今俺を見たな? これでお前ともエンゲージができた 作:三柱 努
「タロウが戻った!」
「神竜様が復活なされた」
タロウの高笑いにアルフレッドやヴァンドレをはじめとしたケトス・フィレネ王国の面々は歓喜した。
一方でディアマンドやアイビーといったブロディア王国・イルシオン王国の面々は呆気にとられていた。
「そういえば王城でお会いした時、こんな御方だったような」
「そういえば王城でお会いした時、こんなテンションだったわね」
素のタロウと一度しか会っていない。不調のタロウの姿のほうを多く目にしているディアマンドやアイビーは目を丸くするしかなかった。
これが神竜。なにやら紙の端で自らを扇ぎ、周りをはやし立てながら胸を張る。
ほんの数秒前。きびだんごとやらを300個食べきるまでボロボロだったタロウが、今まで会ってきた敵の誰よりも勝ち誇った立ち姿で仲間たちを見まわしている。
「お供ども、何をしている? 早く出発するぞ!」
「タ、タロウ。わ、わかっているけれど」
「神竜様。まさかとは思うが、邪竜討伐に行くというのか?」
森の向こうを指さすタロウの姿に嫌な予感しかないアルフレッドとディアマンド。そしてタロウが「当たり前だろう!」と吠えると頭を抱えた。
「タロウ。キミも知らないわけじゃないと思うが。僕らの元には今、紋章士の指輪が2つしかない。だが敵は8つも指輪を持っている」
「そうだ」
「今のまま戦うのは明らかに我々の分が悪い」
「そうだ」
敗戦濃厚のアルフレッドとディアマンドの訴えにタロウは即答で同意していく。話が噛み合わない状況に2人は頭を抱えるしかなかった。
「だから俺たちは今からソルム王国に行く。残る紋章士の指輪を手に入れ、次こそ邪竜退治を成すのだ」
ドンと言い放ったタロウ。アルフレッドとディアマンドはポカンとしながら「そ、その通り」と呟いた。2人とも混乱の最中でそのことに気付くのが遅れていたからだ。
「では神竜様、すぐに出立いたしましょう」
うやうやしく頭を垂れたアイビー。その横をタロウは「ついてこい、お供ども!」と、先ほどの紙端を投げ飛ばしながら歩いていった。
こうしてイルシオン領からソルム領へと足を踏み入れたタロウたち。
そこイルシオンの冬景色とは打って変わって、見渡す限り一面が砂の大地であった。
ソルムは国土のほとんどが砂漠。タロウたちがいるのは国境を越えてすぐのトゥーラ砂漠である。
暑さと日光にやられそうになる面々だが、タロウを先頭に据えた進軍の足取りは軽い。
だが迷子になった。
誰もイルシオンからソルム王城へと行ったことがないからだ。
そんな彼らの前に砂漠の民が声をかけてきた。
「ねえねえ、そこのお歴々かた、旅の御方。急に声をかけてごめんね。でも皆して頭抱えてるんだもん。気になっちゃって」
声をかけてきたのは砂漠の自警団を名乗るフォガートという青年。
困っているタロウたちを見かけて声をかけた・・・というが、邪竜に追われているタロウたちに声をかけてくるのはタイミング的に怪しい。
とは思うが、それにしてはノリが軽い。紡ぐ言葉が羽のように軽い。そんな男だった。
「ならば道案内を頼む。ソルム王城に行きたい」
「それなら俺に任せてよ。ただぁ、化け物退治の後でもいい?」
どうもノリが軽すぎる。王城に行きたいという旅の者の頼みを安請け合いする自警団がどこにいる?
アルフレッドやディアマンド、アイビーは警戒を強めた。
だがタロウは「ならばさっさと退治し、さっさと案内しろ」と、フォガートの怪しさを全く意に介していない。
「助かるよ。仲間が先に向かっているから合流しよう」
タロウの快諾をフォガートは喜び、一軍を連れて案内を始めた。
アルフレッドたちはその真意を計りかねた。伏兵がいてタロウたちを強襲しようという魂胆かと最初は思われたが、それにしてはわざわざ仲間がいると教えてくるのも不自然。
『よほどの策略家なのか・・・あるいはアホの子なのか?』
いずれにせよ神竜であるタロウの決定には従うしかない。何かがあればすぐに動くと決めたアルフレッドたちはフォガートの後に続いた。
フォガートの言う通り、タロウたちがたどり着いた先で砂漠の民が異形兵に襲われていた。
「お供ども、さっさと異形兵を討伐して王城に行くぞ!」
「お供のみなさーん、はりきって退治していきましょう!」
異形兵の群れを前に先陣を切るタロウとフォガート。
アルフレッドたちが「イルシオン軍みたいに、どこかの軍が異形兵を従えていたらどうするんですか!」と叫んでいる声にも構うことなく、タロウは紋章士の指輪を点に掲げた。
それはアイビーが持ってきた聖王女の指輪。
顕現されたのはマルスに似た紋章士・ルキナだった。
「盛り上げていくぞお供ども。見ろ、俺の新たな力を!」
誰もが固唾を飲んで見守る中、タロウはルキナとエンゲージした。
マルスの時のように赤い鎧を体に纏うタロウ。
だがその鎧の形状はマルスの時とは少し違う。違うというより、全てのパーツが大きい。
肩当てや胸当て、腰当てがゴツく、目元の黒い兜も横に伸びてとんがっている。
アーマナイトやジェネラルの重装がさらに尖ったような姿だ。
「これがマルスとは違う紋章士とのエンゲージ」
「だがあの動きにくそうな甲冑は、砂漠では足をとられてしまうのではないか?」
「神竜様、すぐに助けにいくわ!」
動きにくそうな姿のタロウが異形兵に袋叩きにされるのではと心配するアルフレッドたち。
タロウはいつものテンションで「祭りだ!」と剣を振り上げた。
だが文字通り心配無用だった。
フォガートの怪しさすらも心配無用の域。
『うん・・・僕たちの助け、いらないね』
いつも以上のパワーで異形兵たちを空の彼方へと斬り飛ばしていくタロウ。
『ファイアーの書を背中に仕込んでいるのか?』
背中から火を噴射させ、よくわからない推進力で敵の元へ突進していくタロウ。
『早い。さすがだわ神竜様』
ペガサスナイトやドラゴンナイトですら止まって見えるほどの素早さでバッサバッサと敵と切り結んでいくタロウ。
そのあまりにも凄まじい戦闘力に、アルフレッドたちは「もうタロウだけでいいんじゃないか?」と唖然とするしかなかった。
気が付けば残るは異形兵1体。親分なのだろうか、他の異形兵より強そうだ。
そして、タロウよりは弱そうだ。
そんな可哀想な異形兵を前に、タロウは剣を構えた。
「心桃滅却。秘技・アバター光刃」
気合 一切 居合切り
そのどの言葉も当てはまるような凄まじい一閃で、哀れ異形兵は爆散した。
「うん。万が一フォガートが敵だったとしても、敵じゃないね。タロウの前では」
清々しいまでのタロウ完全復活の余韻に浸り、余裕の苦笑いを浮かべるアルフレッドだった。
じか~い じかい
『神竜様にお会いできるとか恐縮すぎるでしょ』
『これからの戦い、楽しい決闘になりそうだぜ』
『ガッチャ!』
エン13話「オアシスの勇者」というお話
アンタはロボットを操るならどの要素が重要だと思う?
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ハンドルやボタンがついたリアル指向
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念じれば動かせる操作性
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変形合体のレパートリーの多さ
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自分自身がロボットになりたい
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共通機構のある敵とのロボ争奪戦
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合体前の単騎で敵を倒せる戦力