今俺を見たな? これでお前ともエンゲージができた 作:三柱 努
タロウのエンゲージを前に、特に見せ場も無く蹂躙されたオルテンシアはイルシオン軍と共に撤退していった。
そして一行がたどり着いたのはブロディア王城。城門の前には勇ましい一人の男の姿があった。
「待っていたぞ神竜様。私がブロディア王国第一王子ディアマンドだ。あなたのお噂は耳にしている。お会いできて光栄だ。それからフィレネ王国のアルフレッド王子、遠路はるばる、我が国にようこそ」
ディアマンドはスタルークとは正反対に堂々として凛々しい立派な王子であった。なるほどスタルークが劣等感を抱いて育つわけだ、と納得できる好青年だ。
挨拶もそこそこにイルシオン軍の襲撃を聞くとすぐさま城の守りを固めるため兵士たちに指示を出していった。
父王のブロディア国王も現場には顔を出したが、その存在が不要なほどにディアマンドはテキパキと動いていた。
「ほぉ、やる男だ。83点」
「評価、感謝する神竜様。戦時故に簡略して申し訳ないが、我がブロディア王国に託された紋章士の指輪をお返しします」
ディアマンドが差し出したのは封印の紋章士の指輪。タロウが顕現させると立派な若獅子の王子・ロイが姿を現した。
これでリトスの地にあったマルス、シグルド。フィレネ王国のセリカ。ユナカが回収したミカヤ。5人の紋章士がタロウの元に揃ったことになる。
「これで5人のお供が集まったか」
「そういうことになるね。ところで聞いてもいいかい? 今『お供』と聞こえたが。以前僕の事を友と言っ・・・」
「報告です!」
その時、アルフレッドの質問を遮るようにブロディア兵が大急ぎで走ってきた。
「イルシオンのものとみられる竜騎兵がブロディア王城に接近中! 弓兵部隊の攻撃を躱し、こちらへ向かってきます!」
「来たか。おいディアマンド。この指輪はお前がエンゲージしろ」
「私に託してくれるのか? ありがたい」
ディアマンドは判断に迷うことなくタロウから指輪を受け取り、イルシオン軍の侵入に備えた。
それから数分もしないうちに、赤い夕暮れの光が照らす中をイルシオン軍が飛来してきた。
軍を率いていたのは女将。
「私はイルシオン王国第一王女、アイビー。貴方たちの指輪とその命、いただくわ」
第一王女ということはオルテンシアの姉にあたるのだろう。こちらも妹とは正反対で落ち着いた口調と物腰で、こちらを見下すことなく冷たい視線を送る女性だった。
「投降するなら今のうちよ。じきにイルシオンの兵たちがここに来るわ」
「ほぉ、面白い。腕が鳴るじゃないか」
剣を掲げ、紋章士の指輪を構えるタロウ。その姿にアイビーはふと視線を落としてタロウに話しかけた。
「貴方が神竜タロウ様? 妹が言っていた通り、なんて綺麗。お会いできて嬉しいわ。でも私は貴方を殺さないといけない。悲しいことだわ」
「悲しいなら戦わなければいい。覚悟がないのなら引っ込んでいろ!」
「そうはいかないの。残念だわ」
どこか戦いの覇気がないアイビー。だがその実力は本物であった。
戦いが始まるや、王城の広間は剣と魔法が入り混じる大混戦に入った。
屈強なブロディア兵に負けず劣らずのイルシオン軍。そこにアイビーも紋章士を顕現させて参戦していった。
「お供たち。エンゲージだ!」
タロウの呼びかけにアルフレッドはシグルドと。セリーヌはセリカと。ユナカはミカヤと。ディアマンドはロイとエンゲージしていく。
「これが紋章士の力、凄まじい。そして紋章士の力を悪用するとは邪竜、許せないな」
己の姿が青い光に包まれ、力が溢れることに感動するディアマンド。敵のアイビーが顕現させた紋章士が赤く邪悪な光に包まれていることに彼は怒りを覚えた。
だがその時、ディアマンドはふとタロウの方を見た。
「・・・アルフレッド王子、ちょっといいか?」
戦いの最中、話しかけることはよくないことだと分かっているが、ディアマンドはそれを止めることができなかった。
「どうしたディアマンド王子?」
「神竜様のエンゲージのお姿は、我々とかなり違うようだが」
そう言ってディアマンドが指さした先。タロウはエンゲージした姿で戦っていた。見たことのない赤い鎧と兜を身に着け、バッサバッサと敵をなぎ倒していく。時折、よく分からない高笑いを上げながら。
「僕も最初はタロウと同じように戦えたらいいなと思ったさ。でも紋章士の力の一部を借りている僕たちと違って、神竜様は力を全て引き出すことができる」
「そうなのか。いや、私は一瞬・・・」
あの赤い姿は、まるで敵の紋章士のようだ。
そう言いかけそうになったディアマンドは自分でもハッとなって口を閉じた。
『私は何を馬鹿なことを。神竜様の強さに嫉妬でもして、おかしなことを考えてしまったのだろう。まだまだ私も未熟だ』
そう自分に言い聞かせ、再び顔を上げて剣を構えたディアマンド。
だがその十数秒の葛藤の最中、事態は激変していた。
「何をしているディアマンド。ボーッとするな」
戦いは既に終わっていた。
アイビーは逃げ去り、彼女が落とした紋章士の指輪をタロウが回収。そこから6人目の紋章士リーフを顕現させていたのだ。
「・・・戦いが終わった?」
「ああ。いつもより時間がかかったけどね」
頭の整理が追い付かないディアマンドの横で、平然と言ってのけるアルフレッド。いつもはもっと短時間で? そう考えると余計にディアマンドは混乱した。
そのせいもありディアマンドはその後の話のほとんどを聞き流してしまっていた。
イルシオン王が自ら軍を率いて国境に現れ、ブロディア王との決戦を申し出ていることを。
勇猛なブロディア王もまたこの挑発に応じ、自らが前線に出向くことを決意してしまったことを。
そして父である王が、武力の国・ブロディアの矜持を以って、指輪の力を借りることなく戦いに挑むことを決めてしまったことを。
じか~い じかい
『皆、次回予告というからにはちゃんと次回の話をするべきだ』
『父上、かならずやブロディアに勝利と未来を!』
『神竜様、大丈夫ですか!?』
エン9話「激突」というお話
アンタは戦士として、どんな武器を使って戦いたい?
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王道を行く『剣』
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距離を取りつつ戦う『槍』
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槍に強く剣に弱い、のか?『斧』
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憧れるよね『魔法』
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集団戦最強武器『弓』
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回復のメカニズムが分からないけど『杖』
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徒手空拳こそ最高『体術』
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投げても何故か戻ってくる『短剣』
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やっぱ近代戦はこれでしょ『銃』
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鬼に『金棒』
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やっぱ近代戦はこれでしょ『ミサイル』