今俺を見たな? これでお前ともエンゲージができた   作:三柱 努

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エン2話 神竜王ルミエル

「やっと目覚めたのね。タロウ、本当にあなたなのね?」

異形兵を蹴散らしたタロウたち。周りに脅威が去った直後、タロウの前に突然1人の女性が現れた。

「?」

やけに親しげに近づいてくる女性に、タロウは困惑しながらも警戒の必要のなさから呆然と立ち尽くした。

そんなタロウに女性は突然抱き着いたのだ。

「会いたかった! あなたが目覚めた気配がして、早く会いたくて飛んできたの。どこも痛くない? 身体が動かしにくいだとかは?」

やけにタロウの身を案じる女性。それもそのはず。彼女こそがタロウの母、神竜王ルミエルだったのだ。

「誰だアンタは?」

「どうしたのタロウ? まさかあなた」

タロウの記憶喪失についてはヴァンドレが姿勢を正してルミエルに伝えた。

そのことにショックを受けつつも、タロウが我が子であることは変わらない、タロウと言葉を交わせるだけで幸せだと、やさしく支え続けることを約束したルミエル。

だがヴァンドレはあえて伝えなかった。

つい先ほど、紋章士マルスのことは「どこかで会った気がする」と言っていたタロウ。それが母に対して記憶が掠りもしていない。それはあまりにも悲しすぎるではないか。そうヴァンドレは自身の胸の中だけに留めて嘆いていた。

その後、ルミエルと共に神竜王城に向かったタロウたち。道中、ルミエルはこの世界について語ってくれた。要約すると。

 

この世界の5王国には、こんな予言がある。

千年の時を経て、邪竜ソンブルが蘇り、人類を滅亡させる。

だが、5人の王と守護神・神竜が立ち上がるだろう。

神竜の地 リトス

自由の国 ソルム

信仰の国 イルシオン

農業の国 フィレネ

最強の軍事国 ブロディア

自称、邪竜の地 グラドロン

これはエレオスの平和を守る王国たちの物語。そして、これから記憶を取り戻す神竜の物語である。

と、そんなようなことを言っていた気がする。タロウ的にはこう解釈できた。

 

そんなこんなで到着した神竜王城。

「ようこそ神竜王城へ。ここまで来ればもう安心よ。それにタロウ。あなたには、おかえりと言わせて。たとえ記憶がなくとも、私はいつかまた、ここにあなたを迎えたかった。おかえりなさい、タロウ」

やさしく、そして愛おしくタロウを迎え入れたルミエル。千年ぶりの親子の時間に立ち会うことができたヴァンドレは目頭を押さえ、クランとフランは卒倒しそうになるほどに感激していた。

だがタロウのリアクションは薄い。というより、「そうか」と他人事のように呟いただけだ。

期待していた反応と違うことに困惑するルミエル。

そこにヴァンドレは助け舟を出すことにした。タロウの横に歩み寄り、ヒソヒソと助言を出すヴァンドレ。

「神竜様。ここは母君に『ただいま』と言って差し上げるべきかと」

「俺はここが自分の家だという実感がない」

「ですが、それでも言って差し上げるべきでは?」

「俺は嘘を付けないからな」

空気を読むだとか、そういうニュアンスが全く伝わらない。キッパリとタロウに断られてしまったヴァンドレは頭を抱えた。

「よ、良いのですヴァンドレ。わ、私はタロウとまたこうして会えただけで嬉しくて涙が出そうだわ」

嬉し涙なのか悲しくて涙が出そうなのか。ルミエルの健気な様子にヴァンドレはますます目頭を押さえた。

 

「そんなことより、驚いたわ。リトスの地に異形兵が現れるなんて」

雰囲気を変えようと、ルミエルは深刻な表情になって話し始めた。

異形兵。それは先程タロウたちを襲った化け物たち。死した人間が悪しき力で蘇った行ける屍。千年前の戦争で邪竜が使役していた兵たちである。

そして今、異形兵が蔓延っているということは邪竜が目覚めている可能性がある。再び邪竜と戦う覚悟が必要だ。

だが同時に目覚めた存在がある。それはマルスと同じ紋章士たちだ。指輪に宿る英雄たち。

全部で12の指輪があり、半分がこのリトスに。残る半分は4つの国に託されている。

時が来れば神竜が各国を巡り、王たちから愛と信頼をもって指輪を託されるのが通例。

「さっき、あなたがマルスを喚んだように、邪竜も紋章士を顕現してしまうわ。竜の地を引く王族にしか使えない力。あなたは間違いなく私の子よ」

「・・・そうか」

しつこいほどに母と子であることを言葉にするルミエルに、タロウはやはり実感が湧かず眉をひそめた。

「さあ、次は実戦の鍛錬をしましょう。神竜の王族として、やるべきことはたくさんあるわ」

 

ルミエルに誘われ、庭園へ向かったタロウたち。これから模擬戦を行うというのだ。

「紋章士の力がいくら強くても、戦うのはあなた自身。その身と心が強くならないと、紋章士も力を発揮できないわ。ヴァンドレ、クラン、フラン。あなたたちはこの子を助けてあげて」

どうやらルミエルを相手に4人で挑んでこいというのだ。

「面白い。勝負だ勝負!」

やる気満々のタロウ。その横でヴァンドレが「ルミエル様に刃を向けるなど」と及び腰の姿勢を見せた。

「甘いことを言っていると、倒れるのはそちらのほうよ」

胸を貸してあげようという気が満々のルミエル。だがタロウの強さを知るヴァンドレ的には違った。むしろ自分たちがルミエル側につかないといけないのでは? と。

「さぁ、かかってらっしゃい」

こうして始まったルミエルとの模擬戦。

ルミエルはさすが神竜王というだけあり、何かの能力で異形兵のようなリアルな兵士を作り出していた。材料は植物や岩らしいが、性能は十分にある。らしい。

 

結果は一目瞭然。

ほとんどタロウの独壇場だった。

ジャマにならないようにとヴァンドレが消極的に戦っていたこともあったが。

クランとフランは異形兵との戦いの汚名返上とばかりに前衛サポートを張り切ったが、タロウが「お供たち、もっとやる気を出せ!」と叱咤激励ほぼ叱咤しながら戦い、ほとんど貢献はできていなかった。

千切られては投げられ、無残に飛び散っていく造られしものたち。

そしてルミエルは紋章士シグルドとエンゲージをしながらも、タロウのアクロバティックな動きに翻弄され、一太刀も浴びせることができないまま負けを認めた。

「さ、さすがタロウ。全然太刀打ちできなかったわ」

「アンタもそこそこやる。68点ってところか」

傲慢にも聞こえるタロウの採点に苦笑いするルミエル。だが親子の触れ合いができた幸せと、ある程度は通用していたという評価をもらえたことが少し嬉しかったようだ。

「タロウ。この剣をあなたに授けるわ。神竜のみが扱える由緒ある剣よ。ずっと私の愛剣だったのだけれど。きっと、今のあなたになら使えるはず。私に買ったお祝いとして贈らせてちょうだい」

「そうか。わかった」

立派な剣を与えられたことにタロウはまんざらでもない様子だった。そのことに気を良くしたルミエル。

「それからこれも」

そう言ってルミエルは指輪をタロウに手渡した。

「これは私が作った、ただの装飾品。約束していたの。眠る前のあなたと。お誕生日に、あなたに似合う素敵なものをプレゼントするって約束。内緒で作っていたのだけれど、出来上がる前に眠ってしまったから。あの時に約束したお誕生日はとっくに過ぎてしまったけど、これをあなたに」

千年楽しみにしていたのだろう。ウキウキとした様子で語るルミエル。

だがヴァンドレには嫌な予感がしていた。悪い事が起こるというより、良い事が起こらないという予感が。

「23て・・・」

「神竜様! そういえばいかがでしたでしょうか? 我々。特にフランとクランの戦いは?」

ビックリするほどの大声で割って入ったヴァンドレ。突如として話を振られたクランとフランは慌てながらもタロウからの評価をもらえることにドキドキとワクワクに包まれた。

『スマン、二人とも』そういうヴァンドレの視線が注がれる中、下された点数は。

「5点だ」

「え~! そんなぁ」

「駄目なものは駄目だ! 話にならん。鍛え直してやるぞ、お供たち!」

そう言って先程もらったばかりの剣を振り上げてクランとフランに襲い掛かるタロウ。

慌てて逃げていく2人を追いかけるタロウの活き活きとした姿に、ヴァンドレとルミエルはただただ苦笑いすることしかできなかった。

「いやはや。神竜タロウ様は、勇猛果敢とのお噂。違わぬ御方ですな」

「そうね。ただ少し気になることがあるの」

「気になるとは?」

怪訝な様子のルミエルに、ヴァンドレは恐る恐る尋ねた。気になるというのが本当に“少し”だけならいいのだが、と。

「あの子、眠りにつく前はあんな性格じゃなかったわ。眠っている間に・・・なんというか、別人というか。いえ、悪い方に行っていないことだけは確かよ。でも、他の強すぎる魂的な成分が混ざってしまったような・・・そんな感じがするの」

 





じか~い じかい

『神竜王城に忍び込むとは、不届き者め!』
『まさか王子が駆けつけてくださるとは』
『神竜様。せめて・・・せめて最後に』

エン3話「襲撃者」というお話

アンタは暴太郎戦隊ドンブラザーズを観たことがあるか?

  • 1話から全部見た
  • 1話だけは見た
  • ネットのネタで見たことがある
  • 見たことはない
  • 全話リアタイで見た
  • スーパー戦隊は欠かさず見ている
  • ドンブラロスの症状に悩まされている
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