かつてゴッドイーターだった荒神が齎す救世の狼煙   作:namako:BERSERKER

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第二話 目覚めとイオと血涙と

 俺は胸を撃たれて崖に落ちた筈だが目覚めた。

 

ブラッドコードは破損し、記憶も分からない、記憶喪失か。

 

 一先ずこの場に居合わせた少女二人に支えて貰って血涙の泉で血の渇きを潤す。

 

「初めまして、私は紲星アカリ=サリエルです。紲星やアカリかサリエルって呼んで。君の名前を訊きたい」

 

「私はイオ」

 

「初めまして…。…俺の…名前…名前は…アルカイト=アールヴ。…これは…鎌?」

 

「アルって呼んで良い?。それは神機。私のオラクル細胞の大半を分け与えて用意した、君専用の新しい武器」

 

「構わない。俺は記憶がないから俺が何者かを説明できない」

 

「無理に思い出そうとしないで良いよ。辛い事に遭ったから」

 

「そう…なの?」

 

「私は偶々その場に居合わせただけの初対面だよ」

 

「その時の見た事を教えて?」

 

「辛いよ?」

 

「構わない」

 

「私としては秘密にしておいた方が良い気がするけど、君が望んでいるなら仕方ないか。ただし本当に辛いから心して聞いて。気軽に聞いて良い話しではないと判断している。心の準備が出来次第話そう」

 

「分かった。すーは~すーは~。良し!聞かせて」

 

「分かった。先ず、戦闘中にクィーンと言うキーワードを叫んでいるのが聞こえた。見ていた限りではクィーンが敵対者で、君は男と二人掛かりでクィーンに立ち向かっていた。そして戦闘の止めに君がクィーンに腕を突き刺して、クィーンは動かなくなった。その後、君が苦しみ出して味方の筈の男に胸部を撃ち抜かれて、崖から転落。私は傍観者で、君の救助者に当たる。私が知っている事はそれだけ」

 

「…そっか。ありがとう。聞かせてくれて、そして気遣いに救助も」

 

「私がしたいから助けただけだからお礼は要らない。何時か話す時が来るであろう私の正体を聞いても、味方で居てくれると嬉しいな。無理にとは言わないけど友達や伴侶が欲しいんだ。主人でも良い。この先、生きて行くのに孤独は嫌だ。そして死にたくも無い」

 

「そうだね。死にたくもないし、孤独は寂しいね」

 

「でも私は臆病だから言わざるを得ない時まで先延ばしにしたい。こんな弱い元人間の化け物な私でも、戦闘に関しては全面的に任せて貰っても良いよ。私は戦いには役に立つよ。だから見捨てないで」

 

「気軽に見捨てないとは言っちゃいけない気がする。今は保留で返事は心が決まった時にするよ」

 

 イオがアルを膝枕で寝かせていると、レヴナントがやって来た。

 

「おい!俺等はついてるぜ」

 

「血涙と労働力の両方ゲットだぜ」

 

 私は彼を背負って追従した。

 

 レヴナント達の目的地に着いた。

 

 私達はそこへ落された。

 

 突き落とされた私は彼の襟を掴んで寝かせた。

 

 そこはかつて建物の一室であったであろう場所。

 

 辛うじてそこに居る事ができる。

 

 見た目は頑丈だが、何時、崩れてもおかしくない。

 

 彼が目を覚ますと、上から「仕事の時間だ」と声が掛けられた。

 

 梯子を上ると血涙を集めて来る様に言われ、私達は突き落とされた。

 

 イオは残された。

 

 私はちびサリエル用にサイズを変えたウルティマラティオ・ヘカートⅡを取り出してアル君に追従する。


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