大文豪に私はなる!   作:破戒僧

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第104話 スゥとヒナ

 

 

 海軍がこの『キューカ島』を出る船にも、島に入ってくる船にも目を光らせている今は、ちょっとすぐに動くには適さないタイミングと見た私達。

 ひとまずここにとどまって様子を見て、警戒が多少なり緩んだタイミングで海へ出ることにした。

 

 その間、出歩くのは最小限にして、あまり町の人の目につかないように過ごしている。

 

 幸いと言うか、私が借りた部屋は、部屋と言うか屋上のペントハウス的な場所なので十分広いし、閉じこもっていても閉塞感はないだろう。

 

 現状、海軍が探してるのはMr.3とMr.2の2人。ここにいる3人は含まれていないけど……それでも顔が割れてる可能性はゼロじゃない。

 3人共元々裏社会の住人だしね。繰り返すけど、見つからないにこしたことはない。

 

 だから、食事とかその他諸々の雑事は、基本的にルームサービスで賄うことにして、時間が過ぎるのを待てばいいか、と思っていた。

 

 

 

 ……思っていたんだけども、

 

「久しぶりね、ベネルディ・トート・スゥ……いえ、『海賊文豪』と呼ぶべきかしら?」

 

「ご自由にどうぞ、ヒナさん。ええ……本当に久しぶりですね。というか、覚えていたんですか」

 

「忘れられるわけないでしょう。あなたには世話になったもの……色々とね」

 

 今、私の目の前には……ピンク色の髪と黒いスーツ、口元にくわえたタバコが特徴的な美女、『黒檻』の名で知られる海軍大佐、ヒナさんがいた。

 いやホント久しぶりだな。ファイヤーワークスの一件以来だから、もう20年ぶりくらいじゃん。

 

 1度しか会ったことないのに加え、お互いに多少なり見た目も変わってるってのに、こうして覚えていてもらえたとは……喜んでいいのか悪いのか。

 

 いや、喜ぶのはちょっと無理か。

 この人、海兵だもんな。今や海賊となり(名乗った覚えはないんだけど)、賞金首になってしまった私とは、相容れない立場になってしまったわけだから。

 

 というか、何でそのヒナさんがここに?

 いや、このキューカ島に残党狩りに来ているのが彼女だったって点にも驚いたけど、なんでこうして私の目の前に姿を現して……

 

 ちなみにここは、ホテルの中のロビーである。

 宿泊予定についてちょっと話すためにフロントに来たところで、待ち構えていたように姿を現した――本当に待っていたのかも知れないが――彼女に捕まり、『ちょっといいかしら?』って談話スペース的なここまで連れてこられた。

 

「正直、こんな形であなたと顔を合わせることになったのは残念としか言えないわね……賞金稼ぎという立場とは言え、あるいは私達海軍と上手くやっていける相手だと思っていたのに。ヒナ残念」

 

「そう言ってもらえるのはありがたいし、私自身できればそうありたかったんですけどね……まあ言っても仕方ないことなので、言い訳とか釈明みたいなのはしませんけど」

 

 ホントにね。私もさあ、あの一件で政府にいわれのない罪を着せられるようなことがなければ、今でも気ままに賞金稼ぎ兼作家やってたと思うよ。

 まあ、賞金首になったからこそできたこともあるから――そっち方面の友人とか、アウトロージャンルの本の出版とか――全く後悔ばかりってわけでもないけど。

 

「ひょっとしたらあなたのことだから、何か不本意な形でその立場になってしまったのかも、とは想像できたわ。けどこうなってしまった以上、私達は敵同士……そこは覆せない。私が海兵である以上はね」

 

「ということは、ここには私を逮捕しに? それは流石に勘弁してほしいんですけど」

 

「……大人しく捕まってくれるならそれもアリだったとは思うけど、今回は違うわ。この島で何も騒ぎを起こさずいてくれるなら……今日は私はこのまま帰りましょう」

 

 え、マジで? いいの?

 ダメ元、というかほぼ無理だろうなあと思いつつ言ってみただけなんだけど。

 

「先に言っておくけど、あなたに同情したわけでも、個人的な感情でもない。勘違いはしないでね。私は今、この島に潜伏していると思しきターゲットを確実に捕まえなければならない……そのために網を張っている所なの。その邪魔、ないし妨げになるような事態は避けるべき、それだけよ」

 

 遠回しな言い方だったけど、推察するに……この島でヒナさんが遂行すべき目的は、あくまでもバロックワークスの残党狩り。Mr.2、Mr.3両名の確保。

 恐らくはこの島に潜伏していると見ているが、何か騒ぎを起こして包囲・警戒網にほころびができてしまえば、その隙をついて逃げられる可能性がある。

 

 その『騒ぎ』には、私との戦闘も含まれるってわけか。

 

 自分で言うのもなんだけど、私はこれでも強い。

 ハンコックやテゾーロ、レイリーにシャッキー、それに『パパ』や、3人の娘達。

 色々な人の協力を得て修行して、フィジカルや戦闘技能はもちろん、『能力』に『覇気』も、それぞれ鍛え上げている。

 

 海兵との戦いは極力避けるようにしているので、私の戦闘能力に関するデータはあまり多くはないはずだけど、それでもヒナさんはどうやら、捕まえるにしても簡単にはいかない相手だと判断してくれているらしい。

 戦えば楽には逮捕できないし、それに注力している間に本命に逃げられる可能性がある、と。

 

 それに、恐らくヒナさんには……というか海軍には、世界政府からの圧力がかかってるはず。

 今回問題になっているバロックワークスの一件は、世界政府が権限を与えていた『王下七武海』の1人、クロコダイルが起こした不祥事だ。海賊に助けられたという事実は隠蔽し、海軍の手柄にしたとはいえ、失態に変わりはない。後始末には力を入れているはず。

 なんとしてもこの一件を決着させろ、と海軍もせっつかれているはずだ。それも、今回の主目的を最優先にする理由とみていいだろう。

 

 だから今は、こうして目の前に海賊がいるような状況であっても、確保に動くことはしない。

 見逃してあげるから、あなたも余計な騒ぎを起こしてこっちの邪魔をするような真似はするな。

 ……こんなところか。

 

「むしろ個人的な感情を言えば、あなたはこの手で捕まえて檻にぶちこんであげたいところだけど……我慢してあげるから感謝しなさい。ヒナ自制」

 

「あ、はい。それはどうもありがとうございます……嫌われてますね、私」

 

 まあ、海兵と海賊だし仕方ないか、とは思ったけど……ひょっとして理由、それだけじゃない?

 何か言いたげな、ぎろりとした視線を感じるんですが。

 

 まあ……一度堅気として会って、その時は感触的に相互に悪くないものだったにも関わらず、後から海賊になったわけだから、裏切られた的な思いがあるのかな?

 

 と、思ったんだが、どうも理由は全然違ったみたいで。

 

「……あなたが私に何をしたか忘れたのかしら? それとも……気にも留めていなかった?」

 

「え、えっと? 私……何かしました?」

 

 何かしたも何も、1度しか会ってないんだし、その時だってほんの数十秒話したっきりだよ? 何もしようもないと思うんだけど……

 あ、もしかして賞金首と知り合いだってことで海軍内でいろいろ言われたとか?

 

 しかし、次の瞬間ヒナさんが語った理由は、

 

「……あなた……私を勝手に、小説の登場人物のモデルにしたでしょう……!」

 

「…………あ゛」

 

 そういえば、そんなことありましたね。

 

 ええと、そうだ。私が割と新人の頃に作った『パイレーツスレイヤー』でだ。

 主人公の、不器用で寡黙でぶっきらぼうな賞金稼ぎの青年のモデルがスモーカーさんなんだけど……その幼馴染で、海兵になってエリート街道を突き進む少女が作中に登場する。

 

 気が強くて主人公に強くあたってばかり。力があるのに海兵になろうとしない彼にいつも絡む。

 けどその実、彼のことを大切に思っていて、故郷を守ってくれていることを感謝してもいる。

 彼の心の内を理解してもいるから、彼に『海兵になれ、その方が多くを守れる』と言うたびに、自分の心にも痛みを感じるような、優しくて健気な心を持つ……ヒロインである。

 ぶっちゃけて言いますと、主人公のことを少なからず思っている描写が随所にあります。

 

 しかも今思い出したんだけど、彼女の名前は『リナ』で、髪の色ピンクにしちゃった……武器は弓矢メインで本人とは違うはずだけど、うん、まあ……わかる人にはわかる、か?

 ついでに言えば、主人公の方は、名前こそスモーカーさんとは違う感じにしたけど、体格とか髪の色(白)とか、タバコを吸う癖とか、こっちも割とモデル丸わかりな感じに……

 

 結果、

 

「アレのせいで私とスモーカー君があの小説のキャラのモデルだって噂になって、しかも物語の中での2人の関係が関係だったから、どれだけからかわれたり邪推されたり誤解されたか……その弁明や火消しにどれだけ苦労させられたと思っているのっ……!」

 

 あ、それはマジですんませんした。

 

「しかもその噂が広まって、初めて会うはずの同僚や上司が私のことを既に知ってたりするし、そうなった時は決まってスモーカー君のこともセットで聞かれるし、スモーカー君はスモーカー君で弁明も何もしないから噂が独り歩きして余計にひどいことに……」

 

 ぷるぷると震えながら絞り出すように言うヒナさん。ガチで怒ってるわこれ。

 

 『リナ』はメインヒロインの1人として設定してるから、続刊全部に皆勤賞なんだよなあ……。

 ほぼどの巻でも出番も見せ場も用意されてて、半ば仲間内でも公認みたいな感じになってるし、主人公が他の女性と仲良くしてるところ見てやきもち焼いたり、活躍をほめてほしそうにちらちら見てきたり、色々可愛い一面も書いた。

 ……そのモデルとされてる人が目の前にいたら、そりゃ……周りの人も……うん、マジごめん。

 

 ……けどどうしよう。ちょっと私の手元に今、彼女をこれ以上さらに怒らせてしまいそうなネタが……2つほどあるんだが。

 

 1つは言わずもがな、マリアンヌ達をかくまっていること。

 

 そしてもう1つは……いやどうしよう。コレ言うべきか?

 でもなあ、言ったところでもうどうしようもないし、どうにかできるとしても私的に……

 

 なんて考えていた、その時だった。

 

「ともかく、この場は我慢してあげるから、あなたもくれぐれも私の……」

 

 そこでヒナさんが、何かに気づいたように言葉を止める。

 その視線は、少し驚いた様子で、私の後方に向けられていて……その先を追ってみると。

 

「あ、スゥ、見つけた」

 

「ちょっ、マリアンヌ!?」

 

 なぜか部屋で待っているはずのマリアンヌがそこにッ!?

 ちょっ、部屋から出るなって言ったじゃん! 食事とかその他色々なことについてはルームサービスで何とかしろって! なんでフロントに降りてきてんの!?

 

 い、いや大丈夫だ、ヒナさんがここで探しているのはMr.2とMr.3だけのはず。マリアンヌの顔だって知っているとは限らな……

 

 そんな風に淡い期待を抱く私の目の前で、ヒナさんは懐から何枚かの紙を取り出す。

 そこには、ジェムとミキータ、そしてマリアンヌの顔がめっちゃ上手に描かれた似顔絵が。

 

 あ……そういや、バロックワークスに似顔絵得意なラッコいたっけな。

 

 その絵とマリアンヌの顔を見比べて、ヒナさん、ふぅ、とため息をついてこめかみを揉む。

 そして、

 

「ふぅ……ヒナ仕事」

 

「おバカ! マリアンヌ逃げな、この人海兵!」

 

 あーもー、見逃してもらえそうなとこだったのに!

 

 

 ☆☆☆

 

 

「まさか、あなたもバロックワークスと繋がりがあったなんてね。ヒナ失望!」

 

「違いますよ、彼女と個人的に知り合いだったんでちょっとかくまってただけです!」

 

「だとしてもバロックワークスだとわかって協力しているのなら大差ないわ!」

 

「ごもっとも!」

 

 えー現在、ホテルのロビーで暴れるわけにはいかないので、外に飛び出して戦ってます。

 マリアンヌはとっさに飛ばした『折神』で鳥を作り、その場から逃がした。

 

 紙にしてしまってあったいつもの番傘を手に、格闘術主体で攻めてくるヒナさんと戦闘中。

 

 横凪ぎに放たれるヒナさんの蹴りを、傘で受け止めて防御する。

 

 しかしそれはフェイントだったみたいで、素早く踏み込んで切り返すように振るわれるラリアットが、私の腕ごと体に当たり……しかし、その衝撃は少しだけ。

 

 代わりに、その腕が変形して鉄の錠に変わり、私の体をすり抜けながら、腕と一緒にガシャン、と拘束する。

 

「おぉ、これが噂の……」

 

「私は『オリオリの実』の能力者……私の体を通り抜ける全てのものはロックされる!」

 

「知ってるよ。まあ私には効かないけどね!」

 

 直後に体をばらけさせて紙に変え、簡単に拘束を抜け出る。

 物理的な拘束は、私の『パサパサの実』の能力の前には無意味だ。どうやら覇気も使えないようだし……この戦い、私が圧倒的に有利だろう。

 

 が、そのくらいはヒナさんもわかってるはず。

 それでも立ち向かってくるってことは、海兵として私を逃がすわけにはいかないのと……私相手でも勝算があると思っているからだろう。

 

 例えば、部下に『監獄弾』か何かを使わせて拘束する、とか。

 能力者であるMr.2、Mr.3を捕まえようとしてきたんだ。そのくらいの備えはあると見ておくべきだろう。そう考えると、時間をかけるのは悪手。

 

 が、さっさと切り上げて逃げるのも、それはそれで私に都合が悪い。

 こっちも実は、マリアンヌ達が逃げる分の時間を稼がないといけない、っていう事情があるから。

 

 見聞色で見た感じ、今やっとホテルの部屋から逃げ出したところっぽいな。支度に手間取ったか……何にせよもうちょっと時間がいる。

 

 最悪の場合、監獄弾持ちの増援が到着しても、私ならどうにでもできるし、もう少し時間稼ぎに徹するとしよう。

 

 ……そうだ、ついでにちょっと、相手の冷静さを奪うために揺さぶりでもかけてみようか。

 

 ……そのついでに、ちょっとその……懺悔と謝罪も。

 

「ところでヒナさん、さっき言えなかったことだったんですけど」

 

「あら、何かしら?」

 

「小説のモデルの件、ホントすいませんでした」

 

「……それはもういいわ、大義名分ができたから、この場で堂々とこうしてあなたを捕まえることができるわけだし。監獄で存分に反省しなさい」

 

 口調こそ冷静さを保ってるようだが、額に青筋が見えます。

 

 ……ちょっと怖いな、この先言うの。

 

「その上でちょっと大変申し訳ないんですけど、残念な告知というかお知らせが1つ」

 

「…………何?」

 

 

「このたび……出版から20周年を記念して、『パイレーツスレイヤー“新装版”』の発売が決定しました!」

 

 

「……は?」

 

 

 『何言ってんだこいつ』的な表情になるヒナさん。

 よし、動揺してる。このまま勢いで全部言っちゃおう。

 

「20年前の発売当初の内容はそのままに、ファンサービスとして各種設定資料や作者自ら言及したそれらに関する解説の数々、挿絵の絵師さんが作った設定画などもおまけページに掲載、さらには書下ろしのオリジナルストーリーも付け加えて、来月上旬発売予定してます!」

 

「ちょっ……え? マジで?」

 

「マジです!」

 

(え、ちょっ……20年経って最近ようやく噂とかあんまりなくなってきたのに、今そんなことされたらまた再燃して……なまじ小説としては面白いから今の若い世代にも……しかも『海賊文豪』の名前自体今の方が知られてるから世界的にも……それこそ、私の部下にもたしかファンが……)

 

 なんかヒナさんの鉄面皮が剥がれて、心の中を読めそうなくらいに焦った顔になってるの笑う。

 『見聞色』気合入れて使ったらホントに軽く読めちゃうんじゃないかな? 冷汗だくだくだし。

 

 さらにこの先を告げるのが、気の毒だし悪い気がするけどちょっと楽しみ。

 

「さらに、専門の作家さんの協力の元、絵物語化(コミカライズ)企画も進行中! 活字でしか見られなかった主人公やヒロイン達が、笑って、怒って、動く様子が絵で見れる! 当然各キャラの表情も迫真の出来で、あんなシーンもこんなシーンも忠実に再現!」

 

「ちょっ!?」

 

「さらにこれはまだ検討段階だそうですが、新装版とコミカライズの売れ行き次第では舞台版の作成まで検討されてるとか、雑誌とかで作品ゆかりの地などを巡るような特集企画なんかも……」

 

「嘘でしょ? 嘘よね!? 嘘だって言いなさい!」

 

「そして特報! 完全オリジナルストーリーで続編執筆決定! 仲間達と生きるうちに人間として成長した主人公と、彼を慕うヒロインや仲間達にまた会える! 舞台はなんと最終話から1年後! 1年の間に、主人公達の間にも色々あったみたいで……ええっ、まさか主人公とリナがこんなことに!? こうご期待!」

 

「“袷羽檻(あわせばおり)”!!」

 

 ガチの殺気と共にヒナさんの大技……腕から鉄の錠を伸ばして左右から挟み込むそれが迫る。

 しかしそれをささっとかわして、私の口撃(誤字にあらず)は続く。

 

「そんな精神攻撃で私が動揺するとでも思ったら大間違いよ! デタラメを言うのも……人を馬鹿にするのも大概にしなさい!」

 

 うそつけ、めっちゃ動揺してますやん。

 

 後ろ見なよ。せっかく到着した部下さん達が呆気に取られてるよ。

 いつも冷静そうだもんねあなた。そんな姿部下に見せたことないよね多分。

 

 そして、デタラメだったらよかったんですけどね……ガチですぜ。全部。

 

 あと、部下さん達の中に、なんか色紙持ってきてる人何人かいるんだけど、え、サイン欲しいの? やだ嬉しい。後であげるから待っててね。

 

「念のために聞いておくけど、それ本当の話!?」

 

「全部本当です! 続編は現在、鋭意執筆中!」

 

「やめなさい! そんなことされたら、また……また、私の……私の平穏な生活が、人間関係が……私の平穏な時間を返せぇ!」

 

 キャラが壊れかけるほどに冷静さを失う貴重なヒナ大佐の図。

 

「私に対して少しでも悪いと思うなら、今すぐ出版を差し止めなさい!」

 

「断る!!!!」

 

「断った!?」

 

 悪いとは思ってる。そこに嘘はない。

 

 けど、それだけは、その頼みだけは聞けない。

 

 私は書きたいものを書きたいように書く。書くと決めたことは曲げないし変えない。書きたくないものは書かない。

 趣味に生きると決めた私にとって、『海賊文豪』になった私にとって、書きたい・書きたくない・書く・書かない……これらについて自分の心に嘘をつくことは絶対にしない。

 

 それは、割と適当な感じの性格をしているという自覚がある私の、数少ない鉄のポリシーだ。

 

 だから私は、書くと決めたものは必ず書く!

 表現の自由は誰にも止められない! 私の創作活動の邪魔をするなら、相手が海軍だろうが世界政府だろうが条例だろうが全力で抗うと決めている!

 

 観念してスモーカー大佐とのアレな噂に沈め、ヒナ大佐! 20年前を思い出すがいい!

 

「ふざけるな! ならば私がここであなたを捕らえて止める! 執筆途中ならそれで原稿を落とさせて出版は白紙にできるはず!」

 

「やれるものならやってみろ、私のペンを止められると思うなよ、政府の狗風情が!」

 

「“海賊文豪”ォッ!!」

 

 

 

 この数分後、マリアンヌ達がきちんと逃げ延びたのを『見聞色』で確認してから、私も上手いことヒナさんをあしらって退散した。

 

 あー、疲れたけどちょっと面白かった。

 

 なお、海兵さん達が持っていた色紙には、去り際に辻斬り的にサインを書いておいた。喜んでくれるといいな。

 

 

 

 

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