機動戦士ガンダム 水星の魔女 DCT   作:SakuraNoel Fayray

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17話 魔女再臨

暗い。寒い。寂しい。

部屋で寝ていたはずなのに、なんでこんなところに?

 

あの日閉じこめられた部屋と似てる。

 

でも、なんで地球寮のみんながわたしを?

わたし何かした?

 

嫌われたのかな?

もしかして、ミオリネさんにも?

 

わたしどうなっちゃうの?

ミオリネさんと結婚出来ないの?

学園生活は?

 

お母さんも閉じこめられちゃってるのかな?

 

エアリアルがあれば…

 

スレッタは、暗さに慣れた目で周りを見渡す。

しかし、出られそうな場所はどこにも見当たらない。

 

わたし、どうなっちゃうのかな?

 

ミオリネさん…

お母さん…

 

スレッタの目に涙が浮かぶ。

 

 

「ご苦労様」

 

ミオリネはベッドの上から地球寮のメンバーに頭を下げる。

 

「いいってことよ」

 

「無事に解決しましたね」

 

「先輩、ちょっとかわいそうですけれど…」

 

「いいんだよ、あんな奴。ずっと閉じこめておけば」

 

全員疲れてはいるものの、安堵の表情を浮かべている。

 

「スレッタの様子は見れないんだっけ?」

 

「監視カメラとか無いの?」

 

「学園の部屋にそんなのあるわけないじゃん」

 

「そうだよね、あはは」

 

「あの部屋なら、脱走することは出来ないし問題ないんじゃない?」

 

「さすがのスレッタでもね。エアリアルも無いし」

 

「うんうん」

 

「朝になったら、学園へ通報して対応してもらいましょう」

 

「それがいいですね。それまでは仮眠を取っておきましょう。もう遅い時間ですし」

 

「よし、寝るぞ、寝るぞ」

 

地球寮のメンバーは、それぞれの部屋に帰ろうと扉の方へ移動する。

 

ドーン!

 

地震のような振動が、病室を襲う。

 

「なに?」

 

「なにが起きたの?」

 

あわてて窓の外を見ると、エアリアルがある格納庫から火の手が上がっていた。

次の瞬間、格納庫の壁を破ってエアリアルが現れる。

 

「エアリアル!?」

 

「スレッタ?」

 

驚く一同。

 

「詰めが甘いわね」

 

プロスペラの声が夜空に響き渡る。

エアリアルは収音マイクを病室に向ける。

 

「プロスペラさん!?」

 

「どうして?」

 

コックピットに座っているプロスペラは、ニヤリと笑みを浮かべる。

 

「わたしも元パイロットよ。エアリアルの」

 

「まさか、プロスペラさんも魔女!?」

 

「そう。わたしも魔女よ」

 

「そんな…」

 

「エアリアルと、スレッタも返してもらうわね」

 

そう言うと、エアリアルはスレッタがいる建物に向かう。

 

センサーを駆使してスレッタの位置を把握し、スレッタに危害が加わらない程度にエアリアルの拳で壁を破壊する。

 

丸く開いた穴から、スレッタの姿が見える。

 

「スレッタ…」

 

こんな形で逃げられるのかと、病室のメンバーはぼう然とする。

 

エアリアルが穴に向かって手を伸ばす。スレッタはその手に乗り移る。

表情は暗くて見えないが、泣いているようにうつむいている。

 

「スレッタ!」

 

「先輩!」

 

「おい!」

 

地球寮のメンバーが窓から叫んで呼びかけるが、スレッタは反応しない。

 

エアリアルはスレッタを載せた手を懐に持ってくる。

コックピットが開き、スレッタはその中に乗り込んでいく。

 

「スレッター!」

 

地球寮のメンバーがさらに呼びかけるも、スレッタの反応は無い。

 

コックピットが閉まり、スレッタはプロスペラが移動して空いた操縦席に座る。

 

「おかえりなさい」

 

「ただいま…」

 

沈んだ声でスレッタは答える。

 

「どうしたの?何かひどいことされた?」

 

「うん…」

 

スレッタの目から涙がこぼれ落ちる。

 

「大丈夫よ」

 

プロスペラが横からスレッタを抱きしめる。

 

「お母さん…」

 

涙が次々とこぼれ落ちる。

スレッタは母を強く抱きしめる。

 

「大丈夫、大丈夫。わたしがいるわ」

 

「うん」

 

「悲しい時は、楽しいことを思い出しましょ」

 

「楽しいこと?」

 

「スレッタが楽しかったこと、何かな?」

 

「…、誕生日?」

 

「そう、誕生日ね」

 

「誕生日といえば?」

 

「歌?」

 

「そうね。誕生日、楽しかったよね。歌ってごらん」

 

「ハッピバースデー・トゥーユー」

 

誕生日、ケーキ、いっぱいのロウソク

スレッタは、楽しかったはずの想い出に思いを巡らせる。

 

プロスペラも合わせて歌う。

 

「ハッピバースデー・トゥーユー」

 

そうだ、結婚式

キャンドルが足りなかったんだ

たくさんの美しいキャンドルの炎

これならみんなに喜んでもらえるね

 

「ハッピバースデー」

 

「ディア…」

 

「エリクト」

 

スレッタの目が深紅に輝き出す。

 

「おはよう、エリクト」

 

「おはよう、お母さん」

 

「ハッピバースデー・トゥーユー」

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