「「うんんめェ~~~っ!!」」
はいどうも、スゥです。
現在私は、『麦わらの一味』の皆さんと一緒に、ちょっくら『白海』のはずれにある小さな『島雲』の上で、楽しくバーベキューを行っています。
食材はさっき襲ってきて、一瞬でルプーが返り討ちにして仕留めてくれた大型空魚。
コレを使って、サンジが海鮮バーベキューを作ってくれることになったのだ。『ご迷惑かけたお詫びです、皆さんもどうぞ』って招待もしてくれて。
で、さっきの喜びの咆哮は、ルフィと……うちのメイドの2人の声が揃ったものである。相変わらず食欲にもきちんと忠実なようで何より。
いやでも実際美味しいな……味付けも焼き加減も完璧だ。さすがは一流コック。
その美味しい料理のおかげで、さっきからさすがにちょっと刺々しい雰囲気だった、私の仲間達も……少しだけ怒りや苛立ちを収めてくれたみたいである。
「どんどん焼いてくれーサンジ! まだまだ食うぞ!」
「おう、好きなだけ食え、食材ならまだまだあるからな。ルプーちゃん達も遠慮なく食ってくれよ」
「そりゃもう、私もまだまだこんなもんじゃ足りないっスよ! いやーしかしあんた料理上手いっスね? もうびっくりっス」
「全く、ルプーは相変わらず単純なんだから……まあでも」
「確かに美味しいですわね……」
「私も! 私もおかわりー!」
とまあ、こんな感じで皆で楽しくお食事会やってます。
うんうん、丸く収まりそうでよかった。
魚人3人娘もそうだし、残るハニーも同じように、料理の味に感心している様子である。
「調理法は簡単で、調味料も決して珍しいものは使ってなかったのに、これは……一流ホテルのレストランでもなかなか食べられないレベルだわ。すごいわね……」
「そうだろー? すげーんだぞうちのコックは。ししししし!」
自慢気にそう言いながらも手も口も止めず、豪快にバーベキューをほおばり、骨ごとバリバリと食べるルフィ。仲間であるサンジを褒められて嬉しいらしく、満面の笑顔である。
そのまましばし雑談した頃になって、
「えぇ!? じゃあおめーも海賊だったのか!?」
ルフィがそう驚いた様子で叫んだ。
私のことを知っていたロビンが、雑談の中で、私が海賊だと口にしたからである。
「あーまあ、一応ね。もっとも、海賊って私から名乗った覚えはないんだけど」
「『お嬢様』とか『お姉様』なんて呼ばれてるから、てっきりどこかのいいとこのお嬢様かと思ったわ……しかも、懸賞金7600万ベリーって……」
「ってことは、ゾロより強いのか!?」
「あったりまえっス! うちのお嬢は可愛くて強くて頭もいい、自慢のご主人様なんすよ!」
えっへん、と、私の自慢話でなぜか自分が胸を張るルプー。
「ベネルディ・トート・スゥ……もしかしたら、こう言った方が皆、わかるんじゃないかしら? 別名……『海賊文豪』」
「「「え!?」」」
そのロビンの言葉を聞いて、ナミ、ウソップ、チョッパーがさらに驚いた様子で私に注目。
あ、そうか。そっちの名前なら知ってもらえてる可能性も高かったか……自分で言わせてもらうけど、結構有名人になった自覚はあるからね、作家としての私なら。
「あ、あなたがあの!? 『海賊文豪』って……え、本物!?」
「マジかよ! 俺、小さい頃からすげえ色々読ませてもらった覚えあるぜ! 冒険小説とか、英雄譚とか! カヤの家にも色々揃っててよ、遊びに行くついでに借りたりして……」
「おれもおれも! どれも面白くて、いっぱい読んだぞ! あと、昔ドラム王国に来たことがあるってホントか? 俺の故郷なんだ!」
どうやらファンでいてくれたみたいで、握手とかしちゃった。あと、ウソップとチョッパーはよっぽど嬉しかったのか、サインも書くことになっちゃった。
原作キャラ……それも、主人公陣営の人からそんな風に言ってもらえるとは……こっちはこっちで内心恐縮しつつ、応じさせてもらった。
一方で、ルフィとゾロはあんまり本とか読まないからか、私のことは知らなかった様子。うーん……残念。
サンジはというと、知ってはいたけどそこまで熱心な読者ってわけじゃなかったみたい。
驚いてはいたし、『会えて光栄だ』とも言ってくれたけど、それ以前に『女性だから』という理由で大切にしてくれてたから、対応的にはそのままである。
そして残るロビンはもちろん知ってたし、著書も色々読んでくれてたようだ。
子供の頃からずっと読んでて知ってるって。一味の中でも、年数的に一番古株のファンでいてくれているらしい。
……ロビンの子供時代って、かなりハードな逃亡生活だったと思うんだけど……その合間に読んでくれてたんだろうか? 私が作家として活動始めたの、『オハラ』が滅ぶちょっと前くらいだったはずだし……
するとそれを聞いてルフィが、
「え、ロビンの子供の頃って……じゃあおめー、ロビンより年上なんか?」
「おいバカ、レディに年齢の話なんざ……」
「あははは、いーっていーって、そんなん今更気にしてもいないしさ。もう今年で34歳のおばさんだよ、私」
「さ、34歳? にしては……」
「むしろすげえ若いと思うんだが……え、マジで? 俺やルフィの倍?」
「そう言えば確かに、『海賊文豪』の本って20年以上前のとかあったっけな……おれ、まだ生まれる前だ」
あら、ありがと。
まあこんなんでも、とある新聞で世界女海賊美女・美少女ランキングでベスト10入りしたこともありますからね。多少なり自信は持てる容姿だと思ってるよ、実は。
「おばさんなのにお嬢様って呼ばれてんのか?」
「テメェルフィゴルァ!! これ以上レディに失礼なことぬかすんじゃねえ!」
「おぅ、さっきからちょ~っと言いすぎじゃないっスかね? お? うちのお嬢の年齢に何か文句でもあるんスか? いいんスよお嬢は、実年齢は大人でも頭ン中は子供だから」
「あんた一番失礼よ、バカルプー!」
☆☆☆
バーベキューが終わるころには、最初にあったわだかまりもすっかりなくなり、私達と『麦わらの一味』はすっかり打ち解けることができていた。
そしてこのまま、流れで一緒に『白々海』を目指すことになった。
ルフィ達は『記録指針』が指し示している先が、この『白海』よりも更に上だから。
私達はもちろん、ここでは手に入らない『貝』を手に入れるために、だ。
(もうなんかガッツリ関わっちゃったしね……怖がったり変に遠慮する必要もないでしょ)
ゴーイングメリー号に並走する形で、点在する『島雲』を避けて進んでいくと、すぐに『天国の門』……白々海への入り口に到着する。
それと同時に、建物内から1人の天使……天使?が出てきて、パシャリ、とこっちの写真を撮ってくる。
「観光かい? それとも戦争かい? どちらでも構わない、上層に行くんなら、入国料1人10億エクストル置いていきなさい。それが『法律』」
「じゅ、10億エクストルって……ベリーだといくらなんだ?」
「あの……もしお金、なかったら?」
「通っていいよ」
「いいのかよっ!?」
あーそうだ、覚えてるぞこの場面。
このおばあさんの名前とかは忘れちゃったけど……『通っていい』とか言っといて、いざ料金を支払わないでスカイピアに入ると、『不法入国』扱いされて後から面倒なことになるんだ確か。
放っておけばそうなるだろう。ルフィ達、通っていいって言われたから『金はないけど通るぞ』って、お金払わないで入国しようとするだろうから。
そうなると……私達も後から同様に面倒なことになる可能性が高いんだよなあ。
これから起こることを考えれば、今更ともとれなくはないけど、それでも、私達の目的を考えると、少なくとも数日くらいはせめて…………ふむ……
よし、今更だし、ちょっくら積極的に『介入』させてもらいますかね。
「おばあさん、ちょっと質問。その『入国料』の他に、手数料とか別にかかったりしないですよね? 1人10億エクストルだけ払えばそれでいいんですよね?」
「ああ、それだけだよ。お嬢ちゃん達はどうする、払うのかい? 払わないのかい?」
回答代わりに私は、体に収納しているお金を取り出す。紙幣も紙だから、こうして一体化させておけば、財布から取り出すよりスムーズだし、金庫にしまっておくより安全だ。
えーと、ひーふーみー……よし、私達6人分で、60万ベリー。
それに、ルフィ達の7人分を足して……13人分。しめて130万ベリーね。
「ルプー、コレあのおばーさんに持ってってあげて。……それと、これ」
「! はいっす」
私からお金とあるものを受け取り、ひとっ跳びで天使?のおばあさんの目の前に着地するルプー。いきなり跳んでくるとは思ってなかったのか、おばあさんちょっとびっくりしてたな。
そして、そのままお金を渡す。
「はいコレ。あー、ベリーのままなんすけどいいっスか? 両替の手数料とかは?」
「え、ああ、いや……ベリーってのは青海の通貨だね。手数料とかそういうのはないよ、ちょうど金額が足りてればそれでいい。レートは1ベリーあたり1万エクストルだよ」
「ならよかった。そんじゃこれ、13人分で130万ベリーっス。数えて」
「え、待って? 13人って……それ、私達の分も? そんな……さすがに悪いわよ」
「そ、そうだぜ、そこまでしてもらうわけには……払わなくても通っていいって言ってんだからよ」
13人という数字が、私達の人数と自分達の人数を足したものだと気づいたナミとウソップがそう言ってくるけど、私は首を横に振って、
「私の経験上、こういうのってきちんと支払っておかないと面倒なことになるパターン多いから。回避できるトラブルは事前に回避しておくに限るでしょ。滞在中、のんびり平和に過ごしたいし」
「け、けどよスゥちゃん……俺達7人分で70万ベリーだろ? さすがにそんな額……そもそも入るだけで1人10万ベリーって高すぎるだろ! もうちょっと何とかならねえのかよばあさん?」
「いーっていーって、お金には困ってないし、払わないで入る方がよっぽど困りそうなんだって。……それとも、自分達の分、払える?」
「ナミさん、うちの船の今の経済状況は?」
「残金、ざっと……5万ベリー。普通に使ったら、もってあと1日2日ね」
「5万!? そんなにねェのか?」
「おい、何でそんなにビンボーなんだ? 1人分の入館料すら払えねえじゃねえか! 船長として一言言わせてもらうけどな、おめェらもう少し金の使い方ってもんを考えて……」
「「「お前の食費だよ」」」
「それと船長さん、入館料じゃなくて入国料よ」
んー……このコント風味。見てて楽しい。
「やっぱ俺達の分は払わねえで入っちまえばいいんじゃ……」
「……いや、そうすると何か問題になった際に、払った私達も連帯責任的に面倒に巻き込まれそうだから……むしろ出させて。気になるようなら、その分何かしらの形で後で返してもらうから」
ここにこうして一緒に来た時点で、一緒のグループ扱いされちゃってると思うし。
だから、払うなら払うで全員分きちんとだ。
「何かしらのって……例えば?」
「買い物に付き合ってもらって荷物持ち……とかかしら? 私達、空島にちょっと色々欲しいものがあって、買い物にきた面もあるのよね」
「あ、はいはいはい、じゃあ私お料理! サンジのご飯また食べたい!」
「探し物を手伝ってもらう、とかもありかもしれませんね」
「とまあ、こんな程度の平和なもんだと思ってくれればいいわ」
3人娘とハニーがそんな風に答える。
私としても同じ感じの考えだったので、特に何も言うことはない。
なお、サフィルに料理を褒められて『また食べたい』と言ってもらえたことで、サンジがとても幸せそうな顔になっていたのは言うまでもない。
そのまま結局、ルフィ達の分も私達が支払って、全員で無事に『不法入国』にならずに『スカイピア』に入ることに成功。さー、いよいよ白々海だ。
珍しい『貝』、見つかるといいなー。そして、平和に、何事もなく終われるといいなー。
おばあさんが呼び出した、白海名物『特急エビ』に船を運んでもらい、『白々海』までの雲の道を駆け上っていく間、私はそんな風にのんきに考えていた。
……まあもっとも……
(望み薄だろうってことは、わかってるんだけどさ)
☆☆☆
『“天国の門”監視官アマゾンより、全能なる“
『神の国・スカイピアへの入国者13名。船舶2隻。いずれも正規の入国料徴収済みにつき、法的問題等は現状なし』
『しかしながら、こちらが提示した規則を軽視し従わない傾向あり。今後、何らかの形で問題を起こす可能性を否定できず』
『入国後の継続的な監視及び、問題発生時の即時の対処を要することを進言』
『万が一の時は、速やかに……『天の裁き』にかけられたし』