大文豪に私はなる!   作:破戒僧

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第129話 スゥと『試練』の手順

 

 

 スカイピアにきた私達は、入国料も支払ったしのんびり安全に観光できるなー……と思っていたんだが、なんやかんやあって無事に(?)犯罪者扱いになってしまった。

 原作通りと言えばそうなんだが……観光タイムが強制終了されてしまったことに加えて、『天国の門』で支払った130万ベリーがまるっと無駄になってしまったことを考えると……決して小さい額ではなかったこともあり、純粋に怒りを覚えます。

 

 そんでそこから先も、おおよそ原作通りに進んだ。

 

 ここにいたらコニス達に迷惑がかかるからさっさと出港しよう、ということになって――その際『神の島(アッパーヤード)』に行きたがるルフィと行きたくないナミとの間でひと悶着あったが――出発する準備を整えていて、

 

 その時、パガヤさんちでサンジ達が作った『空の幸』料理をテイクアウトしたり、お土産に『貝』その他のおすそ分けをもらうため、ルフィ、ウソップ、サンジがその家にいた間に……突如、メリー号が『超特急エビ』によって運ばれ、乗っていた4人……ゾロ、ナミ、チョッパー、ロビンが、そのまま攫われてしまった。

 

 その後、パガヤさんから、『裁き』の概要とかルール説明的なものをもらう。

 メリー号組が連れていかれた先が、『神の島』の中にある『生贄の祭壇』であり、ルフィ達はそこまで仲間と船を取り返しに行かなければならない。そしてその道中で、神官達が用意する『試練』を受けることになる。それこそが『天の裁き』の内容である。

 

 なので、これから『試練』を受けるために『神の島』に行くわけだが……ここで原作と異なる点が1つ発生している。

 

 『生贄』という名の人質になっているメリー号組。

 その中に……うちのサフィルが混じっている点だ。あの子も一緒に連れて行かれちゃった。

 

 さっきまで獲っていた魚とか海産物(ホワイトベレー曰く『密漁』)を、麦わらの一味にも一部おすそ分けするためにってことで、持って行ってたんだが……タイミング悪くその時に船ごとさらわれちゃったようなのである。

 なので、私達メルヴィユ組も『神の島』に行かなきゃならなくなった。

 

 まあもっとも……そうでなくとも、何かしら理由をつけて行くつもりではいたけどね。

 

 やたらと詳しい説明(意味深)を聞いた後、荷物をまとめ、コニスの案内で一路船着き場へ。

 

 そこで、ごくまれにめちゃくちゃ鋭いルフィの一言から始まって……コニスがあの『超特急エビ』を呼んだことや、犯罪者を裁きの地へ誘導することが、この『スカイピア』に住む者の義務だということ、そうしなければ殺されてしまうこと……まあ、おおよそ全ての事情が明かされた。

 

 そこに『裁き』が飛んできて、しかし颯爽と現れた『空の騎士』にルフィとコニスが助けられて……

 

「お主らはこの国の本心を知った……“神”の力もな。これより……いかに動く?」

 

「別に国はおれ達に関係ねェよ。“神の島”に仲間がいるんだ! 助けに行く!」

 

「そうか……幸運あれ」

 

 …………さて、と。

 もうすぐにでも出発ムードなルフィ達だが……

 

「あールフィ、ちょっとだけ待ってくんない?」

 

「? どうしたんだスゥ、忘れもんか? よし、それなら俺が残って一緒に取りに行ってや……」

 

「逃げようとすんなウソップ。で、何かあったのかい、スゥちゃん?」

 

「ちょっとね…………ルプー」

 

「うっス!」

 

 私が親指で『くいっ』とやって、町の一角を指し示して言うと……その瞬間、ルプーが一瞬にしてその場から消える。

 

 そのくらいすごく早く動いただけなんだけど、見ていた大体の人(野次馬含む)は目で追えなかったようで、『え!?』と目を見開いて驚いていた。

 なお、メルヴィユ組は全員追えてる。ルフィとサンジもなんとか追えたようだ……ウソップはダメだったか、きょろきょろして探してる。

 

「な……ぐわっ!?」

 

 遠くの方でそんなうめき声と、同時に『ガスッ!』って感じの打撃音が聞こえたかと思うと……そのさらに一瞬後、ルプーが同じ場所に戻ってきた。

 さっきから隠れて私達を見ていた、ホワイトベレーの隊長さんを抱えて。頭にこぶができてるのは、気絶しない程度にぶん殴ったんだろうな。

 

「え!? そいつ……ていうかいつの間に……」

 

「あ、さっきの奴ら!」

 

「あぁ……ビーチで因縁つけてきやがった連中か。何だ……ずっと俺達を見張ってたのか」

 

 ウソップにルフィ、サンジが驚きつつも、隊長さん(名前なんだっけな)を雑にそのへんにべしゃっと放り投げる。

 

「っ……貴様ら、一体何のつもりだ!? これ以上罪を重ねて……」

 

 言い終わる前に、ルプーが隊長さんの頭のすぐ横をズシン、と踏みつけて、地面が軽く揺れるくらいの衝撃が周囲を襲った。地面じゃなくて雲だけど。

 直撃してたら頭がパーン、となってたのは確実な威力である。

 

 そのことを隊長さんも理解し、すなわち今、自分の命は私達に握られているんだということをきちんと認識して黙ってくれたので……こちらもさっさと要件を済ませることにする。

 ああ大丈夫大丈夫、そんな怖がらなくても、別に憂さ晴らしのために痛めつけるとかそんなことするために呼んだわけじゃないから。

 

「あのさあ隊長さん。さっきから思ってたんだけど、この『試練』だか『天の裁き』っていうの……ちょっと不親切じゃない?」

 

「ど……どういう、意味だ?」

 

「コニスとかその他の人達に、私達を誘導させて、試練のシステムとかを説明させるっていうのはまあ、そういう仕様なのはわかったけどさ。それじゃ不十分でしょ? 行く前にもっと詳しく説明ちょうだいよ。具体的に何をすればいいとか、どうなればクリアとか、禁止事項とか」

 

「……犯罪者に伝えるべきことは、スカイピアの住民が知っていること、話すことで全てだ。何をすればいいのか考え、迷い、苦悩することもまた『裁き』の1つ……語ることなどない」

 

「犯罪者、ね……果たしてあなた方がそう断定した人達のうち、いったいどれだけの人達が実際に『犯罪者』で……どれだけが『冤罪』でしたのやら。怪しいものですわ」

 

「今それ言っても仕方ないけどね……とはいえ、このままこいつらの言う通りに、何もわからないまま進むってのもシャクよね……」

 

「そうね……あ、それならこいつ一緒に連れて行くとかどう? 抵抗できないように縛ってさ」

 

「「「!?」」」

 

 ふと思いついた感じでハニーが言った内容に、驚きを隠せない隊長さんと、周囲の野次馬達。

 

「ここでどうすればいいのかとか、この場所は何なのかとか……ガイドっていうか解説役として使えるんじゃないかしら。もちろん、私達と一緒に行くわけだから、その『試練』とやらには巻き込まれちゃうでしょうけど……」

 

 そこまで行ってハニーは、にっこりとした満面の笑みで、隊長さんにずい、と顔を寄せ、

 

「例えばその『試練』で、神官とやらが襲ってくるんだとして……神官直属の部隊なんだから、巻き込まないようにちゃんと加減してくれるでしょうしね? もしかしたら、きちんと私達から助けて安全な場所に避難させたたうえで、『試練』に移ってくれるかもしれないし」

 

「あー、それ名案っスねハニー! そうしましょうよ! 仲間なんだからまさかそんな、もろとも巻き添えにするような攻撃とかしてくるはずないっスもんねえ? 私達は敵だから別にこの隊長さんのこと守ったりとか連れて逃げたりもしないけど、そのせいで取り残されて巻き添えでぶっ殺されたりとか、そんな恐ろしいことになるはずないっスよ!」

 

 ……わかっててやってんだろうなー、この2人のことだから。

 ハニー、結構Sだし……ルプーはそれ以上のドSだし。

 

 地面に転がされている隊長さんの顔は真っ青で、冷や汗だくだくになってるけど……それもきちんとわかってて、すごく楽しそうに話してるんだもんなー、この2人。

 一緒に旅するのは今回が初めてだってのに……案外いいコンビなのかも。

 

 国民全員にこんなろくでもない『義務』を課して、逆らったらさっきみたいな意味不明な攻撃で殺す、なんていうやり方を敷いている奴だ。

 おそらくはその部下であろう『神官』も含めて、そんな風に優しい対応……いちいち兵隊1人をきちんと助けるようなことをする奴じゃない、ってのは、当然予想済みである。

 

 サンジとウソップは『うわぁ』とか『容赦ねェな』的な、ちょっと引いた視線になってるけど……特に何も気にした様子のないルフィが歩いてきて、

 

「いいよ別に、んなことしなくて。面倒だ」

 

「! ルフィ?」

 

「パガヤのおっさんがそう言ってたし、多分『神官』ってのが襲ってくるんだろ? だったらそいつらぶっ飛ばせばいいだけだ。他のことは後で考える」

 

 一見すると何も考えてないようで……しかし、だからこそその心の中の気持ちそのまんまを言葉にした、という感じのルフィのセリフに、見ている者全員がきょとんとしていた。

 ……やれやれ、とくに何の考えもなく……さらっとかっこいいこと言うもんだ。さすがは主人公。

 

 ふぅ、とため息をついて私は、

 

「だってさ。行っていいよ隊長さん」

 

「? いいんすかお嬢?」

 

「いいよ別に、何も必須ってわけでもないし。ルフィの言うとおり、行き当たりばったりでも最悪何とかなるでしょ……向こうがお膳立てしてくれてるんだから、ヒントか何か用意してるよ多分。この手のゲームじみた手法を仕掛けてくる奴は、そのへん無駄にこだわるもんだし」

 

 そこまで行って『ああでも』と続ける私。

 

「これだけ聞いて確認しとこうか。隊長さん……私達がどんな形で『試練』とやらを受けることになるのかはわかんないけど……例えば、私達は全員常に一塊で行動しなきゃいけないの?」

 

「……? どういう意味だ?」

 

「神官って確か4人いるんだよね? ということは、『試練』も4つあるんじゃない? これだけ広い『神の島』全体を使った何かしらのゲームだとすれば、神官4人が一度にどこかで襲ってくる、的なやり方は考えにくいんだけど」

 

「……そうだ。4人いる神官の方々は、それぞれに『試練』を用意し、罪人が到着するのを待っている。お前達は自分の手で、そこへ歩みを進めるのだ」

 

「なるほど……試練は4つ、と。そうなると多分、その4つ全てをクリアすれば仲間を取り戻せるわけだ……クリア条件が神官の撃破なのか、それとも他に何か設定されているのかはわからないけど……ちなみにその試練、手分けして挑んでもいいの?」

 

 私はそこまで行って、船着き場の方を見る。

 そこには、コニスが貸してくれるって言ってた(ダイアル)船『カラス丸』と、その隣にいつもの私の船が置いてある。

 

「あれ? コレってスゥ達の船じゃ……いつの間にここに?」

 

「さっきね、運んどいた」

 

「いや、さっきって……」

 

 ウソップが不思議がってたけど、まあ私が『エニグマ』で収納してたからなんだよね。

 

「で、話戻すんだけど……私達ちょうど、船2つあるからさ。ルフィ達がコニスから借りた船と、私達の自前の船。この2つに分かれて乗って、手分けして2つずつとかで試練に挑戦すれば、さっさとクリアできるんじゃないかな、って思ったわけ。そういうのってルール違反?」

 

「……特にそのあたりは定められていない。違反にはならないだろう……好きにすればいい」

 

「そっか。それだけ確認できればOK。行っていいよ」

 

 そうして隊長さんを解放し……私達は今度こそ出発することに。

 

「待たせてごめんね、ルフィ」

 

「いいよ。それよりスゥ、お前ら、俺達とは別行動で行くのか?」

 

「どういうルート分岐になるか次第ではそうするかもね。明確に『この先試練1』『この先試練2』とか分岐してるようなら別れるのも手だし、逆にルート全部がひと続きになってて、順番に1つずつ試練を受けていく……みたいな感じだったらそのままいくよりないし」

 

「俺としてはどっちかといえば、後者の方がありがてえな……人数は多い方が安心だし」

 

「俺もだ。レディを危ない場所で単独行動させるのは主義に反するしな……安全を考えれば、分岐があっても行動は共にした方がいいんじゃねえか、スゥちゃん?」

 

「まーそれはその時決めるってことで。よし、じゃあ行こうか!」

 

 

 ☆☆☆

 

 

 一方その頃、

 

 場所は変わって……メルヴィユの居住区エリア内にある、とある部屋にて。

 

「……という感じの報告がさっき電伝虫で入ったそうでの。なんか母上、厄介ごとに巻き込まれとるそうじゃ。帰りが予定より遅くなるかもしれんらしい」

 

「行ったことない『空島』に、よくわからない『試練』かー……ヘンテコなこと考える人がいたもんだねー。でもそんな風変わりな島なら、まだ見たことない『貝』も期待できるんじゃない?」

 

「うむ。ついでだから憂さ晴らしも兼ねて徹底的に探してくる、と言っておったそうじゃ。しかし……“神”だかなんだか知らんが、アホなことをしたもんじゃの。『観光』ないし『取材』の最中の母上に喧嘩売るとか……原型残らんのではないか?」

 

「そうだねー……できれば島ごと滅ぼすとかはしないでほしいかなー。そんな楽しそうなところならボクも行ってみたいよ、しばらく経った後にでも」

 

 畳張りの部屋の中で、のんびりくつろぎながら話すスズとアリス。

 先程、電伝虫でシキのところに入った報告の内容がスズに伝わって、それをここで姉妹3人で情報共有していたところだったのだが……

 

 スズとアリスがあれこれと話す間……なぜか、やけにレオナが静かになっていた。

 

 それに気付いたスズがふと気になって視線をやると、レオナは何やら、虚空をじっと見つめているかのように、放心状態になって動かず……ブツブツと口だけが動いて何かをつぶやいていた。

 

 

「スカイピア……“神”……神官……『神の島(アッパーヤード)』……エンジェル島……」

 

 

「……? おいレオナ、どうかしたか?」

 

 

「ゲリラ……ガン・フォール……黄金郷……シャンディア……エネル……そうだ、私は……」

 

 

「…………?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………思い、出した……っ!!」

 

 

 

 

 

 

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