機動戦士ガンダム 水星の魔女 DCT   作:SakuraNoel Fayray

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21話 最終兵器

「もう、やめてくれ」

 

ダリルバルデの赤い機体がエアリアルの前に立ちふさがる。

 

「グエル!?」

 

地球寮のメンバーが一斉に叫ぶ。

 

「これ以上、誰も死なせないでくれ。お願いだ、スレッタ」

 

グエルは涙を流しながらコックピットから懇願する。

 

「グエルさん、式の途中ですよ。邪魔をしないでください」

 

エリクトはグエルを睨みつける。

その違和感にグエルは気付く。

 

「お前は、誰だ?」

 

「わたしはエリクト。エリクト・サマヤ」

 

「エリクト!?」

 

“別人”の名前に、グエルも地球寮のメンバーも全員が驚く。

 

「スレッタじゃないの?」

 

「スレッタにしか見えないよ」

 

「どういうこと?」

 

 

「その子は、エリクトであり、スレッタなの」

 

プロスペラが答える。

 

「早くして魔女となったエリクトは、その存在を隠しておく必要があったの。そこで、エリクトの中にスレッタを作り出したの」

 

「作り出した!?」

 

「そう、GUNDの技術でね」

 

一同、理解が追いつかなくてぼう然としている。

 

「私たちは研究の過程で、パーメットには“改変”の力があることを発見したの。人の病気を治す医療がその一つ。強大な兵器として使うGUND-ARM“ガンダム”もその一つ。そしてその先にあるもう一つの改変、世界を改変する力」

 

「世界を改変!?」

 

「ええ、ガンダムさえも凌駕する絶対的な力。わたしたちはそれを追い求め、生まれたのが“スレッタ”だったの」

 

!?

 

「この世界のありとあらゆるものを変えることが出来る、いわば最終兵器ね」

 

「最終…兵器」

 

「なんで、スレッタなの?」

 

「この子しか成功しなかったのよ。普通の人間は、魔女になってもパーメットリンクだけで使い物にならなくなっちゃう。強化人間も、普通の人より少し強化されてるだけで、結果は同じ。“完全体”として成功したのはこの子だけだったの」

 

「なんてことを…」

 

「スレッタは、その強大な力を持っているにも関わらず、純真で、弱々しく、魔女を隠しておくには最適の存在だったわ。まさに理想の娘」

 

「狂ってやがる」

 

「まあ。それは褒め言葉として受け取ってあげましょう」

 

 

「魔女であるエリクトを隠して、何をしようとしてたの?」

 

「復讐よ」

 

プロスペラが答える。

 

「21年前のヴァナディース事変で、わたしたちは多くのものを失った。この子の父親も。その復讐の機会をこの子達と一緒にずっと待っていたの」

 

「復讐って?」

 

「わたしたちの敵をすべて倒すこと」

 

「ちょっと待って。21年前って、スレッタの年齢は…」

 

「そう、この子の本当の年齢は、25歳。あなた達よりずっと年上よ」

 

一同、その事実に驚愕する。

 

「スレッタがほんとは魔女で、25歳、、、どういうことなんだよ」

 

「お姉さんだったなんて…」

 

「ありえねえだろ、そんなこと」

 

 

「全部、事実よ」

 

プロスペラははっきり断言する。

 

「お母さんの言う通り」

 

エリクトも同意する。

 

「ちなみに、わたしの名前はエルノラ。エルノラ・サマヤ。プロスペラは、魔女であることを隠すための偽名ね」

 

「偽名って…」

 

「わたしたちをずっと騙してたのね」

 

「ええ、そうね」

 

エルノラは笑顔で答える。

 

 

「そんなこと、許せない!」

 

グエルは、拳を握りしめながらそうつぶやく。

 

「スレッタは、どこからみても人間だ。あんたの道具なんかじゃない。兵器なんかでもない。一人の女の子だ。あの子をそんな風に扱うなんて、俺は、俺は、絶対に許せない!」

 

地球寮の全員、その言葉に頷く。

 

「プロスペラさん、俺はあなたからスレッタを救い出す」

 

「ふふ、わたし達に勝てるかしら?ねえエリクト」

 

「みんな敵になっちゃったの?」

 

「そうみたいね。結婚式も結婚も、ここで終わりかしら?」

 

「ミオリネさんとの結婚を邪魔するなんて…」

 

「ひどい人たちよね」

 

「うん、ひどい」

 

「それでも、スレッタの大事なお友達ではあったわけなので、そこをどいてくれたら見逃してあげるわ」

 

ダリルバルデを見つめるプロスペラ。

 

「いやだ」

 

「あら」

 

「俺はスレッタを救ってみせる。俺が認めた相手だから。救って…、もう一度プロポーズする!」

 

「まあ」

 

純真な意外な答えに驚く一同。

 

「あ、いや…、とにかく、救う、救うんだ。救う。スレッタを。そのためなら俺は、命を懸けて戦ってもいい。いや、戦うんだ」

 

「そう、そこまで思われてスレッタも幸せね。でも、容赦はしないわよ」

 

「覚悟の上です」

 

「それじゃ、いきましょ。エリクト」

 

「はい、お母さん」

 

エリクトとエアリアルの目が深紅に光る。

その視線の先で、ダリルバルデはビームサーベルを構える。

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