大文豪に私はなる!   作:破戒僧

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第143話 スゥ、お風呂で女子会

 

 

 適当なところに、浅くて広い穴を掘るじゃろ?

 

 その穴の中と周囲を、『島雲』を使って軽くコーティングするじゃろ?

 ふわふわの床ができるじゃろ?

 

 穴の中を水仕様の『雲貝(ミルキーダイアル)』で満たしつつ、『熱貝(ヒートダイアル)』で適度に温めるじゃろ?

 あと、たまたま持ってた入浴剤をぶっこんでよく混ぜるじゃろ?

 

 はい完成! 世にも珍しい『雲風呂』のできあがり……ってことでみんなで入ってます。

 あー、いい湯だなー……

 

 もちろん男湯と女湯は分けている。男湯は男湯で、ルフィ達がのんびり入っているはずだ。

 十中八九サンジあたりが覗きを企てるだろうが、そんなことができないように、男湯と女湯は隣接させていない。かなり距離を放して作ってある。

 その上、女湯の周囲には『切神』を徘徊させているので……まあ多分大丈夫だと思う。

 

 というわけで、女子会……ってわけじゃないが、女メンバー皆で入ってます。

 私達メルヴィユ組(レオナ含む)に加えて、ナミ、ロビン、コニス、ラキ、アイサも。

 

「すっごーい! 『(ダイアル)』ってこんなことまでできるのね……一気にドバっと出るし、温まるのも早いから、準備もあっという間だったし……これは欲しいわね」

 

 と、ナミ。ふわふわのお湯……というか雲で遊びながら言うナミ。

 発泡タイプの入浴剤みたいに、湯船が泡だらけのお風呂とかならなくもないかもだが……泡じゃなくて雲に満たされたお風呂なんてのは初めてだから、びっくりしてるみたいだ。

 ちなみに私は何度かやったことある。メルヴィユでね。パパが『雲貝』も持ってるから。

 

 お湯、というか雲もふわふわで、床や湯船の底も『島雲』だからふわふわという、見た目にも感触的にもファンタジックな空間を堪能しつつ、あったかいお湯で疲れを取っています。

 

 隣に座っているコニスが、それを聞いて笑いながら、

 

「お望みでしたら言ってもらえれば、もらえると思いますよ。皆、皆さんにたくさんお土産を持って行ってもらおう、何がいいかな、って言ってましたから」

 

「ほんと? やった! ウソップに頼んでメリー号のお風呂改造してもらおうかしら」

 

「んー……でも、青海で使うのは無理だと思うぞ? 『雲貝』は、青海じゃ使えないからなー」

 

 と、呟くように言ったレオナの言葉に、『え!?』と驚くナミ。ロビンも気になったようで、

 

「あら……そうなの?」

 

「うん。なんでかわかんないけど、他の『貝』は使えるんだけど、『雲貝』だけはダメなんだ」

 

「空島の特殊な雲が形になるには、空島の環境が必要みたいなんだよね。一部の『加工雲』以外は消えたり崩れちゃうんだよ」

 

 一応、私が補足。

 専門用語を使いすぎないように、子供でも分かる程度に砕いて説明。

 

「そうなんですか……私も知りませんでした。『スカイピア』から出たことがないもので……」

 

「なーんだ、残念。青海に帰ってからも使えるかと思ったのに」

 

 がっかりした様子で、雲のお湯に口のあたりまで沈んでぶくぶくと音を立てるナミ。

 

 そんな会話を聞いていた中で、なぜか途中から少し不安……というか、寂しそうな表情になっていたアイサが、恐る恐る、って感じで口を開いた。

 

「ねえ……レオナ? レオナもやっぱ……帰るの? ……青海に」

 

「ん? ……まあ、うん。そうだけど」

 

「……何で?」

 

「何で、ってそりゃ……」

 

 あー、なるほど。そこか……ちょっと悲しそうにしてる理由は。

 まあ……数年ぶりに再会できた姉妹だもんね。仲もよかったって聞いてるし。

 

「ずっとここにいればいいじゃん……もう暴走もしないんだろ? だったら村の奴らも、レオナのこと怖がったりしないし、追い出そうとだってしないよ! なんか、酋長達……ガン・フォールや空の奴らとも仲良くしようとしてるみたいだし……もう、戦いだって起こらないんだよ。だから……せっかくまた会えたんだから……」

 

 『怖がる』とか『追い出す』とか、少々物騒なワードが出てきたことで、コニスやナミが不安そうに見てた。レオナの事情知らないからな。

 逆に、事情を知っているラキや、なんとなく察したっぽいロビンは、こっちもこっちで少し不安そうに見ている。種類は違うかもだが。

 

 けど、レオナは特に顔色を変えることはなく……寂しそうな目で見てくる義妹に、こちらもちょっとだけ寂しそうな笑顔を見せつつ、その頭を優しくなでてあげていた。

 

「ごめんねアイサ。アイサにまた会えたのも、引き留めてくれるのも、あたしもすっこく嬉しいけど……青海にも、大切な人がいるんだ。その人達とも別れたくないんだ、あたし」

 

「……あたいや、村の皆より大事なの?」

 

「あーごめん、そういうその……『仕事と私どっちが大事』的な、比べらんない系の比較は勘弁して……どっちも大事だよ、あたしにとっては。ただ、あっちにはあたしの居場所がもうあるっていうか……数年かけて築き上げたものがいくつもあるっていうか……離れたくない、って思っちゃうんだ」

 

「……そっか。レオナは……そこと、そこにいる人達が大事なんだね」

 

 そういうアイサは、やっぱり悲しそうで……しかし、決してすねたような口調じゃない。

 なんか、きちんとレオナの意思を理解して受け入れたような様子に見えた。

 

 正直言うと、さっきまで寂しそうに……引き留めたくて必死な感じになってたのに、受け入れるの随分早いな、なんて思ってしまった。

 

「見ててわかるよ。スゥ達と一緒にいるレオナ、すごく楽しそうにしてるから……きっと、その今の居場所には、大切な人がいっぱいいるんだね。しょーがないなー……止めないでおいてあげるよ」

 

「ごめんね、アイサ……わかってくれてありがと。まあ、もうずっと会えないわけじゃないからさ。何だったらちょいちょい遊びに来るから」

 

「え、ホント!? 絶対だよ、待ってるからね!」

 

 『ちょいちょい来る』の発言に、ぱあっと顔を明るくして喜ぶアイサ。

 『ほんとほんと』と返すレオナを見て――実際本気ではあるんだろうけど――やれやれ、という顔にこっちはなってしまっていたんだが……横からラキがこっそり近寄ってきて、

 

「あんなこと言ってるけど、大丈夫なの? ここ……青海人にはそう簡単に来れるような場所じゃないと思うんだけど」

 

「平気平気、実際くる方法はいくらでもあるしね」

 

 ぶっちゃけ、うちには空飛んで移動する手段が豊富なんで。

 

 私やパパは自力で空飛べるし、船を飛ばすこともできるし……今回みたいにシズに頼んだりする手もある。

 あとは、レオナはメルヴィユの動物達とも仲がいいから、大きめの鳥とかに頼んで連れて来てもらう手もあるだろう。

 それに、今回手に入れた『空飛ぶ船』の設計図から、汎用性のある浮遊艦が作れるようになれば、それも手段の一つにはなるだろうし。

 

 しいて不安な点を言うなら、この『スカイピア』自体が移動してる島だってことくらいかな……同じ場所(メルヴィユね)をスタート地点にするにしても、磁気によって近かったり遠かったりするし……そもそも今どこにあるかを知る術が必要だ。

 あとで磁気を記録して『永久指針(エターナルポース)』作っとくか。それと、何人か声かけてビブルカードも作ろう。アイサと、ガン・フォールさんと、コニスでいいかな?

 

 まあそんな感じで……あんまり頻繁には無理にしても、2~3か月に1回くらいなら遊びに来れるよ、多分。

 というか、その時は私が送迎やってあげてもいいな。雲チーズの買い出しと、チーズケーキ他の買い食いのために。

 

 そんなことをラキと話してる間に、レオナとアイサの方は別なことを話してたみたいで、

 

「え? じゃあ……青海にはレオナの姉と妹がいるの!?」

 

「ああ。あたし、3姉妹の次女だからな! 血は繋がってないけど……皆、あたしの姉妹で、母ちゃんの子供だ!」

 

「そうなのかー……スゥって子だくさんだったんだな」

 

 産んでないけどね、一人も。……子だくさんというのも、言いえて妙だ。

 ついでに言うなら、経験もない。相手もいない。いたこともない。

 

 っていうか、3人って子だくさんになるのか? 大家族って4、5人以上のイメージあるかも。

 

「まあでも……あっちの(アリス)より、アイサの方がかわいいな」

 

「え、ホント? え、えへへ……」

 

「……あいつ、油断してると襲ってくるからな……」

 

「……え゛? だ、大丈夫なのかそれ!? お、襲うって……」

 

 ぎょっとした様子のアイサ……と、それを聞いてた面々。

 メルヴィユ組以外は、事情を知らないからか、『油断してると姉妹に襲われる』発言に、大なり小なり驚いている様子だ。

 

 まあ、意味を知らなきゃそういう反応になっちゃうわな。

 ……知ってても別な驚きというか問題があるだろうけど……

 

「ああ、大丈夫だよ。じゃれあいみたいなもんだし……傷つけようとしてくるわけじゃないから」

 

「そ、そう……なの? ならいいけど……」

 

「襲ってくるって言っても、性的にだからな」

 

 周りで聞いていた面々が『ブフォッ!?』と噴き出す音が響いた。

 

 アイサは『?』って感じでよくわかっていない様子だが……またラキがこっそり近寄ってきて、耳元で『どういうこと!?』って聞いてくる。

 

「大丈夫なのホントに!? 義理だとしても姉妹にあるまじきことが聞こえたよ!?」

 

「大丈夫大丈夫……今のところ」

 

 全然大丈夫じゃなさそうな、思い切り不安そうな顔のままのラキ。

 すると今度はナミが、

 

「……念のために聞くけど、ちゃんと『妹』なのよね? 弟じゃなくて」

 

「ちゃんと妹だよ。……普段は」

 

「普段はって何!?」

 

 うん、アリスの能力知らなきゃそんな反応になるわな。

 知ってたからと言って納得できる話でもないだろうが。

 

 まあでも、アリスはアリスで、レオナやスズを傷つけるようなことは絶対にしない子だし……じゃれあいの範囲を超えることはないだろう。

 私も含めて、ちょっと過激なスキンシップ程度のものだ。

 

 ……むしろあいつは、同性であることを最大限利用してギリギリを攻めたセクハラを行ってくるんだが……それゆえに、というのも変だが、超えてはいけない一線はきちんとわかっている。

 

 だからこそ余計に質が悪いし、本当にギリギリを的確に攻めてくるが。

 

 あと……万が一本気で気を許してしまった場合は、あいつは何のためらいもなく、ガチで一線を超えて襲ってくる気配がしているので……冗談でもOKは出さないようにだけ注意はしている。

 私達3人(母&義姉2人)全員と結婚する、子供作る、って言った時の目、限りなくマジだったからな……

 

「聞く限り、全然安心できないんだけど……というか、そんなのとレオナを通して義姉妹になっちゃうアイサが心配なんだけど」

 

「あははは……まあ大丈夫だって。確かにうちの末娘はエロガキだけど、女の子を傷つけるような真似はしない子だし、そもそもさすがに年齢一桁は対象外でしょ」

 

 アイサ、確か8歳だもんね。かわいいとはいえ、小学2年生はさすがにないわ。

 

 ………………8歳、か……。

 

「……もうあと6~7年くらいしたら危ないかもな」

 

 ラキが頭を抱えた。

 

 とりあえず、アリスがレオナにくっついて『空島に行きたい』って言いだした際は、ちょっとだけ注意して見とくようにするか……。

 

 

 

 ……まあぶっちゃけ、そうなった時にやばそうなのは、アイサよりもラキやコニスだと思うが。

 2人ともかわいいからなー。

 

 

 

 

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