

 

 

「おお、これが」

「いやしかし大きいですなぁ」

「今後は火星と木星の開拓事業が本格化するでしょう。我々も遅れないようにしなければ」

「うむ、新たなビジネスチャンスを見逃すわけにはいかん」

「木星ってどんなところなのかしら?」

 

シャトルには木星船団の一員だけでなく、カイの同業者であるジャーナリスト、今後を見据えて木星船団とコネクションを繋ぎたいビジネスマン、そして観光目的の人間までおり多種多様であった。

 

「アンタのようなジャーナリストやビジネスマンはわかるんだが観光客とは物好きだな。木星を観光地だと勘違いしてるんじゃないか?」

「アハハ、まあ珍しいのは確かですから。以前なら木星まで片道2年という事で尻込みしたでしょうが、片道2ヶ月なら一度行ってみたいと思う人もいるでしょうね。それに噂のミノフスキードライブを搭載した新型輸送船に乗ってみたい人も多いと思いますよ」

「まあそれはわからなくもない……いややっぱわからねぇな。高い金払ってまで観光に行くような場所じゃないぞ木星は」

 

呆れた表情を浮かべるクルトの言葉を聞いてカイは苦笑する。

 

「しかし本当に2ヶ月で木星に行けるとは」

「ああ、俺達木星船団の人間も皆驚いていたよ。話を聞いた時は正直言って眉唾物だと思ってたが、本当に2ヶ月で行けちまうんだからな。単純計算で旧ジュピトリスが1往復する間にネオ・ジュピトリスは12回往復できるって事だろ?……とんでもない技術だなミノフスキードライブって」

「宇宙世紀102年にはネオ・ジュピトリスⅡが竣工されるそうですね。旧ジュピトリスはどうなると思いますか?」

「旧ジュピトリス達は今は木星に泊めてあるがネオ・ジュピトリスがある以上わざわざ使う理由もないな。エンジンをミノフスキードライブに取り換えればいけるだろうが木星に旧ジュピトリスを改造できる施設なんかないし、地球に送ろうにも片道2年じゃなあ。それに地球の方で今後ネオ・ジュピトリスが続々と建造されるんだろ?……もう旧ジュピトリスは解体するしかないんじゃないか?」

「まあそうなりますよね」

 

クルトと会話をしつつカイは今回木星へ取材することになった経緯を思い返していた。

 

 

 

「木星に行ってくれと?」

「うむ、ジャーナリストとして木星に取材してきてほしい」

 

フォン・ブラウン市内にあるアナハイムが経営する高級レストランにて、カイはシロッコからとある依頼を受けていた。ちなみにシロッコは人間の姿に戻ってサラと一緒に食事を楽しんでいた。

 

「それは別に構わない。アンタに言われなくても行くつもりではあったしな。しかし何故?」

「木星船団のトップであるクラックス・ドゥガチ殿の様子を確認してほしいのだ。あの御仁の危険性はわかっているだろう?君もモーレス殿から未来のビジョンを見せてもらったのだから」

「あー……」

 

未来のビジョンにてクラックス・ドゥガチが木星帝国の総統となり地球圏に侵攻するビジョンを見ていたカイはシロッコの言葉に納得する。

 

「あの未来がこの世界でも起こるかもしれないと?」

「いや、その可能性は限りなく低いだろう。既にモーレス殿がアナハイムに依頼し以前から木星船団への支援を行っていた。そのため木星船団の状況は劇的に改善されている。だが念には念を入れておきたい、私と同じニュータイプである君に確認してほしいのだ。幸い君はジャーナリストとして木星に行っても取材の名目なら怪しまれないだろう」

「いやアンタが行けばいいんじゃ……あっ」

「ハハハ、職務を放棄した元現場責任者が行ったとこで針の筵さ。ドゥガチ殿に会えるはずがない」

「……そういえばそうだったな」

 

シロッコが自分に依頼した理由を理解したカイはシロッコの依頼を受けて木星に行くことになったのであった。

 

 

 

「ネオ・ジュピトリスは快適ですね。一般的なスペースコロニーでの生活とほぼ変わりませんよ」

「ああ、旧ジュピトリスに比べて居住性が段違いだ。こじゃれたレストランやカフェまであるんだからな、ネオ・ジュピトリスの快適さを知っちまったら旧ジュピトリスにはもう乗れねぇよ」

 

宇宙世紀101年1月。ジュピトリスに搭乗して1ヶ月が経過していたがカイは特に不満もなく快適に過ごしており、クルトとはこの1ヶ月で随分と打ち解けていた。

 

「しかし人生何が起こるかわからないもんだ。ジオンに捨てられて海賊暮らしをしていたが、足を洗って今じゃ堅気として木星船団の一員になり元WBのクルーとお茶をしてるんだからな」

「ええ、そうですね。でも元海賊ってバラしても大丈夫なんですか?」

「ああ、別に構わねぇよ。元ジオン兵が木星船団にいる時点で訳アリだとわかるだろうしな」

「まあそれはそうなんですが……ジャーナリストとして話を聞いてもいいですか?」

「んー、そうだな。じゃあここで一番高いコーヒーとケーキを奢ってくれ」

 

思わぬスクープの気配を感じ興奮したカイは喜んでクルトに奢るのであった。

 

 

 

 

 

「お、これ美味いな。流石地球産の高級品だ……ああそうだな、どこから話そうか。まずは俺達海兵隊がジオンに捨てられて海賊暮らしを始めたところからだな」

 

「一年戦争が終わって敗残兵となった俺達はアクシズに行くことを拒否され地球圏を漂うことになった。他人を頼れない俺達は生きていくために他人から物資を奪うしかなくて海賊になった……でも好き好んで海賊になったわけじゃない。サイド3に戻ったら戦犯として裁かれるのは冗談じゃないし、それなら海賊暮らしの方がマシだとシーマさm、じゃなくて社長は判断したのさ」

 

「そんな海賊暮らしをしているなかであのハゲが率いるデラーズ・フリートに勧誘されたのさ。なんだかんだ言っても俺達海兵隊はジオン残党の中では有力な勢力だったからな」

 

「まあシーm、社長はジオンに愛想を尽かしていたから最初から裏切るつもりだったようだが、コロニー落としが他のジオン残党に妨害されたせいで計画はおじゃんになって一目散に逃げだすことになった。でもあの連中戦術核とはいえよく核兵器を持っていたもんだな、まあ終戦直後のドタバタで持ち出したんだろうけどよ」

 

「あのハゲ達が囮になってくれたおかげで俺達は無事逃げられたが、その後が問題だった。アクシズの連中には罵られて受け入れを拒否されたからまた海賊暮らしに戻ったんだが……ティターンズが結成されたことで今までのような活動は出来なくなった」

 

「地球圏では有数のジオン残党の一つとして見られていたし、それに長年の海賊稼業のせいで悪名高い存在となった俺達は地球圏の人間なら一刻も早く排除してほしかっただろう。ティターンズからしたら格好の獲物だったろうな」

 

「そんなわけで俺達は海賊稼業を控えてひっそりと暮らすことになった。密輸業者まがいの事をして他のジオン残党達に物資を運んだりしていた。アクシズにも数回運んだことがあったな。え?アクシズには拒否されてたんじゃないのかって?……アンタもあの時期のジオン残党の窮状を知ってるだろう?もうアクシズもなりふり構っていられなかったんだろうよ」

 

「まあそのアクシズもティターンズにボコられて敗北したんだが……アクシズが討伐され地球圏には俺達海兵隊より有力なジオン残党は存在しなくなった。コロニーに毒ガスを撒いて住民を虐殺し、戦後は海賊として活動していた俺達をティターンズが放置するわけがない。俺達は選択を迫られたのさ。ティターンズと戦って全滅するか、戦犯として処刑されるのがわかっていて投降するか、それか地球圏を離れて逃げ出すかだ」

 

「当然俺達は3番目の選択肢を選んだ。犯罪者だとは自覚していたがそれでも死にたくなかったのさ。社長……もうバレバレだしシーマ様でいいか、シーマ様は最初火星に向かおうとしたが既にマーズジオンという先住者がいたからな。俺達が歓迎されるわけないとわかっていたし地球圏に近い火星では近いうちに討伐軍が来るかもしれない、それならいっそのこと木星まで行こうと決断されたのさ。実際マーズジオンは討伐されたから賢明な判断だったな」

 

「木星船団は万年人手不足で猫の手も借りたい状態だったようで悪名高い海兵隊でも受け入れてくれた。木星での暮らしは過酷だったが真面目に働いていれば過去については追及されなかった。俺達を受け入れてくれたドゥガチ様には感謝しているよ」

 

「そんな感じで木星で堅気として働いていたんだが……あの日地球圏で教祖様が奇跡を起こしてから状況が変わった。ジオン共和国が俺達に恩赦を出したんだ。俺達に罪を押し付けて申し訳なかったとな」

 

「それを聞いてどう思ったかって?……正直言えば気味が悪かったな。俺達の事を唾棄していた共和国の連中が態度を一転して謝罪していたんだぜ?喜ぶよりも気味が悪く感じても仕方ないだろ。俺だけじゃない、同僚やシーマ様も気味悪がっていたぞ」

 

「最初俺達は信じられずにいた。俺達を罠に嵌めようとしているってな……でも今年になってダイクン首相がジオン残党達全員に恩赦を出すと政府として保証してくれた。それにネオ・ジュピトリスによって地球圏への往来が4ヶ月で行けるようになって、その気になれば俺達を捕まえられるとわかった以上もう無視することはできないから俺が様子を見に行くことになったのさ」

 

「その結果俺は戦犯として裁かれることなく無事サイド3に帰郷することができたわけだ……久しぶりの故郷はどうだったかって?まあ随分と変わっていたな。生まれ故郷のマハルはソーラ・レイになっちまってるからズムシティに行ったりしたんだが……やはりなんだかんだ言っても故郷に帰れたのは嬉しかったぜ」

 

 

 

 

 

「これで話は終わりだ。思ったよりベラベラ喋ってしまったな。もう二度と帰れないと思っていたサイド3に帰郷できて浮かれちまったらしい。コーヒーとケーキを奢ってくれてありがとよ」

「こちらこそ貴重な話を聞かせてもらい感謝しますよ……貴方の社長に一度インタビューしてみたいのですが」

「それは別にいいがシーマ様はドゥガチ様の片腕として働いていて忙しいからなぁ、俺の方から聞いてみるがあまり期待しないでくれよ?」

 

貴重な話を聞けたカイは高い金を払って奢った甲斐があったと満足していた。そんな感じでネオ・ジュピトリスで過ごしていたカイはその後他の木星船団のクルーにも取材するなど木星に向かう中でもジャーナリストとして精力的に活動していたのであった。




カイ「モーレスさんのように未来を視る事は出来ないのか?」
シロッコ「まあサイコフレームの身体の時ならば出来るかもしれんが、私は未来を視るつもりはない。あの未来のような悲惨な事にはならないと信じているし、それに何よりネタバレはつまらないだろう?」
カイ「……さいですか」



番外編を後数話ほど予定しております。更新速度は遅くなりますが頑張って投稿していこうと思います。
感想くれると嬉しいです。
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