今俺を見たな? これでお前ともエンゲージができた 作:三柱 努
イルシオン王城を解放したタロウたち。
「それにしてもタロウが神竜でもなければ獣人でもなく、邪竜だったとは」
「邪竜だろうが何だろうが。俺のやることに変わりはない!」
「そう言ってくれると思ってたよ、よろしくね。タロウ!」
タロウが邪竜だという情報により全部隊に一瞬激震が走ったが、それでもタロウはタロウ。何も変わらない彼の姿に誰もがそれを気にしなかった。
「つまり、タロウが私の探していたお兄ちゃんってこと?」
そんな中、別の視点で驚いていたのはヴェイルだった。タロウがソンブルの子であり、ヴェイル以外で生き残っているというのであればそうなのだろう。
「そういうことだろうな。だが俺にそんな記憶はない」
キッパリと言ってのけるところ、タロウが安定している証拠だとアルフレッドたちは苦笑いした。
「でもこれでハッキリするね。僕たちはタロウを受け入れる。邪竜であろうとタロウはタロウだから。つまりヴェイルのことも同じさ。邪竜の娘であろうと僕らの味方だし、戦いが終わったら僕らがキミの居場所になる」
ドンと胸を叩いたアルフレッドに、ディアマンドやアイビー、ミスティラたちは大きく頷いた。
「みんな・・・ありがとう」
「そんなことはどうでもいい。ソンブルが何処に行ったのか探すのが先だ!」
タロウの言う通り、イルシオン城に邪竜ソンブルの姿は無かった。タロウたちが突入した頃には既に城を発っていたのだろう。
その意気先に心当たりがある、そう告げたのはモーヴだった。
「ソンブル様やセピアたちはリトスの地に向かったはずです」
「邪竜がリトスの地に!? 何故!」
声を荒げて飛び上ったのはヴァンドレだった。
「邪竜の地グラドロンを復活させるためです。グラドロンを封印している『神竜紋』を破壊し、異界に侵攻するのが望みだと聞いています」
モーヴの答えにヴァンドレは拳を握りしめ声を荒げた。
「『神竜紋』はルミエル様の神竜王城にあります。邪竜に踏み荒らされていい場所ではありません」
「ならば早く向かうしかないな。ヴァンドレ、案内を任せたぞ」
「はっ!」
ヴァンドレに闘志が戻っていた。怒りを原動力にしているとはいえ、ようやく彼も邪竜退治の一員として心から加わってくれたようだ。
こうしてリトスの神竜王城に向かったタロウたち。
そこは聖地であり、故郷であり、何よりも大切な場所。
だが今、その場所を占拠していたのはセピアたち邪竜の一派だった。
「来たわね、偽物の神竜様」
まるで城の主のようにタロウたちの到着を迎えたセピア。そしてその背後には巨大な怪物、邪竜ソンブルの姿があった。
邪悪な威圧感でタロウたちを見下し、異形兵の軍勢を従えている。
「パパ!」
そんなソンブルの元にヴェイルは思わず駆け出していた。モーヴが「危ないっ」と彼女を制止する中、ソンブルの殺気が彼女たちに向けられた。
「来たな。出来損ない風情がこの私に口を利くとは。身の程知らずが。消えろ」
呟くように吐き捨てたソンブルは、ヴェイルが次の一言をかけるのを待つことなく口から邪悪な魔力を解き放った。
魔の潮流。闇の光がヴェイルに注がれる。
「ヴェイル様!」
モーヴが彼女を庇おうとするが、とても人間が敵うものではない。2人まとめて殺されてしまうだろう。誰もがそう思った。
「甘いわ!」
だが、そこに割って入ったのはタロウだった。
一瞬にして金色の鎧を身にまとい、手にした剣でソンブルの波動を切り拓いた。
「ほぉ、腕を上げたな。どうやら欠陥品とは違うようだ」
「お前こそやるじゃないか。96点」
タロウの点数を聞くよりも前にアルフレッドたちの足は震えていた。
『まさか邪竜ソンブルがここまでの強さだとは』
タロウと共に戦えば勝てるはず。そんな打算的な勝算を持っていた自分たちの愚かさに気付き、アルフレッドたちは足がすくんでしまっていたのだ。
「愚かな人間ども。この私に楯突いたことを後悔するがいい」
「お供たち、こんな二流の台詞しか吐けない邪竜に臆するな!」
ソンブルとタロウの怒号が飛び交う中、大量の異形兵がアルフレッドたちに襲い掛かった。
「くっ。皆、タロウと共に戦うぞ!」
こうして大混戦が始まった。
タロウはソンブルと一騎討ちを。アルフレッドたちはセピアが率いる異形兵との交戦に入る。
戦況はあまりにも厳しいものだった。
無尽蔵に現れる異形兵を前に、アルフレッドたちが徐々に押され始めたのだ。
「くっ。タロウの足手まといにならないように、僕らも鍛えたつもりだったのに」
「皆、諦めるな!」
「そうよ。タロウがソンブルを押さえてくれている。私たちが異形兵を倒さなきゃ」
「でも・・・このままじゃ」
力を振り絞るアルフレッドたち。だがそれでも異形兵1体1体の強力な力を前に、気力すらも失いかけていた。
その戦況の変化をタロウとソンブルは戦いの中で共に察していた。
「お供たち、ここが踏ん張りどころだぞ!」
「力はつけたとて、考えは甘いようだな。人間どもの命は風前の灯火だと分かっていないのか」
「俺がお前を倒し、加勢すればいいだけのこと」
タロウは必殺奥義を幾度となく放つが、ソンブルもまた強大な魔力でそれを相殺していく。戦力は拮抗していた。このままジリ貧で戦いが続けば、異形兵がアルフレッドたちを倒し、ソンブルに加勢するのは時間の問題だ。
「そうだな。せっかくの親子の縁だ。取引をしてやろう」
「取引だと?」
業を煮やしたソンブルはタロウに静かに提案を始めた。
「12の紋章士の指輪を私に渡せ。そうすれば、お前たちを見逃してやる。命を取ることはしない」
ソンブルの甘言にタロウは眉をひそめた。
「悪い話ではないだろう。避けられない死から救ってやると言っているのだ。それとも仲良く全滅の道を歩むか?」
ソンブルは威圧感をそのままに口調を和らげ、タロウに決断を迫った。
だがタロウは考えていた。何故ソンブルは今さら紋章士の指輪を欲するのか。
12の指輪を全て揃えることに意味がある。
「なるほどな」
そう呟くとタロウは12の紋章士の指輪を取り出した。
「さすがは我が子。聞き分けがい「お供たち! 俺に力を与えろ!」
ソンブルの言葉を遮り、タロウが高らかに命令するや否や。
紋章士の指輪は赤黒い光を纏いながら浮き上がった。
「なっ! 貴様「見せてやる。これが俺の。俺たちの力だ!」
発言をことごとく邪魔されたソンブルが怒りを露わにする。
だがそんなものお構いなしに、タロウは12の紋章士の指輪に命令した。
「お供たち、アバターチェンジだ!」
タロウの唱えた聞き慣れない呪文にソンブルは首を傾げた。
そんな演唱で顕現される紋章士はいないはず。
だがソンブルの目の前で、12の紋章士の指輪から12の戦士が姿を現した。
「紋章士を顕現したのか? いや、違う」
ソンブルは目を見開いた。見たこともない、それどころか何人かは異形兵よりもさらに異形の姿をした。そんな12の戦士の姿がそこにあったからだ。
「助けにきたよ。タロウ」
「まぁ何が何だか知らないけどな」
「獣人であろうが、これも縁ということだ」
「僕も来ましたよ、桃井さん!」
「やっぱり最後は主役がシメなきゃいけませんよね、タロウさん!」
12の戦士のうち、5人がタロウに親し気に声をかけた。
その懐かしくも喜ばしい声に、タロウはニッと笑って振り返った。
「来たか、お供たち」
じか~い じかい
『俺を信じろ』
『俺との縁は、超良縁だ』
『悩みなんざふっとばせ!』
エン最終話「ラスト縁ゲージ」めでたしめでたし
アンタはどんな最終回が好きだ?
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ハッピーエンド
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ちょっと待って
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エンゲージは26章まであるよ
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4話飛ばしてない?
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そんなんでいいの?
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でもタロウならやりかねない
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つまりハッピーエンド