今俺を見たな? これでお前ともエンゲージができた   作:三柱 努

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エン6話 奪われた指輪

タロウ、アルフレッド、セリーヌのエンゲージの活躍もあり、いつもの異形兵のように蹂躙されたイルシオン軍は即撤退。フィレネ城は解放された。

女王は感謝と共に紋章士の指輪を愛と信頼と感謝を以ってタロウに献上。

そしてフィレネ王国に密かに託されていたもう1つの紋章士の指輪を返還する意思を示した。その保管場所はブロディアとの国境にある祠。

祠への案内役を申し出たアルフレッド。彼はそのままタロウに同行する決意を示した。

「僕は戦を終わらせる力となりたい。平和のために戦うこと。そして、神竜様と共に旅立つことをお許しください。いいかい、タロウ?」

「足手まといにならなければ構わん」

我が子を戦いに向かわせることになる母親の目の前で平然と言い放ったタロウの物言いに、女王は困惑しながらもアルフレッドの旅立ちを許可した。

さらにセリーヌもまたタロウとアルフレッドと共に旅立つことを決意。その臣下もタロウの仲間に加わることとなった。

「神竜様のお力になれるよう頑張ります」

「そうか。今よりもっと頑張れ。今のお前たちでは全く駄目駄目だ」

相変わらずの辛辣な点数付けに頭を抱えるヴァンドレ。手厳しい洗礼に戸惑うセリーヌ。そんな状況にアルフレッドは困惑しながらフォローに入った。

「タロウ、友として言わせてもらおう。厳しいだけでは駄目だ。嘘でも少しは褒めて伸ばそうとしたほうがいい」

「俺には嘘の意味が分からない。駄目なものは駄目だ」

キッパリ断言されてしまい、何を言い返しても無意味だと諦めてしまったアルフレッド。

他の面々もすっかり黙り込んでしまい、葬式のような静けさに包まれたままの旅立ちとなってしまった。

 

道中も沈黙の行軍。案内人のアルフレッドを先頭にタロウ、ヴァンドレが続く。

が、その後ろが大きく離れていた。竜の守り人であるクランとフランですらタロウの特訓を避けて後方に隠れているくらいだ。

そんな後方組はエリーゼを筆頭に家臣たちが控え、ヒソヒソと声を潜めながらも楽しそうな雰囲気が漂っていた。

「神竜様があんなにも強烈な御方だったとは知りませんでした。伝承では高貴でお優しい方だと聞いていましたが」

穏やかな顔で微笑みながら、その大きな鎧でクランとフランを隠してあげているのはアーマーナイトのルイ。

「たしかに武勇はお噂通りでしたわ。いえ、想像していた以上の無双っぷり。とはいえ私たちまで巻き込まれてしまいそうでしたが」

貴族らしい清楚な佇まいながらも鍛え上げられた腕で弓の調節を行っているのはアーチャーのエーティエ。

「私は素敵な方だと思いますよ。まるで御伽話から出てきたみたいで」

うっとりと手を合わせて感激して、他の家臣たちと少し違う感性でタロウと見ているのはペガサスナイトのクロエ。

「そ、そうなのか? 御伽話の王子様や騎士なのか。まぁアルフレッド様も王子っぽくないところもあるし」

ボヤきを混ぜながら頭を掻くのは非常に筋肉質なアクスファイターのブシュロン。

元から同じ立場とはいえ、やはり各々のコミュニケーション能力の高さから衝突することなく自由な意見交換が行われている。

この温度差のある一団は野原を越え、山を越え、夜になったころにようやく祠のある地区にたどり着いた。

 

「もう少し北上すれば指輪のある祠にたどり着くよ」

人里から離れたこともあり、道も徐々に険しくなってきていた。人が出るよりも獣や化け物、蛮族の類が出てきそうな景色が広がっている。

そんな夜の山道に、一人の女性がうずくまって泣いていた。

「私としたことが、なんというミスを」

何か困りごとのようだ。アルフレッドが声をかけると女性は驚きの表情を浮かべ叫んだ。

「やっぴーーー! 助けが現れましたぞー!」

アルフレッドは自分の耳が勘違いしたように心配した。女性の見たことのない喜び方に。

「先ほど、落とし物をしてしまったのでござるよ。人もおらぬしすっかり困り果てており。ああ、わたくしめはユナカと申す者です。お二人とも、よろぴっぴ」

どうも独特なクセの持ち主のようだ。だがその軽快な発音には怪しさや危なさは感じられない。悪い人ではなさそうだ。

そんなユナカがこんな場所で無くしたもの。それは言葉を話す指輪。

「紋章士の指輪だろうな。何故お前が持っている?」

「わたくしめは旅をしているのですが。国境付近で女人の助けを求める声が聞こえてきたのです。そこには指輪があり、手に取ると今度は『私を神竜様のところに』と言うではありませんか」

「俺のところに? まぁそうだろうな」

「しかし途中で賊に襲われ、全力疾走している間に指輪が無くなっており・・・ん?」

説明に夢中になっていたユナカだが、タロウの反応にふと手を止めて目を丸くした。

「私は今、神竜氏の話をしておりますが?」

「だから俺のことだろう? それよりフィレネ王家の管理はどうなっている? 指輪は祠にあるはずじゃないのか? 管理体制が駄目駄目じゃないか!」

タロウがさらっと神竜発言をしたことに口をパクパクさせるユナカ。しかもタロウの指摘の矛先がアルフレッドにある状況から、ユナカは目の前のアルフレッドがフィレネ王家の人間なのだということにも気づき、ますます口をパクパクさせた。

「まぁいい。さっさと指輪を探すぞ。案内しろ」

「え!? わかり、かしこまり申した!」

情報の嵐にユナカのテンションが乱されている。心臓が保たないのではないか?とアルフレッドが心配する中、一行は指輪の捜索に向かうことになった。

 

結果として、そう難しい話ではなかった。

指輪はユナカを襲おうとしていた賊が拾っていた。

タロウの高笑いに賊が気付き戦闘開始。

哀れ賊は一網打尽。とはいえ賊は村を襲い人々を殺し、その廃村を根城にしていた悪党ども。同情の余地はない。

「さすがでございますぞ神竜氏!」

「お前もやるじゃないか。53て・・・ん」

戦い方について言及しようとしたタロウが口を濁したことにユナカは首を傾げた。

「どうかされましたか神竜氏?」

「・・・俺は嘘をつけない。やはりお前の戦い方は53点だ」

「左様でございましたか。それが嘘と何の関係が?」

嘘というワードに引っ掛かりながら、ユナカはそれがタロウの表情の暗さの理由と何か関りがあるのだと察した。

「俺はみんなから嫌われているようだ。嘘をつけないから、傷つけてしまっているのだろう」

「嘘を?」

つぶやくように本心を告げたタロウに、ユナカは傾聴の姿勢を見せた。

「真実には価値がある。そう思っているのだが、俺には幸せというものが分からん。人を幸せにして幸せを学ぼうと思っているのだが。真実は人を幸せにしないようだ」

「う~ん。優しい嘘ということですな。難しい」

「嘘は優しいのか?」

「そうとも言えませぬが・・・やはり嘘つきは信用できないと思われて仕方ないものでしょうか」

腕を組んで悩み始めるユナカ。

だがタロウは逆に何か思い出したように顔を上に向けた。

「どうされましたか神竜氏?」

「誰かに聞いたことがある。月は嘘つきだ。実は自分では光っていない。太陽の光を反射しているからな。だが、太陽より月の方が信用できる。見つめることができるから、と」

「・・・素敵な言葉ですな」

「俺もそう思う。どのみち、俺に嘘はつけないがな」

自虐的につぶやくも、タロウの表情は先程より明るくなっていた。

その様子にユナカも何かを決意したように立ち上がった。

「実はわたくしめは謝らなくてはなりませぬ。指輪は拾ったのではなく、わたくしめが祠から持ち出したのです。旅の資金が欲しくて忍び込み。高く売れそうだと思って持ち出してしまったのです。ごめんなさい」

嘘をつかないモードのタロウのように全てを打ち明けたユナカ。タロウの方をまともに見ることができないまま、彼女は深く頭を下げた。

その態度の変わりっぷりに困惑するタロウ。

「やはり嘘つきの言う事など信用していただけないでしょうな。ですがわたくしめは心から申し訳なく思っております。どのような罰も受ける覚悟はございます」

消えていくような声で謝罪するユナカ。

だが一方でタロウはいつもの調子を取り戻し、声高に宣言した。

「ならばその罰、俺も受けよう」

ユナカが驚き見上げる先で、フッと笑うタロウ。

 

そしてこの2人の会話をアルフレッドとヴァンドレは岩陰から静かに聞いていた。

 





じか~い じかい

『神竜氏、なにやらブロディアは厳しい国らしいですぞ!』
『これからもユナカめをよろしくお願いいたしまする!』
『え? わたくしめの出番・・・もうない?』

エン7話「闇の紋章士」というお話

想像してくれ。例えばアンタが『変身アイテム』を使って変身することになった。何を使って変身している?

  • エンゲージします。「指輪」
  • ブラスターやカリバー的な。「武器」
  • 変身ッ! 「ベルト」
  • 今でも主流。「ブレスレット」
  • 携帯だけじゃなくボックスも含む。「電話」
  • これもまた定番なり。「食べ物」
  • 女子票は私のもの。「化粧品」
  • 商業的に強そうなもの
  • スポンサー様のご意向に従います
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