大文豪に私はなる!   作:破戒僧

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第185話 スゥと駆け巡る情報

 

 

「そうか……スゥは大事ないか」

 

「あぁ……クタクタに疲れてる以外はピンピンしてたよ。色々とこたえることもあったようだが、それらも含めて『いい経験になった』とか言ってけろっとしてやがった」

 

「あらあら……スゥちゃんらしいわね」

 

 場所は、シャボンディ諸島にある『シャッキー’s ぼったくりBAR』。

 そのカウンターで、2人の男が酒を酌み交わしていた。

 

 どちらも年齢はすでに老齢に入っているが、2人の素性を知る者がその光景を見れば、戦慄せずにはいられないであろう大物だ。

 

 現役時代は、ロジャーも含めて互いに『宿敵』と言える間柄だった2人……レイリーとシキは、簡単なつまみと、今回の戦争の話をお供に酒を進めていた。

 

 その傍らには……誰も座っていないにも関わらず、酒の入ったグラスが2つ置かれている。

 グラスの中身はそれぞれ違うが……どちらも、かつての友、あるいは敵が好んだ酒だった。

 

 ちらりとそのグラスの片方を見て、『安い酒が好きな男だった』と思い出しながらシキは言う。

 

「おめーらにゃスゥが世話になってるからな……一応、知らせといたほうがいいかと思ってよ。まあ、さんざっぱら暴れてる様子がシャボンディ諸島(ここ)にも生中継されてただろうから、無事だってこと自体は知ってたと思うが」

 

「それでも、こうして聞かされれば安心できることもあるさ。すまないな、シキ」

 

「ジハハハハ……いいってことよ。俺も実のところ、ついでに立ち寄っただけだしな」

 

「あれだけ尖っていたあなたが……丸くなったものね。ほら」

 

「おっと、悪ィなシャクヤク。そう見えるか? まあ、多少はそうかもな……」

 

 店主であるシャクヤクに、追加のつまみをもらいながらそう返す。

 

 レイリーもシャクヤクも、数年前、スゥから自分の出自を……それまではスゥ自身も知らなかった、『金獅子のシキ』の娘だったという事実をカミングアウトされた時は、さすがに驚いた。

 いい意味でも悪い意味でもよく知る相手だったこともあり……同時に、『父親に似なくてよかった』と安堵したりもした。

 

 その直後、実は来て隠れていたシキに『どういう意味だコノヤロー』と突っ込まれたりもしていたのだが……その頃からすでに、かつての自分達が知る『金獅子』と比べて、多少ではあるが毒気が抜かれたようになっていたことを覚えている。

 

 それ以降もスゥとは変わらぬ付き合いを続けているし、その縁でシキともこうして時々酒を飲んだりする仲になったのだから……人生とはわからないものだと、おかしく思っていた。

 

「それはそうとシキ……お前、また何か企んでいるだろう?」

 

「! ジハハハハ……さすがに分かるか」

 

「ああ……といっても私ではなく、シャクヤクが手に入れた情報をもとにした推測だがな。だが、既に一部界隈は恐々としているそうだぞ。ここに来て『金獅子』が動き出した、とな」

 

「生憎と、何も波風立たねえ老後を過ごすような趣味はしてねえもんでな。20年前から練り上げてた計画とはちと変更が必要になっちまったが……」

 

「隠居人には耳の痛い話だな。……大丈夫だとは思うが、スゥが困るようなことはしてくれるなよ? 愛想をつかされても知らんぞ」

 

「わかってるさ、きちんとアイツも満足する形で進めるつもりだよ。もちろん、お前らにも何も迷惑もかけるこたねえから安心しな……さて、そろそろ行くか。シャクヤク、勘定頼むわ」

 

「はい、お粗末様。これ伝票ね」

 

「おう、何にしても、これから先がむしろ……って高ェなおい!? シャクヤクこれ桁間違えてねえか!? あと頼んだ覚えのねェもん書かれてんだけど!」

 

「あら、失礼ね。別に間違いはないわよ……ほら、ここにちゃんとあるじゃない」

 

「いやそれおめーが飲んだ奴じゃねーか! 100歩譲ってロジャーとニューゲートの分はいいとしても……どんな店だよここ!? ……ああ、そういう店だったな」

 

「うふふ、そういうこと。……はい、毎度ありがとう」

 

「さて……それじゃあ、私も行くとするか。すまないシャクヤク、またしばし家を空けるぞ」

 

「あん? お前もどっか出かけんのか?」

 

「ああ……少し、会いに行って話をせねばならん男がいてな。彼の……これからのためにも」

 

 

 ☆☆☆

 

 

Side.スゥ

 

「クワハハハ!! 改めて久しぶりだな、スゥ!」

 

「そだねー、モルガンズ。いやー、こうしてまた会えてよかったよー……ここ数週間で何回死ぬかと思った身としては、ホントにさ」

 

 ここは、金獅子海賊団が縄張りにしている島の1つ。

 

 ある程度体も回復し、普通に動くくらいなら問題ないレベルになったってことで……後回しにしていた、モルガンズとの面会にやってきました。

 やはりというか、社長自ら取材にやってきたな。

 

「大将赤犬との戦いに、インペルダウン収監、その後の大脱獄に、『頂上戦争』への参戦……それら全てから無事に帰還して見せるあたり、やはり君は色々持ってるな! さぞかし刺激的な『経験』が積めたことだろう……どんな名作が生み出されるか、今から楽しみだよ!」

 

「あははは……まあそのうちにね。あーあとごめんねモルガンズ、インペルダウンに入る前に予定してた原稿の締め切りぶっちぎっちゃって。何分、監獄の中で小説書くことも、届けることもできなかったからさぁ」

 

「気にするなスゥ、その件ならうまく処理しておいた。テゾーロ氏経由で事情は聞いていたからな。それに……あの時は『“火拳のエース”処刑』や、ほぼ確定で起こる『頂上戦争』その他諸々への取材や、特集記事等の準備でてんてこ舞いだったからな、結果的によかったとも言える。……それよりも、俺としては君が、素性の方を隠してたことに文句を言いたいんだがね?」

 

「素性、って……“金獅子”の娘ってこと? いや、それはまあ、ごめんだけど……伝えたらあんた100%何かの形で記事にするじゃん。時期的にそれはまだまずかったんだってば」

 

 私が『思いついたことを書かずにはいられない作家』なのと同じように、こいつは『飛び込んできたニュースを伝えずにはいられない』人間だ。

 例外はなくはないものの……まだ誰も知らない事実を広く世間に伝え、それによって世間をあっと言わせることを生きがいにしているこいつには……知られるわけにはいかなかった。

 

 その時の状況その他次第ではあろうけど……黙っててって頼んで黙っててくれるような男じゃないからな。長い付き合いだ、よく知ってる。

 

「まあ、理屈はわかるし、“金獅子”殿にも色々と考えがあったこそなんだろうがな……それでも、スクープの種が目の前にあったのに気づけなかったとは……新聞屋として悔しい限りだよ。その分これからもよろしく頼むぞ、スゥ」

 

「もちろん。こちらこそ、よろしくね」

 

 その後しばらく、諸々の取材を受けた。

 

 モルガンズとしても、メディアの目がめったに行き届かない『インペルダウン』の中や、世界中の注目を集めた一大事件『頂上戦争』……それらをその目で見た人物の取材は心待ちにしてたようで、そりゃーもう根掘り葉掘り聞かれたよ。

 特に『インペルダウン』なんか、中で何が起きてるか知る機会なんて、全くと言っていいほどなかったからね、今まで。パパ以外に脱獄成功者0だったから。

 

 『頂上戦争』の方も、現場で一体何が起こってどんな空気だったのか、電伝虫越しに見ていたとはいえ、『混線』ゆえに視点も音声も安定せずぶれ気味で、わからないことも多かったそうだ。

 だからこそ、戦場を実際に見た生の声が欲しかったんだとか。

 

「クワハハハ……この小一時間の取材で千金を得た気分だよ、スゥ。特にインペルダウンに関する情報は、今後どうやっても手に入らなくなるかもしれないからな。それをこうも詳しく、しかも鮮度のいいうちに仕入れられてよかった」

 

「? どゆこと?」

 

「伝え聞いた話なんだが……君達の脱獄に加えて“黒ひげ”が数多の凶悪囚人を解放して連れ出したことによる被害が相当大きいようでな。修復して再稼働できるかどうかすら微妙だから、そのまま放棄する案も上がっているそうなんだ。知らなかったか?」

 

「マジで!? それは知らなかったな……」

 

 普通に驚いた。あそこ、今そんな感じになっちゃってたんだ?

 

 まあでも、そうなってもおかしくはない、か……だいぶ暴れちゃったし、設備も人員もボロカスにしちゃって、物資とか武器も根こそぎ奪ったからなー。

 『監獄弾』とか、『海楼石』のアイテム各種とか、珍しい武装もあったから、全部もらって……今、『メルヴィユ』にあるアジトの武器庫に眠ってるよ。

 

 閉じ込められて拷問されて、痛くて苦しくて恥ずかしい思いさせられた分、100倍にして返すつもりで、微塵も容赦せずやったからなあ……

 大暴動の時は、全員これでもかってくらいにノリノリだったから、全員そんな感じだったし。

 

 それに、凶悪な囚人を閉じ込めておく、っていう用途を考えれば、応急修理で満足していい建物じゃないのも事実だ。家の穴の開いた壁に薄い板を張って、はいこれで隙間風入らない、って程度の修繕とはわけが違うんだし。

 それにきちんとかなうレベルの修繕をしようとしたら、資材も金も手間も技術も、おっそろしい程に必要になるだろう。

 

 おまけに囚人達も大勢脱獄しちゃって中身もスカスカとなれば……

 

「そりゃ修復不能にもなるか……でもじゃあ、コレどうしよう?」

 

「? どうかしたのかい、スゥ?」

 

 そう聞いてくるモルガンズの目の前で、私は体内からあるものを取り出した。

 

 それは……今日、『これどうかな?』ってモルガンズに渡すつもりだった、原稿だ。

 

 例によって『こんなの面白そうだな』っていう、思い付きで書いたもの。

 ただ、短期間でささっととはいえ……結構真面目に必要な『取材』をして、情報や『体験談』なんかを集めて本格的に内容を検討し、練り上げて書いたものなので……割と力作だったんだが。

 

 それらの取材については……今回、私についてきてくれた、インペルダウンの囚人達が役に立ってくれた。幸運にも、男女、全フロアの出身者が揃ってたからね。

 

 そのことを説明しつつ、モルガンズに一応原稿を渡してみた。

 

 しばらくそれを読んだ後……モルガンズは無言で電伝虫を取り出し、どこかにかけて……

 

「おう、俺だ! エディ、仕事だ! ああ、スゥの新作だ、大至急人員を集めて編集会議にかけるから段取りを頼む。いつやるかって? 俺が本社に戻った瞬間にだよ! いつでも始められるように全員待機させておけ!」

 

 おぉう……すげえやる気。

 そんなに気に入ってもらえたか。こりゃ嬉しい限りだ。

 

 そして、電話の相手、エディちゃんか……モルガンズの話だと、私に関わりのある人物だから、よからぬことを企む奴(政府関係者含む)のターゲットになりかねないってことで、今は本社に缶詰めして勤務させる形でかくまってくれてるそう。感謝。

 

 本当は本人も、私の取材に同行して来たがってたそうなんだけどね……

 

 電話の向こうで『待ってください、私も話したいです! せめて一声―――』って聞こえたところでモルガンズが切っちゃったけど……。

 えっと……また今度ね、きっとね。

 

「クワハハハ!! すまんなスゥ、それで話なんだが、ぜひコイツはうちで出させてもらえないか! こんな前代未聞の問題作、大ヒットする予感しかない!」

 

「その話、電話する前にするべきものじゃないの……いやまあ、もちろんいいけどね。でも……書いといてなんだけど、ホントに出して大丈夫? 今あんた自分で言ってた通り……それ、コミカルな作風にはしたものの、結構やばい内容の『問題作』だと思うけど……」

 

「まったく問題ないな! 問題あっても問題ないとも!」

 

 言葉がおかしく聞こえるのは気のせいだろうか。

 まあモルガンズだし仕方ないか。

 

「さあ忙しくなるぞ……政府が察知して止められる前に出して捌かなくては! 印刷所にも手をまわして緊急稼働させて……そうだな、2週間以内に発売を目指すとしよう!」

 

「早っ!? え、企画から校正挟んで発売まで2週間って……マジで言ってる!?」

 

「無論だ! この“新聞王(ビッグ・ニュース)”モルガンズをなめるなよ! 俺が本気を出せば、情報も書籍も、裏に表にトップスピードで世界を駆け巡るとも! 再来週を楽しみにしていろスゥ、世界をあっと言わせてやろうじゃないか……クワハハハ!!」

 

 

 ☆☆☆

 

 

 それから2週間後。

 マジでモルガンズ、間に合わせた。2週間で新刊出しやがったよ……。

 

 相変わらず、裏に表に飛ぶような勢いで売れていってるそうだ。

 発売後、即増刷決定したってさ。

 

 

 

 著書名:インペルダウン入ってたけど何か質問ある?

 

 

 

 語られたのは、今まで恐ろしいものと言われつつも謎に包まれていた『インペルダウン』の内情について。

 

 コメディタッチで語られたがゆえに、色々な部分がぼかされていたり、過度に凄惨・ダークな部分は柔らかい感じになってたものの……それでも十分に刺激的だって、大ヒットを叩き出したそうだ。

 実際の囚人達(脱獄囚)に直接話を聞いて描写した部分も多く、というかそもそも作者自身が囚人だったわけなので、描写の臨場感もばっちり。

 

 それを読んだ一般人達は大いに驚き、面白がり……半面、海軍や政府関係者は頭を抱えたとか抱えないとか。

 あ、でも海軍とかも、一般の兵卒に近い人達は普通に面白がって読んでたみたいだけどね。彼らも……こういうのに触れる、知る機会がないのは同じだからって。

 

 あと、コレの出版を通して……私こと“海賊文豪”の人気が落ちてないのを知れたのもよかった。

 同時に、意外だったし、驚いた。

 

 さすがにあんな風に海軍相手に大暴れしたんじゃ、ファンも離れちゃうんじゃないかって思ってある程度覚悟してたんだけど……それはそれで楽しんだ人が多かったり、15年前と同じで『それはそれ、これはこれ』って、作家としての私とは切り離してくれた人が大半だったみたい。

 

 加えて、その直前に海軍が『白ひげ海賊団の傘下を騙して仲違いさせる』っていう賛否両論の作戦を実行してたのも手伝って、『むしろよくやった』なんて意見も中には。

 

 ……あと、赤犬ってほら、正義の戦力としては頼もしいけど……過激なやり方で方々から反感買ってたりもしたから、その反動で、っていう面もあったみたい。

 

 そして、アウトロー方面に関しては……めっっっっちゃファン増えた。

 海軍に一泡吹かせてくれたのが痛快だとか、よくあの正義の狂犬を倒してくれたとか、収監されていた家族が帰ってきましたとか……コメントに困る内容のも含めて、まー色々とファンレターもいっぱい来た。皆、色々抱えてるものがあったんだね……。

 

 いやー、私も色々と吐き出せて笑いのネタにしちゃえてスッキリしたよ。

 

 

 

 ああ、それともう2つほど……この2週間で事態が動いたことがあった。

 

 1つは、ルフィが仲間達へ伝える『3D2Y』のメッセージを発信したこと。

 この世界ではエース死んでないけど、それでも、この戦争で死んだ多くの者達への追悼……みたいな感じで、同じようにマリンフォードに現れて、レイリーとジンベエと一緒に騒ぎを起こした。

 

 新聞には、堂々たる黙とうを捧げるルフィの姿。うーん……似合わない。

 そして、その腕には、例のタトゥー(に見える)。

 

 ジンベエがいることから、白ひげへの追悼っていう意味だけでもきちんと理由としては受け取られるだろうし……一部では、『兄と“海賊文豪”に守られて逃がされて、何もできなかった自分への自戒と決意表明』なんて受け取られ方もしてるみたいだ。……なんでこっちに飛び火すんの。

 

 そもそも動機はどうでもよくて、写真撮られて世界中にメッセージを発信することが目的だったわけだからね、彼としては。

 

 ともあれ、これでしばらくの間は……ルフィ達『麦わらの一味』は修行パートだな。

 ルフィもこの後は、女ヶ島近くの『ルスカイナ島』に行って、大自然を相手に修行を繰り広げ……『覇気』の習得を目指すことになるんだろう。

 

 

 そして、もう1つの事件だけど。

 

 頂上戦争から3週間。

 まだ海軍のダメージも深く傷も癒えていないうちではあるが……さすがというかこういう分野での動きはそこそこ早い。世間に対して……この戦いで暴れまわった海賊達に関する、危険度の徹底した周知が行われた。

 

 そう……手配書の更新である。

 

 

WANTED!

 

名前 :麦わらのルフィ

懸賞金:4億(ベリー)

 

名前 :海侠のジンベエ

懸賞金:4億3800万(ベリー)

 

 

 この2人は原作通り……だったと思う。たぶん。ジンベエの額うろ覚えだわ若干。

 

 その他にも、主だった大物海賊や、この戦いで頭角を現した海賊他がリストアップされて値上げされていたり、新たに手配されていた。

 けど、バギーの手配書はなかった。……もしかしたら、もう『王下七武海』入りの話が進んでるのかもしれないな。

 

 そんでここからピックアップさせてもらうのが、私達に関わりのある面々のやつで……

 

 

名前 :“霧の海の亡霊”ブルーメ

懸賞金:3億3000万(ベリー)

 

名前 :“冬空の料理人”ビューティ

懸賞金:1億7000万(ベリー)

 

 

「おぅ……また、随分な金額がついてしまいましたね」

 

「インペルダウンから脱獄した分も含まれてんだろうな……やれやれ」

 

 私と一緒に来てくれた2人がこんな感じ。

 ブルーメの方が倍近く高いのは、やっぱ彼女が『自然系』の能力者だからだろうな。

 

 それに加えて……なんと、

 

 

名前 :万色のアリス

懸賞金:2億4900万(ベリー)

 

名前 :濁流のスズ

懸賞金:2億3300万(ベリー)

 

名前 :“舞う鉄拳”ユリ

懸賞金:3億(ベリー)

 

名前 :“笑う狼”ルプスレギナ

懸賞金:3億(ベリー)

 

 

「おー! やったー見てコレ! ボクも賞金首になったよ! 初頭手配でコレは結構すごいんじゃない?」

 

「むぅ……アリスには少し負けたか。戦果の差かのう」

 

「あっはっはっは! マジかー、私達もお尋ね者になっちゃったっす! いやーなんかこそばゆいっすねー、これが世界中に出回ってると思うと。もうちょっと化粧ちゃんとすればよかったかも」

 

「言ってる場合ですか、ルプー……はぁ、これから私達2人は、表側では動きづらくなるかもしれませんね。いえ、お嬢様達のために戦えたことに何も文句などはないのですが」

 

 まさかの娘2人、メイド隊からも2人賞金首が出る事態に。

 まあ考えるまでもなく……『頂上戦争』で大暴れしたからだろう。

 

 スズは『包囲壁』の大砲を泥で詰まらせて使用不能にしたり、その後も大量の泥で海兵達を押し流して妨害したり、自慢の剣術も存分に使って暴れたみたいだ。

 

 それに加えて、ブルーメ同様、こちらも『自然系』の能力者だから……それだけで危険視されてしまう部分もあるんだろう。覇気使い以外には無敵だからな。

 

 アリスは能力で多数の『パシフィスタ』を行動不能に追い込んだ上、その後も、その危険度を察して襲ってきた海兵相手に大立ち回りを演じたって話だ。

 返り討ちにしては武器を奪い、それを使ってまた戦って返り討ちに……を繰り返して、千変万化の戦いを見せたって。オールラウンダーなアリスらしいな。

 

 おそらくその戦い方が『万色』の名前の由来なんだけど……この子の性格を知ってる私とかからすると、違う意味に思えてしまうのが……。

 

 そしてメイド隊2人は……そろって娘2人より上。

 これはまあ……『覇気』使って戦ったからだろうな。

 

 コレはむしろ……覇気なしでこの額になった娘2人が有望(?)なのか。

 

 ちなみに、

 

「何であたしのないの―――!? スズとアリスばっかずりーぞ―――!!」

 

 とまあ、レオナは……娘3人の中で自分1人手配書がないことを悔しがって荒れてました。

 戦争の時、後詰めというか予備戦力として待機してて、結局そのままあんまし出番無かったらしいからな……注目されなかったか。

 

 そして……だ。

 

 自分で言うのもなんだが……この戦争でまさしく台風の目だった『2人』の手配書が……こちら。

 

 

名前 :火拳のエース

懸賞金:11億(ベリー)

 

名前 :“海賊文豪”スゥ

懸賞金:10億8740万(ベリー)

 

 

 ……えらい額になってしまった。億越えどころか『10億越え』って……。

 私、元の金額7600万だぞ。桁2つ違うんだけど。何倍だよ一気に。

 

 10億なんて額、ワンピース原作でも見たことない……。

 もしかしたら、ドレスローザ編以降では出てきたのかもしれないし、明らかにこれより高そう、あるいは高いけど、原作では金額明らかになってなかった連中もいっぱいいるけどさ。

 

 転生してから調べて知ったんだけど、白ひげとか50億超えだったし、ロジャーは55億だし……他も『四皇』レベルは軒並み40億超えてるし……インフレすげえ。

 

 エースは……元々の懸賞金額が5億5000万なので、ちょうど2倍か。

 『海賊王』の息子っていう血筋に加えて……今回、赤犬にとどめを刺した功績(?)も踏まえての金額だろうな。……ちょうどロジャーの5分の1なのは、何かの皮肉か、偶然か……。

 

 それに、海軍大将に勝ったっていう功績も含めて、海賊達にとって、旗印になり得る要素ばかりだから……今まで以上に危険な要素てんこ盛りになっちゃったわけだ。

 

 名前が『ポートガス』のままなのは、少し気になるけど……『ゴールド・エース』とか『ゴールド・D・エース』とかにはしなくてよかったのかね。

 『ゴール・D』の名前が使えない、使う気がないのはいいとしても(理由は知らないが)。

 

 そしてそれは、私も同じ……と。

 はなはだ不本意な評価である『扇動能力』に加えて、私の方も赤犬撃破に貢献した部分を足されてこの金額か……ああ、あとマゼランぶった斬って、インペルダウン崩壊の決定打になったりもしたから……それもかな。

 

 やれやれ……この先どうなることやら。

 

 

 

 





スゥとエースの懸賞金は、海軍大将倒したにしては安いかな? とも思いましたが、別に2人だけで倒したわけじゃなく、他にもマルコとかイワさんとかクロコダイルとか白ひげとか色々加わって戦ってましたから、危険度含めてこんなもんかな、という感じで設定しました。
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