大文豪に私はなる!   作:破戒僧

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第132話 スゥとレオナと情報共有

 

 

 森の中でレオナとシズの2人を拾った私は、ハニーのビブルカードをたどって船に戻った。

 

 帰ってきたと思ったら、レオナとシズを連れて戻ってきた私を見て、船にいた4人ともびっくりしてたな……まさかの場所でまさかの面子と会ったんだから、そりゃ当然だが。

 

 ……けどその時、とある理由で私もびっくりさせられてたんだが……それはもう少し後で話す。

 

 そしてそのまま、7人に増えたメンバーで『雲の川』を進んでいった。

 

 その間中もずっと、『見聞色』で感じられる戦いの気配はあちこちで続いていた。ワイパー達をはじめとした『シャンディア』と、神官達が戦ってるんだろう。

 残念ながら私の『見聞色』は、戦況を細かく把握できるほどではないけど……おおまかには……個の戦闘力として圧倒的な神官達に、数と連携を武器に、どうにかしてシャンディアが食らいついてる……って感じだな。

 

 やはりというか、主力級を除けば、神官達との力の差は大きいようだ。攻めども攻めども、突き崩すことができず……一進一退。

 

 ………………

 

「もどかしいとかじれったいとか感じちゃうのは、それ相応に力をつけたが故の傲慢……なのかな」

 

「? 何か言ったか、母ちゃん?」

 

「いや、何でもないよレオナ。っと……そろそろか」

 

 

 

「あ、来た来た来た! おーい、お姉さまー!」

 

「あ、ホントだ! スゥ達の船だぞ!」

 

「よかった……スゥちゃん達、無事だったみてえだな」

 

「どうにかこれで全員、また無事に集まれたわね……ってアレ? 何か向こう……人増えてない?」

 

「え? どういうことナミ、増えてるって……あれ!? レオナお嬢様!? それにシズも!? 何で!?」

 

 ルフィ達は先に合流済みだったか。

 サフィルも……別に怪我とかは特になさそうだな。よかったよかった。

 

 

 ☆☆☆

 

 

 合流した私達は、そのままひとまず湖畔でキャンプを張ることに。

 これも原作通りだが、メリー号は『超特急エビ』に運ばれた影響で傷だらけで、修繕しないと海に浮かべるのも難しい状態だからだ。

 

 ひとまず腹ごしらえのために、そのへんを泳いでた空サメを丸焼きにして食べたりしつつ、各々が持ち帰った情報を報告し合って共有した。

 

 ナミ、ゾロ、ロビンは原作通り、祭壇を出てあちこち探検した結果、この島が400年前に忽然と姿を消した『黄金郷』であることをつきとめ、『ドクロの右目に黄金を見た』という、ノーランドの言葉の意味を解き明かした。

 

 ルフィ達は原作通り、『玉』の神官を倒していたので、そいつが仕掛けてきた物騒な『試練』の内容と、こちらの動きを読む奇妙な能力についても話していた。

 

 言うまでもなく『心鋼(マントラ)』という名の『見聞色』なわけであり、私達にとってはもう常識レベルの知識だが……これ言って教えちゃっていいものか……?

 単行本にして30巻分くらい先のネタバレなんだけど……

 

 ……とりあえず、彼らのこの先の成長とかを妨げかねないっていう建前で黙っておこう。

 もし問いただされたら……言い回し的な切り抜け方の案は考えてあるし。

 

 そんで次はチョッパー……と、サフィルの2人。生贄の祭壇の居残り船番組。

 それに加えて、ホイッスルで戦いに来てくれた『空の騎士』も混じっての報告だ。

 

 チョッパーとサフィルが留守番していると、原作通り神官の1人が巨大な鳥に乗って現れ、襲ってきた。

 理由は、『生贄』としてじっと待っているべき者達が、外に逃げ出してしまったから。

 

 そんなルール聞かされてないしそもそも守ってやる義理もないんだけどな……つくづく腹が立つ奴らだよ。

 

 チョッパー曰く所の『燃える槍』で襲ってきたものの……ここではサフィルがいたために、そこまで一方的にやられるような展開にはならなかった。

 

 接近戦では、棒術や槍術をそれなりに修めており、『武装色の覇気』も使えるサフィルが圧倒的に有利。思わぬ抵抗をされて、神官も驚いていたらしい。

 

 しかし、相手は空を飛べるわけなので、飛ばれてしまうとこちらからはほとんど手が出せない……というわけでも、実はない。

 サフィルは今言った接近戦の技術に加えて、種族としての適性を生かした『魚人空手』や『魚人柔術』も習得しているので、水滴を勢いよく飛ばす『撃水』や、棒状の水塊を飛ばして貫く『槍波』で飛んでいる神官を攻撃することもできたからだ。

 

 加えて、向こうが『熱の槍(ヒートジャベリン)』や、鳥が吐き出す炎によって攻撃してきて、船が燃えてしまった際は、素早く祭壇の下、雲の湖に飛び込んで水の塊を投げ飛ばして船にかぶせて消火するなど大活躍。

 

 とはいえ、飛んでいる相手に有効な攻撃手段ではあるものの……それで勝負を決められるか、というと、さすがにそれも難しい。

 互いに攻め手を欠いて膠着状態に陥ったところで……ホイッスルを聞きつけた『空の騎士』ことガン・フォールが到着。

 

 そのまま激しく空中戦。

 互いの相棒に乗って互角の戦いを繰り広げたものの、途中で神官が『試練』を発動してからは……原作通りガン・フォールが動けなくなり、大きな隙をさらしてしまう。

 

 が、そこでサフィルが『撃水』で神官をけん制しつつ、周りに張り巡らされていた『紐雲』を断ち切ったことで状況は振り出しに。

 神官は、あと一歩で敵を一人仕留められそうだった所を邪魔されて、忌々しそうに顔をゆがめてサフィルを睨んだが……その直後、何かに気づいたように急に退散したそうだ。

 

 恐らく、そのタイミングでシャンディアが攻めてきたんだろうな。迎撃を優先して戻ったか。

 

 そうして、原作とは違い……『空の騎士』も重傷を負ったりすることもなく、メリー号も多少焦げた程度で大きな損傷もなく――それでも結構傷ついてはいるが――切り抜けることができた。

 

 そして、それぞれの報告が終わって、最後に私達からの報告となり……同じように説明したわけだが。

 

「スゥちゃん達の方は、1つの試練も起こらなかったのか……4つあると聞いてたが、結局何かが起こったのは、俺達がやった『玉』だけか?」

 

「まあ、何か不都合があって中止にしたんじゃねーか? 何にせよ、何もなかったならよかったよ……できれば俺達の方にも何もないでほしかったんだけどな」

 

 不思議そうにサンジが呟き、不安感をぬぐうようにウソップが言う(ちょっと不満感も込み)。

 すると、それを黙って聞いていた1人……空の騎士が、『ふむ』と考えながら口を開いた。

 

「おそらくは、『試練』どころではなくなったからだろうな。おぬしたちの相手よりも、攻め込んできた『シャンディア』との戦いを優先したのだろう」

 

「シャンディア……?」

 

「『ゲリラ』と呼び変えることもできる……『白海』にて、お主達を襲ってきたのもその1人だ。そして……そこにいる娘もな」

 

 いいながら空の騎士がちらりと……円陣を組んで座っている私達の隅っこの方にいる1人に視線を向ける。

 レオナ……ではない。彼女の服は今、普通の『青海人』のそれだから、少なくとも言わなきゃ彼女が『シャンディア』の出身だとはわかんないだろうし。

 

 そこには、1人の女性が……口を閉じ、黙って座っていた。

 『麦わらの一味』でもなければ、私達『メルヴィユ組』の者でもない彼女。長く伸ばして後ろで縛った黒髪と、民族衣装っぽい服が特徴的だ。

 

 さっき出くわしたワイパーみたいに、殺気こそ飛ばしてこないものの……油断なくこちらの様子をうかがっている。

 縛られ拘束された状態でありつつも、逃げるチャンスがないか常に気を張っている感じだ。

 

 名前はラキ。今話題に上がった『シャンディア』の、主力戦士の1人。

 

「けど、スゥ達が合流してきたときはびっくりしたよな。無事なのはよかったけど……まさか人数が増えてるとは」

 

「しかも、そのうちの1人がスゥの『娘』で……」

 

「別な1人は、捕虜にしたっていうゲリラの女で……」

 

「残りの一人は、よくわかんねーけど、ルプーちゃんと同じメイドと来たもんだ」

 

 とまあ、ウソップ、ナミ、ゾロ、サンジが続けてそう、説明風に言ってくれたセリフの通りだ。

 

 レオナとシズのみならず、なんでラキが私達の船に乗っていたのかというと……私とレオナがワイパーに出くわしていたのと同じ頃……ハニー達も偶然、別なシャンディアの一団に出くわしていたからだ。

 その部隊を率いていたのがラキだったんだが、遭遇戦に突入した際……うちのメンバーはそれを普通に返り討ちにした。

 

 で、指揮官っぽいロールをしていた1人……ラキを、ひとまず捕虜として拘束し、そのまま船の中の牢屋にぶち込んでいたのである。後で色々話を聞く、あるいは、私と合流した後で『読む』つもりで。

 後の面々は放置したそうです。

 

 で、私が船に帰って来てみたら、原作で見覚えあるキャラが捕虜として捕まってるんだもんよ……びっくりしたよ。

 しかも、レオナと顔見知りだったみたいで『レオナ!?』『ラキ!』ってお互いに驚いてたし。

 

「ていうか、おめー子供いたんか?」

 

「『海賊文豪』が子持ちだという話は聞かないけれど……。それに……気を悪くしたらごめんなさい。あまり似てないようね?」

 

「……まあ、あたしと母ちゃん、血は繋がってないからな」

 

 ロビンに尋ねられて、あっさりとネタばらしするレオナ。

 まあ、別に隠しておくようなことでもないから、いいけどね、別に。誰も困りゃしないし。

 

「記憶喪失になって倒れて、行くあてもなかったあたしを助けてくれたのが母ちゃんだったんだよ……それより前は、あたしは……そこにいるラキと同じで、シャンディアの戦士だった」

 

「えぇ!? お前もゲリラだったのか!?」

 

「というか、このスカイピアの出身者かよ……」

 

 驚くチョッパーやウソップ。ほかの面々も、声や顔に出した者はそういなかったが、少なからず驚いてはいた。

 それは……驚きの『種類』は違えど、空の騎士ことガン・フォールも同じだった。

 

(やはり……どこかで見た顔だと思っていた。まだ吾輩が『神』の座にいた頃、訪れた『雲隠れの村』で見ていたか……。戦士、あるいはその候補生だったのなら、ワイパー達と共に吾輩の前に姿を見せていたかもしれん)

 

「でもよ、何でそのゲリラが、スゥの『娘』になってたんだ? ゲリラやめたのか? っていうか……青海で出会ったんだよな? なんで青海に来てたんだ?」

 

「さァな……まあ、何かしら訳ありなのは確かだと思うが……」

 

 ルフィとゾロがそんな話をしていたけど、レオナは大して気にとめることなく続ける。

 

「メ……家にいた時に、母ちゃんからの電伝虫で『スカイピア』の話が出て、それで偶然、記憶を取り戻して……居ても立っても居られなくなって、シズに頼んでここに来たんだ」

 

「それは……何のために? 記憶を取り戻したから、元通り『シャンディア』に戻るのかしら?」

 

 ロビンの指摘に、レオナはばっと顔を勢いよく上げて、

 

「それはっ……! その……」

 

 そこで口ごもり……ちらっとラキの方を見る。

 それに気づいたんだろう。ラキは、しばらくレオナと視線をかわしたまま黙っていたが……ゆっくりと、こちらを刺激しないように口を開いた。

 

「好きにしたらいいよ、レオナ。あんたがもう、シャンディアに戻りたくないって……そこにいる『母親』とこれからも一緒にいたいと思うなら、そう言えばいい。……あんたは、それを望んでも許される、その権利がある……私はそう思う」

 

「……っ……!」

 

 意外にも、と言えばいいのか……ラキの言葉は、突き放すようなそれじゃあなく、むしろレオナの意思を尊重するかのようなそれだった。

 

「島の年寄りたちは何か言うかもね。ワイパーとか、血の気の多い奴らもよくは思わないかも。けどレオナ、あんたはあまりにも長く……」

 

「……ありがとう、ラキ」

 

 レオナは、少しだけ言葉に詰まりつつも……今度は、皆に聞こえるようにはっきり言葉にする。

 

「あたしはもう、シャンディアに戻る気はない。母ちゃんやスズ、アリス、それにじいちゃん達と一緒に、これからも生きていくつもりだよ。けどその前に、生まれ故郷への最後の義理を通すために、エネルを……倒すために来たんだ。育ててくれた皆が……シャンディアの、400年前の故郷に帰る道を作って……それを最後の仕事にするために」

 

「……そっか」

 

 ラキはそれを聞き届けて……うっすらと笑みを浮かべていた。

 

 そういえばこの人、『シャンディア』の中でも比較的穏健派みたいな立ち位置だったかな?

 ワイパーに対して、戦いに消極的、ともとれる意見を出したり、戦闘中に迷いを見せてしまったり……

 

 他のシャンディアが、今のレオナの話を聞いてどう思うのかは知らないが……この子は少なくとも、彼女の意思を受け入れてくれているようだ。

 

「それにさ……ラキ、それ……アイサのバッグだよね?」

 

 と、レオナはラキが肩から掛けているバッグを指さして言う。

 

「まだ持ってたんだ、あの子……中身はやっぱり?」

 

「そうだよ。宝物だって言ってた。『ヴァース』もそうだけど……バッグ自体もきっとそうなんじゃないかな? あんたにもらったものだって言ってたしね」

 

 そう言いながら、手首を拘束されたまま、身をよじって、バッグを器用に体の前に持ってくる。

 レオナはそのラキに歩み寄り、バッグの口を開けて中を覗き込む。

 

 そのよこからルフィやウソップも好奇心で、あと『宝物』って言葉につられたナミも一緒になって、バッグの中を覗き込んでくる。

 ちょっと警戒しつつも、ラキは……レオナが何も言わないのでそのままにしている。

 

 しかし、中にあるのは当然……

 

「何だコレ? ただの……土?」

 

「お宝じゃないの?」

 

 わけがわからない、という感じの、ルフィ達のリアクション。

 加えてナミは『金目のものじゃないのか』とがっかりし……ウソップはどうやらまた別な理由で不思議そうにしていた。

 

「というか、『ヴァース』って……エンジェル島で見た、あのオットセイみたいな像のことじゃないのか? なんでこれが……」

 

「それによ、レオナちゃん……さっきの話で気になったんだが」

 

 さらに、続けてサンジも気になったことがあるみたいで、

 

「さっき君、『400年前の故郷』って言ってたな……さっきナミさん達が、ここが400年前に空に飛ばされてきた『ジャヤ』……あー……青海に元々あった島だってことを言ってたが……それってのはつまり、『シャンディア』ってのは……」

 

「……左様。彼らは元々、この『ヴァース』に住んでいた者達なのだ」

 

 割り込むようにそう言ってきたのは、『空の騎士』ガン・フォール。

 静かな、しかし、何か強い意思や思いがこもったように聞こえる、力強い声で続けて話す。

 

「いい機会だ。この国の歴史について、話しておこうか……この、戦いのやまぬ国……『スカイピア』が、いかにして形作られていったのか……しばし、このおいぼれの話にでも付き合ってくれ」

 

 

 

 

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