大文豪に私はなる!   作:破戒僧

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第144話 スゥとルフィと勧誘と空島編エピローグ

 

 

 連日続いた宴も、そろそろ宴もたけなわ、って感じになってきた頃だった。

 

「え~~!! なんでだよ、絶対楽しいのにっ!」

 

 私の目の前で、ずいっ、と身を乗り出してそんなことを言っているのは、麦わらのルフィその人である。

 その表情はいかにも、私の今の『返事』が、不満ですと言わんばかりの感じになっていて……予想通りと言えば予想通りの反応に、私としても苦笑せざるを得ない。

 

 何を私が断ったのかと言えば……まあ、こないだロビンにも言われてたことではあるし、予想はついてる人も多いんじゃないかな?

 

「いいじゃねえかよ、スゥ! 俺の仲間になれよ、一緒に海賊やろう!」

 

 こういうわけ。

 原作主人公から、『麦わらの一味』に入るように勧誘受けてます。

 

 ん~……光栄と言えば間違いなく光栄なんだが……さすがにコレに頷くわけにもいかないしなあ……私、ルフィと一緒に冒険する気はないもん。さすがに。

 言うのも今更ではあるけど、今回の『空島』の一件にガッツリかかわったのだって、アクシデントから始まったことだしね……原作を知ってる知らないは別として、そのストーリーに関わりたいとか、改変したいとか積極的に思ってるわけじゃないんです。

 必要があれば、あるいはそうしたいと思った時には迷わないつもりだが。

 

 それに私、一応とはいえ、もうすでに『金獅子海賊団』に籍を置いているわけだし。君らんとこに参加するわけにはいかないよ。

 

 そのへんをぼかしつつ断ってるんだけど……諦めてくれないなあ、やっぱり。

 しかも私だけじゃなく、レオナ達も一緒に誘われた。皆一緒にいると面白いし、スゥと離れるのが嫌なら皆で、って。

 一気に8人勧誘するつもりかよ……豪快だなオイ。

 

 そして予想外と言っていいのか……ルフィ以外も結構賛成っぽい人多いと来たもんだ。

 

 ウソップやナミは、味方になってくれれば頼もしいので賛成。

 サンジは、美女・美少女いっぱいなので賛成。

 

 あと、チョッパーと……ルフィとウソップもこっちの理由は同じなんだが、シズがロボっぽいので賛成、だそうだ。

 スラスターで空飛ぶところを見られてたみたいで、色々聞かれてて……ロケットパンチ見せてあげたら、3人とも目がキラキラ輝きだしてさ。

 実のところ、私の次に熱心に誘われてるのがシズだったりする。やっぱロボ大好きか。

 

 とはいえ、ゾロやロビン、それにナミあたりは、実際のところは難しい、あるいは無理だろうな……ってのは察しているようだ。

 私に受ける気がないのは少し見ればわかるだろうし、そもそも8人とか多すぎである。今の一味の総数より多いじゃん。

 

 ……あと、仮に私が加入したとして、立ち位置何になるんだろ?

 何かこなせそうな役職とか、別にない気がするんだけど。特段。これに秀でている……ってものもないしさ。

 

「大丈夫だってスゥちゃん、こいつだって刀しか能がねえのに普通に船に乗ってうまいことやれてんだからさ」

 

「あァ? 何か言ったかクソコック!?」

 

「こら、喧嘩しないの……でも、実際スゥってどんな立ち位置になるのかしら」

 

「そんな難しく考える必要もねえんじゃねえか? 別に何か肩書が必ず必要ってわけでもねえだろうし……しいて言うなら、『作家』とかか? やっぱし」

 

「文豪だもんな。……でも、海賊船に『作家』ってアリなのか?」

 

「いいんじゃねーか? 音楽家がアリなんだしさ」

 

「まず音楽家がアリってのは決定なのかよ……お前かたくなに音楽家欲しがるよな。何でか知らねえけど……」

 

「記録とかまとめるの得意そうよね……ロビンは考古学者だし……『書記』とか?」

 

「なるほど、それならありだな……」

 

「えー……でもなんか弱そうじゃねえか?」

 

「肩書に強そうとか求めても仕方ねえだろ」

 

「そうだぜルフィ、コックなんて肩書で懸命に頑張ってる素敵マユゲもいるんだから、言わないでおいてやれよ」

 

「あァん!? テメェクソマリモ餓死してえのかコラ!?」

 

「喧嘩すんなっちゅーのに……じゃあ何ならいいのよ? 強そうな書記って……」

 

「ん~~……超書記!」

 

「どのへんが『超』なんだよ」

 

「そんじゃあ、『書記長』とかはどうだ?」

 

「彼女しか書記がいないのに? 不自然じゃないかしら」

 

「じゃあ、いろいろ取りまとめてくれる感じで……『総書記』とか!」

 

 やめい。

 

 

 

 ぐだぐだ脱線トークになってるのをどうにか軌道修正しつつ……どっちみちそういう話は受けるわけにはいかないので、きちんと再度断る。

 こんなこともあろうかと、ルフィを説得する文言は事前に考えてあるのだ。

 それも、嘘とかは一切言わない形で、ね。

 

 私には、かなえたい夢がある。

 今は、こんな感じで色々と遊びながら、寄り道もしながらではあるけど……その『夢』をかなえるために、努力している最中なのだ。

 

 他人にひけらかして語るようなものでもないから、あえて詳しくは言わないけど……それでも、私個人にとっては大切な夢だ。

 

 そして、それは……ルフィ達と一緒に海賊をしていてもかなえられない夢だ

 

 たしかに、ルフィ達はすごく楽しそうに見える。一緒に冒険したら、きっと私も楽しいだろう。

 けど、今追っている……何よりも譲れない私の『夢』を追えなくなってしまう。

 

 だから私は、ルフィ達と一緒に行くわけにはいかない。自分の夢を大事にしたいから。

 

 そう言ったら、

 

「そうか……わかった。じゃあ仕方ねえな!」

 

 さっきまでの強情さが嘘のように、あっさりルフィは引き下がってくれた。

 

 やっぱりルフィって……それが他人のものであれ、人がそれぞれ『大事にしているもの』を尊重してくれるタイプの人間なんだな。

 アラバスタでビビと別れた時も、『この国を愛してるから!』っていう彼女の言葉を聞き入れて、離れ離れになってもいつまでも仲間だ……って言って、寂しがりつつも別れを告げてたし。

 

 でも、完全にあきらめたわけじゃないっぽいのがまた……

 

「仲間になりたくなったらいつでも言えよ! スゥなら大歓迎だ、面白いし、強ェし!」

 

 そんな風に言われて、結局それかい、と苦笑するしかない私達。

 

「なら、それまでにもっと強くならねえとな、船長。クルーに力で負けてんじゃ格好つかねえぞ」

 

「大丈夫だゾロ! 俺、すぐにもっともっと強くなるから! だからスゥも楽しみにしとけよ!」

 

 ……諦めてないなコレ、実質。

 

 

 

 それでも、一応今のところはあきらめてくれたようで……空島にいる間は、その話が蒸し返されることはなかった。

 しばしのお別れということで、またいっそう盛大に宴を楽しみ……そして、

 

 ある日の朝、

 

「うん? ルフィ達が出てっちゃったって?」

 

「うむ……まるで逃げるようにな。礼も受け取ってもらえんかった。我々がどれだけ感謝しているかも知らずに……無欲も過ぎれば困ったものだ」

 

 溜息をつきながらガン・フォールさんがそう話してくれた。

 ああ、原作と同じ展開になったんだ。

 

 『空の主』ことノラの中から黄金を発掘?して、それを手土産にさっさとメリー号に乗って逃げて行ってしまった。

 周到なことで、私達にすら何も言わずに、だ。挨拶していったのは、アイサだけ。

 

 そしてこれも原作通り……シャンディアの酋長達が渡そうとしていた、巨大な黄金の柱も受け取らずに帰っていったそうだ。

 

 ……っていうか、原作読んでた時から思ってたけど……この大きさの黄金なんて、絶対メリー号には乗らないよな……

 黄金って重いし……切り分けるなり何なりしてどうにか乗せたとしても、過積載で危険だと思う。今のメリー号、かなりガタが来てたはずだし……そもそもこれから、空島から飛び降りて帰るって時にそんな大荷物、絶対無理だろ。

 

 そんなわけで『黄金の柱』を持たずに帰ってしまったルフィ達なわけだが……ガン・フォールさんに頼まれたのは、『これを持っていってほしい』とのこと。

 そして、ルフィ達に届けてほしい、とのこと。

 

「お主達ももう間もなく青海に帰るのだろう? それなら、また彼らに会う機会もあるかもしれん……その時に渡してはくれまいか。このまま礼もできずじまいでは、我らの気もすまんのだ」

 

「まあ、別にそれはいいけど……でも、私達に預けちゃっていいんですか? 私達だって海賊……青海では『犯罪者』です。もしかしたら、ネコババしちゃうかもしれませんよ?」

 

 ちょっと意地悪っぽくそう言ってみたけど、ガン・フォールさん、はははは、と笑って、

 

「これでも人を見る目くらいはあるつもりだ。お主達なら大丈夫だと判断した……酋長達も賛成してくれたからな。それに、手間なことを頼むのだ……少しくらいならお主らももらってくれて構わんぞ。……相変わらず、わしらには価値はわからんがな」

 

 とのこと。やれやれ……信用してくれたもんだ。

 

「それに……海賊という連中が割と気持ちのいい者が多いというのも吾輩は知っている。もちろん全員がそうではないのだろうが……あの麦わらの小僧やお主達からは、かつてここに来た者達……ロジャー達と同じ気配を感じる」

 

「それはまた……何というか、恐縮ですね……」

 

 海賊王と同じて……いやあ、さすがに買いかぶりだよ。ルフィはともかく、私はさ。

 ……っていうか、血筋的にはむしろその人の宿敵なんだけどね……いや、別に気にするつもりも全然ないけどさ。

 

 結局私はその申し出を受けた。

 『エニグマ』で黄金を紙に変えて体内に収納する。またルフィと会えた時にでも渡すことにしよう……いつになるかはわからないけど。

 

 ……これで、あのハイエナ小僧がこの空島に来ても、持って帰れるもんは何もない、と。

 仲間失った上に、桃鳥に取り入る手土産もなしだけど、仕方ないよね。

 

 原作ではお茶を濁されてたけど、個人的にはアレ、空島に来た後、襲って奪ったとかじゃないと思ってます。

 多分、『ルフィ君達の知り合いなのか? じゃあこれ持ってって渡してくれ』的に頼まれて預かったものをネコババしたんだと思う。

 5500万程度の力じゃ、ワイパー達には勝てないと思う。しかも、青海人はこの空島では……慣れてるとかでもない限りは身体能力が下がるからな。

 

 しかも、何があったのかは知らんけど……さっき触れたように、仲間も失ったって話だし。

 件の『ハイウエスト』からでも来たのかな? 100人で空を目指して数人が到達するっていう、犠牲前提のルート。……あれもどういうルートなのかまだ謎だけど……

 

「それじゃ、そろそろ自分達も行くとします」

 

「む、そうか? では、皆で見送りを……」

 

「あーそういうのはいいです。あんまり仰々しくても、こっちが恐縮しちゃう。普通に行かせてください」

 

 ルフィとは違って……って言うと言い方アレだけど、アイサとかに会いにまたちょいちょい来ることになるんだし、そんな大げさな別れとか演出されてもね。

 根が小市民な私では、無駄に恐縮しちゃうだけだ。

 

 そう言ったら、『やれやれ、誰もかれも……』と、ガン・フォールさん、呆れてました。

 

 

 

 その数分後、

 

 ルフィ達は恐らく、原作通り『雲の果て(クラウドエンド)』から、『空島名物タコバルーン』で落下して青海に戻るんだろうが……私達メルヴィユ組は、自前の空飛ぶ船でスカイピアを出た。

 

 もちろん、シズとレオナもきちんと乗せてね。

 

 道中、

 

 

―――カラァ――…ン!

 

―――カラァ――…ン!

 

―――カラァ――…ン!

 

 

 原作でもそうだったように、『黄金の鐘』の音で送られた。

 いやあ……やっぱりいい音するなあ。『シャンドラ』の戦士達が誇るのも理解できる音だ。

 

 ……同じようなもの、テゾーロに作れないか相談してみようかな。

 

 一応、『黄金の鐘』は色々写真とか撮って、サイズその他の設計情報も測って調べてみてあるんだよね……これ渡して今度相談してみようか。

 

 完全な模倣は無理かもしれないけど、『グラン・テゾーロ』でもこの音が聞けるようになったら……またいい名物の1つになるかもしれない。

 

 

 

 いやあ……収穫も大量! 思い出もできた!

 得難い経験もたくさん積めた……これからまた、いい作品が書けそうだ!

 

 楽しかったなあ、『空島編』! いい旅だった!

 

 

 

 




これにて『空島編』終了になります。

またほんの少しプロット等調整のためのお時間をいただきまして、次の章に移りたいと思っております。
今しばらくお待ちください。

今後ともよろしくお願いいたします。
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