監獄内の設定や、拷問の様子とか種類については、独自解釈や独自設定マシマシでお送りしております。
違和感あったらすいません。
第153話、どうぞ。
マゼランの、というか政府の誘いを蹴った私は、当然ながら普通に囚人として牢屋に入れられることになった。
ドラマとかでよく見る、身長を測る壁っぽいのの前で写真を撮られた後、連行され……入ることになったのは、レベル2『猛獣地獄』。
そこにある、女性用の牢獄の1つだった。あ、よかった……一応、男性用と女性用は分けられてるんだな、さすがに。
フロア自体は一緒だけど、入る牢屋はきちんと……女だけだ。
……まあ、普通に見える位置に男性用の牢獄あるから、あんまり気が休まりはしないが……。
「おう、新入りかお嬢ちゃん? ようこそ地獄へ!」
「なんだよえらい別嬪さんじゃねえか、おいこっち向けよ!」
「へへへ……おじさん達と遊ばねえか? 一緒に大人の暇つぶししようぜ~?」
こんな風に普通にヤジ飛んでくるし、目の保養やら何やらで、ニヤニヤ笑いながらじろじろ見てくるし……
「気にすんなよ新入り。相手したって疲れるだけだ」
「そうそう。少ししたら飽きるだろうから放っときな」
同じ牢屋の女囚達にそんなことをアドバイス?される。まあ、そのつもりです。
そんなわけで、『囚人番号D0472』として囚人の仲間入りをした私だったが、意外というか拍子抜けというか、しばらくの間は、特に拷問も何もされることはなかった。
全く何も起こらず放置されていた、というわけじゃないが……今のところ、私自身が何かをされたというのは、一応ない。
ここレベル2の牢屋の外には、『バジリスク』やら『マンティコア』やらの猛獣があちこちにうろついている。体も大きく狂暴なものがほとんどで……しかもそのほとんどが人間を捕食対象としているというんだから、牢屋の外で見つかったりすれば、絶望そのものである。
しかし、牢屋の中にいる分には、一応安全だ。
時々鉄格子の向こうから唸り声をあげてこっちをにらんできたりはするものの、その牙がここまで届くこともないわけだし。
もっとも、四六時中そんな感じで、それこそ夜中すらそうなので、怖くて不安で落ち着かない、夜も眠れない、っていう囚人は割と多いみたいだが。それもこの階層の責め苦の1つなんだろう。
ただ私としては、あのくらいの猛獣ないし珍獣はメルヴィユで見慣れているので、そんなに怖いとも感じないし……多少うるさくはあるが、夜も普通に眠れている。
『見聞色』でその獣たちの気配がわらわら感じ取れるので、その意味では騒がしくて落ち着かないが……まあ我慢できる範囲だ。
……しかし、だからといってそれらの『不安』以外に何も責め苦がない、何も起こらない……というわけではもちろんない。
囚人達は時折、看守に外に連れ出されて、猛獣云々とは別に様々な拷問を受けることになる。
事前に何も知らされず……牢屋から連れ出されて、拷問場に連れていかれる。
そして数時間すると、疲弊して戻ってきて……牢屋に入れられると同時に、崩れ落ちるように座ったり、倒れこむように横になったり……というのを繰り返す。連れ出された時より傷が増えていたり、囚人服が血まみれになっていたりもする。
加えて……さっき『牢屋の中にいれば一応安全』だと言ったが……それも絶対じゃなかったりする。
というのも……これもこの『猛獣地獄』の責め苦の1つとして用意されているものなんだろうが……時折、囚人達が入れられている牢屋の鉄格子が、何の前触れもなく奪われることがあるのだ。
この鉄格子、どうも上にシャッターみたいに格納できるようになっているらしい。
いきなり上の方に『ガラガラガラ……』と引っ込んで、猛獣達と自分達を隔てるものが何もなくなってしまう。
しかもそれが、ちょうど猛獣達の食事の時間に合わせて起こる。
当然そんな状態のまま中にいれば、猛獣達が気付いてやってきて、その餌食にされてしまう。
なので囚人達は、その時丁度用意されている『鍵が開いている別な牢屋』まで走って逃げて入らなければならない。逃げ遅れれば、当然食われる。
当然これも、『猛獣地獄』の責め苦の1つ……なんだろうな。
原作では描写されてなかったけど、単に牢屋の外に出ないためってだけじゃ、『別に安全なんだし怖がる必要ないだろ』なんて思う囚人も多いだろうから……猛獣達への恐怖心を増幅させるための見せしめ、という意味も込めてだろう。
実際、私ももう何度もその『命がけの引っ越し』を鉄格子越しに目にした。
……失敗して食われる囚人が出るところまで含めて。
ただ、幸いにして私は、今のところそのどちらも――個別の拷問も、牢屋の解放も――されたことはない。
それについては、私自身もうすうす感じてはいたものの……どうやら、こうなっているのは偶然とか幸運ではないようだ。
そのことを、同じ部屋に入っている女囚から指摘された。
「いやあ、あんたのおかげで助かってるよ……おかげで私らも含めて、あの『引っ越し』をやらなきゃいけなくなることもないからね」
「? なんで『私のおかげ』なんです?」
「たまにいるんだよ。海軍や政府が何かしらの思惑のために捕まえてるから、拷問に手心を加えられてる奴が。あんたそのクチだろ?」
私がこの房に入れられてから、この房で『命がけの引っ越し』が起こってないだけでなく……私個人も一度も拷問に連れていかれていないことから気づいたらしい。
そのことには同じ房の囚人達はもちろん、他の房の囚人達も気づいているらしく、こっちの牢屋をうらやましそうな、恨めしそうな目でこっちを見ている……気がする。
たぶん、その予想の通りだろうな……私、今、政府にスカウトされてるから。
となると……私がこの『レベル2』に入れられたのもそれが原因かな……?
原作だと、懸賞金額5000万ベリー以上の囚人達は、『レベル3』以上への収監になるはずだったし……ここにも手心が加えられたんだろう。
……そして同時に、暗にこう脅されているんだろう。
『これ以上強情を張り続けるなら、今より状況が悪くなるぞ』……と。
それは、件の『引っ越し』もそうだし……それ以外の、個別の拷問についてもそうなんだろう。
時に、さっき私が『全く何も起こらず放置されていた、というわけじゃないが』と言ったのを覚えているだろうか。
それはもちろん、『引っ越し』やら何やらを目にすることになったとか、それを見せることで暗に脅されているとか、そういうのも含むには含むが……それだけではない。
何度か、牢屋の外に連れ出されることがあった。
しかし、私自身が拷問にかけられたわけではない。
代わりに、あちこち連れ回されて……それらの拷問の様子を『見学』させられた。
例えば、水責め。
縛られて身動きが取れなくなった状態で、水の中に沈められ……溺れて死ぬ寸前で引き上げられる。
しかし、文字通り息つく暇もなく、呼吸が整うのを待たずにまた沈められ……それを繰り返す。
何度も繰り返すうちに、囚人達の顔は、水だけでなく、汗や涙や鼻水にもまみれて、苦しさで白目をむき、舌を出して必死に呼吸して酸素を取り込もうとし……悲惨な有様になっていく。
例えば、鞭打ち。
これも縛られて身動きを取れなくさせられ、体を――背中が多いようだけど、人によっては腹や胸だったり、お尻だったりもするようだ――鞭で打たれる。
パァン! という、破裂音じみた強烈な音で人が撃たれ、皮膚が裂けて血が噴き出す様子は……いかにも痛そうだ。男も女も関係ないとばかりに絶叫し、涙を流している。
例えば、棒叩き。
縛り付けられた状態で、棒で叩かれる。鞭と違ってドゴッ! と鈍くて重い音が響き、皮膚が破れたり、そうでなくとも内出血で青くなっていく。
こっちはむしろ背中よりも、腹とか、息が詰まって苦しくなる場所を狙うことが多いようだ。
たまに、そうでない部分を叩いて……バキッ! という骨がやばいことになったような音が聞こえて来たりもする。
例えば、宙吊り。
縄とか鎖で縛られて、そのまま文字通り宙吊りにされる。ご丁寧に、縛り方も姿勢もそれ用のものにされた上でだ。
吊るされた後は自分の体重でどんどん締め上げられるようになり、関節が悲鳴を上げるのに加えて、縛っている縄や鎖が体に食い込む。
皮膚や肉をかんだり、身動きするとこすれたりすることもあってかなり痛いようだが……だからといって暴れると余計に食い込んでこすれて痛いという悪循環。
とまあ……これらはほんの一部だ。
それ以外にも色々と見ることになって、どれもこれも気が滅入るようなものばかりだったわけだが……個人的に一番きつかった、というか嫌だったのは……
「嫌、嫌ぁっ! やめて……お願い、許して……!」
「んぐ……げほっ、おえっ……うぅ……気持ち悪い……っ!」
「畜生……覚えてろお前らっ……! 全員いつかぶっ殺して……ぅあぁあぁんっ!」
「お願い、私が悪かったからぁ……もう悪いことしないから、もうやめてぇ……!」
「いやだ……汚いっ、そんなの……やめて、入ってこないで……嫌ぁあっ!!」
……これ以上は年齢制限かかるので許して。
(二次創作の薄い本のネタってだけじゃなく……ホントにやってんだ、こういうのも……)
他の女囚達が『そういう拷問』を受けて……尊厳も何もかも奪われて、涙を流して苦しむ様子を見せられては……さすがに私も青くならざるを得ない。
『相手役』は、レベルの低い囚人を使っているようだ。
……コレ……このまま私も強情張り続けたら、私もいずれ……あ゛ー、気が滅入る。
胸の中になんか、ドロドロしたものが溜まるような不安が……私も女には違いないってことか。
しかもご丁寧に、その後牢屋に戻るまで……わざと遠回りして、男性囚人達の視線にさらしながら帰るもんだから……。
そういう欲望がガンガン感じられる視線が向けられてくるし……嫌でも意識させられる。
徹底してるな。地味に苦痛で効果的だよ。
そんな感じの毎日を、私はしばらくの間送ることになった。
……もちろん、未だ私は、意見を変えてはいない。
☆☆☆
Side.三人称
スゥが『インペルダウン』に収監されてからしばらく経った、ある日のこと。
署長室にて、マゼランは部下達からの報告を聞いていた。
内容は……他ならぬ、スゥについてだ。
「件の『海賊文豪』ですが……特に反抗的な様子もなく、大人しくしています」
「看守達の指示にも逆らわず、よく従っていますし……今のところ、脱走など妙な素振りを見せる様子もありません。一度、房から出ている間にトラブルがあり、一時、監視・拘束の体勢が不十分になってしまったことがあったのですが、その時も逃げ出したりすることはなく、その場で黙って待っていました。脱獄等に関しては、ただ単に諦めているだけ、という見方もできますが……」
「……まあ、問題が起こっていないのならばそれでいい。そのトラブルに関しては、再発防止策を講じて職員たちに徹底させるように」
「はっ。ただ、こちらからの『提案』に関しましては……定期的に行ってはいるのですが……」
「まだ頷かん、か」
「ええ。待遇改善や釈放などを匂わせてみても、意見は変わらず……」
依然として、『世界政府のために、あるいは政府の指示通りに本を書く気はない』という姿勢を崩していないと聞いて、ため息をつくマゼラン。
「……まあ、想定の範囲内ではある。俺を相手に、あそこまで言い切っただけのことはあるな」
政府からの指示は、それらの提案に対して、『海賊文豪』にイエスと言わせること。
そして、そのための手段は、いかなるものを用いてもいいとまで言われている。
もっとも、広告塔にするつもりなのだから、あまり今後の活動に差し障りが出るようなものは控えなければならないかもしれないが……それを差し引いても、取れる手段は大きい。
なにせこの海底の大監獄には、海賊達にありとあらゆる責め苦を受けさせるための設備が揃っているのだ。
そして、そういったものを扱うのに長けている人材も、またいる。
「やむを得ん。『説得』を次の段階に移行する……サディちゃん、頼む」
「ん~~~♪ その言葉をずっと待っていたわ、署長! あの子、私の好きにしていいのね?」
「ああ。もちろん、政府から指示されている基本方針は守った上でだぞ。政府は彼女を壊すのではなく、あくまで心を折って政府の言うことを聞くようにさせることを望んでいる。その範疇に収まるようであれば、好きにしろ」
「任せて頂戴。そうね……まずは軽めの拷問から始めて、徐々にきつくしていくようにしましょう。どこまで耐えられるか、どんな声で鳴いて、どんな表情を見せてくれるのか……ん~~~!! 楽しみだわっ!」
スゥの収容フロアは(ひとまず)レベル2になりました。
秘匿性最重視ならレベル6かな、ともちらっと思ったし、感想で予想してる方も多かったみたいですが……そもそもインペルダウンって、スゥやジンベエみたいな例外を除けば、基本的に一旦入った囚人は二度と外に出られない場所ですし。
外には監獄内部でのことを知るものは基本的にいないわけなので、内部でどういう扱いをしてても、外に出して以降のことは気にされないんじゃないかなと。
……今後ここで何が起こるかを知りませんからね、彼ら。
違和感あったらすいません。
あと、『牢屋越しに猛獣がいるだけじゃ、怖いけど危険でもなんでもなくね?』と思ったので、独自設定で拷問というかデスゲームみたいなの追加しました。
面白くなかったらすいません。
今後ともよろしくです。