大文豪に私はなる!   作:破戒僧

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今回で本章は最終になります。

第170話、どうぞ。



第170話 スゥ、脱獄完了!

 

 

「えェ~~!? じゃ、スゥがあのドクの奴倒しちまってたのか!?」

 

「あー、うん。一応ね。まあ、とどめは私じゃないけど……」

 

「ほォ……」

 

「それが本当なら、大金星じゃのう。この後がずいぶん楽になる」

 

「実際にここまで、どれだけ時間が経っても、マゼランがくる気配は全くなかった……これは本当に……」

 

「ヴァナタ強かったのねぇ、文豪ガール!」

 

 今自分達が向かってたレベル2の方からやってきた私に驚きつつも、ルフィ達は無事を喜んでくれた。

 そんで、私が『マゼラン倒した』と伝えると、もっと驚いてくれた。

 

 ルフィだけじゃなく、イワさんやイナズマもだし……驚き自体は小さかったけど、ジンベエとクロコダイルも感心したような様子になってた。

 ていうか久しぶりだなクロコダイル。私のことなんか覚えてるかどうか……まあ別にどっちでもいいけど。

 

「それと、上の階なんだけどさ、『道化のバギー』と『Mr.3』が主導で別個に暴動起こして囚人達解放しまくってるから、牢屋の中およそ誰もいないよ。全速力で駆け抜けちゃってOKだし、そいつらが看守達もあらかた掃除してくれてるはず」

 

「え!? バギーと“(さん)”が!?」

 

「何よう、あいつら無事だったのね! 全くもう、あんときゃ早々見切りつけて逃げてくれちゃって……死んじゃってたらドゥ――しようかと思ってたじゃない! それに、スゥちゃんも無事でよかったわ……しつこいようだけど、毒とか大丈夫だったのゥ?」

 

「大丈夫大丈夫!」

 

 毒はくらってないし……いや、正確にはくらったけど無効化したからね。脱皮で。

 それでも無効化できなさそうな攻撃は徹底して回避したので、疲労以外はほぼノーダメージなのだ、今の私。

 作戦も上手くはまってくれたし、何より戦い方と能力の両方で相性がよかったのが大きいかも。

 

 それに、唯一私自身も懸念していた『疲労』についても……自分でも拍子抜けするくらい大したことないんだよね。

 かなりの激戦だったのは間違いない。縦横無尽に走って飛んで大暴れしたし、

 

 というか、それこそ『覚醒』技まで使って戦ったんだから、もっと疲れるだろうと思って覚悟してたんだけどな……

 メルヴィユでのパパとの戦いの時は、数分間使っただけで倒れちゃったし……凄まじく体力消費するのは実体験込みで理解できてるから。

 

 なのに今は、全然……強がりでもなんでもなく、平気なんだよね。

 

 いや、疲れてはいるし、お腹もちょっとすいた気がするんだけど、全然許容範囲っていうか……まだまだいける。強がりでもなんでもなく(2回目)。

 ぶっちゃけ私の方が困惑してるくらいだ。

 

 ……ひょっとしてこれはアレかな……レベル3にいた頃に発動してたと思しき『省エネモード』の影響か?

 ニューカマーランドに来てそれは解除されたと思ってたけど、完全に解除されたわけじゃなかった……というよりむしろ、私の体質そのものが一部、以前より省エネで駆動できるようになってるのかも?

 言ってみれば……毒耐性ならぬ、疲労耐性?

 

 そうだとしたら、この上なく心強い『進化』だな……『覚醒』技もまだまだバンバン使えるぞ。

 むしろ、力を使わなきゃいけない場面はこの後来るからなあ……

 

(ていうか、なんか振り返ってみると、結果的に……インペルダウンでの拷問生活、修行とか強化パートみたいになっちゃったな。痛みにも強くなったし、毒も効かなくなったし、怪我しても回復も早くなったし……その上疲労耐性ときたか。……下手な修行よりハイペースで強くなれた気すらする)

 

 もっとも、過程が過程だから素直に喜べない強化なんだけどね……

 

 ああでも、もちろん、だからって調子に乗ってむやみやたらに使いすぎないようにはするけどね。そういうので過信して足を取られるのもあほらしいし。

 

 疲れにくいといっても全く疲れないわけじゃない。少しずつでも疲労は蓄積していくんだから……そのへんきちんと慎重にならないとだ。

 さっきもちらっと思ったけど、ここからがむしろ強敵は多いんだ。海軍本部に行けば、並べればきりがないくらいの怪物達が待ってるし……。

 

 それにこの後も……まあ戦うわけじゃないとはいえ、油断はできないのと出くわすわけだし……あ、そうだコレ言うの忘れてたな。

 

「あのさ、マゼランは関係ないんだけど、ちょっとこの後すぐ、変な連中と出くわすことになると思うから……えっと、全員気にしないで通り過ぎてね。割と時間の無駄だから」

 

「いや、何がいるんだこの先に……?」

 

 

 

 その後すぐ、その『変な連中』こと、黒ひげ海賊団&シリュウの一団と遭遇。

 

 売り言葉に買い言葉でルフィと黒ひげが互いにちょっとだけぶつかり合うも、ジンベエがそれを『力も時間も無駄に使うな!』と止めて……そのまま解散。

 

 そして走り続けて、レベル2の階段に差し掛かり、さー皆で登るぞー、となったところで……

 

 

 ―――ドゴォオォン!!

 

 

 突然、目の前でレベル2への階段が爆破され、行く道がなくなってしまった。

 

「えぇ!? 階段なくなっちまったぞ!?」

 

「フン、物理的にルートを封じて来たか。上の階の連中、マゼランが倒れてシリュウが裏切って、戦力面での敗北がほぼ確定したからか、なりふり構わなくなってきやがったな」

 

「参ったのう、ここまで来て……他に上へのルートはわかるか?」

 

「いくつかあるにはあるが、当然そこも封じられているだろう。ここのように壊されているか、それとも狭い通路を看守達が守っているのかはわからんが……」

 

「どちらにせよ大人数が通れる道じゃないなら非効率的ッキャブルね。何か方法は……ん?」

 

 その時、イワさんが何かに気づいた。

 同時に、私とアリスも気づいた。

 さっきまで階段があった場所から……ぎゃあああ、と悲鳴を上げて、看守達が落ちてくる。

 

 動き的に、なんか突き落とされてるっぽい。誰かと戦ってるのか?

 でも、黒ひげ海賊団はもう行ったし、レベル2の囚人達は、わざわざこっちに戻ってくるようなまねはしないだろうから、あんな位置にも来ないはず……

 

 誰だろう、と思って『見聞色』で気配を探ると……

 

「……え゛!?」

 

 ぎょっとした。

 その気配と……同時に、無意識に確認していた……体内の『ビブルカード』の反応に。

 

 え、何で……あの2人がここに!?

 

 そして次の瞬間、その穴から2人……自ら飛び降りてこのレベル3のフロアに降りて来た。

 一直線に……私のところめがけて落下してきて、そのまま……

 

 

「母上―――!!」

 

「母ちゃ―――ん!! やっと会えた―――!!」

 

 

「スズ!? レオナ!? 何でここに!?」

 

 娘2人が、落下の勢いそのまま私に抱き着いてきた。

 いや、ちょ……マジで何でここにいるの!? どうやってこんなとこ来たの!?

 

 しかし、もう何か感極まってるっぽい娘たちは、私の胸とかお腹に顔をうずめてびえええん、と泣くばかりで、答えが返ってきません。

 あーこれ落ち着くまでしばらくダメだな。

 

「え!? あの2人今、『母ちゃん』と『母上』って……『海賊文豪』って子持ちだったのか!?」

 

「聞いたことないぞそんな話! ってか、誰だ父親は!?」

 

「いや、それがあの……隣にもう1人いるじゃん? あのアリスってのも娘らしいんだけど……血は繋がってないらしいぜ」

 

「あ? そういやあの2人も『海賊文豪』とは似てねえな……何だ、そういうことか」

 

 そんな会話が後ろの方から聞こえてきたあたりで、どうにか2人が落ち着き始めた。

 よしよし、いい子いい子。落ち着いたかー? 喋れるかー?

 

「スゥ、おめェレオナ以外にも娘いたんだな」

 

「うん、まあね。時間ないから挨拶とか後でいい? ……っていうかそもそも階段なくなっちゃって上に行けないんだっけな……さてどうするか」

 

「……? 母上、上の階に行きたいのかや? でも、母上なら飛んでいけるじゃろ?」

 

「私はそりゃそうだけど、ここにいる囚人達はほら……無理じゃん」

 

「スズ、ボクら今集団脱獄中なんだよ。全員で上に行かなきゃいけないから、階段みたいなものがないと……ってとこだったの」

 

「なるほどのう……っていうか、アリスお主! よくもわしらを置き去りにして行きおったな! 一人抜け駆けして母上を助けに行きおって……しかも何じゃまたその恰好は!? なんちゅう破廉恥な格好でそんな脱獄なぞ……お主もうちょっと慎みというものをむぐぐ」

 

「まーまーまーまーまーまー! ごめんスズ今ホント時間ないんだよ! 脱獄するだけならもう割と楽勝かもしれないんだけど、その後色々あってさ。悪いけどお説教は後にして……この状況スズなら何とか出来るよね。手貸してくれない?」

 

 スズの口を押さえてアリス(きわどいレオタード装備)がお説教を強制キャンセル。そのままの流れで頼み込んだ。

 

 なお、横で見ていたレオナはアリスの服装を見て……この表情からすると『お腹と背中が寒そうだなー』くらいにしか思ってないと思われる。純粋。

 

 ちなみに今、2人の服装はというと……スズが、時代劇のお役人とかがやってる、和装にたすきをかけて腕を動きやすくした感じ。討ち入りに行くみたいな。

 レオナの方は、シャンディアの戦装束をちょっと改造したみたいな、こちらも動きやすそうな服。

 

 こんなの着てるあたり、2人とも戦る気満々でここに来たってことだよな……

 

「ぷはっ……ええい、調子のいい……じゃが、仕方ないか。この人数が一度に大移動できる階段か何かがあればいいわけじゃな? すまん皆の衆、ちと場所を開けてくれ」

 

 周りにいた囚人達にどいてもらい、『何だ何だ?』って感じの視線を受けながら……スズは両手を泥に変えて能力を発動する。

 大量の泥が両方の手からあふれ出し、形を成しながらぐぐーっと上へ上へと伸びていって……

 

 

「土遁・地滑階段の術!」

 

 

 レベル2への入り口まで直行する、巨大な泥のエスカレーターが出来上がった。

 

「うおぉぉお! すげえぞ嬢ちゃん!」

 

「これで皆でレベル2に行ける!」

 

 ルフィ達を先頭に、我先にエスカレーターに乗っていく囚人達。

 当然、上の階にいる看守達はなんとしてもそれを防ごうと、エスカレーターを壊そうとしたり、囚人達を狙い撃とうとしてるが、どちらも効果なし。

 

 スズが泥で作るものは、見た目に反して非常に頑丈なので。多少の衝撃なら散らして吸収してしまうし、破損しても元が泥なのですぐ直る。

 飛び道具はルフィやクロコダイル、イワさんやアリスが防ぐので届かない。あと私も。

 

 看守達も自らエスカレーターに乗って妨害しようと試みたものの……

 

「くそっ、こうなれば直接あぁぁああぁああ―――っ!?」

 

「何だコレ、沈んで、すり抜け、落ちッ……うわぁああ!」

 

「た、助けてくれ―――!」

 

 囚人達以外が乗ると、スズが泥を操作してそこだけ重さを支えず、沈ませて通り抜けさせ……落下させる。なので、文字通り同じ舞台に立つことができません。

 捕まろうとしても、伸ばした手すらすり抜けて、ばちゃん、ぼちゃん、という妙に悲しげな音を残して転落していく。結構な高さを落ちてったけど……生きてるかな?

 

 それでもあきらめず、遠距離攻撃でエスカレーターに乗ってる面々を狙い続けてくるので……

 

「“砂嵐(サーブルス)”!!」

 

「“剃刀吹雪”!!」

 

「「「うぎゃあぁぁああぁっ!!」」」

 

 いいかげん鬱陶しくなった私とクロコダイルが一掃しました。

 さ、行こ行こ。

 

 ……あ、でもその前に、さっき聞きそびれてたこと聞かなきゃ。

 何で2人がここに……っていうか、2人だけで来たの? さすがに違うよね?

 

「あ、うん。ここに送ってきてくれたのはじいちゃん。別件……というか、『白ひげ』と海軍の戦争の関係で『メルヴィユ』ごとこの近くに来てたんだけど、その時に海軍の通信盗聴して、インペルダウンがすごいことになってるのがわかってさ。これに乗じて母ちゃんを助け出せる……あるいは母ちゃんが自力で脱獄しようとするかもしれないから、ちょっと拾って来いって」

 

「ここに来たのはわしら2人と、メイド隊『プレアデス』全員、『グラン・テゾーロ』の魚人3人娘に、母上が前に連れて来たマリアンヌ達じゃな。行先がインペルダウンじゃと知ったら、全員揃って行かせてくれといってきてのう。マリアンヌ達は上の階にいて、『メイド隊』と3人娘は逃走用の船を確保するために、表に泊まっている軍艦を片っ端から襲って奪うか壊すかしとるはずじゃ」

 

 思ったよりすごい作戦行動起こしてた!

 パパ、結構ガチじゃん……というか、マリアンヌ達も来てるのか。

 

 ……彼女達が来たってことは、お目当て……というか、助けたいのは……

 

 ちらり。

 

「……? あら、ドゥーしたの、スゥちゃん?」

 

 

 ☆☆☆

 

 

Side.三人称

 

 一方、レベル1。

 

「キャプテン・バギー、大変です! 獄卒獣が4人まとめて現れました!」

 

「ん何だとぉ~~!? ち、畜生ォ、ここまできて……こりゃかなわねえ! 逃げろ、撤退だ!」

 

「い、いえそれが……大丈夫なんです! 連中、なぜか囚人達を襲わず……」

 

 

「うわぁああ! お、おい、何で俺達を……」

 

「違う! 向こうだ! 囚人達を……ぎゃあああ!!」

 

「何で俺達を襲って、囚人達は無視するんだよォ!?」

 

 

「なぜか……看守や獄卒達ばかり襲って、俺達には見向きもしないんです」

 

「何ィ!? ……本当じゃねえか、こりゃ一体どういう……」

 

 不思議そうな目で、看守や獄卒達を蹴散らしている獄卒獣4人を見るバギー達。

 その中で、同じようにその光景を見ていたMr.3は……その獄卒獣達の背中やうなじのあたりをふと見た時……

 

「……何っ!? あれは、まさか……」

 

 

「“カラーズ・トラップ”……“裏切りの黒”!」

 

 

 アルファベットの『C』と『T』を組み合わせたような、見覚えのあるマークが、黒色でえがかれているのを目にして……愕然とした。

 

 しかもそれに続けて……

 

「“スティンガー・ヘッジホッグ”!!」

 

「出張“モグラ塚4番街”! 千本ノック行くよMr.4!」

 

「フォ~~~!!」

 

「Baw! Baw! Baw!」

 

 全身をウニのような棘だらけの球体に変えて転がり、獄卒達をなぎ倒す美女に……野球ボールのような形に、鉄球の重さを持つ爆弾をノックして看守達を吹き飛ばす巨漢と犬、逃げまどう看守達の行く先々に穴を掘って落として妨害する小柄な老婆。

 

「邪魔よ……“一万キロ延髄切り”!!」

 

「あいつを助ける邪魔をすんじゃねえ……!  “鼻空想砲(ノーズファンシーキャノン)”!!」

 

 細身の肉体にはありえない重さの乗った蹴りで獄卒達を粉砕する美女に……ちょっと口に出したくないものをこねて飛ばして吹き飛ばす男。

 

 そして、戦闘能力がないがゆえであるが……彼ら彼女らに守られるように歩く、小柄な少女。

 手に絵具のパレットと絵筆を持つその小さな姿を……Mr.3はよく覚えていた。

 

 その光景を目にして、冷血な悪人を自認するMr.3の目にも、思わず涙が浮かぶ。

 

「お、お前達……そんなにも私を……こんなところにまで、助けに来てくれるほどに……」

 

 そしてちょうどその瞬間……かつて、自らのパートナーだった少女と……まだ遠いというのに、はっきりと目が合った。

 何かを、あるいは誰かを探すようにきょろきょろとあたりを見回していた少女は、その瞬間動きを止め……その目に涙を浮かべて走り出した。

 

 それに気づいた周りの者達も、同じようにし……

 

 気付けばMr.3は、自分でも大きく手を広げて走り出していた。

 実に数か月ぶりに会う自らのパートナーを、視界をにじませながらもはっきりと見据えて。

 

 その少女は、直前で飛び上がるように勢い良く地面を蹴ると、Mr.3の胸に勢いよく飛び込んで……

 

 

「っっ……ミス・ゴー……」

 

 

 

「「「ボンちゃぁぁああぁ―――ん!!」」」

 

 

 

「……ールデン……ウィー……ク……」

 

 

 ……飛び込んで来ずに、きれいにその横をすり抜けて……いつの間にか後ろに来ていたオカマの胸に飛び込んでいった。

 

「………………」

 

 立ち尽くすMr.3。

 その横にいたバギーは、すごく気まずそうにしながらも……その肩をポンと叩き、

 

「あー……何だ、そのー……元気出せよMr.3。な?」

 

 そのセリフが聞こえたのか、オカマの胸でわあわあと泣いていた少女は――彼女だけでなく、他の仲間達や、仲間に囲まれているオカマ本人も、周囲の囚人達や変態達ももらい泣きしているが――ふと振り返って……頭に『3』の乗った特徴的なシルエットの男を改めて見て、

 

「ぐすっ……? あら、Mr.3……いたの?」

 

「いくらなんでもヒドくないカネ!?」

 

 

 ☆☆☆

 

 

 なんか走ってる途中で、感動の再会とお約束のギャグが一緒くたになったような光景を目撃したりもしたが……そのまま私達は監獄の外に出た。

 あー……久しぶりに空見れたわ……きれいだなー……! 空気が美味しいなあ……! やっぱシャバはいいなあ……!

 

 なんか周囲では軍艦が何隻も火噴いて破壊されてたり、なぎ倒された海兵が倒れてたり、あちこち血とかが飛び散ってて凄惨な光景になってたりするけど、空はきれいだし空気は……ちょっと鉄と硝煙の香りが混ざってるけど……うん、ギリギリ美味しい。

 

 そんでもって、

 

「「「お帰りなさいませ、スゥお嬢様!」」」

 

「「「長きのお勤め、ご苦労様でした!」」」

 

 そんなことを言って、6人のメイド――スズの話通りなら、この現場を作り出した張本人達である――が、一糸乱れぬ完璧な動作で出迎えてくれたりして。

 それを見た囚人達から『何だ!?』って私にも戸惑いの視線が集まったりもしたけど……監獄から出られた喜びからすれば、そんなのも含めて些細な問題だ。

 

 あ、向こうの方の海の上に魚人3人娘もいた。……『凪の帯』だぞここ、大丈夫か?

 

 あと細かいこと言えば、勤め上げたんじゃなくて脱獄してきたんだけどもね。

 

 まあ……何だ。外出たとたんにすごい光景が広がってて度肝ぬかれた感じはあるけど、結果だけ見れば何も問題ない。

 むしろ都合はいいはずだ。戦闘を経ることなく、逃走用の軍艦は手に入る……というか、既に確保済みなんだから。

 

 後はもう、やることは1つだ。

 

 ユリの話だと、戦闘の最中で結構な数をボロボロにしてしまったので、使用に耐えうる軍艦は、全部で残り4隻くらい。

 うち1隻は武装がほとんど壊れてしまったけど、航行するだけなら問題ないそうだ。

 

 それらに私達は、適当に手分けして乗り込んだ。

 

 そして、追ってくる獄卒達も、海軍もいない中、悠々と出港。

 

 なお、原作ではボンちゃんが1人残って開けた『正義の門』は……さっき動力室に私が行って、そこの職員達を『ヘブンズ・ドアー』してきたので問題ない。

 

 その職員の『本』のページの余白部分に、『正義の門に軍艦を確認したら全て通す』と書き込んでおいたので、問題なく……ほら開いた。

 

 これでボンちゃん離脱も阻止。

 

 軍艦4隻が全て通り過ぎ……後ろの方で、『ガコォン!!』という大きな音と共に、『正義の門』が閉じ……インペルダウンが完全に見えなくなったところで……

 

 

 

「ハデによくやった野郎共! 脱獄……成功だァ!!」

 

 

「「「ウオォォオォ――!! 俺達は、自由だァ―――ッ!!」」」

 

 

 

 ノリと勢いのままのバギーの音頭で、全員の喜びが、爆発した。

 

 

 

 

 ☆☆☆

 

 

 この時……世界最大の海底監獄『インペルダウン』より、脱獄に成功した囚人の数……実に総勢1406名

 

 監獄署長マゼラン、副署長ハンニャバルを含む多くの戦力が、死亡もしくは再起不能に陥り、動員可能な職員総数は実に10%以下にまで激減。

 インペルダウンは完全にその機能を喪失し……完膚なきまでの『敗北』を喫することとなった。

 

 言うまでもなく、これはインペルダウンの歴史上、最大最悪の失態である。

 

 しかも、あろうことか……これでもなお、『事件』はまだ終わってはいなかった。

 追い打ちをかけるような悪意が……『レベル6』で蠢動していたからだ。

 

 

 

 ポートガス・D・エース公開処刑。

 予定時刻まで……あと4時間

 

 

 

 




今回で『インペルダウン編』終了になります。

次はいよいよ『マリンフォード頂上戦争編』です。

……ですが、例によってプロット整理の時間をいただきたく……しばらくお休みさせていただきます。
展開が展開なので、いつもより念入りにチェック等させてもらうかも……

今しばしお待ちください。
少しでも早く更新再開できるように頑張ります。

今度ともどうぞよろしくお願いいたします。
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