機動戦士ガンダム 水星の魔女 DCT   作:SakuraNoel Fayray

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DCT本編
13話 魔女裁判


遠くで声が聞こえる。一人、二人、三人かな?

話してる内容は分からないけど、会話が飛び交っているのは分かる。

 

みんな仲良く話をしてるのかな?

学園っていいよね。

ここに来てよかった。

 

スレッタはぼんやりした意識の中でそう考えた。

 

 

声の一つがだんだん近づいて大きくなってくる。

 

「…タ …ッタ …レッタ スレッタ、

 ス・レ・ッ・タ!」

 

「ね、寝てませんよ!」

 

スレッタは飛び起きて、慌てて居眠りをごまかそうとする。

部屋にいる全員がスレッタを見つめ、それはウソだと目で訴えかける。

 

「ね、寝てました…」

 

スレッタは全員の表情を見て、バレたかーという顔で素直に謝る。

 

「おまえなあ、こんな時に寝るなんて…」

 

チュチュがスレッタを睨みつける。

 

「ご、ごめんなさい。疲れてたのかな?ついウトウトと…」

 

「まあいいわ。それじゃ、続きを…」

 

 

「それでは、地球寮魔女裁判を始めます」

 

ティルは手元の資料を見ながら、開幕の合図を告げた。

 

「まず最初に、本日の出欠を報告します。ミオリネさんはショックで寝込んでます。ニカとマルタンは行方不明」

 

「もしかして、二人は駆け落ち?」

リリッケの恋バナ発言も、この場ではさすがに流されてしまう。

 

「参加者は、

 

ティル・ネイス

アリヤ・マフヴァーシュ

 

ヌーノ・カルガン

オジェロ・ギャベル

 

チュアチュリー・パンランチ

リリッケ・カドカ・リパティ

 

です」

 

 

「じゃあ、あたいから被告人に質問させてもらうよ」

 

「チュチュさん、どうぞ」

 

チュチュはスレッタを睨みつける。

 

「スレッタ、あんたはなぜあんなことをしたの?」

 

「あんなこと?」

 

スレッタには何を質問されたのか分かっていない。

 

「兵士を殺したことよ」

 

スレッタはあの瞬間を思い出す。

 

「あ、あれは悪い敵がいたからです!」

 

「敵がいたのは分かるけど…、もうちょっと違うやり方があったんじゃない?」

 

「違う… やり方?」

 

「ミオリネと敵の間に手を入れて、ミオリネをガードしてあげるとか」

 

「それでは敵が倒せません」

 

「だからって…」

 

「敵はみんな倒さないといけないんです!」

 

一同、顔を見合わせる。

 

 

「スレッタは、人を殺してもいいって思ってるの?」

 

「人を殺すのはよくないと思います。でも、敵はみんな倒さないとダメなんです」

 

話がうまくかみ合わない、全員がそう感じる。

 

「ミオリネさんを守ることが出来たんですから、それでいいじゃないですか」

 

チュチュは頭を抱える。

 

「守ることは出来たけど… あんたの行動は、ミオリネの心に深い傷をつけたんだよ」

 

「それは…」

 

スレッタは責任を感じたかのように、少しうつむく。

 

「それは、わたしの力が足りなかったんです。もっと早い段階で敵を倒していれば、ミオリネさんの心を傷つけることは無かったんです。うん、そうです」

 

「いや、そういう話じゃないよ」

 

「わたしの修業が足りないんです。もっともっと強くならないと、ミオリネさんをしっかり守れるように」

 

「おい、人の話聞いてんのか?」

 

「チュチュ、落ち着いて」

 

アリヤがやさしく声をかける。チュチュは我に返って、なんとか気持ちを落ち着けようともがく。

 

「スレッタがやったこと、オレは間違ってないと思うな。戦闘なんだし。そりゃもちろん、GUNDの技術が戦争に使われるのは反対だけど、今回のことは命を守ることには変わりはないんだから、それは仕方ないと思うよ」

 

オジェロの意見に、一同静かに賛同する。

 

「でも、人を殺してしまうことには技術を使って欲しくないから、そこはなんとかしたいよな」

 

「それだよ」

 

チュチュがオジェロを指差す。

 

「技術とか、そういうことはよく分からないですけれど…、敵は敵なんです。倒さないといけないんです、守るために。守らないとみんな死んじゃいます。そんなのはわたしは嫌です」

 

スレッタは持論を繰り返す。

これは何を言っても理解してもらえない、ここにいる全員がそう感じた。

 

 

「これは学園からの通達ですけれど…、スレッタ、あなたは当面謹慎となります。謹慎期間中は学園への登校は禁止されます」

 

ティルは手元の資料を見ながら、スレッタにそう告げる。

 

「謹慎… わたし退学になっちゃうの?」

 

「その辺の判断は、追って学園側から通達があるそうですけれど、退学まではならないと思いますよ」

 

「それならよかった。謹慎?の間に外で修業をしてこいってことですね」

 

「いや、そういうことでは…」

 

「学園も粋な計らいをしてくれるんですね。修業、修業。もっともっと強くなって帰ってきますね。ミオリネさんも、みなさんもしっかり守れるように」

 

スレッタは円満の笑みを浮かべた。

 

一方、スレッタ以外の全員は、話の通じ無さに絶望していた。

 

「それじゃ、わたしは修行に行ってきます!みなさん、またね!」

 

スレッタは大手を振って地球寮を出て行く。

 

「おい、まてよ。まだ話が…」

 

チュチュが呼び止めようとするが、スレッタはそのまま去っていく。

 

その姿をぼう然と見つめる一同。

 

「あれはやばいよ…」

 

「ああ、やばい」

 

「誰かが止めないと」

 

「そんなの無理でしょ」

 

「…」

 

絶望感だけが部屋に満ちた。

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