【完結】機動戦士ガンダム実況_カルト教祖プレイ   作:すも

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正月最後の投稿です。番外編その5となります。


番外編⑤<キャスバル・レム・ダイクンの困惑>

<キャスバル・レム・ダイクンの困惑>

 

―サイド3から速報です。サイドではダイクン派の一人であるカーウィン氏が当選を確実としました。カーウィン氏はジオン・ズム・ダイクン氏が存命の頃から忠誠を誓っていたダイクン派の一人であり、サイド3の投票者達から圧倒的な支持を受け当選となりました。他のサイドでもダイクン派の候補が続々と当選を果たしており……―

 

「……ううむ」

 

宇宙世紀0097年、スペースノイドに参政権を与える法案が発効されると同時に実施された解散総選挙にてキャスバル・レム・ダイクンを旗頭としたダイクン派が次々と当選を果たしていた。

テレビの開票速報を見ていたシャア・アズナブル……キャスバル・レム・ダイクンは自分が率いるダイクン派が圧倒している様子を見て複雑な表情を浮かべる。

 

―しかし予想されていたとはいえダイクン派の勢いは凄まじいですねぇ―

―ええ、本当にそうですね。預言者ジオン・ズム・ダイクンの息子というネームバリューが強過ぎました―

 

テレビに映る番組では司会とゲスト達が今回の解散総選挙の様子を見てコメントしていた。

 

―噂では今回出馬した候補者の方は解散総選挙が公式に発表される前から我先にキャスバル・レム・ダイクン氏に挨拶に伺ったというのは本当なんですかね?―

―その噂は事実だと思います。ダイクン派として立候補すれば確実に選挙に勝てるんですからご機嫌伺いに行くのは当然ですよ―

―やっぱりそうですか?―

―ええ、救世主の到来を予知した預言者ジオン・ズム・ダイクンの遺児である彼に忠誠を誓えば、地球圏に住む人類の半数にもなる教団の信者達の票が手に入るのです。これはあまりにも強過ぎますよ……候補者が勝ち馬に乗ろうと挙ってダイクン派になるのも無理はありません―

 

ゲストが言う通りジオン・ズム・ダイクンはホーリー・モーレスの到来を予知していた預言者として信じられており、ダイクン派として立候補すれば信者達の票が入り確実に当選できる状況であった。ちなみに教団はこの件についてはノーコメントである。

 

「おかしい、私はサイド3で政治家として自分に出来る範囲でやろうと考えていたのに連邦政府首相になろうとしている。これでは道化ではないか……民衆はダイクンの遺児なら誰でもいいというのか?」

「いや、確かにジオン・ズム・ダイクン氏のネームバリューもあるが君自身が魅力のある人物だからだよ」

 

キャスバルのぼやきにブレックス議員(ダイクン派として当選)がフォローを入れる。

 

「ジオン・ズム・ダイクンの遺児というだけでは支持されんよ。一年戦争で赤い彗星として活躍していた君自身のカリスマがあってこそここまでの圧勝となったのさ」

「そうなのでしょうか?しかし預言者ジオン・ズム・ダイクンとは……我が父とモーレス殿は時期的に考えて無関係だとわかるでしょうに」

「民衆は真実よりも信じたい物を信じるのさ。教団も否定しないのは民衆の熱狂ぶりを見て下手に否定すれば荒れると判断したのだろうな。もはやモーレス様が直々に否定しない限り民衆も受け入れない……すまないが諦めてくれ」

「なんということだ」

 

システムの一部となったモーレスが声明を出せるわけがなく、もはや預言者ジオン・ズム・ダイクンという概念を否定することができないとわかったキャスバルは思わず頭を抱えていた。その後キャスバルは首相就任式やゴップ前議長達からの引継ぎ作業などで多忙な時を過ごすことになるのだが、それはまた別の話である。

 

 

 

「……というわけだ、笑いたければ笑えばいいさアムロ」

プッ、プククッ……フハハハハハハッ!ご愁傷様だなシャア……ククッ

「実際に笑われると少し腹が立つな」

 

首相となって1ヶ月が経過し少し余裕が出来たキャスバルはとある高級バーにてアムロ・レイと久しぶりに飲みに出かけていた。複雑な因縁があった二人だが現在は和解し偶に飲みに行く関係となっていた。ちなみにキャスバルはアムロから今でもシャアと呼ばれていた。

 

「すまんシャア、笑ったのは悪かったよ……しかしシャアが地球連邦政府の首相か。大した出世だな」

「そうだな、身の丈に合わないとは自覚しているが周囲のサポートもあって上手くやれているよ」

「それは良かった。途中で投げ出して逃げたりするんじゃないぞ?」

「そんな無責任な事はせんよ……地球連邦政府と教団の信者達から逃げられる気がしないしな」

「ハハハ、確かにな。そういえば連邦政府から嫁さんを用意してもらうらしいじゃないか」

「知っていたのか。向こうは善意で用意してくれているから断りにくくてな」

「連邦政府が用意するなら悪い相手じゃないだろうさ。子供はいいぞシャア、テムの奴はまだ小さいのに機械いじりに興味を示している……顔もそうだが中身まで俺に似なくてもいいだろうに」

「顔がにやけてるぞアムロ」

 

アムロはティターンズを退官しアナハイム所属のテストパイロットとなり、チェーン・アギと結婚しテムという息子も出来ていた。気分よく談笑していた二人は今後の連邦政府の方針について話題が移る。

 

「地球に住むアースノイド達を宇宙に移住させるらしいが大丈夫なのか?」

「ああ、ティターンズ前長官殿が積極的に協力してくれているから問題ない」

「なるほど。あの御仁も地球環境の改善の為なら喜んで協力するか」

「それにモーレス殿が民衆に叡智を与えたおかげでアースノイドの反発は殆どない。これなら宇宙への移民作業も上手くいくだろうさ」

「そうか、彼の目論見通りだな……手段としては褒められたものじゃないと今でも思う。だがあの未来を防いだ結果、お前が真面になっていて地球圏はいい方向に向かっているのは確かだし文句を言うべきではないだろうな」

 

会話の中でモーレスについて話題が及ぶ。

 

「あの未来?一体何の話だアムロ?」

「そうだな、シャアにも無関係ではないか。彼はとある未来を視ていたと言えば信じてくれるか?」

「モーレス殿が?……まあ彼が起こした現象を見れば未来視ができたと言われても今更驚かないが」

「そうか、なら教えるよ」

 

不思議に思ったキャスバルはアムロから未来のビジョンについて聞くことにしたのであった。

 

 

 

「まず宇宙世紀0093年、お前はネオ・ジオンの総帥として地球圏に宣戦布告し小惑星5thルナを地球に落とした。その後連邦政府は」

「待てアムロ、初手から凄いことを聞いたがさらっと流していい内容ではないぞ」

「まだ始まったばかりだぞシャア」

「こ、これでまだ始まりだと言うのか?」

 

最初大人しく聞くつもりだったキャスバルはとんでもない情報に思わずツッコミを入れてしまう。

 

「始まりでこれなら次はどうなると言うのだ……地球を死の星にでもするのか?」

「察しがいいなシャア」

「えっ」

「ネオ・ジオンは次にアクシズを地球に落とそうとしたのさ」

「は?」

 

アムロの言葉にキャスバルは啞然とする。その後もアムロは話を続けるのであった。

 

 

 

「アクシズを、地球に?ネオ・ジオンの本拠地であるアクシズを落とすとは何を考えていたのだ?」

「ん?ああ、誤解してるがネオ・ジオンといってもシャアの率いた新生ネオ・ジオンとハマーン・カーン率いる旧ネオ・ジオンは別物だから本拠地は違うぞ。旧ネオ・ジオンが敗北した後アクシズは地球連邦の管理下にあった」

「ややこしいな……しかしアクシズを奪取してまで地球に落そうとするとは凄い執念だな」

「いや政治取引で連邦政府からあっさり譲られたぞ」

「は?何故5thルナを落としたテロリストにアクシズを渡すのだ?おかしいだろう?」

「そうだな、何でだろうな」

 

 

 

「……その後アクシズは地球に落下しつつあったがサイコフレームの力でアクシズは地球に落下することなく押し返されたのさ」

「ううむ、モーレス殿がサイコフレームを使って民衆に叡智を授けた件を知っているから納得できるが、もし知らなければ意味不明な展開だな」

「ちなみにその時は俺やロンド・ベルの部隊だけでなくネオ・ジオンのMS達もアクシズを押し返そうと協力してくれたぞ」

「いや、いい話に聞こえるが押し返そうと協力するなら最初からやらなければいいだろう」

「うん、冷静になって考えると俺も同じ意見だ」

 

 

 

「……色々あったが最終的にその未来での私はどうなったのだ?捕まって絞首刑か?」

「サイコフレームの光に飲み込まれて行方不明になった。俺も巻き込まれて同じく行方不明だ」

「は?」

「ちなみにアクシズを落とした動機は別に世直しなど考えてなかったらしいぞ」

「は?」

「そして最後はララァは私の母になってくれる女性だったと俺に叫んでいたな」

「……は?」

 

 

 

「傍迷惑過ぎる……まるで意味が分からんぞ。その、すまなかったなアムロ」

「別に謝らなくていい。この世界のお前は真っ当に活動しているんだから無関係だしな。そういう世界もあったと知っていればいいさ」

 

第二次ネオ・ジオン抗争の経緯を聞いたキャスバルはとりあえずアムロに謝っていた。

 

「しかしその世界の私は傍迷惑な存在だったな。後世ではどんな悪名を受けていた事やら」

「民衆から救世主扱いされてたぞ。お前のクローンを創って地球連邦政府を改革しようとする組織もいたくらいには」

「は?その世界の私はテロリストと記録されているはずだ。テロリストのクローンを創って政府の改革など意味がわからんぞ?」

「俺も何故そうなったのかわからないよ……」

 

アフランシ・シャアの一件を聞いたキャスバルは再度啞然とし、アムロも少し困惑した表情を浮かべるのであった。

 

 

 

「……これで話は終わりだ。しかしよく素直に信じてくれたな。酔っ払いの戯言と切り捨てられてもおかしくないのに」

「わかったようでわからないというのが正直な感想だな。あまりにも滅茶苦茶な話で逆に本当だとわかるが、どうしてそうなったのかがまるでわからんのだ。私がニュータイプなら理解できるのだろうか?」

「シャア、それはニュータイプでもわからないと思うぞ」

 

その後アムロの話を聞き終わったキャスバルは困惑しきりな表情を浮かべていた。

 

「話した俺が言うのも何だが気にしない方がいいぞ。お前は地球連邦政府首相としてやるべき事があるのだから与太話など忘れて職務に集中してくれ」

「そ、そうか……そうだな。今の私には民衆を導く義務がある。つまらない事を気にするよりも地球圏の改革を進めていかなければな」

 

アムロの忠告を聞いたキャスバルは心機一転し地球圏の改革を進めて行こうと決意した。しかしその後アナハイムにてパプテマス・シロッコと出会い、彼が開発を進めている代物を見て頭を抱える事になったがそれはまた別の話である。




キャスバル「ちなみに旧ネオ・ジオンはどういう経緯で負けたのだ?」
アムロ「いつもの内部抗争で崩壊したよ」
キャスバル「ああ、その世界でも内部抗争が起きていたのか……いつもの事でもう驚きもしないな」



次はキャスバル首相とシロッコの会話となる予定です。番外編を後数話ほど予定しております。更新速度は遅くなりますが頑張って投稿していこうと思います。
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