大文豪に私はなる!   作:破戒僧

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第16話 スゥ14歳、充電中

 

 

 私が冒険をする際の主目的というか、一番重要視しているのは『経験』である。

 

 今までの自分にはなかった体験や知識。本とか資料を読むだけじゃ手に入らない、いわば『経験資料』。

 そういうのが欲しくて、私はこの『偉大なる航路』という危険な海で、それでもあちこちに実際に足を運んで、色々なものを目で見て、手で触れて、体験することにしている。

 

 賞金稼ぎとして海賊を狩った時、航海日誌やその他の資料を読んだりするのもその1つ。まあ、それは『実体験』とまでは言えないけどね。

 

 いい感じの『経験』をすると、知的好奇心が刺激されて、それに触発される感じで執筆意欲の方もぐんぐんわいてくるんだよね! そしてその熱が冷めないうちにペンをとって、新作の小説を書く……というわけ。

 勢いで書いてるから、その場のテンションに作風から何から左右されちゃいがちだけど。

 

 それでも、鮮烈な体験の後だと、数週間その『熱』が持続して、長編小説かってくらいの文量を毎日書いてるときもあったなあ……ホント、何物にも代えがたいものなんだよ、『経験』は。

 

 そんなわけで、私はいい『経験』ができそうな場所を調べて探して冒険に出かけるのだ。

 

 とはいえ、年がら年中そんな風に冒険してるわけじゃない。

 さすがにそれじゃ疲れちゃうし、お金も時間も有限だからね。きちんと考えて使わないと。

 

 冒険と冒険の間には、ゆっくり休んで英気を養ったり、あるいはそれこそ『執筆』に費やす時間を取るし、その間に手ごろそうな賞金首とかが現れたなら、生活費や冒険費用のために狩ったりもする。

 本命の冒険を見据えた、色々な意味での充電期間、ってことだ。

 

 そして、今の私がまさにその充電期間である。

 

 

 

「あー……生き返る。やっぱお風呂はきちんとお湯に肩までつからないとねー……」

 

 宿のお風呂で湯船にお湯をたっぷり張って、じっくり温まって疲れを取った私は、バスローブに着替えてリビングのソファに腰かけた。

 窓を開けると、涼しい風が入ってきて心地いい。

 

 今泊ってる宿は、この町でも一番……とまでは言わないけど、結構グレード高めの宿であり、当然お値段もそこそこお高い。

 しかし、私ならまあ、問題なく払える程度の額である。

 

 ちょうどさっき、賞金首を海軍に突き出してお金に換えたことだしね。

 無力化の上生け捕りで、しめて3600万ベリーぽっきり。それに加えて、ため込んでた財宝その他もそっくりそのままネコババさせてもらったので、懐はかなり温かい。

 

 賞金稼ぎ、やっぱ儲かるなあ……今のこの『大海賊時代』、特にこの『偉大なる航路』は、そこら中に賞金首の海賊がいて、より取り見取りだからね。

 今回みたいにうまいこと、略奪品の財宝とかも手に入れられれば、まさに鴨葱で取り放題だ。

 

 まあ、言うまでもなく、その分危険ではあるんだけどね。

 油断すれば返り討ちに遭ってこっちが死ぬか、あるいは……死ぬよりひどい目にあう。

 

 私みたいな女の子は特にね。

 自画自賛させてもらうけど、見た目的には結構、いやかなり魅力的なそれに育った自信がある。『エリート奴隷』だった頃からさらに、背も伸びたし、あちこち大きくなったし。

 顔は……どうだろ? 個人的には、キレイ系よりかわいい系だと思ってるけども。

 

 髪は相変わらずセミロングだけど、前よりちょっと伸びて、鎖骨とか肩の下あたりまである。

 毛量が多いのか、長さの割に結構ボリューミーなのが特徴。ある程度きちんととかしてセットしないと、横に広がって来ちゃうのがちょっと面倒かも。

 

 加えて私は、普段着もそこそこ露出多めで体の線も出るデザインだ。

 

 いや、別にそういう趣味とかじゃなく……単に動きやすさを重要視してるだけだよ?

 『露出多め』とは言っても、胸元とかが大きく開いてるわけじゃなく、主に手足の方だし。なんなら下はズボンだし。

 

 よく着てるのは、ノースリーブのカッターシャツに、ポケット多めのロングベスト。下はジーンズっぽい七分丈のパンツに、頑丈さ重視のブーツ、って感じ。これが一番動きやすい。

 この上から、必要に応じて厚着したり、アクセサリーや装備をつけ足したりする。

 

 ファッション方面に話がそれたけど、まあそんな感じなので、男が多い……というかほぼほぼ男しかいない海賊船なんかに乗ると、そういう目で見られることも多いわけよ。

 もしここで負けたりしたら、子供にはお見せできないぐっちょぐちょな目に遭うこと間違いなしなんだろうなー……って感じだ。

 

 幸いにして、今のところはほぼほぼ上手く渡り歩けてるけど。

 

 まあ、そのへんは今は考えなくていいでしょ。

 風呂入ってゆっくりしたわけだし、もう日も暮れた。後はもう今日は、このまま部屋でゆっくり休みましょうかねー。

 

 ルームサービスで夕食を注文。待ってる間に、部屋に置いてあった今日の新聞を読む。

 賞金首を逃がさないために朝から出撃してたから、まだ読んでなかったんだよね。

 

 さて、どんなニュースが載ってるかな、っと…………おぉ!?

 

「考古学の島『オハラ』壊滅……か。そっか、今ちょうどそんな時期なんだ」

 

 この事件が起こったってことは、ロビンの放浪生活が始まったってことか。というか……あ、やっぱり。手配書挟まってる。

 『悪魔の子』ニコ・ロビン……こんな小さな女の子に7900万ベリーねえ。世界政府もえぐいことをする。しかも、事実ならともかく色々捻じ曲げた上でだもんな。

 

 まあでも、コレが起こったのは『西の海(ウエストブルー)』だ。こことは遠く離れてるし、別に何も関わりのあるこっちゃないか。

 

 ……実のところ、そんな危険視されるレベルの知識が詰まった学者たちの巣窟って、一度行ってみたいと思ってはいたんだけどね……

 法に触れる類のものじゃなくても、面白い知識とか記録がいっぱいありそうだし。

 

 まあ、気軽に行けるような距離じゃないし、そもそも世界政府や海軍に目つけられそうだから、ちょっと考えて諦めてたけどさ。

 今後、その跡地に観光目的とかで行くくらいならOKかな? 何も残ってないだろうけど。

 

 後は……お、これも結構大きく報道されてら。

 『金獅子』のシキ、大監獄インペルダウン脱獄後、依然として行方知れず。海軍本部、周辺地域の捜索継続を断念……か。

 

 脱獄自体が報じられたのはもう少し前だったけど、その時はどの新聞でもトップニュースだったな。今まで1人の脱獄も許してこなかった難攻不落の海底監獄、ついに破られる、って。

 

 ……インペルダウン……海底の監獄、かあ。

 

「プリズンブレイク的な小説とか書いたらウケるかな? ……怒られそうだな」

 

 娯楽でも、海軍や世界政府のイメージダウンに繋がりかねないようなものだと、横から色々言われたり、言われなくても出版社とかが自主規制したりしそうだもんなあ。

 

 ただ、インペルダウン自体には正直……割と私、興味はあるんだよね。

 囚人として入るとかは絶対ごめんだけど、できるなら中は見てみたいというか……取材したい。見学したい。『経験』にしてみたい。

 

 外界から隔絶された領域ってだけあって、想像もできないような『知識』や、普通じゃできないような『経験』が待っている気がする!

 ……いや、拷問とかそのへんの『経験』はいらんけど。

 

 まあでも、無理だろうな……ワンピース原作じゃ、関係者以外は絶対に、立ち入りどころか近づくことすら禁止されてる施設だって言ってた気がするし、『王下七武海』のハンコックが見学(?)に行った時もかなり厳重に監視とかついてたし。一般人が入る機会なんかまずないだろう。

 

 その他には……お! 『九蛇』関連の記事もある。

 

 けど……報道されてる船長の名前が『シャクヤク』じゃなくなってる。

 引退して代替わりしたのかな? すると今は、もうシャボンディ諸島にいる……のか?

 

 だとしたら会いに……行けないよな。遠すぎる。

 

 でも、いつか会いに行きたいなあ……なんだかんだ色々お世話になったし、挨拶とか、生存報告とかいろいろしたいし……。

 まあ、気長にその時を待つことにしよう。

 

 そんなことを考えてたら、ルームサービスが来た。

 

 注文したのは、海鮮たっぷりのドリアである。

 カバーを取ると、立ち上るほかほかの湯気。できたてですごく美味しそうだ。

 

 舌を火傷しないように気をつけて食べながら、新聞の続きを読む。

 すると、イベント情報が載っている欄に、面白そうなものを見つけた。

 

「花火の島『ファイヤーワークス』……年に一度の大花火大会迫る……か。面白そうだな」

 

 詳しく見てみると、開催までもう間もなくではあるけど、会場となる島は結構広くて混雑もそれほどじゃなさそう。

 

 ……お! この島から観光客目当ての定期便みたいなのも出てるんだ? 時期が時期だからちょっと割高っぽいけど、別に気にする必要もないな。

 

 花火か……転生してからこっち、久しく見てないな。

 海賊や海軍の大砲とかの爆発なら時々見てるけど、やっぱり元日本人としては、ああいう夜空を彩る火薬の芸術ってやつを久々に見たい気もする。

 

 ドン!って音と主に、空気が震えてお腹のあたりにびりっとくるあの感覚……懐かしいなあ。

 

 見た感じだと、なんか屋台の出店とかもあるみたいだし、お祭りとか縁日的な気分でも楽しめそうだ……よし。行くか!

 執筆につながる『経験』ができるといいな!

 

 

 

 

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