【完結】機動戦士ガンダム実況_カルト教祖プレイ   作:すも

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番外編その8です。今回は前後編の後編です。


番外編⑧<宇宙世紀100年のMS開発状況(後編)>

<宇宙世紀100年のMS開発状況(後編)>

 

「お疲れ様ですレイ隊長」

「ああ、すまないな」

 

アナハイムの巨大イベント会場、その中のMS部門にて新型ガンダムの展示が行われていた。アナハイム所属のテストパイロットとして活動していたアムロ・レイは新型ガンダムRX-93……νガンダムのパイロットに任命されており、来場者へのサインやνガンダムと一緒に記念撮影などで引っ張りだことなっていた。

休憩時間となり一息ついていたアムロへνガンダムの予備パイロットであるジェリド・メサ隊員がジュースを差し出す。ちなみにジェリドは宇宙世紀0097年のティターンズ縮小に伴いカクリコンと一緒にティターンズを退官し、共にアナハイムのテストパイロットへ就職していた。

 

「予想されていたとはいえ大行列でしたね。今日も途切れることなく人が来るでしょうが、この後は俺が担当しますのでゆっくり休んでください。まあレイ隊長目当ての人が減って少しは楽になるとは思いますがね」

「ありがとう。しかしνガンダムだけじゃなくて俺目当てに来るファンも多いな……俺はただのテストパイロットなのにアイドルか何かだと勘違いしているんじゃないか?」

「実際にアイドルだからですよ。一年戦争でガンダムに乗って驚異的な活躍をし、その後も数々の戦果を挙げた伝説のニュータイプに実際に会える……しかも新型ガンダムも一緒に見られるとなれば子供達だけじゃなくミリタリーマニアも大挙して来るのは当然ですよ」

 

ジェリドの言う通りアムロ・レイの伝説的な活躍は今なお有名であり、アムロ目当てに会場を訪れるミリタリーマニアも大勢いるのは事実であった。

 

「しかし俺は幸運だ。予備パイロットとはいえ新型ガンダムのテストパイロットとしてレイ隊長と肩を並べる事ができるだなんて。30代後半のロートルの俺が他の連中を差し置いてガンダムのパイロットになれたのは奇跡だ。一生妻と息子達に自慢できますよ。それと息子のマイク宛てにサインを書いてくれてありがとうございます」

「あれくらいお安い御用さ。しかしすまないな、俺がいたせいで予備パイロットの立場に甘んじるなんて。君の操縦技術ならνガンダムを問題なく扱えるのに」

「別に不満はありません。ガンダムのパイロットといえばレイ隊長なのですから、レイ隊長がνガンダムの正式パイロットになるのは当然です。というか貴方を差し置いてガンダムの正式パイロットになるなんて畏れ多いですよ」

 

ガンダムのパイロットと言われて一般人がイメージするのはアムロ・レイであり、νガンダムの正式パイロットにアムロ・レイを任命するのは当然の流れであった。アナハイムのテストパイロット達もアムロがνガンダムのパイロットになるのを誰も疑わず当然の事として受け入れていた。

 

「そう自分を卑下しなくていいのに。もし戦場だったら背中を任せられるくらいには腕は確かなのだから自信を持つといい」

「ハハッ、レイ隊長にそこまで褒められるとは光栄ですね……レイ隊長から見てνガンダムはどうですか?」

 

ジェリドと談笑する中でνガンダムについて話題が及ぶ。

 

「νガンダムか、洗練されていていい機体だと思う。ZZもいい機体だったが火力に偏重していて少し扱いにくい部分があったからな。νガンダムはバイオ・コンピュータの恩恵で繊細な制御も出来て文句はない」

「バイオ・コンピュータですか、あれはスゴイ発明ですよ。オールドタイプの俺でもバイオ・コンピュータの恩恵によって操縦があそこまで楽になるのは驚きました。サイコミュ技術も進化していますよね」

 

νガンダムには次世代サイコミュ技術としてバイオ・コンピュータが搭載されており、パイロットの意思を反映して機体制御を最適化させる期待の新技術として評価されていた。

 

「武装についても優秀だ。ビームシールドは勿論だがあのヴェスバー(V.S.B.R.)も悪くない。それとM.E.P.E.……質量を持った残像は攪乱手段としてみれば非常に便利だ。初見ではまず対応できないだろうな」

「あれは厄介ですよ。全天周囲モニターではどれが本物かまるでわからない。しかしレイ隊長は時折形容し難い表情を浮かべてましたが、何か不満な点があるのですか?」

「鋭いな」

 

ジェリドからの思わぬ指摘にアムロは苦笑する。

 

「ああいえ、ふと気になりまして。俺の勘違いなら謝罪します」

「いや、大したことではないのだがな。一年戦争からガンダムに乗っていたが、技術の進歩に戸惑う時もあるのさ」

「ああなるほど、確かにこの20年でMSの技術は驚異的な進歩を遂げてますからね」

 

アムロの言い分にジェリドは納得する。一年戦争の時から比較すると技術の発展スピードは加速していて戸惑うのも無理はないと。

納得したジェリドを傍目にアムロは少し微妙な表情を浮かべていた。

 

 

 

「どうだったかねアムロ・レイ、私が開発したνガンダムの性能は?」

「……悪くはないな、俺が知っているνガンダムよりもずっと洗練されていていい機体だとは思う」

「そうか、それはよかった」

 

仕事を終えたアムロはとある喫茶店……パプテマス・シロッコが贔屓にしている喫茶店にてシロッコと対面していた。

 

「だが俺の知っているνガンダムとはまるで別物じゃないか。顔がνガンダムなだけでアレはコスモ・バビロニア紛争で出てきたガンダムじゃないのか?」

「ご名答。アレは未来のビジョンを参考にして開発した機体なのだよ……私としては中途半端な代物で傑作とは言えないのだが」

「やはりか」

 

シロッコに確認しあのνガンダムは未来のビジョンに映っていたF91ガンダムを参考にした機体だとわかり納得する。

 

「君にとっては不愉快に聞こえるかもしれないがはっきり言わせてもらう。あのビジョンに映っていたνガンダムだがアレをそのまま再現する価値はないのだよ」

「おい」

 

あんまりな発言にアムロは思わずツッコミを入れる。

 

「まあ聞きたまえ、νガンダムはあの未来で君の最後の乗機となっていたが、私から見れば急造品の間に合わせでしかない。あの短期間で間に合わせたのは評価できるがね」

「急造品って……いやまあ、それは間違っていないが」

「それに性能についてはサイコフレームが使われている事を除いて特に面白味がない代物だ。私としては地味な機体をわざわざ再現する必要性を感じられなかったのだよ」

「じ、地味……」

 

シロッコの物言いにアムロは凹んでしまう。

 

「いや、オリジナルのνガンダムが駄作というわけではない。堅実な設計だと思うし実際に戦場で使うのなら悪くないだろう。だがシンプル過ぎて面白味に欠けると思ったのでね。どうせならば現在研究中の新技術を搭載しようと考えたのさ」

「だからνガンダムはああなったのか。それならνガンダムじゃなくてあの機体を再現すればいいだろうに」

 

νガンダムにF91の兵装を搭載した理由を理解したアムロはνガンダムではなくF91ガンダムを再現すればいいのではないかと指摘した。

 

「うーむ、それはそうなのだが……小型MSについては発展途上でね。作業重機として割り切った機体は既に完成していたが、兵装を載せるとなると現状では技術的に難しい。ジェネレーターの出力などで周辺技術が色々と追いついていないのだよ」

「ああ、だからνガンダムに載せたのか。小型MSとは違って出力に余裕があるから再現できたわけだな。お前が中途半端な機体だと評価したのもそのせいか」

「その通り。小型MSに搭載できるようになるのは後2年は必要だろうな」

「スゴイな、後2年も経たずに再現できるのか……なら2年くらい待てばよかったんじゃないか?」

 

感心するアムロだったがふと疑問を覚える。わざわざνガンダムに兵装を乗せる意味が分からなかったのだ。

 

「……アナハイムから宇宙世紀100年を記念し新技術のアピールの為ガンダムを用意してほしいと急遽依頼されればこうもなろう。何とか間に合わせたが次からは余裕を持って依頼してほしいものだ」

「ああ、なるほど」

 

アナハイムからの依頼で急遽出すことになったとわかり納得する。

 

「いや、でもそうなるとこの世界でも間に合わせになるのか」

「ハハハ、気づいたか。あの世界に比べたら時間的に大分余裕はあったがね。次の機体は2年後に用意するから楽しみにしてくれ」

「ああ、期待して待っておくよ。これなら俺が定年退職するまえにミノフスキードライブを搭載したガンダムが出てくるかもな」

「安心したまえ、ザンスカール帝国との戦いで活躍していたガンダムについては10年程で再現できるさ」

「じゅ、10年で……スゴイな。俺が50歳になる前には完成するのか」

「フフッ、アナハイムから最高の環境を用意され好きなだけ研究できるのだ。これくらい出来て当然だ」

「スゴイ自信だな。でもアナハイムから何か言われないのか?」

 

シロッコの自信満々な態度に納得しつつもアナハイムから掣肘されたりしないのかとアムロは不思議に思う。

 

「いや?ミノフスキードライブを開発した功績があるからある程度フリーハンドが許されているぞ」

「ああそうか、確かに今のアナハイムは造船業で大儲けしているものな……お前に好きなようにやらせるわけだ」

 

シロッコが開発したミノフスキードライブ……高速移動を可能とした画期的な新技術は今後の宇宙開発に大いに役立つとして現在アナハイムの造船業は製造施設をフル活動させミノフスキードライブを搭載した船を製造しており、アナハイムは大量の発注を抱えて嬉しい悲鳴を上げていた。

 

「未来の技術を再現するのはとても楽しいものだ。例えるならば難解なパズルを解くか、数学者が数式を解明しようとするようなものだな。未知の技術をどう再現するか考えるのは寝食を忘れて没頭してしまう……サイコフレームの身体なら問題ないが偶に肉の身体で没頭してしまうのが問題だ」

「おいおい、体調管理はしっかりしろよ」

「心配いらないとも。そういう時はサラが注意してくれるからな。私の日常生活や研究を的確に補佐してくれて非常に助かっているよ」

(もうそれ内縁の妻じゃないか?)

 

その後もシロッコの惚け話?を聞きつつアムロは何故結婚しないのかとツッコミそうになるが黙っておくことにするのであった。

 

 

 

 

 

<オリジナル機体の簡単な説明>

 

●RX-93……νガンダム

 

全高     22.0m

本体重量   23.5t

全備重量   55.0t

出力    3,320kW

武装     頭部バルカン砲、ビームライフル、ビームサーベル、ビームシールド、ヴェスバー(V.S.B.R.)、ビームランチャー

 

→機体のデザインとカラーリングは元のνガンダムのままだが、武装や装甲、内部システムなどについては一新されているので別物である。性能についてはオリジナルを凌駕しているがサイコフレームは未搭載。

 代わりに搭載されたバイオ・コンピュータはオールドタイプでも使える物で、パイロットの意思を機体制御に反映させ最適化するというオールドタイプにも使えるサイコミュ技術として期待されている。

 シロッコは小型化できなかった間に合わせの機体だとして微妙な評価をしていたが、オリジナル譲りの堅実な設計で信頼性は高く、これを見せられたアナハイムの上層部や軍の高官は大満足し高評価であった。




アナハイムのコメント「はっきり言ってシロッコ殿は滅茶苦茶スゴイ。ミノフスキードライブの開発で巨万の富を齎してくれたんだからマジで感謝してます。今後も好きなだけ開発してください!」



<ティターンズ縮小の際の一幕>
ジャミトフ長官「よし、特に問題なくティターンズの縮小が受け入れられた……しかし貴様もよく素直に退官を受け入れたな」
バスク大佐「長官がお決めになるのなら我々はただ受け入れるだけです。それに私が文句を言える資格はありません。30バンチの件を不問にしてくださるのですからむしろ感謝しておりますよ。……今思えば未遂で終わってよかったのでしょう、もし実行していたら穏便に退官など出来るはずがなかったのですから」
ジャミトフ長官「……本当に物分かりがよくなったな。少し気味が悪いくらいだ」
バスク大佐「ハハハ、自覚はあります」



番外編を後数話ほど予定しております。更新速度は遅くなりますが頑張って投稿していこうと思います。
感想くれると嬉しいです。
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