今俺を見たな? これでお前ともエンゲージができた   作:三柱 努

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エン3話 襲撃者

「何の音だ?」

ルミエルとの模擬戦を終え、クランとフランがへろへろになるまで追加特訓が行われ、すっかり夜になった頃。

神竜王城に異様な音が響いた。

「まさか、敵襲!? ルミエルやみんなが心配だ。音のしたほうに行ってみよう」

異変を真っ先に察知したのは紋章士マルス。指輪から飛び出してタロウに警告した。

英雄王マルスの名は伊達ではない。その直感の通り、神竜王城内の回廊は既に多くの侵入者で溢れていた。

「何だコイツらは」

「異形兵じゃない。だけど、一体何者?」

そこにいたのは異形の化け物ではなく、訓練された兵隊であった。だが何が目的なのかも語ることなく、回廊の壁や柱を破壊して荒らしまわっている。

この敵襲に気付いたのはマルスやタロウだけではない。ヴァンドレがクランとフランを連れてタロウの元に集まっていた。

「神竜様! ご無事で」

「誰に向かって言っている。それより何だコイツらは」

「わかりません。ですがどうやら紋章士の指輪を狙っている様子。ルミエル様が指輪の間で戦っておられます。我々も早く加勢に行かねば!」

ヴァンドレの鬼気迫る様子から事態の深刻さが伝わってくる。

そうこうしているうちに謎の兵士たちもどうやらタロウたちの存在に気付いたようだ。

「ハーハッハッハッハ! お前たち全員、俺が相手をしてやる。お供よ、エンゲージだ!」

「神竜様!?」

その時、タロウの高笑いが回廊中に響き渡った。敵の視線がこれでもかとタロウに向かう。

この突然の行動に驚き以上に慌てふためくヴァンドレ。敵の目的が紋章士の指輪だと説明したばかりなのに、わざわざ自分からその存在を宣伝するとは。気付かれているとはいえ、タロウの行動はあまりにも状況を理解できていないように感じられた。

「いざ、勝負勝負!」

剣を振り回して敵に切りかかるタロウ。

「くっ、仕方あるまい。クラン、フラン。神竜様に続くぞ!」

「邪魔だお供ども!」

タロウの援護に回ろうとするヴァンドレ。だがその加勢に向かってタロウは剣を振り回して追い払った。

「し、神竜様!?」

タロウの奇行の連続に困惑するクランとフラン。だがヴァンドレは直後に察した。

「まさか・・・神竜様御自ら囮に」

敵の目的が紋章士の指輪だというなら、タロウの存在は敵の矛先を決めることになる。

ヴァンドレたちに別動隊としてルミエルの元に向かえということなのだ。

「わかりました。どうかご武運を」

問答をしている時間はない。タロウと別れ、ヴァンドレたちはルミエルの元に急いだ。

 

「ハーハッハッハッハ! お前達、歯応えがないぞ」

敵陣に一人立ち向かったタロウ。ヴァンドレたちも隠密に行動しながらチラリとその姿を確認した。

囮のはずだよな? そう3人は思った。

宙を舞っているのは粉塵ではない。武器だとか、そんなレベルのものではない。

敵兵だ。人間がボロ雑巾のように宙を舞っている。哀れにも。

「この扉の向こうか!?」

「ええ、間違いありませんわ!」

「直ぐに突入いたしましょう!」

その時、扉の向こうから誰かの声が聞こえてきた。

そして颯爽と現れたのは白馬に乗った貴公子。どこかの王族であろうか、立派な服に槍を携えた騎士が闇の中から現れた。

「失礼する。やはり敵襲か。フィレネ王国第一王子アルフレッド、加勢す・・・る?」

どうやら味方のようだ。この襲撃を聞きつけて現れ、この口上。どう見ても味方だ。

だがこの状況。どう見ても手遅れであった。

「何だお前たちは? 遅いぞ!」

「えっ・・・と」

アルフレッドが目にしたものは瓦礫の山と敵兵の山。その上に立つタロウの姿。

「って、キミはまさか、神竜様!? ついに目覚めたのかい? 良かった、この時をどれほど待ち望んだことか!」

「見てわからないか? そんなくだらない話をしている暇はないだろ」

タロウのド正論にアルフレッドは「失礼した」と爽やかに謝った。

「奴らは?」

「知らん」

「では急ぎ敵将を捕らえ、目的を吐かせよう。これより僕と我が臣下エーティエ、同じくブシュロンが貴軍の麾下に入る。指示を出してくれ!」

即座に答えたアルフレッド。その柔軟な対応力にタロウは「ほぉ」と感心を示した。

とはいえ、残る仕事はほとんど残っていない。敵兵も残るは敵将だけだった。

「あの御方のため・・・ここは通さぬ!」

「そうか。ご苦労だったな」

どうやら指輪の間で、その御方が何かの目的を遂げようとしているのだろう。そして敵兵の役割はタロウたちの足止めだ。

即座に敵の意図を読み取り、タロウは一閃のうちに敵将を撃破した。

「行くぞお供たち!」

アルフレッドたちを連れ回廊を走るタロウ。回廊を渡り切る頃にはヴァンドレたちに追いついた。

「我々・・・別動隊の意味が・・・」

 

タロウたちが指輪の間にたどり着くと、そこにはマント姿の謎の人影があった。どうやら敵の言っていた“あの御方”なのだろう。

「お前が大将か。観念しろ!」

問答無用で謎の人物に斬りかかったタロウ。その不気味さから、捕らえてだとか、目的を聞くだとか、そんなものが通用する相手ではないのだろうと瞬時に理解しての行動だった。

その警戒の通り。謎の人物は不敵に笑うと瞬間移動のようにタロウの攻撃を躱した。

「無事で済まないのは貴方のほうです。死になさい」

謎の人物が手をかざすと、タロウの足元に魔法陣のようなものが現れ、周囲に雷撃が走った。

「危ない!」

その時、タロウを庇いルミエルが雷撃の中に飛び込んでいった。全ての雷撃がルミエルに注がれ、彼女は重傷を負ってしまった。

咄嗟にルミエルを抱きかかえるタロウ。そこに謎の人物は迫った。

「さあ、残りの指輪もこちらに」

「立ち去りなさい」

ルミエルは最後の力を振り絞り、光線のようなもので攻撃した。謎の人物はこの攻撃に怯んだのか、踵を返して城から逃げ去っていった。

 

戦いは終わった。だが失ったものはあまりにも大きい。

ルミエルは重傷を負っていただけではない。タロウが眠っていた千年間、彼女は残された寿命を神竜の力としてタロウに注ぎ続けていたのだ。

「何故、そんなことを?」

「我が子が目覚めるなら、生きていてくれるなら。親は何だってするものよ」

タロウの腕の中で最後の言葉を紡ぐルミエル。

彼女は残る時間の中で、聖騎士の指輪をタロウに託した。そして敵から邪竜の力を感じた事を伝え、十二の指輪を集めるようにタロウに頼んだ。

 

こうして息絶えるその瞬間まで・・・タロウの無事を祈り・・・ルミエルは崩御した。

「神竜様・・・最後にせめて・・・ルミエル様を・・・母君と・・・」

最後の最後まで。タロウはルミエルを母と呼ぶことはなかった。ヴァンドレは悔やみ、恨みがましさの少し混ざった複雑な視線をタロウに向けた。

「俺は嘘をつけない。俺はルミエルを母だとは今でも思っていない」

タロウの言葉は冷たく言い放たれたように、その場にいる者には聞こえただろう。

冷淡で抑揚のない、感情のこもっていない言葉。それが神竜なのか? そう誰もが一瞬思った。

だが直後、タロウは近くにあった瓦礫に無言で剣を振り下ろした。

それは無意味な破壊には見えなかった。

怒りだ。やりきれない、行き場のない怒りがそこに確かにこもっていた。

「神竜様・・・」

ヴァンドレたちはこの時、静かに感じ取った。

タロウはたしかにルミエルに優しい言葉をかけてやることはなかった。いや、できなかった。

だが彼は、ルミエルの死を悲しむことができる人なのだ。

誰かのために怒ることができる人なのだ、と。

 





じか~い じかい 

『タロウ。僕とキミは友だ。そう、友だよね?』
『これが紋章士の力。エンゲージの力』
『これは紋章士の力・・・なのか?』

エン4話「花の風車村」というお話

アンタのゲームのプレイスタイルは何だ?

  • 強い主人公だけを育てがち
  • 弱くてもヒロインも育てる
  • やる前に 攻略サイトで 下調べ
  • 逃げまくって仲間を詳しく知らずに進めがち
  • 堅実に遊ぶよ。みほちゃーん!
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