本日から再開+新章開始になります。
第125話、どうぞ。
第125話 スゥ、ついに邂逅
パパに頼まれた『おつかい』のため、空島を目指すことになった私達。
遠いし危険もある場所なので、お供としてハニーと、いつもの魚人3人娘……リュビ、サフィル、エムロードを連れて行くことになった。
彼女達であれば、一応『覇気』もそれなりに使えるから戦力にもなるし……3人共魚人だから、泳ぎは得意だ。潜って野生の『貝』を獲る時とかに活躍してくれるだろう。
ただ、予定外だったのは……もう1人、同行者が増えたことである。
「あなたも一緒に行くとはね、ルプー。……大丈夫なの? 初めての外出がいきなり『空島』なんて変な場所で」
「そんなこと言わないでくださいっス、リュビ! せっかくDr.インディゴ達から合格出て、次からお嬢に同行して問題ないって言われたとこだったんスから!」
そんなことを言いながら、私の目の前で、リュビにそう言い返すメイドが1人。
赤茶色の髪の毛に、褐色の肌が特徴的な美少女だ。
見た目的には女子高生くらいに見える。すらりとしたやせ形で、ミニスカートのコスプレメイド服に身を包んでいる。ニーハイとスカートの間にできる絶対領域(褐色)が個人的にはよき。
「それに『空島』なら、ある意味いつもいるみたいなもんっスから。酸素濃度が薄い環境にもなれてるし、全然動けるし戦えるっス。もちろん、メイドとしてもお役に立ってみせるっスよ!」
口調はちょっと独特かもだけど。
さて、この娘……ルプーは、今ちらっと言った通り、初めて今回私の旅に同行する子である。
普段は『メルヴィユ』の私の拠点で、私と娘たち3人の専属メイドとして働いている子なんだけど……色々な理由で外に出て私に同行することはできず、そこでのみ交流を持っていた。
詳しく話すと、ちょっとややこしい上に長くなるので今は省くが。
しかしこのたび、教育係の人やDr.インディゴからも合格をもらえたので、そこを出て外でも私に同行し、メイドとして仕えられるようになった。
そんな時にちょうど、私がスカイピアに行くために同行者を探していると聞いて、テゾーロ達に連絡を入れて猛烈にアピールしてきたそうだ。
で、熱意に負けて連れて行くことになっちゃったんだよね。
まあ、人手ないし従者が1人増えたんだと思えばいいだろう。メイドとしての能力は確かにあるのは知ってるし……戦闘能力も申し分ないしね。
何だったら、後者に関してはハニーや3人娘よりも確実に上だ。覇気も使えるし。
ただ、能力者だから海で戦うことはできない。なのでそのへんは役割分担になるだろうな。
それに、万が一私やハニー、ルプーが海に落ちたりした時には、リュビ達3人に助けてもらわないといけないわけで……その意味で考えれば、泳げる人(魚人)と泳げない人(能力者)がジャスト半々になってるわけだから、ちょうどいいのかもしれない。
「しかし、『メイド隊』の6人姉妹の中であんたが一番に合格をもらうとはね……」
「ええ、正直意外ですわ。てっきり一番はユリかナーベあたりだと思っていたのですが」
「私はシズかソリュシャンかなー、って思ってたけど……ルプーはやっぱり最後だと思ってたよ」
「大穴でエントマもあるかなとは思ってたけど……あんたは正直候補にも入れてなかったわね」
「皆ひどいっス……」
そんなわけで、今回の旅は、私、ハニー、リュビ、サフィル、エムロード、そしてルプーの6人で行くことになりました。
「あんまりキャラ増やし過ぎると書きわけが大変で、出番が偏ったりしちゃうから気を付けないとな……」
「? 何の話っすか、お嬢?」
「小説の話ー?」
「そうそう、小説の話」
頭の上に『?』マークを浮かべて聞いてくるルプーとサフィルにはそう返しておく。
さて、それじゃあ早いとこ向かいますか。
皆船に乗れー、飛ばしてくよー。二重の意味で。
☆☆☆
そんでまあ、文字通り『飛ばして』……船の中に格納されている、紙粘土製の『翼』で空を飛んで、『空島』に到着。
地上に『夜』をもたらすほどに分厚く、また状態が安定しているために降雨も落雷も発生しない雲の化石『積帝雲』の中に突っ込み……『スカイピア』に突入。
リアルというか、そのまんまの意味での『雲海』が一面に広がっている光景は、いつ見ても夢のようで……絶景と言っていい見事な景色だと思う。
残念ながら、この『海雲』を泳ぐことはできないけどね、私もハニーもルプーも能力者だから。
それだけは毎度残念なんだよなあ……1回、泳いでみたかった。雲の海。
まあ仕方ないので、速やかに『
空島の海には『海底』がないので、基本的には『貝』も生息できない。なので探すべきは、『島雲』の近く、陸地になっている場所の浅瀬あたりということになる。
やり方はこうだ。
まず私が空を飛びます。
紙の羽を生やして自分で飛んでも、私を乗せて飛べる大きな『折神』を作ってそれに乗ってもどちらでもいいんだけど……今回は後者にした。なんとなく。
その状態で遠くまであたりを見渡し、『島雲』を探して、小電伝虫で連絡します。
船にはハニーとルプーが待機していて、私から電伝虫で連絡が来たら、もう1つ別な電伝虫で、雲海の中で待機しているリュビ達にそれを伝えます。
そしてリュビ達がその場所に向かい、速やかに『貝』の捜索を行い、あれば船に持って帰ります。
そして『貝』を探している間に、私は次の採取スポットを探します。
この繰り返しで、野生の『貝』を探し、集めていく。
パパに言われていた、『まだ見たことのない新種の『貝』が欲しい』という要望には、可能な限り応えたいとは思ってるけど……こればっかりは数をこなして集めまくるしかないよな。
どんな『貝』がどんなところに生息してるかなんて知識、私達にはないから。
養殖するなら生きた『貝』が一番いいけど、最悪、Dr.インディゴなら貝殻だけでもクローンか何かで再現してくれると思う。
実際そのやり方で、何度か貝殻から『貝』を復活させて、そのまま通常の養殖に成功してるし。
それならやっぱり、絶滅種とか欲しいと思っちゃうけど……
「さすがにそううまくはいかないか……」
『えー、どうしてお姉様? いっぱい獲れてるけど?』
『でも、どれも見たことあるやつばかりね……養殖にも成功してたはずだし、不要かしら?』
『ですが、この辺りは割と探索しつくしたと思いますわ。違うものを探すのであれば、もっと別な場所を……大きく移動して探すくらいしかできないかと』
『でも、空島って割と似たような環境で安定してるとこ多いから、必然的に住んでる種もほとんど同じような感じになっちゃうっスよね。生態系が変わるくらいの距離となると……相当に遠くまで移動しないとダメっすよ、多分』
『……あるいは、思い切って高さを変えるか……ね』
子電伝虫の向こうから聞こえてきたそんな会話に、私も、やっぱりそうなるかぁ……と、内心でため息をついた。
そのまま、かなり大きく作った鳥の『折神』の上で、ごろりと横になる。
今まで取れたのは、『
どれも、見たことあるし養殖にも成功している『貝』だ。
今まで見たことないような珍しい『貝』なんて、そうそう簡単に見つかるわけないよね……欲しいなら、相応に珍しい、ないし特別な環境の場所まで足を運ばないと。
一応、そういう場所に心当たりあると言えば、ある。
『積帝雲』の中にあるこの『スカイピア』は、全体の構造が2層に分かれている。
1つは、私達が今いる下層の『白海』。高高度には変わりないが、比較的低い位置の層。
そしてもう1つは、ここから見てさらに上側にある『白々海』だ。
『白々海』なら、ここでは見られなかった『貝』も多く手に入るんじゃないかと思う。
横じゃなく縦方向に場所を変えれば、高度の問題もあってかなり環境は変わるからね。
ただ、あそこに行くと……原作イベントに関わらざるを得ない確率が上がるんだよなあ。時期が時期だし、内容的に『スカイピア』全体を巻き込むやつだから……。
その前にさっさと目的を達成して帰れれば、って思ってたんだけど……うーん、どうだろう。
けどまあ、そのへんをいちいち考慮しなければ、大量に珍しい『貝』を、それこそ確実に手に入れられる場所でもあるんだよなあ。
それこそ、絶滅種だって手に入りそうだ。『空島編』も佳境の戦いの中では、敵も味方もポンポン絶滅種の『貝』を投入して戦ってたし。
……いっそ、開き直ってがっつり介入しちゃうのもありか?
原作ファンとして、そのへんの大まかな流れにはできるだけ干渉しないでおきたい、とか無意識に思って避けてはきたけど、思えば意識しないところで、もう既に色々と関わってるような気がしなくもないし……ハンコックとか。
んー、でもなあ、いまいち踏み切れないんだよなあ。
いっそ何か、踏ん切りがつくようなきっかけか何かでもあれば…………
……なんて思っていた、その時だった。
「……ムのォー……!」
ふいに私の耳に、すごく遠くに人の声のような何かと、次いで、『ひゅううぅぅ……』と、何かが風を切って飛ぶような音が聞こえてきて…………そして次の瞬間、
「ロケットォ―――!!」
「ドギャス!?」
突然、乗っていた鳥の『折神』のどてっぱらに、何かが勢いよく激突してきた。
その衝撃でバランスを崩し、私はそのままゴロゴロと転がって――不安定な場所で寝転がっていたのが悪かった――空中に放り出されてしまう。
え、何!? 何が起こったの今!?
何かぶつかってきたような……鳥!? いや、人の声したぞ!?
というか、今の聞き覚えのある……なんか、太陽拳とか使ったり、空から落ちてきた女の子とか受け止めそうな感じの声は……!
転生して34年たった今でも耳に残っている、会ったことがなくても誰の声だかわかってしまうこの声はッ……!!
「あれ? 鳥じゃねえ、紙? ……ん? 誰だおめェ?」
「……ッ……!?」
落下の間際、きょとんとした顔で同じように落下している1人の少年、ないし青年。
赤いベストに青いズボン、そして何より、頭にかぶった麦わら帽子が特徴的な……見覚えがありすぎるその顔は、間違いなく……間違いようもなく……
(あ、会っちゃった~~~!!
そして、予想外にも程がある突然の邂逅に、驚くことしかできていなかった私は……ハッとして自分の状況を思い出すも、時すでに遅し。
「あっ!」
「あ」
―――ドボォン! ×2
…………あ~、雲の海ってこんな感触なんだぁ……(現実逃避)
★★今回登場したキャラについて★★
〇ルプー
冒頭付近で唐突に登場してきたスゥのメイド。
オリキャラっていうかクロスオーバーキャラ。
知ってる人は普通に分かると思うけど、元ネタは『オーバーロード」に出てくるドSメイド『ルプスレギナ・ベータ』です。一緒に名前が出てきた姉妹たちも同様。
このキャラは、作品自体のクロスとか、設定ごと持ってきたわけでは全然なくて、ただ名前とか見た目が同じだけのこの世界産のキャラ、という立ち位置です。
そっちの原作は知らなくても全然問題ないように書くつもりです。
この世界でのこのキャラの設定や、そもそもの正体などは、今後徐々に書いていくつもりです。何で唐突に出てきたのか、も含めて。
まあ、ほとんど作者の趣味とノリですが、一応理由もあります。
今後ともどうかよろしくです。