今俺を見たな? これでお前ともエンゲージができた   作:三柱 努

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エン14話 ソルム攻防戦

ソルム王城を襲ったイルシオン軍。軍を率いていたのは四狗・セピアに操られたオルテンシアだった。

父王を目の前で失っただけでなく、姉であるアイビーが死んだものだと思っていた彼女は深い悲しみの中で精神を疲弊させていた。その心の隙にセピアは魔術で洗脳を施していたのだ。

しかも城に攻め込んだ四狗はセピアだけではない。モーヴとマロンの姿もある。

敵の目的は明らかだ。

タロウたちの持つ紋章士の指輪を奪うため。ソルム女王を邪竜の贄として誘拐するため。

「あたしは・・・お父様のため・・・あいつらをころして・・・指輪をうばう・・・」

「オルテンシア! しっかりして、オルテンシア!」

アイビーの呼びかけもオルテンシアには届かない。

姉妹同士の命の取り合いという悪夢を前に、セピアは余裕の笑みを浮かべていた。

「せいぜい殺し合ってくださいな」

「ほぉ、ならば貴様たちも俺を相手にせいぜい足掻くがいい」

剣を振り上げ敵を威嚇するタロウ。その戦意溢れるタロウの腕にアイビーはしがみついた。

「神竜様、お願いします。妹には・・・いえ・・・何でもありません」

傷つけないでほしい。殺さないでほしい。だがその願いは戦意を曇らせる。味方の足を引っ張る愚かな行為。そう分かっていながらもアイビーは懇願せずにはいられない。

それでも彼女のかすかな王女としての使命感が、その言葉を口にさせなかった。

それがどれだけ苦痛なことか。同じく妹や弟を持つアルフレッドやディアマンド、ミスティラには痛いほど分かった。

「そうか。ならば問題ない。俺を信じろ、お供ども」

タロウは振り返ることなく紋章士の指輪を天に掲げた。

その堂々たる立ち振る舞いは、決してオルテンシアを見捨てるわけでも。家族のつながりを軽視するものではない。アイビーにはそう見えた。

「さあ神竜様。デスタン大教会から奪った指輪、返してもらわなければいけませんわね」

不敵に笑うセピアに、タロウは鼻で笑いながら答えた。

「違うな。元はといえばリトスにあった指輪だ」

「いえ、草原公女の指輪は元々イルシオンの指輪ですわ」

初めて対峙した時に言い負かされたことを根に持っていたセピアは、タロウの言葉に即答で反論した。確かにその通り。言い返せないタロウは少しの間、黙ってしまった。

だがこの程度で折れるタロウではない。

「ならば別の訂正をしてやろう。この指輪はお前たちの元には無かった指輪だ」

「それでは、まさか?」

「ソルムに託された最強の指輪。蒼炎の勇者の指輪だ。来い、アイク!」

タロウの呼び出しに紋章士の指輪から一人の男が顕現された。

屈強な肉体と精神、そして鋭い眼光を持つ武骨な勇者。

紋章士アイクである。

「俺を「エンゲージだ!」

アイクが一言を口にする前にエンゲージを命令したタロウ。

さすがに登場直後に言葉を遮られるのは可哀想だと敵も味方も誰もが思った。

だがそんな同情心を打ち消す不思議な行動をタロウがとりだした。

突如の指笛。ピーという甲高い笛の音が王城中に響く。

その音に呼応するように、アイクの姿が黄金の鳥に変化したのだ。

「え? あれ?」

セピアは驚いた。彼女は1000年前の邪竜とルミエル・タロウとの戦いの生き証人。その時のエンゲージを見たことがある彼女は同じ現象が起きると思っていた。

だからこそタロウの異色のエンゲージに思わず呆けてしまった。

「来たか」

さも当然の出来事に満足げな声をあげるタロウ。セピアが「いやいや、違うでしょ。もっとこう・・・え?」と手を横に振る中、金の鳥のアイクがタロウ頭上に舞い降りた。

「見せてやる。俺の真の力だ」

その場にいた全員の視線がタロウに注がれる。おそらくセピアは「え? まだ何かするの?」と目を見開いていることだろう、と誰もが容易く想像できた。

そんな注目の中で空中分解するアイク。そして甲冑とマントとなってタロウの体に装着されていく。

完全無欠の黄金の騎士の姿がそこに爆誕した。

「祭りの始まりだ」

タロウの言葉にセピアたちは思わず覚悟してしまった。これから天下無双のタロウの暴れっぷりが自分たちを襲うのだろうと。

 

その想像の通りの出来事がセピアたちを襲い、彼女たちは辛うじて逃げるので精一杯。

床で足が滑ったとか、命を賭してまでの任ではないとか、次また遊びましょうとか。そういう引き際の負け惜しみだとか言い訳が通用しないほどの大敗走。

残されたオルテンシアがどうなるのか、見届けることなく四狗のうちの三狗は逃げていった。

そんな孤立無援のオルテンシアの前に立つタロウは、両手を桃の形にして合わせた。

すると何故かわからないが、彼女は桃の形の結界のようなものに包まれた。

「え? 何、何?」

場の空気に流されるまま困惑するしかないオルテンシア。

「抱腹絶桃・フェスティバル縁弩」

結界に閉じ込められた彼女にタロウの弩が向けられる。

解き放たれた矢がアイクの金の鳥の姿となり彼女を撃ち抜いた。

そしていつものように爆散・・・するかと思いきや、彼女は桃を逆さまにしたハートの形の魔法陣に包まれた。と思ったら直後に爆散した。

「俺こそオンリーワンだ」

爆風を背に金の扇を持ち上げるタロウは、高笑いと共に自らを扇ぎはじめた。

「オルテンシア!」

「見てくれアイビー王女。どうやら無事のようだ」

爆発が止み、煙の中から現れたオルテンシア。その体に怪我はないようだ。

「お姉様?」

どうやら正気に戻ったようだ。いや、もしかしたらセピアが撤退した時点で。タロウの結界に閉じ込められた当たりから戻っていたのかもしれないが・・・

それを確かめようにもタロウは「これがフェスティバルだ」と自分に浸っている。

まぁ結果オーライだろう。アイビーはそう思うしかなかった。

 





じか~い じかい

『私がお次回予告を仰せつかっちゃったりしますですの』
『私の名はパネトネ。本作で出番の無かっちゃったりいたしますですわ』
『細けぇことはいいんだよ。敵は全部すりつぶす!』

エン15話「廃墟のダンサー」というお話

アンタは使うなら、どういう必殺技がいい?

  • 皆の武器を1つに合わせて放ちたい
  • 各々が好き勝手に技を放ちたい
  • 一人だけで技を放ちたい
  • 普通の技でも必殺と呼べる威力が欲しい
  • 敵が待ってくれるほどの豪華さが欲しい
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