大文豪に私はなる!   作:破戒僧

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第142話 スゥと戦勝の宴

 

 

 問題です。

 ワンピース世界において、特にルフィ陣営において、大きな戦いが決着した後に待っているものと言えば何でしょう?

 

 ……答えは……

 

 

 

「宴だ~~~!!」

 

 

 

 これ。

 

 『神の島』で、巨大なキャンプファイヤーを囲んで……神・エネルとその軍勢を打ち倒し、スカイピア崩壊の危機が救われたってことで……『空の民』も『シャンディア』も、私達青海人組も皆入り混じって、すごい賑やかなどんちゃん騒ぎが繰り広げられております。

 

 いや~……原作で何度も見てたけど、すごいなコレ、熱気。

 

 あっちこっちで、この人達ホントにちょっと前まで争ってたのかよって思っちゃうくらいに、皆大喜びで大笑い。

 見てるだけでこっちまで陽気な気分になって来ちゃうくらいだ。ホントに。

 

 涙流して笑いながら、歌って踊って、食べて飲んで……あー楽しいなコレ! 何も考えずに、頭空っぽにしてひたすら大騒ぎするのって、こんな風な感じなんだ。

 私基本、こういうバカ騒ぎに縁のない人生送ってきたからな……新鮮すぎる。

 

 『メルヴィユ』での宴席とか、『グラン・テゾーロ』でのパーティーとか、その他いろいろな宴会に出た経験自体はあるんだけど……それらとはまた違った良さがある、って感じだな。

 自由で、楽で、礼儀作法も何も考えなくていい感じ。庶民派な感じでけっこういいかも。

 

 少なくとも、こんな、参加者の100%が超ノリノリで笑顔で大笑い、心から楽しんでるパーティーって……初めてな気がする。

 この宴に参加できただけでも、『空島編』に首突っ込んだ甲斐はあったかも。

 

 メルヴィユでの宴は、楽しいし料理もおいしいけど、私基本、パパこと『金獅子のシキ』の娘……『お嬢』として扱われる。

 基本、傘下の人達に敬われるし、挨拶に来たりもするから……あんまり開放的って感じではないことも多いんだよね。会社の飲み会的な空気がちょっとある。

 

 『グラン・テゾーロ』でのパーティは、こちらも、ステージの演目も料理も一級品だけど……VIPが集まる場だからこその、ちょっと息苦しい感じもどうしてもある。

 楽しいけど、『羽目をはずす』って感じではなくてさ。

 その後、二次会三次会で身内だけで飲む場とかは別だけど。

 

 ……あと思い出すのは……前に一回招待、あるいは召集(・・)されて行った、とある『お茶会』かな……。

 みんな笑顔だったし、出された食べ物はどれもこれも美味しかったんだけど……出席者の顔ぶれが顔ぶれだったし、皆笑顔の下で色々どす黒いこと考えてる人ばかりだったから、終始緊張してて……楽しいは楽しかったけど、純粋に楽しめた感じじゃなかった。

 何度も出席してるらしいモルガンズに一緒に行ってもらって色々助けてもらって、マジで助かったよあの時は……。

 

 挙句、『主催者』に後で呼び出されて、危うく結婚させられるところだったし……。

 

 あーやめやめ! 変なこと思い出してたら楽しくなくなっちゃうよ! せっかくの宴だ!

 今はただただ楽しもう。

 

 あっちではルプーや魚人三人娘も楽しそうに踊ってるし、ハニーもお酒じゃんじゃん飲んでる。割と強いんだよね彼女。

 シズは相変わらずの鉄面皮だけど、楽しんではいるみたい。もきゅもきゅ口を動かしてご馳走食べてる。

 

 レオナはアイサと一緒に歌って踊って楽しんでるし。久しぶりの姉妹(こっちも義理ではあるけど)水入らずで……でもないか。みんなと一緒だし。

 でもまあ、めっちゃ楽しそうだから問題はないな。

 

 私も私で、適度にだけど、誘われて歌ったり踊ったり……ご馳走もたくさんもらって、食べて飲んで……。

 しかも嬉しかったのは、エンジェル島に住んでた人達の中に、私が『雲チーズ』で作ったチーズケーキその他のスイーツが大好きだってことを覚えてくれてる人がいて、どっさり持ってきてくれたことだ。

 チーズケーキ、タルト、スフレ……その他色々、めっちゃ美味しかったです。

 

 そんな感じで、どんどんテンション上がっていって……最後の方はもう、具体的に何がおかしいのかわからないけどとにかくおかしいって感じで、ひたすら笑って楽しんだ時間になった。

 

 

 ☆☆☆

 

 

 そんな感じの宴は連日続いたわけだが……その合間に私達は、何度か抜け出してあちこちに足を運んでいたりする。

 理由は……いただくべきものをいただくためだ。

 

 私の介入以外は、おおよそ原作通りの結末を迎えたこの戦いだが……割と大きく違ったところが1つある。

 

 ルフィがエネルを倒した後なんだが……エネルの方舟『マクシム』は、原作通り、動力である電力を失って落下したものの……海ではなく、『神の島』に落ちた。

 

 しかも、『巨大豆蔓』の直上から垂直落下したせいで、『神の社』があった島雲部分に激突。

 その衝撃で色々やばい部分がぶっ壊れたらしく……その島雲部分を突き破って、空中で爆発し、破片やら残骸があたり一帯に降り注いだのである。

 

 さすがにこの年になると、ずっと騒ぎっぱなしってのもこたえるのもあって、休憩と腹ごなしを兼ねて、私はその降り注いだ破片をあさっている。

 ちょうど一緒に休憩するところだったらしい、シズやハニーも一緒になって。

 

 成果は……上々だ。

 

「『噴風貝(ジェットダイアル)』、『斬撃貝(アックスダイアル)』、『凍結貝(フローズンダイアル)』、『雷貝(サンダーダイアル)』……その他色々、希少種に絶滅種により取り見取りね!」

 

「むしろ見たことも聞いたこともないものの方が多い……どこから持ってきたのかわからないけど、随分ため込んでたんだねえ。個数も半端ないや」

 

「『噴風貝(ジェットダイアル)』が一番多くて、発見できただけででも119個。それ以外も何十個も普通に見つかっています」

 

 こんだけあればパパも大喜びだろうし、サンプルも大量だからDr.インディゴも研究材料には困るまい。養殖も必ず成功させてくれるだろう。

 

 もちろん、あんだけ高い所から落ちたわけだから、割れて使い物にならなくなってしまった貝も多くあったけど……それでも破片も含めて一応回収させてもらった。何かに使えるかもだし。

 

 ちなみに、初見の『貝』が数多くあるのに何でその名前までわかったのかというと……一緒に、エネル達が使っていたと思しき資料も見つけたからだ。

 『貝』の一覧だけじゃない。その他の色々な研究資料や……あの『マクシム』の設計図らしきものまで、とにかく大量の資料を見つけることができた。

 

 『神隊』の人を適当に1人捕まえて話を聞いて、彼らが強制労働させられてた現場である地下の造船所っぽい場所を教えてもらった。そこを徹底的に探したのだ。

 もう用はないし、『スカイピア』ごと破壊するつもりだったからだろう。そういう重要な資料が全部置きっぱなしになっていたので……片っ端から全部もらいました。

 

 これもいい資料になる。特に『空飛ぶ船』の設計図なんて……パパのホームグラウンドが『空』だからな、そりゃ喜ばれるだろう。

 パパが浮かせる船は、パパが動かさないと自力ではろくに動けないのが弱点だし。

 

 あと……『デスピア』とかいう雷雲発生装置の設計図もあったけど……これは果たして使い物になるかどうか。エネルの膨大な電気がある前提っぽいからなあ。それに代わる何らかのエネルギーでもあれば、浮遊艦と合わせて恐ろしい武器になるとは思うんだが……

 

 まあ、これもDr.インディゴにぶん投げよう。

 

 しかしコレだと……さすがに嬉しい悲鳴にも限度があるというか、研究対象が多すぎて、研究班から過労死者が出るかもしれないな。

 仕方ない、その時は私も少し手伝うか。ママこと『ソゥ』の資料を片っ端から読んだおかげで、研究の手伝いできるくらいの知識はあるからな、今の私なら。

 

 

 

 ちなみに、宴会を抜け出して色々見て回っているのは……私達だけじゃなかったりする。

 

「あ、ロビンこれもじゃない? 古代文字っぽいけど……」

 

「ええと……そうね。これは……会議室、かしら。大きさや構造、都市の中での位置からすると……『シャンドラ』の人々が使っていた議場か何かのようね」

 

 麦わらの一味の『考古学者』である彼女だ。

 ロビンも時々、休憩がてらこうして『シャンドラ』の遺跡その他を調査しにきているので……『貝』探しの時によく出くわした。

 

 『黄金の鐘』に書いてあった古代文字も――『ポセイドン』について書いてある奴も、海賊王が残したっぽい奴も両方――もう読んだってさ。

 エネルの方舟と同じで、この鐘も島に落ちたんだよね。しかも、運よく『島雲』の部分に落ちたから、特に傷ついたりすることもなかったみたい。

 原作と同じで、横の柱は片方折れちゃったようだけど。

 

 ……原作通りに進むなら、コレをルフィ達は放置して(というかもらえることに気づかず)島を出て……しばらく後に来たあのチンピラバネ小僧が持ってってチンピラピンクグラサン鳥に献上するのか……面白くないな。

 ……もしかしたら、もうちょっと介入するかも。

 

 『貝』探しの合間の休憩も兼ねて、彼女の散策に付き合ったり、見つけた古代文字を読んでもらったりしてたんだけど……なんか興味出てきちゃったな。

 

「ねえロビン、古代文字って……やっぱ覚えるの難しいのかな?」

 

「? そうね、それなりに複雑なものだから……覚えようとすれば相応に時間はかかると思うわ。私もそうだったし……ひょっとして、興味があるの?」

 

「あるかないかで言えば、あるよ。何て書いてあるのか読めたら、それはそれで面白そうだし……指南書とかないかなって一時期探してたこともある」

 

 アラバスタでパクった『歴史の本文(ポーネグリフ)』、手に入れたはいいけど全然読めないから、今巨大なオブジェ状態で『メルヴィユ』に保管されてるんだよね。

 原作から、『プルトン』について書かれてることだけはわかってるんだけど……具体的な内容は、何一つわからない。アラバスタの、具体的にどこに隠されてるのかとか……

 

 ていうかよく考えたら、場所が書いてあるとしか言ってなかったし……ひょっとしてアラバスタにはない可能性もある?

 クロコダイルがアラバスタ手に入れようとしてたから、てっきりプルトンも国内にあるんだと思いこんでたけど……シャンドラの歴史の本文(ポーネグリフ)に書いてあった『ポセイドン』は、シャンドラじゃなくて魚人島にあった(居た)わけだし……。

 場合によっては、とんでもない場所に隠されてる可能性もあるな……ますます気になる。

 

「指南書……まずないでしょうね。そんなものがあれば世界政府が黙っていないわ」

 

 だよねえ。島一つ、住民もろとも焼き滅ぼすくらいだもんね。

 研究はもちろんのこと、『探そうとした』とか『読める(読む気があるかないかは関係ない)』とか、挙句『その可能性がある』ってだけで犯罪者認定して色々捏造してまで指名手配するもんね。

 

 しかし、こんだけ病的なまでに徹底的に『禁止』しまくってると……それこそ、何か世界政府にとって不都合なことを隠したがってるって、喧伝するようなものだと思うんだが。

 

「そっか……ちなみにだけど、教えてほしいって言ったら教えてくれる? 読み方」

 

「いいの? 世界政府に狙われるわよ?」

 

「もう賞金ならかかってるからなあ……今更感あるよ。幸いにして、7600万で今のところ止まってるけど。でも、古代文字覚えたらもっと上がっちゃうだろうなあ……めんどくさい」

 

「ふふっ……どの道、一朝一夕で覚えられるものじゃないわ。そうね……もしあなたが、船長さんの誘いに乗って、私達の船に乗ってくれるのなら、教える時間もあるかもしれないけれど」

 

「それはちょっとなあ……こっちにも色々事情も立場もあってさ。ていうか、え、何、ルフィって私のこと勧誘するつもりでいるの?」

 

「そう言っていたわ。今はまだ宴に夢中だけど……ひと段落したら誘われるんじゃないかしら」

 

 へー、そうなのか。原作主人公の一味に誘われる(かもしれない)とは……。

 

 これは何というか、光栄ではあるけど……受けるわけにはいかないので、断るのが大変そうだ。一度決めたらしつこいからな、ルフィって……。

 無難な断り文句でお茶を濁そうとしても『やだ! お前が断るのを俺が断る!』とか『うるせェ! 行こう!(どんっ!)』とか言って諦めなさそうだし……考えておかないと。

 

 働け、私の創作脳。ちょうどいいセリフを導き出せ。

 

 

 

 あ、それともう1つ、追加というか補足みたいな情報をば。

 

 シャンディアや神隊の人達が話してたのをちらっと聞いたんだが……エネルや神官達を『雲流し』にしてしまおうと探してたそうなんだが、なぜか1人も見つからなかったみたいで……少し、不安そうにしていた。

 

 しかも聞いた話じゃ……『神隊』の人達が、この6年間の強制労働の中で、あの『マクシム』の試作品としていくつかの小さな船を造らされたことがあるそうで。

 それらには『デスピア』こそ搭載されてはいないものの、飛行能力はあって……そのさらに一部は、作成後に解体も廃棄もされずに保管されていたはずだった。

 

 それがしかし、あったはずの場所からなくなっていた。

 

 ひょっとして連中は全員、その試作品を使って……この『スカイピア』から逃げおおせてしまったんじゃないか、と言っていた。

 今となっては、もう確かめようもない。

 

 もっと後の話になるが……生まれつきの『心鋼』もとい『見聞色』でスカイピア全体を見渡せるアイサが、『どこにもそれらしき『声』はない』と断言したことで、この件は検証不可能で迷宮入りとなったのだった。

 

 

 

 ☆☆☆

 

 

 

「認めようじゃないか……青海の賊党共。私がまだ未熟で……何もかもまだ足りていない存在だということを。私よりも強く、底知れない力を持つ者達が……この世界にはまだまだいるのであろうこともな」

 

「確かにな、お前の言う通りだ……紙の女よ。知らず知らずのうちに全てを知った気になって……それ以上を拒み、知ろうともせずにいたことの、なんと愚かであったことか。『無知』であることの……何と恐ろしく、罪深いことであったか。この身が、この力が、無敵でも絶対でもないのだと……ああ、思い知らされたとも」

 

「しかし……それが理解できたのなら話は早いというものだ。知ればいい。学べばいい。『心鋼』と同じだ……修行して、身に着けて、我が物にすればよいのだ。『神』の座も、居場所も、全て失ったが……だからこそ時間も、自由もある」

 

「黄金も、(ダイアル)も、『大地(ヴァース)』も、都市も……『黄金の鐘』も……『限りない台地(フェアリーヴァース)』もだ……貴様らの好きにすればいい。私にはもう、どれも不要だ……少なくとも今は、もう求めようとは思わん」

 

「代わりに、求めよう……力を、技を、知識を……私に、いや、我々に足りない全てのものを」

 

「さしあたっては、あの獅子娘がつぶやくように言っていたこと……。紙の女が私に攻撃を当てたカラクリと思しき、『覇気』とやらについてだな。奴には雷はもちろん、『心鋼』すら通じなかった……謎だらけだからこそ、尋常の力ではないということくらいは、今の私にもわかる……」

 

「『無知』を『既知』に変え……修めるべき全てのものをこの手につかんだ時……私は再び、私が求めるもののために、戦いに身を投じるだろう」

 

「もっともその時……私が新たに何を求めることになるかも、誰と戦うことになるのかも……今はまだわからんがな。何せ、今私が何を知らないのか、何が足りていないのかすら……今はまだ何もわかっていないのだから」

 

「その時はまた、お前達と戦うことになるのか、あるいは特に関わることもないのか……案外と、貴様らと肩を並べて戦う未来すら来るかもしれんな……? それはそれで、面白そうではあるか……ヤハハハハハハハハッ!!」

 

 

 

 

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