大文豪に私はなる!   作:破戒僧

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第17話 スゥ14歳、花火の島

 

 

 花火の島『ファイヤーワークス』。

 

 その名前そのままに、炎の芸術たる『花火』で有名な島。

 何人もの花火師が暮らしていて、仕事場で日夜、創意工夫を重ねて花火づくりに取り組んでいる。

 

 そこで作られる花火は、その出来栄えの見事さから評判で、祭りの時期には多くの観光客が島を訪れ、目いっぱい楽しんでいく。

 島の観光産業その他にとっては、そういったイベントの時が一番のかき入れ時だ。花火を見に来た客に、食べ物や飲み物を提供したり、客たちが泊まっていく宿代、その他、土産物などを売りつけて儲けを出す。

 

 そういうイベントの中でも最たるものが、1年に1度の大花火大会だ。

 

 島にいる花火師達が、自分達が作った傑作の花火を次々に打ち上げ、夜空を彩って人々の目を思いっきり楽しませてくれる。

 暗い夜空の闇を押しのけるかのような見事な炎の芸術は、他の島では絶対に見られないもの。必見の価値あり。これを見なければ人生損しているといっても過言じゃない。

 

 ……とまあ、そんな感じの宣伝文句が、観光パンフレットには書いてありました。

 その『ファイヤーワークス』の観光協会的なところが作ったみたいだけど、主要産業だけあって自信満々だなあ……こりゃ期待してよさそうかも。

 

 定期船の中で、『ご自由にお持ちください』とあったので遠慮なくもらってきたパンフレットを読みながら、私はそんな風に考えていた。

 

 

 

 で、その『ファイヤーワークス』に来たんだけど……

 

「野郎共! ここは花火師の島だ、つまり火薬がたんまり保管されてる宝の山だ! 根こそぎ奪いつくせ、売ってよし、使ってよしだ!」

 

「「「うぉぉぉおおおお!!」」」

 

「う、うわああぁぁあ!」

 

「海賊だぁぁあ!」

 

 上陸早々にこれだもんな……

 説明口調で全部語ってくれてたけど、どうやらこの島の火薬を狙って略奪に押し寄せたっぽい海賊船が、ちょうど私達の定期船と同時に港に入ってきてしまったのである。

 

 そして海賊達は、上陸すると同時に二手に分かれ、一方は火薬の略奪のために内陸へと走っていき、もう一方は……たまたま運悪くそこにいた獲物の方を襲うことにしたようだった。

 私達という、無防備な観光客を。

 

 一応、定期船の会社が用心棒的な護衛を雇っていたんだけども、なんかあんまり強くなさそうで……腰が引けてるし、そもそも人数が違いすぎて到底守れなそうだ。

 

 仕方ないので、私も戦うことにした。

 

 ……で、こうなった。

 

「畜生、強ぇ……!?」

 

「ぐ、ぐぞぉ……なんで、こんな小娘に……」

 

 あ、バトルシーンは特に面白みもなかったので割愛で。

 一般人に被害が出るのもあんまりおもしろくないので、用心棒達より前に出てひと暴れ。そしたら大体の海賊が私1人に向かってきてくれたので、後はもうかわして殴ってかわして殴って、の繰り返しで片付いた。

 何人か私を無視して他のお客を襲おうとしてたのもいたっぽいけど、そっちは用心棒さん達でどうにか対応できたみたい。

 

 結果、死者もちろん0、けが人もほぼほぼなしといういい結果で終えることができた。

 定期船の会社の人とか、他の乗客の皆さんからめっちゃ感謝された。

 

 しかし、片付いたのはあくまでこっち側に向かってきた海賊達。

 もう半分、内地側に攻め込んでいった連中は……

 

「あー失礼、今の海賊の件で……少しお話、いいですかい?」

 

 うん?

 

 何か声をかけられたので振り向くと、そこにいたのは……

 

(……海兵?)

 

 

 ☆☆☆

 

 

 結論から言うと、内地に向かっていった海賊達による被害についても、心配はいらなかった。

 

 もともとこの島に常駐していた海軍の部隊がすぐに駆け付けて、暴れ出すとほぼ同時に鎮圧したらしい。

 

 というのも、こういう不届きなことを考える海賊はもともと結構いるらしくて。

 火薬という物騒なものを扱っている関係もあり、この島には定期的に海軍が見回りに来るようになってるらしい。こういうイベントの時には特に。

 

 そのために内地でも見回りとかいろいろ力を入れてやってたところに、のこのこ海賊がやってきた結果、あっさり捕まっちゃったってわけだ。

 

 ……という話を、事情聴取の時に聞かされた。

 

「なるほど、じゃああんたは賞金稼ぎってことか。この島には観光で?」

 

「はい、ちょうど一仕事終えたところだったんで、しばらくゆっくりしようかと思って。新聞で、ちょうど花火大会する時期だって知ったから、そこの定期船で」

 

「そうか。何というか、間が悪いというか、逆にいいというか……ま、あんたのおかげで怪我人もなく解決したのは、他の人らにとっちゃラッキーだっただろうな」

 

 それはそうと……1つ気になることがあるんですが。

 

 今、私に色々質問とか事情聴取っぽいものをしてくれている、この海兵さんについて。

 がっしりした体格と、ぶっきらぼうな口調、短く刈り込んだ白い髪。

 

 気のせいだろうか、なんかこの人……見覚えがある気がするんだけど。

 

 私が知ってる姿よりはまだだいぶ若い……というか、私とそう年違わないんじゃないかな? 16~17歳とかそのへん?

 海軍ってそんな年齢から入れるん? いや、この世界だし不思議でもないか……コビーも『入れてください!』で即入隊してたし、そのへんは割と適当……もとい、臨機応変なのかもしれないな。

 

 まあ海軍の仕組みとか就労年齢にかかわる考察はいいとして、やっぱこの人……

 

「おいスモーカー、そっち聴取まだ終わらないのか?」

 

「すんませんまだっす。もうちょっとなんで」

 

 あ、やっぱりスモーカーだった。

 原作の厚手のコート姿じゃないし、葉巻×2もくわえてないからいまいち自信持てなかったけど、この体格と人相の悪さはやっぱりそうだったか。

 

 ……体格がよすぎて、普通の海兵の一兵卒の服があんまり似合ってないな。

 

「まァ、ご苦労さんでした。この時期はああいうバカが結構出るみたいなんで……一応海軍でも見回りとかはしてますが、十分気を付けてくださいや。それじゃ、俺はこれで」

 

 どうにか敬語を使おうとして、微妙に失敗しているというか……ぶっきらぼうな地を隠せていないというか……まあ、最後までそんな口調のスモーカーさんだった。

 それで聴取は終わり、他の海兵達に合流する形でその場から歩き去っていった。もちろん、私がぶっ飛ばした海賊達を拘束して回収した上で。

 

 その後、旅行会社の人達が『トラブルがありましたが、気を取り直してこの島の観光を楽しんでください』って、案内を再開。

 海賊の襲撃って、トラブル、で済ませるには結構な大事だと思うんだけど……まあ、グランドラインだしな。

 

 この島、ないし町の人達もそこまで堪えた様子はない。花火大会も中止とかにはならず、予定通りに行われる見込みだそうだ。

 

 このくらいのことはいつどこででも起こり得るし……結果無事に済んだんだから大丈夫、ってことなんだろうか。タフだな、市民も企業も。

 

 まあ私も、せっかく来たんだから『中止します、帰りましょう』とか言われたらそっちの方が嫌だったし……何も文句も問題もないけども。

 

 花火大会まではあと数日ある。

 それまでは……ゆっくり観光でもして過ごそうか。お祭りが近いってことで、色々なお店とか屋台みたいなのもあるみたいだし。もともとリフレッシュ期間のつもりだったからな。

 

 あと、あんまりあってほしくはないけど……もしまた今日みたいに、海賊とか、バカなことを考える奴らがいたら、その時はまた迎撃するか。

 基本は海軍に任せとけばいいと思うけど、万が一それで防ぎきれなくて町や人に被害が出たりするのも嫌だし……それでイベントが中止になったらもっと嫌だし。

 

 あ、そうだ。観光とかもいいけど、いっそ……花火師の仕事場の取材とか見学、できないかな?

 それこそ『普段見る機会がないもの』だし。インスピレーションを刺激してくれる、いい『糧』になりそう。

 

 もっとも、ああいう場所って基本、関係者以外立ち入り禁止だし、そもそもイベント前で忙しいだろうから、望み薄かもしれないけど……まあ、ダメで元々ってことで。

 ……しかし、どこにお願いすればいいんだろ? 島に観光協会とかあるかな?

 

 とりあえず、こっちの……今乗ってきた船の会社の人に聞いてみよう。定期船出してるくらいだし、多少なりこの島の情報にも詳しいでしょ。

 

 

 

 




今回出てきた島『ファイヤーワークス』は、アニメ版のオリジナルストーリーで出てきた島になります。
……だいぶ前だから、知ってる、覚えてる人どのくらいいるか……変なとこから引っ張ってきてすいません。

ちょうどいい舞台がなかなかなくて……

今後ともよろしくです。
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