直前に投降した第140話と合わせてお読みください。
「二億V……
「ゴムゴムのォ……
上空高くで繰り広げられる、ルフィとエネルの決戦。
能力の相性は圧倒的にルフィ有利ではあるものの、足場の不安定さで実力を十分に発揮できないでいる。
加えて、エネルは『
雷自体は効かないものの、その衝撃で足場が崩れたり、閃光で目をくらませたりと……雷の威力や性質を熟知しているエネルらしい戦術に、ルフィは苦戦させられていた。
一進一退の攻防は続き、互いに小さい傷が蓄積していく……しかし、ほんの少しの油断で決着がついてしまいそうな戦いだった。
ルフィにとっては突き落とされれば敗北。
エネルとしては突き落とされても復帰は容易だろうけど、船を壊されたり、自分が倒されれば敗北……という条件か。
……つまり、ス〇ッシュブラザーズVS拠点防衛系ゲームの戦いか、これは?
見てる以外にやることがなくていらんこと考えちゃった。
あ、ちなみに私今、見つからないように下の方にいて……飛んでその戦いの様子を観察してます。もしもに備えて。
事態が動いたのは……戦いが始まってからしばらく経った後のこと。
エネルとの戦いの最中、ふと上を見上げたルフィが……あることに気づく。
「……何だ、あれ?」
「! ヤハハハハ……まあ、さすがに気付くか」
その視線の先には……黒い雷雲が、自然物としては不自然な……きれいな球形にまとまってきている光景があった。
直後、得意げにエネルが語るのは……あの雲の球体は『
あれが炸裂すれば、『
それを聞いたルフィは当然、そんなことはさせないと怒って向かっていくが……そのわずかな戸惑いでできた隙を、エネルは的確についてきた。
多分、最初から冷静さを失わせるつもりであんなことを言ってきたんだろうな。
原作でも見たことがある展開だった。ルフィが突き出した拳を……エネルが船から引っ張り出して取った黄金で絡めとり、そのまま固めてしまった。
そして、その特大の障害物兼重りを蹴飛ばし、その重量でルフィを引きずり落としてリングアウトにしてしまおうとする。
どうにか踏ん張ろうとするルフィだったが、それもできずに足を払われ……突き落とされる。
黄金に腕を引っ張られるせいで、体勢も滅茶苦茶。『雲貝』を使うこともできず、落下するばかり…………というところでハイ私の出番!
落下するルフィを、腕……だと伸びちゃうので、わきの下の部分でキャッチして……うわ重っ!? いや当たり前か、こんなバカでかい黄金ついてるんだもんな。
黄金の比重ってどんくらいだっけ……まあいいや今は。
「っ……来たか、紙の女……! だが構わん、この『雷迎』なら……貴様もろとも、全て消し飛ばすことが可能だ! もうこの大きさで十分だろう……ここで落として、全て終わらせてくれる!」
「うわあぁぁ……あれ? あ、スゥ? あ、受け止めてくれたのか……ありがとう、助かった!」
「どういたしまして。どうする、交代する?」
「しねェ! まだやれる! ……ちょっと重くて邪魔だけど!」
うん、まあ、そう言うと思った。
既に私じゃなくて、上空にいるエネルに視線を向けて戦意バリバリなルフィ。さすがの主人公メンタルよ……眩しいぜ。
ここでこれ以上の介入は無粋だな……原作通りの対戦カードが見たいってのもなくはないけど、このまま男の子の意地とロマンを応援してあげよう。
……でも、さすかにこの黄金は邪魔なんじゃないかな?
気のせいか、なんか原作よりもだいぶ大きなサイズのつけられてない? 相当大量に『マクシム』の壁からはぎとったのか、向こう、へこんでる部分はっきり見えるし……
「その手の黄金どうする? 邪魔なら取ってあげるけど……」
「いい! このままで行く!」
と、言うが早いかルフィはそのまま飛んでいく。
何もない空中に飛び上がった……と思いきや、ポケットの中から『貝』を……ワイパーがさっき渡していた『雲貝』を取り出して放り投げ、空中に雲の足場を作る。おぉ、初めてだってのに上手く使えるじゃん。
そしてそれを伸ばした腕でつかみ……縮ませる反動で勢いよく飛び上がった。
「あくまで貴様が相手ということか! よかろう、何度でも来るがいい……今度は串刺しにして……!?」
ルフィは、エネルめがけて飛んでいく……かと思いきや、そのだいぶ横をすり抜けて、明後日の方向に飛んでいった。
というか、エネルをガン無視して……落下を始めている『雷迎』の方に飛んで、その中に飛び込んでいってしまった。
「ゴムゴムの、花火……“黄金牡丹”!!」
突入後すぐに、気のせいか否か、そんな声が聞こえたと同時に、ものすごい勢いで『雷迎』の表面が異常なほどにバチバチ言い始めた。
エネルもようやくその意図に気づいたようだが……すでに遅い。
その数秒後、
「晴れろォ~~!!」
―――ドッ……パァン!!
ルフィの手の黄金が、巨大な『雷迎』の中の電気を全て放電させつくしてしまい、消し飛ばすようにして消滅させた。
国一つ滅ぼすであろう必殺の兵器が破られ、その光景に衝撃を禁じ得ないエネルが……愕然とした表情になって……そしてそれは、ルフィからすれば決定的な隙だった。
はじけ飛んだ『雷迎』の中心……まだわずかに雷雲が漂う中から、びゅん! とルフィの手が伸びて……『雷神』で巨大化したエネルと、その背後にちょうどあった『黄金の鐘』にまとめて巻き付いて動きを封じた。
エネルがはっとして、自分の体を拘束するゴムの腕に気づいて冷や汗を浮かべるが……もう、遅い。逃げることは、できない。
「貴様っ……!!」
「じゃあな! お前ごと……鳴らしてやる!!」
そうしてルフィは……ぐるぐると体を回転させて捻っていく。
黄金のついている腕だけじゃない。胴体も、もう片方の伸ばしている腕も……ひと続きになっている体全体をねじってる。
あれ……『ゴムゴムの
「ゴムゴムのォォオォ……!!」
そして、身動きの取れないエネルめがけて、ルフィはゴムの収縮に落下の勢いもプラスした速度で超急降下し……さらにそれに回転をかけて、黄金の質量を拳に乗せて……
「黄金ッ……スクリュ―――ッ!!」
体全体を使って、黄金ごとほとんど体当たりするような勢いでエネルに激突し、全エネルギーを集中させた拳がめり込んだ。
その衝撃でエネルの『雷神』は解除され、電撃は完全に消失。
直撃の瞬間、すでにエネルの意識は吹き飛んでいて……白目をむいて完全に気絶してしまっているのが、遠目からでもよく分かった。
そして、その向こう側にあった鐘にまで、その巨大な衝撃が伝わり……巨大な釣鐘のボディが大きく揺れる。
激突と同時に手足を元に戻し、くっついていた黄金も砕けて身軽になったルフィが……自分が落下していくのも気にも留めずに――このあとちゃんとまた拾って助けるけど――目いっぱいの声量で叫ぶ。
「届けえぇぇ―――っ!!」
そして―――
―――カラァ――…ン!
空の果てまで届きそうな、澄んだ音色が……スカイピアの空に、響き渡った。