機動戦士ガンダム 水星の魔女 DCT 作:SakuraNoel Fayray
ポンポコ!ポンポコ!
スレッタの修業の日々は続く。
「体は暖まったようね。それじゃ、最後の修業を始めるわ」
「はい、お母さん!」
「最後の修業は、エアリアルに搭乗し、新必殺技を習得すること」
「やっとエアリアルに乗れる! 新必殺技?」
「そう、新必殺技。敵はガンダムであるエアリアルを必死で叩こうとしてくるわ。それに対抗するためには、強力な必殺技が必要なの。それが、新必殺技ね」
「どうすればいいの?」
「あなたはすでに、心身共に武器であるエアリアルを最大限使いこなせる段階に来ているわ。あとは、あなたの思いをエアリアルに込めるだけよ」
「思い?」
「そう、ミオリネさんへの気持ち」
「ミオリネさんへの気持ち」
「そう。ただ、力任せではいけないわ。ちゃんとイメージを持っておかないと」
「イメージ?」
「ええ。あなたはミオリネさんにどんなイメージを持ってる?」
スレッタは少し考える。
「えーと、お友達、花嫁、そう、花嫁!」
「そうね。そしてあなたは花婿よね」
「うん、花婿。ミオリネさんと結婚!」
「そう、結婚。結婚と言えば?」
「結婚式!」
「そう、結婚式よね。結婚式では、何をイメージする?」
「うーん、うーん、ケーキかな?」
「ウェディングケーキね」
「ウェディングケーキ!」
「ウェディングケーキを、どうするの?」
「ミオリネさんと、切るの」
「ケーキカットね」
「そう、ケーキカット」
「いいわね、その思いを込めてみたらどうかしら?」
「ミオリネさんと結婚して幸せになるために、一緒にケーキカットをする」
「そう、素敵ね」
「うん!」
スレッタは満面の笑みを浮かべる。
「でも、ケーキはどうするの?」
「そうね、なにかケーキのかわりになるような、素敵なものがあるといいわね」
「ケーキのかわり?」
「そう、たとえば… 青く輝く地球、あれがケーキだったら、切ってみたら素敵だと思わない?」
「地球がケーキ…、切ってみたい!」
スレッタは子供のようにはしゃぐ。
「いいわね。結婚式でケーキ(地球)カット。ミオリネさんも喜ぶと思うわよ」
「うん、いい。それやりたい!」
「じゃあ、そのために最後の修業をしましょう。まずはこのコロニーを、真っ二つに切るつもりで、ビームサーベルを大きく振って。思いのすべてを込めて」
「はい!」
スレッタは操縦桿をしっかりと握りしめ、ビームサーベルを振り上げる。
ビームサーベルに次々とエネルギーが注ぎ込まれ、その太さは次第に増大していく。
「もっと、もっとよ、スレッタ」
「はい、お母さん!」
スレッタは、さらに力を込める。
ビームサーベルはエアリアルの体の幅を超えて、街全体を飲み込むような巨大な太さになっていく。
「感覚はそんな感じ。その感じを覚えれば、あとはいくらでも調整は利くわ。あなたの気持ち次第で」
「はい!」
スレッタはエネルギーの感覚を感じながら、バランスを調整しようと試みる。
ビームサーベルの太さは、それに合わせて可変する。
「いいわ、ここでは地球を切り裂くほどのパワーは出せないから、そのくらいで試してみなさい。大きく振りかぶって、一回転させるようにすれば、切れるはずよ」
「はい1」
スレッタはビームサーベルをしっかりと構え、前方へと振り下ろし、後方へとグルッと一回転させる。
ビームは大地を切り裂き、コロニーの外壁をも蒸発させていく。
真っ二つに切られたコロニーは、爆発を始める。
「よく出来たわ、スレッタ。それでいいわよ」
「ありがとうございます」
「これで修業は全課程終了ね。お疲れさま」
「はい!ありがとうございました」
「これなら、ミオリネさん喜ぶと思うわよ」
「うん、早く見せたいな。ケーキ(地球)カット。喜んでくれるといいな」
「そうね、じゃあ早く学園へ戻りましょう」
「はい!エアリアル、行きます!」
二人を載せたエアリアルは、学園へと飛び去っていく。
「わしのコロニーが…」
たまたま建設中のコロニーを会社の船で視察に来ていたオーナーである初老の紳士は、崩れ落ちるコロニーを見つめながら、ぼう然と立ち尽くしていた。