大文豪に私はなる!   作:破戒僧

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本章から新章開幕になります。

前話まで『娘達』とのお話だった上に、100話で『パパ』をちらっと出して引きを作っちゃいましたが……ちょっと都合があって、一旦時間軸を戻し、現在のスゥの旅から始まります。

『娘達』のその後や『パパ』とのストーリーは、もうちょっとだけ後になるかと。

というわけで、101話です。よろしくお願いいたします!


第7章 原作開始のルポライター
第101話 スゥと伝説の始まり


 

 

 『4つの海』漫遊の旅を終え、『偉大なる航路』に戻ってきてからも、私の冒険、ないし取材の旅が終わることはない。

 むしろ、この『偉大なる航路』では、『4つの海』よりも色々と刺激的なことが数多く起こるからね。そういうのに触れるのは、好奇心その他もろもろをより一層刺激されるってものだ。

 

 もっとも、『楽しむ』って言うのもちょっとはばかられるような内容の出来事も多いんだけどね……今ちょうど来てる、こことか。

 

「枯れちゃったのか、ここのオアシスも……」

 

 場所は『偉大なる航路』前半の海の……中盤くらいにある島『サンディ島』。

 島というには少々、いやだいぶ広すぎるここに存在する砂漠の国……『アラバスタ王国』。

 

 そこを私は、例によってハニーと一緒に訪れていた。

 この8年間の旅と、さらに『偉大なる航路』に戻ってからもしばらく続けた旅でわかっちゃいたけど……手配書が出回ってるってのに、堂々としてればばれないもんだ。

 

 この島に来たのは、紛争というか、内乱が起こっている国家の『取材』のため。

 しばらく前に、アラバスタ王国国王に『ダンスパウダー』の使用疑惑があるってことで騒ぎになり……『国王が雨を奪っている』って、国民達に不信感を持たれた。

 

 それを解消できないまま、さらに雨も降らないままに膨れ上がった民たちの疑念は、国王への怒りに変わり……『反乱軍』が結成された。

 雨を独占する国王を倒し、この国に雨を、平和を奪い返すんだって……そういう大義の元で。

 

 原作を知ってる私は、それが、クロコダイル率いる『バロックワークス』の仕組んだ陰謀だとわかっているけど。

 

 そんな感じで紛争真っただ中にある国。少し不謹慎だとは思いつつも、その空気とか、色々なものを取材してみるいい機会だと思って、この国に来させてもらったのだ。

 1人で来ようと思ってたんだけど、心配だからって今回もハニーが一応ついてきた。

 

「そんな心配してもらわなくても、私、自分で言うのもなんだけど、ハニーより全然強いのに」

 

「強さを心配してるんじゃないわよ……確かにお嬢様が本気になったら、私どころか、『プレシューズ』の魚人3人娘やそのほかの諸々の知り合いが束になってかかっても一蹴されるでしょうし。食い下がれるのなんて、せいぜい……まあいいでしょそれは。むしろ、戦闘とは関係ない部分で暴走したり、色々足りなかったりするのを警戒、ないし心配されてるのよ、あなたは」

 

「わかってますって。まあ、自分でも色々結構抜けてる性格なのは否定できないってわかってるしね……実際、航海中は色々助けられてる。ありがとね」

 

「どういたしまして。……ところで、何でこのオアシス……ああいや、元・オアシスね。ここ、別に反乱軍の拠点とか、戦場になった場所ってわけでもなさそうだけど……何でここに?」

 

「……昔、ここに来たことがあってね。ちょっと寄ってみただけ」

 

 ハニーの問いにそう答えながら、私は『元・オアシス』を横断するように歩く。

 昔は、ここに結構大きめの湖があったんだけどね。その周りには、決して多くはないけど、草木も生えてて……

 

 もう20年も前になるか。砂漠の国を体験するために、とか、ふわっとした理由でこの国にきて、商隊の護衛として砂漠越えに同行して。

 予想以上にきつい環境にひーひー言いながらもどうにかたどり着いたこのオアシスで……ああ、クロコダイルにも会ったんだっけな。

 

 結局あの後、特に『BW』にお呼びがかかったりすることもなかったな。

 まあ、賞金稼ぎじゃなくて海賊になっちゃったからか、あるいはあちこち行っててつかまらなかったからか……いや、そもそもあんまり深く考えてなかったのかもしれないけど。

 

 ま、特に入りたかったわけでもなければ、目を付けられたかったわけでもないし、いいや別に。

 

 その時にゆっくり休憩したオアシスも、見事に枯れちゃってるな……。

 

 水がなくなっただけじゃない。その上に砂が降り積もって、オアシス全体が埋まっちゃったみたいな……水没ならぬ、砂没?

 

「ここは位置的には、アルバーナのほぼ真南……風向きは、と……『折神』」

 

 私は手から何枚かの紙を出し、それらを鳥の形に折りたたんで変形させて、空に飛ばす。

 

「“風見鶏”!」

 

 飛び立った紙の鳥達は、しばし風を探るように、ゆらりゆらりと風を受けながら飛び回る。

 その動きを観察しつつ、能力を通して『風見鶏』達が受けた風を感じ取ることで……このあたりの風の向きを大体把握する。

 

 『4つの海』を回っている時に編み出した技……『風見鶏』。わずかな風や、そこに含まれる湿気なんかを鋭敏に感じ取って、現在の風向きなんかはもちろん、この先の天気や風向きをある程度予想できる技だ。

 嵐やその他の異常気象なんかを避ける上で便利だったから、何度もお世話になった。

 

 で、その『風見鶏』で探ったところによると……やっぱり、かなり南向きに吹いてるな。どうやら、空の上の方でも同じみたい。

 

 これが恒常的なものなら、アルバーナで『ダンスパウダー』が使われた場合、ここには雨雲がやってこなくなる。

 それが続いて、枯れちゃったわけか。

 

 なんだかちょっと寂しいな。

 別に大きな思い入れがあったとか、そういうわけじゃないにしても……思い出の場所が1つ、なくなっちゃった感じだ。

 

 砂に埋もれてるのは、クロコダイルの仕業か、それとも自然の砂嵐か……いや、水がなくなれば、風に乗って運ばれてくる自然の降砂だけでそうなってもおかしくはない……か?

 

「……まあいいや、そろそろ行こっか」

 

「移動ね、了解。次はどこに行くの?」

 

「不謹慎は承知で、王国軍と反乱軍の衝突とか、その痕跡みたいなものを見れたら嬉しいかも。戦いが起こってほしいとか言うつもりはないんだけどさ……それぞれの主張とか信念みたいなものに触れられるような何かがあれば見たい」

 

 ちょっと待ってね、と言いながら、ハニーが鞄から、ここ最近の新聞のバックナンバーを取り出し、素早く目を通して、アラバスタ関連の記事から情報を拾ってくれた。

 

「新聞記事から読み取った限りだと、この近くにも何カ所か、反乱軍と国王軍の小競り合いの舞台になった町やオアシスがあるみたいね。そこに行けば、何かあるかもね。戦いの痕跡とか……放置されてる死体とか」

 

「うわ。死体は……この国の気候なら、ミイラになってるか白骨化してるかのどっちかだろうね」

 

「ミイラはわかるけど、乾燥で白骨化する?」

 

「砂漠では食べ物は貴重。虫や小動物の餌になって骨だけ残るってこと」

 

「なるほど……生々しい話ね。で、どこ行くか決まった?」

 

「近くのオアシス跡地に行ってみようか。新聞だと、水資源を接収しようとした王国軍と、それを確保しようとした反乱軍の間で戦いになったみたい。ごく最近枯れちゃったみたいだけど、何か残ってるかも」

 

「了解。ま、反乱軍も国王軍もいなくなっちゃってるみたいだけどね」

 

「インタビューしたいわけじゃないし、別にいいよ。……物見遊山で外からやってきた奴にそんなこと聞かれても、当事者からしたら不快だろうし」

 

「あら、案外歓迎されるんじゃない? かの『海賊文豪』にコラムでも書いてもらえれば、国王軍にしろ反乱軍にしろ、世論を味方につけられるかもしれないって」

 

「そういう歓迎のされ方はノーサンキュー。今も昔も、私は書きたいものしか書かないよ」

 

 それに、この国で海賊が騒ぎを起こしたら……あいつ来るじゃん。

 何も騒ぎを起こさず、普通に滞在してる分にはいいかもしれないけどさ、クロコダイルと『バロックワークス』の主目的である、国盗りに関して邪魔だとか、影響あるとか判断されたら、襲われるかもしんない。それはヤダ。

 

 自分で言うのもなんだけど、私……世間に対して、影響力ある方だしね。ハニーが言ってた通り。

 

 目を付けられる、ないし見つかるの自体嫌だから、クロコダイルの拠点がある『レインベース』にもそもそも行かない、近づかないつもりだ。

 ギャンブルだのカジノだのは、『グラン・テゾーロ』でその数百倍の規模のものを見慣れてるからね、特にやりたいとも思わないし。

 

 

 

 その後、その戦場になったオアシスに行くと、まだ生々しさの残る戦闘の痕跡を見ることができた。

 

 そして同時に、難民らしき人達も何人か。

 話を聞いたら、この近くの村の人達らしい。しかし、その村は最近干ばつによって枯れ、住めなくなってしまって、今、他の村に合流すべく移動中なんだって。

 

 ここには水と食料の補給のために立ち寄ったらしいけど……残念ながらもう枯れていた。彼らは知らなかったみたいだ。

 それで、途方に暮れているところだったと。

 

 色々話を聞かせてもらったお礼ってことで、そのへんの問題は私が解決してあげた。

 

 『見聞色』で、ちょうど近くに大きめのトカゲみたいなのがいるのが分かったから、サクッと狩ってきて……その肉を食料として提供。

 水に関しては、余裕を持って大量に買っておいたうちの、樽1つ分を丸ごと、取材協力費としてプレゼントした。泣いて感謝された。

 

 その後、せっかくだから色々もうちょっと聞いてもいいか尋ねたら、喜んで話してくれるとのことだったため、遠慮なく色々質問させてもらった。

 最近の情勢とか、あっちこっちから飛び込んでくる噂話とかね。

 

 中には、『バロックワークス』が世論を扇動するために流したんであろう、コブラ王をおとしめるような内容のものもいくつもあった。

 

 それを聞いていた、お年寄りの人達が『国王様はそんなお人じゃないよ!』って怒ったように割り込んで言ってきて、

 『けど現にダンスパウダーが』とか『もう何か月も雨が』とか、若い人達や血の気の多い人達が反論して……あーもう、あんたらがいさかい起こしてどうすんの。せっかく美味しいもの食べて元気になったんだから無駄なことに体力使いなさんな。子供が泣いちゃうよ。

 

 しっかし、こういう光景見てるとつくづく思うけど、クロコダイルってホントあくどい、けど、巧妙かつ効果的なやり方でこの国を乗っ取ろうとしてるんだな……。おっかないおっかない。

 

 さて……じゃ、この国の取材はこんなところでいいか。ひとまず今はね。

 

 

 ☆☆☆

 

 

 その後も私は、時にはハニーを、時には魚人3人娘を、また別な時には3人の『娘』達の誰か、あるいは全員を引き連れて……たまに1人になりたいときには単独で、『偉大なる航路』をあちこち回って取材の旅を続けた。

 そして、そこで得た経験をもとに、本やら何やらを書いていった。

 

 海賊には過ごしやすいけど相変わらずガラが悪い『ジャヤ』。

 

 色々とめっちゃ長い動物たちが住んでる『ロングリングロングランド』。

 

 いつ行っても何かしらの催し物が開催されていて楽し気なカーニバルの町『サン・ファルド』。

 

 えりすぐりの美味しい食材や料理人が集まり、舌を楽しませてくれる美食の町『プッチ』。

 

 『エレナ』を超える規模と技術力で知られ、世界政府御用達の造船会社『ガレーラカンパニー』がある、水の都『ウォーターセブン』。

 ……すでにCP9がいるはずの時期なので、ガレーラカンパニーには行かなかったけど。

 世界政府もサイファーポールも嫌いです。水水肉その他の名物だけ食べて買って帰った。

 

 シッケアール王国は、もう何年も前に滅んでたみたいだし……なんか嫌な予感がしたので行かなかった。

 ……後で調べたら、今、やべーのが拠点にしてる場所だったって聞いて、当時の私の判断を誉めてあげたくなった。

 

 他にも、色々と謎な噂が聞こえてくる神秘の地として知られる『ルルカ島』や、珍獣たちがわんさか住んでいる『王冠島』、

 

 それに、『新世界』でもあちこち行った。

 政府の兵器が暴発して毒で汚染されたって言う話だった『パンクハザード』や、最近紛争が始まったっていう『ブロックコリー島』。アラバスタに続き不謹慎でごめんね。

 

 『前半の海』でも『新世界』でもない、『凪の帯』にもたまにね。

 もちろん行先は『女ヶ島』。ハンコックや、ソニアやマリー、それにニョン婆や、リンドウ達に会いにね。

 行くたびに新作をせがまれるんだよね。ここ、何気に私のファンがすごく多いから。狭い環境で皆が相互に勧めたり回し読みしたりするからかも。

 

 いやホント、色々回ったな、うん。

 

 そして、色々な出会いもあった。その場限りのものもあれば、今も交流続いているものも。

 

 ハニーに、魚人3人娘、カリーナ。

 あと何気に、原作キャラ(悪役含む)も何人か……詳しくは省略するけど。

 

 それに、私の『娘』達に……『パパ』。

 

 ほんと、色々な出会いがあって、色々な経験をしたもんだ。

 

 

 

 そんな感じで、『4つの海』から『偉大なる航路』に復帰して、気が付けば3年。

 『グラン・テゾーロ』をはじめとした、いくつかの島や国を拠点にしつつ、色々回った。

 

 あっという間に過ぎたなあ……1年が早く感じるのって、年取った証拠かなあ……。

 

 ……なんて思っていた、ある日のことだった。

 

 いつも通り、船の上でのんびり過ごしていた私は、今さっきニュース・クーから買った新聞を開いて……

 

「……お……お? おぉ!」

 

 思わずそんな声が出た。

 

 キッチンに立ってくれていたハニーが『どしたの?』って目を向けてきたけど、それにも応えず私は、手に持っている新聞……に、挟まっていた、1枚の手配書を見続けていた。

 

 おー、これが……うわ、何か感激。

 マンガの中でしか見たことなかったものの、実物を手に取ってみちゃったよ。ははは、楽しそうに笑ってるなあ……さすがは主人公だ。

 

 

 

WANTED

モンキー・D・ルフィ

(通称“麦わらのルフィ”)

懸賞金:3000万ベリー

 

 

 

 私、ベネルディ・トート・スゥがこの世に生を受けて、早や34年。

 

 とうとうというか、いよいよ始まったみたいだ。原作が。

 

 

 

 




とうとう原作開始の時代に追いつきました……長かった……
100話かかった、ここまで来るのに……

ここから徐々に、原作キャラとの絡みもさらに増えていくかと思います。
手始めに次回は……

今後ともよろしくです。
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