大文豪に私はなる!   作:破戒僧

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第135話 スゥと空島、2日目開始

 

 

 明けて翌日。

 

 朝になるとともに、私達『メルヴィユ組』と、ルフィ達『麦わらの一味』は、それぞれ別れてこの島を探索し始めた。

 

 ルフィ達は原作通り、『黄金探索組』と『メリー号脱出組』の2つに分かれて、この『神の島』から脱出しつつ、『黄金郷』の黄金をかっさらっていく計画で進むようだ。

 メンバーも同じ。ルフィ、ゾロ、チョッパー、ロビンが黄金郷を目指し、ナミとウソップとサンジがメリー号で外を目指す。

 

 なお、『空の騎士』ことガン・フォールも船に乗っている。

 前日の神官との戦い、サフィルの介入のおかげで比較的軽傷で済んでいたらしいが、それでも無傷ではなかったということで、大事を取って……だそうだ。

 

 対して、私達『メルヴィユ組』は……

 

 

 

「メ、メ~~……!!」

 

 今まさに、私達の目の前で……突然襲ってきた、なんか不思議な見た目の人間(?)が、返り討ちにされて地面に転がるところだった。

 

 背後からいきなり飛んできて……奇襲のつもりだったのかもしれないが、普通にバレてたからね。

 振り向きざまにシズが放ったミサイルが直撃して爆発、そのまま墜落した。

 

 その見た目だが……髪の毛はなく、2本の角が生えてて、犬みたいなたれ耳がついているという……なんというか、軽めの異形である。何だっけコイツ?

 

「レオナ、コレ知ってる?」

 

「えっと、確か……神兵って奴だったと思う。エネルに仕える兵隊で……エネルがこのスカイピアに攻め込んできた当初からの部下だよ。基本的にこの島の守りは神官が直接やるから、こいつらはあまり表には出てこないんだけど……あ、あと、珍しい『貝』使うって聞いたことある」

 

「! ルプー、確認!」

 

「はいっす!」

 

 コゲて墜落して伸びている神兵に近づいてその手袋をはぎとるルプー。

 案の定、中からは『貝』……それも、見覚えのない見た目のものが出てきた。

 

 ルプーが手に持っているそれをシズが見て……しばらく眺めて『ピピピピ……』なんて電子音が聞こえてくる。どうやらスキャン中らしい。

 

「データバンクに該当する『貝』なし。未確認の種です」

 

「よっしゃー! いきなり大当たりっすね! ……えーと、それでこれ何の貝なんだろ。どれ……ぽちっとな」

 

 ルプーがそのへんの樹に向けてそれを使ってみると、『ヒュン!!』という空気を切り裂くような音がして……その木に深く切れ込みが入った。

 

「これって……もしかして、斬撃を出すの?」

 

「これはまた、物騒な種類の『貝』があったものねえ……普通に武器じゃない。平和的な利用方法とか、最初から度外視な感じ?」

 

「一応、威力や範囲などを調整すれば、ピーラーやフードプロセッサーなどとして使える可能性はあるかと思いますが」

 

「なるほど……発想次第ですわね。でも、雑兵が装備していたということは……特に『絶滅種』とかそういうレアな感じでもないのでしょうか」

 

「もしかしたら、『スカイピア』にはないけど、他の空島にはある、って感じの奴なのかも。エネルやその部下達は、もともと他の空島の出身らしいし」

 

「なるほど……そこにはあってここにはない『貝』をまだまだ持ってる可能性は高いってわけね。雑兵でもいきなりこんなもんをはぎとれるってのは幸先いいわ……うん、標的決定!」

 

 ぱん、と私は柏手を打って注目を集め、皆に言う。

 

「これよりチームを4つに分けて行動します。今『見聞色』で探った感じだと、戦場は『神の島』全域に広がってるみたいだから、それに合わせて私達も散らばって、効率よく狩ろう」

 

 薄く広く『見聞色』で見てみたんだが、人の気配が島の広い範囲に散らばっていて、しかもあちこちで戦いになっているっぽい。

 

 原作通りなら、今日も今日とて攻め込んできたシャンディアが、一塊にならずに分かれて進み、それぞれにエネルのいる『神の社』を目指している……といった状況のはず。

 それを見つけ出して迎撃するために、神兵が島中に散らばった。

 

 あと、ルフィ達もなんやかんやで結局はぐれてバラバラになって、島のあちこちで戦いながら『黄金郷』を目指しているはず。

 

「主な標的は神兵その他、“神・エネル”側の勢力とします。あと、襲ってきた場合はシャンディアも狩ってよしとするけど……レオナが悲しむからなるべく手加減してあげて。気絶させて迷惑料に『貝』はぎとるくらいにしとこか」

 

 ほっとした様子のレオナ。

 ……喧嘩売ってこなければ何もしなくて済むんだけどねえ……いやホントに。

 

「チーム分けは……ルプーとリュビ、ハニーとサフィル、レオナとエムロード、そして私とシズね。んで、まあ適当に戦えばいいと思うけど……」

 

 言いながら、私はスカイピアの地図を取り出す。

 昨日、ナミに頼んで書き写させてもらった奴だ。……有料だったけど。

 

 その紙に軽くペンを走らせ、遺跡っぽい何か――推定『黄金郷』とされている場所。ルフィ達が目指している――を中心に、島を東西南北の4つに分ける。

 

「この4つのエリアを、4グループでそれぞれ担当するわけっすか?」

 

「そんな感じ。私達が今いるのが、ここ……島の北東ね。んで、担当区域だけど……」

 

 地図にそのまま書き込む。

 

 北側を、ルプーとリュビ。

 東側を、レオナとエムロード。

 西側を、ハニーとサフィル。

 南側を、私とシズ。

 

「南側はここから一番遠いから、空飛べて機動力がある私とシズのコンビで行く。他はそれぞれ、適宜獲物探して狩ってきて。ここでは私達は侵入者……多分、見つかりさえすれば向こうから寄ってくると思うし。それと……レオナとエムロードだけど」

 

 2人の顔を見て、念を押すように言う。

 

「レオナは、シャンディアとしてエネルの勢力と戦いたいんだったよね。それは……自分の手で、エネルを倒したいとか、そういう感じの意味?」

 

「……それは……」

 

 そう聞かれてレオナは、少し悩む。

 口をつぐんで、何か言いたそうに……けど、言いづらそうにしばらく黙った後、

 

「できることなら、そうしたい。けど、難しいと思うし……それに、その他にも…シャンディアの皆が危ない目に遭ってるところとかを見たら、助けたいと思う。神兵も、決して弱いとは言えない連中だし……シャンディアの皆から見れば、だけど」

 

「だから……彼らを助けるために動く感じかな?」

 

「そうするつもり。……でも、チャンスがあれば……神官やエネル自身を倒したい……かも」

 

 それを聞いて私は……レオナの目を真正面から見ながら、はっきり言った。

 

「単刀直入に言うね、レオナ。母親として……それは許可できない」

 

「……っ!?」

 

「シャンディアを助けるのは全然OK。レオナの実力なら、この程度の連中には負けることはないと思うし……相性次第だと思うけど、油断しなければ神官にも勝てる可能性は大きいと思う。そのくらいには……メルヴィユの修行で強くなったしね」

 

 けど、と続ける。

 

「私の『見聞色』に引っかかってる、この島でもひときわ大きな気配……これがおそらくエネルだと思うけど、多分こいつは今のレオナじゃ無理。だから、出くわしても戦わずに逃げなさい。もしレオナが無理にでも戦おうとしたら……エムロード、その時はあなたが止めて」

 

「心得ましたわ、お姉さま」

 

「母ちゃん、でも……!」

 

「レオナ、こういうことを言うのはちょっと残酷かもだけど……あなたはまだまだ未熟だよ。フィジカルはその年で考えれば大したレベルだと思うけど……まだ『覇気』も使えないあなたじゃ、どうしたって限界はある。無茶無知無謀で大怪我するような危機に飛び込むのは、賢い子のやることじゃあない。勝てない相手から逃げるのは、恥でもなんでもない」

 

 言いながら、私はレオナに何枚かの紙を渡す。危ない時に使いなさい、と言って。

 1つ1つ、切り絵みたいになっていて……怪人のような形に切り抜かれているそれだ。黒い台紙に張り付けてあるから、その形状がよくわかる。

 

 言うまでもなく、これは『切神』だ。私があらかじめ作っておいた奴。

 空中に放り投げるだけで発動し、『覇気』で強化された紙の兵隊が出来上がる。

 

 こいつらなら……何か危ないことがあった時に、盾になったり敵を足止めするくらいはできるだろう。『覇気』がこもってるから、攻防力がかなりのものだし……『自然系』にも攻撃が当たる。

 

 エネルにもし出くわした時に何が不安かって……あいつ雷だから、速さじゃ絶対に勝てないってことなんだよね。

 ただ逃げるだけじゃ、簡単に追いつかれて攻撃を食らう。……速さで勝てるのなんて、どこぞの『光人間』の海軍大将くらいのものだろう。

 

 だから、逃げるとすれば……足止めが要る。

 まさかエムロードにそれを頼むわけにもいかないので、こっちで用意させてもらった。

 

 加えて、この『切神』が使われた際は、私がそれを察知できるようになっている。

 もしその時が来たら、レオナにやばいことが起こっていると判断して、私が速攻で駆け付けるつもりでいます。

 

 きちんと言って聞かせた結果、渋々、といった感じだったけど……納得したようだった。

 

 ……というか、だ。

 レオナに関して、何が不安に思ってるかっていうとさ……もちろんレオナ自身の身の安全も一番ではあるけど、割とそれと同じくらいに不安なことがあって……

 

「レオナ、重ねて言うけど……絶対に無理はしちゃだめ。じゃないと……」

 

「じゃないと?」

 

「……もしも、だよ? レオナが、誰にとは言わないけど、ひどい目にあわされて傷ついたりするようなことになったら……私多分、ブチ切れるからね」

 

「え」

 

「そんで多分、自重とかいろいろぶん投げて大暴れすると思うからね。うん、もうホントこれはね、どうしようもない。もう戻るつもりはないって言ってたけど……『シャンディア』の故郷の地形がちょっと悲惨な感じに変わってほしくなかったら……くれぐれも自分を大事にしなさい」

 

「………………」

 

「わかったら返事」

 

「あっはい、わかりました」

 

 多分心の中で『あ、この人本気だ』って思ってる……と思う。

 本気だからね、私は。

 血がつながってないとか関係ない。私の娘に対する溺愛っぷり、なめんなよ。

 

 なお、この中でその一端を見たことがあるのは、ルプーとハニーだけなのだが……ああ、思い出してるんだろうな。ちょっと顔が青い。

 

 まあ、私としても……レオナのご先祖様の故郷をぶっ壊したいわけではないので、そんなことが起こりませんように、と切に願うばかりである。

 

 ……それでも……繰り返すけど、それが『起こった』際は、私は我慢しないよ?

 

 

 ☆☆☆

 

 

 その後私達は、話し合って決めた通りに、『神の島』各方面にばらけて……適当に動き回った。

 

 隠れずに適当に動き回ってるだけで、向こうから襲ってきたからね……神兵も……シャンディアも。

 両者が揃ってるところに出くわして、みつどもえになっちゃったこともあったし。

 

 え、どうしたかって? そりゃもちろん、喧嘩両成敗ですよ。

 シャンディアの方は適度に殴って気絶させて、神兵の方は死なない程度にぶちのめした。

 シャンディアの方はありふれた『貝』しかもってなかったので放置して……『神兵』からは『斬撃貝』を頂戴しました。入れ食いである。

 

「えーっとこれで……『斬撃貝(アックスダイアル)』合計19個か。1個壊しちゃったのはもったいなかったなー」

 

「申し訳ありません、スゥお嬢様。私の狙いが甘かったばかりに」

 

「いや、まあいいよ別に。まだ実践慣れしてないわけだからね……仕方ないよ。幸い、神兵連中、予備も合わせて1人あたり3個とか4個持ってるし、かなり効率いいね。こんだけあれば……Dr.インディゴの研究資材としても申し分ないよ。多分、あの人なら養殖も成功させる」

 

 ホントなら、そのへんもきちんと身に着けたうえで外に出すつもりだっただろうからこそ、シズにはまだ『外出許可』出てなかったんだけどね……。

 と、言ったとしても落ち込んじゃうだけだ。怒るのは昨日きっちりやったし、ねちっこく蒸し返すのはやめておこう。

 

「しかし、エムロードも言ってたけど……雑兵でこういうの持ってるなら、幹部格が持ってるであろう『貝』も、やっぱり狙ってみたいな……」

 

「レオナお嬢様の話では、敵の大将であるエネルとやらは、島の中心部にある『神の社』にいるとのことです。敵の本拠地と言っていいその付近であれば、珍しい『貝』他の物資が集積されている可能性も高いかと思われますが」

 

「……そのあたりの探索は最後の方にしよう。まだ各所に散らばってる気配がいくつもあるから……それらを1つ1つ潰して回るのがよさそう。運が良ければ……っ!?」

 

 その瞬間、

 私達の目の前を通っていた『雲の川』が……ほんのわずかに、ぴかっと光った気がした。

 

 同時に、島のあちこちに散らばっていた気配が消えて、一気に『声』が少なくなっていく。

 

 ……どうやら、エネルが……あの雷人間が動き出したらしい。

 原作でも確か、放電でシャンディアの1人を仕留めた時に……その余波というか流れ弾で何人も沈められてたんだもんな。やっぱりおっかない奴……。

 

 空島編、佳境に突入したと見ていいらしい。気づけば、声ももう……半分以下だ。

 

 

 

 

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