機動戦士ガンダム 水星の魔女 DCT   作:SakuraNoel Fayray

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14話 スレッタ山に帰る

青い空に白い入道雲、新緑に輝く山々。

日本の山沿いの田舎の風景を再現しているここは、サウスコロニー(仮名)。

 

まだ建築中で一般公開はされていないものの、それが逆に“謹慎”には好都合ということで、プロスペラとスレッタはこの地で修業を行っていた。

 

「えい、やー、えい、やー」

 

スレッタは両手を交互に前に出し、空手のような動作を行っている。

スレッタの声が山にこだまする。

 

「えい、やー、えい、やー」

 

「スレッタ郎、そろそろ体が温まってきたかしら?」

 

「はい、いい感じです、プロスペラ滝さん」

 

「それでは今日は、あそこにある岩山を素手で割る特訓に入ります」

 

その岩は直径10m程もある大岩で、とても素手で割れそうにはない雰囲気であった。

 

「素手で!?」

 

「そう、素手で。あれくらいすぐに割れるようにならないと、ミオリネ子さんは守れないわよ」

 

「やります!やります、素手で!」

 

「よし、じゃあ始め!」

 

スレッタは岩へと突進し、思いっきり岩を叩く。

 

ペチーン

 

軽い音が響き渡り、スレッタの右手は赤く腫れあがる。

 

「あいたたたた。痛い、固すぎる。こんなのほんとに素手で?」

 

「そうよ」

 

「エアリアルは使っちゃダメなの?」

 

「それはダメ。まずはあなた自身が力をつけないと。いくらいい武器を持っていたとしても、あなた自身が未熟だったら、武器は使いこなせないわ」

 

「なるほど。さすがプロスペラ滝さん」

 

スレッタは赤くなった手を振りながら、少しでも早く痛みを抑えようとしていた。

 

 

「ところで…、わたしたちの名前、さっきから変なんですけれど、どういうこと?」

 

「それは、山での修業だからよ」

 

「山での修業…、まさか!?」

 

「そう、そのまさかよ」

 

プロスペラは笑顔で答えた。

 

スレッタの顔が急に青くなった。

 

「ええええ、だ、だ、だ、大丈夫なんですか?各方面から怒られたりなんかしちゃったりしないんですか?わ、わ、わ、わたし、知りませんよ。怒られても」

 

「安心して、スレッタ郎。わたしたちには最強の盾があるから大丈夫よ」

 

「最強の盾?」

 

「そう、“銀○の監督”。いざとなれば、これを盾にすればたいていのことは防ぐことが出来るわ」

 

「おお、○魂!株式会社ガンダムの親会社と言えば、サンライズ。そのサンライズ最強の防壁。それなら安心だね。さすがお母さん、いえプロスペラ滝さん」

 

「分かってくれて嬉しいわ、スレッタ郎。では修業を続けるわよ」

 

「はい!」

 

 

昼夜問わず「逃げれば一つ、進めば二つ」と呪文のように唱えながら山を駆け巡り、岩山と格闘する日々が何日も続いた。

そして、

 

バシーーーン!

 

「いい音ね。もうちょっとよ。あと大事なのは気持ちね。ミオリネ子さんへの気持ち。ダブスタクソ親父無慘を絶対倒すという気持ち。それも力に加えれば…」

 

「ミオリネ子さんへの気持ち、ミオリネ子さんへの気持ち、ミオリネ子さんへの気持ち、、、うおおおおおおおおおお」

 

スレッタは大きく振りかぶった手を、それまでにないスピードとパワーで振り下ろす。

 

スッパーン

 

岩山は真っ二つに切れる。

 

「やった、やった、やったー、切れたー!」

 

「よくやったわ、スレッタ郎」

 

「ありかとうございます、プロスペラ滝さん」

 

「この感覚を忘れないようにね。じゃあ、今日はここまでにして、最後の修業は明日からにしましょう」

 

「はい、ありがとうございました」

 

夕焼けに染まる山道を、スレッタとプロスペラは麓にある国民宿舎へと帰っていく。

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