大文豪に私はなる!   作:破戒僧

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本章は今回でラストになります。
あと、あとがきにお知らせがありますのでご一読いただければと。

次はいよいよ……

第124話、どうぞ。


第124話 スゥと次なる目的地

 

 

 さて、また時系列は変わって……回想も終わって現代に戻ります。

 すなわち、マリアンヌ達を助けて、バロックワークスの残党達を救出し……そしてさらなる強さを望む彼女達を、パパのところに預けた後、だ。

 

 私はパパと一緒に、Dr.インディゴのラボの見学、ないし視察に訪れていた。

 

「ありがとねーパパ。マリアンヌ達、預かってもらって」

 

「何、いいってことよ……将来有望そうなのはどうやら事実だしな。裏の世界で生きていただけあって、それなりにやるようではあるが……それでもまだまだ中途半端な上に、能力者はそれに頼りきりで、てんで基本がなっちゃいねえ奴ばかりだ。正直もったいないとすら思う」

 

 あーわかるわかる。

 中途半端にしか鍛えられていないのに、それで極めた気になってる人って、敵として出て来てくれる分には歓迎なんだけど……見ててもどかしくなってくるよね。

 言い方がだいぶ悪いけど、原作アラバスタ編でクロコダイルが言ってた『能力だけにかまけたそこらのバカ』ってのは……うん。

 

 マリアンヌとかベープみたいな、非能力者とかならともかく……ジェムにミキータ、ドロシーにザラ……まだまだ能力的に伸びしろがありそうな人は多かったと思う、

 ああもちろん、マリアンヌ達もそっちはそっちで強くなりようがあるだろうし。

 

 ……ラッスーは……どうだろ? 元が銃(無生物)だけど……修行とかして強くなる余地、ある……のかな?

 

 まあ、そのへんも含めてこれからの頑張り次第だろうね。

 

「あんな程度じゃあ、これから先やってくる時代は生き残れねえ……ジハハハハ、この俺を頼ったんだ、中途半端は許さねえ。きっちり育てて、俺の手駒として活躍させてやるさ」

 

「あー……まあ、ある程度は仕方ないとは思うけど、お手柔らかにね」

 

 マリアンヌ達も覚悟決めて『金獅子海賊団』の門を叩いたんだろうけどさ。

 厳しい任務とかをただ単に任せるだけならともかく、原作の黒猫海賊団みたいに、使い捨て確定の任務とかぶつけないでよ。

 

 それはそうと、今日は私達、Dr.インディゴのところで何を見ることになるのかな……と、聞こうとしたところで、私の耳に、ひどく懐かしい笑い声が聞こえてきた。

 

 

「まーっはっはっは! どうだ見たか、これぞこの俺様の力! このワポル様の本当の価値というものだァ!」

 

 

「…………んん!?」

 

 まさかと思って振り向くと……そこには、何人かの研究者に囲まれながら、上等そうなスーツを着てふんぞり返っている……ワポルの姿があった。

 え? え!? 何で!? 何でアレがこんなところに!?

 

「ん? あの男が何か気になるのか、スゥ?」

 

「え!? あ、ああいや……何ていうかその……前に会ったことがあってさ。パパ、あれって確か、元ドラム王国の国王じゃ……?」

 

「ああ……少し前になるが、傘下の海賊団の連中が拾ってきてな」

 

 現在、『金獅子海賊団』は勢力の拡大に力を入れているんだけど――ただし、海軍とかに目を付けられないように、ひそかに、だ――傘下の海賊団にも声をかけて、有用そうな人材のスカウトとかも進めているらしい。

 その任務を帯びていた傘下の海賊団の1つが、偶然見つけたのがワポルだった。

 

 最初見た時は、『なんか薄汚い上に妙な見た目のホームレスがいる』としか思わなかったそうなんだけど……よくよく見てたら、どうやら能力者らしいことがわかった。

 河原に落ちてる金属ゴミをバリバリ食べたかと思ったら、それをなんかこう……オモチャみたいな形に加工して吐き出してたから。

 

 そんで、能力者ならワンチャン利用価値があるんじゃないかと思って、拾って来たそうだ。

 

 清潔な住処とちゃんとした食料を用意してやるからついてくるか、って聞いたら、泣きながら二つ返事で頷いたって。

 

 で、連れ帰ってしばらく調べてみたところ……ワポルが能力を作って作り出す合金は。形状記憶合金として非常に優秀な性質を持っていた。

 詳しくはまだ聞いてないけど、過去に例のない強度と伸縮性を兼ね備えているとかで……様々な用途で非常に画期的な素材として力を発揮するだろう、とのこと。

 開発者……じゃなくて生産者の名前を取って『ワポメタル』と名付けられたんだそうだ。

 

 今ではすっかり『俺様がこの合金を生み出した!』的な感じで傲慢さを取り戻しているが……

 

「ああいう根っこが小物でチンピラに近いような奴を飼いならすなんざ、赤子の手をひねるより簡単ってもんだ。適当におだてて誉めて色々与えて、いい気分にさせてれば、勝手に満足してこちらの期待にも応えてくれるからな」

 

「あー……パパなら確かにそのくらい朝飯前か」

 

 根っからの悪党であるワポルではあるが、根本的に器が全く違うパパという大悪党にいいように利用されているようです。しかも自覚すらなく。

 ……いやまあ、それはかえって幸福なのかもだけどね。

 

 そういや、前世で何かのテレビだか本でも、こんな格言というかセリフがあったっけな。

 

『何故悪い子に育っちゃいけないのかわかるかい? 嘘つき、卑怯者、そういう『悪い子供』こそ……本当に悪い大人の格好の餌食になるからさ!』

 

 それこそ、普通の『いい子』よりもそうなんだよね。

 パパとかが三下の海賊を手足のように自由自在に転がしてる様を見ると、つくづくそう思う。悪党としての年季も格も、何もかも違うんだなって。

 

 ま、それは別にいいや。

 『ワポメタル』とやらを上手く活用して、これまで以上にDr.インディゴ率いる研究班が色々なものを作っていってくれることだろう。

 

 

 ☆☆☆

 

 

 その後、ラボの主であるDr.インディゴと合流した私達は、彼の案内で色々なものを見せてもらったわけだが……いやあ、さすがだとしか言いようがない。

 えらいもんが出来上がってたよ……さすがパパお抱えの技術者。

 

 まあ、『できてた』というよりは……もっと前に既に出来上がってたものの育成ないし進歩の経過を見させてもらったんだけどね。

 報告は簡易的に聞いて知ってはいたけど、実際にこうして目にするとやはり驚かされる。

 

(『TABOO』、か……)

 

 私が知るワンピース原作の知識の中には、間違いなく登場しなかった単語だ。

 『SMILE』以外の人造悪魔の実なんて――その概要やリスクだって詳しくは知らなかったし――私が知る限りではあるけど、伏線も含めてどこにもなかった……と思う。

 

 やっぱ、私がこの世界に生れ落ちて、パパの陣営に協力したことによる、バタフライエフェクトの類……なんだろうな。

 そうなると、この『TABOO』の存在や、それによって生まれた『能力者』達が……この先、この世界の行く末に大きくかかわってくることになるんだろうな。

 

 もしかしたら、私の持つ原作知識ってものが役に立たなくなる未来も……案外近いのかもしれない。

 

 まあ、放っといてもあと2年ちょいすれば、私の原作知識(ドレスローザ編終盤)に追いついちゃうから……そこで確実に未来は全くの『未知』になるんだけどね……それは今更気にするまい。

 

 今までだって、そこまで原作を意識して動いたことなんて……いや何回かはあったけど、そこまで多くなかったはず……だし。

 『マリージョア襲撃事件』でハンコックを助ける時とか、アラバスタから『歴史の本文』パクッてくる時とか……そのくらいだと思う。

 

「いい仕上がりじゃねえか、Dr.インディゴ。これなら十分な戦力になるな……それこそ、『S.I.Q』で強化した島の動物よりも、な」

 

「おほめいただき光栄です、親分。ただ、万全を期すのであればもう少しかかってしまうかと……」

 

「それは構わんさ、途中で大きく歯車が狂っちまったからな……だが、それも悪いことばかりじゃなかった。動き出すならあと2年くらいか……いや、直近でもある程度は事態が動き出すかもしれねえな。その時にどう動くか、考えておくとするか……」

 

 いつものように何やら企んでいるらしいパパ。

 

 確かにあれらが完成すれば、場合によっては……それこそ、下手な本物の『悪魔の実』の能力者以上の強大な戦力になるのは間違いない。

 ひいき目抜きに見ても、とんでもない戦力アップにつながると思う。

 

 ……まあでも、私としては――あと多分、私以外の娘3人も――あれらをただ単に戦力としてみることはしないだろうけど。

 むしろ……かわいがる方向で行くんじゃないかな……特に、レオナとアリスあたり。

 

「『メイド隊』もそろそろ実用段階に入っていますからね。もう少しで、お嬢に同行して外出が許されそうな者も出てきそうだと聞いています。もしかしたら、数日中にも」

 

 ……いや、ホントとんでもないもの作ったよね、Dr.インディゴ……。

 

 初めて見た瞬間、どうにか口には出さなかったけど……脳内で『この世界『ワンピース』だよね!?』って叫んじゃったのを今でも覚えてるよ。

 

 そんなことを考えていると、

 

「それでなスゥ……ちっとお前に頼みてえことがあったんだがよ」

 

「? 頼みたいこと、って……何?」

 

「Dr.インディゴ、説明を」

 

「はい。こちらを見てください、お嬢」

 

 そう言って差し出された書類に目を通すと……これって、パパの義足の設計図?

 いや、今使ってるものとはまた微妙に違うな……これから作る改良案か。

 

「先ほど既にご覧いただいたようですが、形状記憶合金『ワポメタル』の研究が進んだ結果、大幅に性能を改善できる見込みが出てきまして。それに伴って設計からやり直したところ……武装を格納できるスペースがいくつか作れそうなのですよ」

 

「ふーん、あ、ホントだ。あちこちに……でも、この大きさじゃそんなに大したものは作れないというか、搭載できないんじゃない? 重量とか駆動性に難が出てきそうだけど」

 

「お察しの通りで。ですが、全くのデッドスペースにしたり、ただ単に強度を上げるためだけに使うというのも微妙にもったいないくらいの大きさであるのも事実でして……そこで、『(ダイアル)』を組み込んでみようかと考えているのですよ」

 

「ほー……なるほど。アレなら確かに、分野は限られるけど、省スペースで大きなエネルギーが発揮できるか」

 

 それに、『貝』はこの研究所やその周辺施設で養殖に成功してるから、たくさん手に入るしね。

 

「ええ、ですが、何せシキの親分が使うものですから……中途半端なものを搭載してもそれこそ邪魔になってしまいます。そこでお嬢には、まだ見ぬ強力な『貝』を探してきていただきたいと思いまして」

 

「俺以外で自由に空を飛べる能力者は限られるからな……その中で信頼がおけるのはお前だけだ。今までに行ったことのない空島を見つけて、可能な限り色々な種類の『貝』を持ち帰ってくれ。『空島』がありそうな場所の情報は部下に調べさせたから、後で届けさせる」

 

「か、簡単に言ってくれるなあ……まあいいや、わかった。やってみるよ……ただ、見つけられなかったらごめんね」

 

「おう。まあ一つ気楽に頼まぁ」

 

 

 ☆☆☆

 

 

「そんなわけで、新しい空島を探すことになっちゃったんだよね」

 

「それはまた……大変な任務言い渡されたわね、お嬢様……」

 

 うわぁ、とでも言わんばかりの顔になってそう言ってくるハニー(今回のお供)。

 長旅かつそこそこ過酷な旅になるだろうから……私ひとりじゃなく、前みたいに同行者と一緒に行こうと思って、呼んだ。

 

 この後さらに、魚人3人娘とも合流して、『4つの海』の旅終盤で一緒だった5人で行くつもりである。

 

 なお、何か言う機会無かったかもしれないけど……その旅の時に、『お前色々抜けてるんだから何人かお供連れて行っとけ』って言ったのがパパである。

 彼のおかげで、あの5人旅が実現したりしていたのだ。

 

 そしてその時に『あたしも!』『わしも!』『ボクも!』って立候補してきていた娘たちについては、まだまだ未熟だってことで却下になりました。修業期間。

 

 ところで、ハニーは今、空島っていう場所や環境のことを指して『大変』といったつもりだろうけど……私的には、また別な意味で『大変』だと思っていた。

 

 だってさあ……今って、時期が時期だから。

 アラバスタ王国の動乱……もとい『アラバスタ編』が終わった後で、そんで『空島』って言ったら……ワンピース原作で、ちょうど『麦わらの一味』が空島を訪れる『空島編』が始まってるはずなんだよ。

 今このタイミングで空島に行くと、彼らに会う危険が高まるわけだ。

 

 もちろん、空島と一言に言っても『スカイピア』以外にも空島はいくつもあるし、別な空島に行けばいいじゃない、とは思うんだけど……空島って多くの場合、風に流されたりして移動してるから、ひとところにとどまってないんだ。だから、見つけて行くのがかなり難しい。

 場所を把握していて行ける空島は、もう割とすでに探索しつくしちゃってて、そこで採れる『貝』もすでにパパに渡してあるはず。今までに行ったことのない空島に行かなきゃいけない。

 

 ……そして、私まだ『スカイピア』には行ったことないんだよね。

 さらに言えば、私はちょうど、その『スカイピア』が、近々にどこに現れるかを知ってる。

 

 さっきも言った通り、正確にいつ、とかではないけど……この時期に『ジャヤ』に行けば、近くの海に、雲の化石こと『積帝雲』が現れるはず。そこに向かって飛べば……

 

 行けばタイミング的に、必ずと言っていいくらいの確率でトラブルに巻き込まれそうだけど……いや、主人公勢とカチ合わないように気を付けて動けば大丈夫か?

 私としては、原作主人公達にかかわるつもりはないというか、原作の流れをみだりに変えるようなことはしたくないというか……いやでも、そこそこ原作キャラにはすでに会って色々しちゃってるし、今更な気も……もう別に気にしなくていいか?

 いやでも、さすがに主人公たちと会うってなると、脇役やチョイ役に会うのとは全然違う気がするし、それが原因で何が起こるかわからないのが怖いな……

 

 いや、でもやっぱり今更だな。

 

 さっきもちらっと触れたけど……『バタフライエフェクト』なんて言葉もあるくらいだ。

 私という異分子がこの世界にいるって時点で、この世界は元の『原作』のそれとは、時に些細な、時に大きな差がすでに生まれているはず。

 それが最終的に何をもたらすことになるかなんて、考えてもわかりやしない。

 

 それに、前に既に考えたじゃないか。ここはもう、私にとって『ワンピース原作の世界』じゃなく、『ワンピースの世界であると同時に、確かに私が生まれて、そして生きている世界だ』って。

 だったら……私は私のやりたいようにやって、生きたいように生きよう。そんで、行きたいところに行こう。

 

 その結果、ルフィ達に関わるようなことになれば、その時はその時だ。

 何もしなければ、案外何事もなく終わって、お使いも完遂できて……その裏でルフィ達が変顔神をぶっとばしてるかもしれないしね!

 

 うん、気を楽にしていこう! 考えすぎだ、そうそう変なことなんて起こりやしないさ!

 さあ行くぞ、『スカイピア』!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 うん、フラグだったよ。

 

 

 

 




前書きで述べました通り、これにて第8章終了になります。

そして次回より、『スカイピア編』開始です。

ただ、それにともないまして……例によってプロット等の見直しをしたいので、少し間にお時間をいただきたいと思います。
来月の頭、なるべく早いうちには再開したいと思ってますが……

あと、ここ最近回想と現在を行き来しすぎて、どの話がいつのタイミングなのかわかりにくくなって、作者も危うく見失いそうになりまして…(思いついた順に書いてるから…)
なので、近々整理する意味で年表か何か作るかもです。簡単なものだと思いますが。

今後ともよろしくお願いいたします。
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