大文豪に私はなる!   作:破戒僧

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第187話 スゥと衝撃の人事 その2

 

 

「それじゃまあ、私達の無事の再会と……」

 

「スゥ達の無事の脱獄その他諸々を祝して……」

 

「「「乾パ――—イ!!」」」

 

 えー、ただいま私、『グラン・テゾーロ』にいます。

 そこで、テゾーロやステラ達と楽しくパーティしてるところです。

 

 2人はもちろん、ここに勤めてる魚人3人娘とか、顔見知りの面々も皆心配してくれてたみたいでさー、盛大にこうしてお祝いしてくれた。

 メルヴィユでずっと療養してたから、挨拶に来るの遅くなっちゃってごめんね。

 

「本当、無事でよかったわ。スゥがちょっとやそっとじゃへこたれないのは、マリージョアで一緒に過ごしていて知ってたけど……さすがにインペルダウンはね……心配だったもの」

 

「ああ。だが、ふたを開けてみれば、無事で戻ってきただけでなく、友達を作って大勢味方を増やしてきたと聞いた。いやはや……いつもながら、転んでもただじゃあ起きないな、スゥは」

 

 と、ステラとテゾーロ。

 

「あっはっは、まあねー。確かに色々大変ではあったけど、その分リターンもしっかり奪ってきてやったし、100倍にして返してやったからまあ……変な話、結果オーライかな」

 

「今日は思う存分食べて飲んで、楽しんでくれ。ステラも……君達もな!」

 

 そう言ってテゾーロが視線を向ける先には……今回、私と一緒に来た面々がいた。

 娘3人……スズ、レオナ、アリス。

 それに加えて、私の『側近』になった2人……ブルーメとビューティだ。

 

 3人はここ何度か来たことあるから普通に『はーい!』って軽い感じで返事できてたけど、ブルーメとビューティの2人は……緊張してるな。

 まあ、『新世界』で、いや世界でも最高峰のエンターテイメントシティとして名高い『グラン・テゾーロ』……その超VIPエリアで、こうしてオーナーにもてなされてるんだから、そりゃ緊張もするかもしれないが。

 

 もうなんかガチガチで、食器とか落とさないか心配になるくらいだった。

 声もなく『相変わらずなんて人脈を……』とか声が聞こえてくるようだったよ。

 

 でも、その緊張もすぐにほぐれることになった。

 というか、緊張している暇がなくなった。

 

 『グラン・テゾーロ』自慢の、数々のエンターテイメントショーを見て……それらを楽しまずにはいられなくなってしまったのである。

 歌、ダンス、音楽、大道芸……その他色々、見事なまでに洗練されたステージの数々。

 

 すっかり超一級の歌姫としてその名を知られているカリーナや、そのカリーナすら超えて、今やこの『グラン・テゾーロ』トップの歌姫として君臨しているウタちゃんなどなど。

 見る者を虜にするスペシャリストがここには揃っているのだから。

 

 ……ただ、その中にあの人が混じってたのは意外というか、びっくりしたけど……

 

 

『皆の(ソウル)に届けるんだぜ! 響け、俺達のシンフォニー!! 世界の、果てまで!!』

 

「「「キャ~! 魂王(ソウルキング)~~!!」」」

 

 

 そこには、ステージの上でギターを弾きながら熱唱する……白骨が。

 

 えっと……アレは……

 

「驚いただろう? どうやら悪魔の実の能力者らしいんだが……骨だけで動いてる上に、あの抜群の音楽センスだ。見た目も中身もインパクト抜群で、本人のやる気もあるから、ここで雇ってね……今、ぐんぐん人気を伸ばしているんだよ」

 

 聞けば、ある日突然どこかから飛んできて、ここに落ちて来たらしい。

 

 それからしばらくは、一応『侵入者』ってことで拘束してたんだが、調べた結果害はなさそうだし、音楽方面に造詣が深かったことや、ここで歌って働くことを希望したので、試しに雇ってみたんだそうだ。

 そしたらみるみるうちに人気になって、ここまでに至ると。

 

 もう『魂王』なんて呼び名までついてるんだ……すごいな。

 

 しかし……あんな見た目の奴を、拘束解くどころか雇って歌わせるって……つくづくいい度胸してるよなあ、テゾーロ。

 いや、2人の確かな人物眼のなせる業なのかもしれないけどさ。

 

 というか、くまさん!?

 あんた、原作だとどこかの貧困にあえぐ島にブルック飛ばしてたはずでは?

 

 何でこんなところに……いやまあ、音楽方面の能力というか、エンターテイメント性を磨くには……確かにここ以上の場所はないだろうけどさ。

 

 それに、実際……いい歌だ。心に響くものがある。

 2年後、世界中で人気の歌手になるっていう未来も納得のパフォーマンスだよ、今既に。

 

 ここにいる一流のエンターテイナー達に刺激されて、さらにパワーアップに拍車がかかってるのかもしれないね。

 

「……けど、何で肺も声帯もないのにあんだけはっきり声出るんだろうな?」

 

「そのへんは多分気にしても仕方ないのですよ」

 

 ……うん、不思議だけどね。そういうもんなんだよ、たぶん。

 

 

 ☆☆☆

 

 

 さて、そんな感じでテゾーロ達に出所祝い(?)してもらったわけだが……それ以降も、しばらく私はここに滞在している。メルヴィユに戻らずに。

 しばらくぶりに来るここを存分に堪能したかったっていうのもあるけど……ちょっと思惑があってね。

 

 私じゃなくて、パパのだけど。

 

 少し前、今パパが進めている計画の全容を聞かされて……『何してんのこの人?』って唖然とさせられたんだが……その中に、私に関係する部分があったのだ。

 

 といっても、計画を進めるうちで、こういう形で影響があるかもしれない……っていう通告程度のもので、それ以降どうするかについては、私の意思で決めていいとのことだった。

 

 パパの計画を手伝うとか、それに乗っかって利用するつもりがあるのなら、それもよし。

 関わりたくない、利用されたくないからお断りします、っていうなら、それでもよし。

 どっちでも差し障りなく進められるように、複数プランを用意してるから、好きにしろって言われて……ひとまず、パパに従う形でそれに今、『乗っかって』いる。

 

 その『乗っかる』方のプランが、色々と面倒やリスクもありそうではあるけど、総合的に私にもメリットが大きいものだったし……懸念していた『作家としての私を利用する』『作家の立場を利用した何かを私に強いる』系のあれこれもなかったので。

 全く出てこないわけじゃなさそうではあるが、都度蹴っ飛ばしていけばいい、とのことだった。

 

 それに、こっちの計画だと……圧倒的にレアな『経験』が積めそうだったんだよね……。

 

 加えて、今回私達を散々苦しめて困らせてくれた『政府』や『海軍』を利用できる、ってのも気に入ってさ……パパに利用されてあげることにしたのだ。

 

 そのために今、私はこうして『グラン・テゾーロ』に滞在している。

 

 特段今は、何事もなく平和に過ごせている……わけがない。

 いや、私自身は何事もなく過ごせてるんだけど、水面下では色々起こってるっぽくてね?

 

 テゾーロから聞かされたんだけど、なんかここ数日間で2ダースくらい、私や私の関係者の命、あるいは身柄を狙ってきた暗殺者・人攫いその他をとっ捕まえた、あるいは始末したそうだ。

 

 これまで『メルヴィユ』に引きこもっていたせいで行方知れずで、そういうのを差し向けることもできなかった私が、ようやく居場所がつかめる位置に出てきたってことで、どっかの誰かが手配したんだろう。私に生きていられちゃ困る、私を危険視している誰かが。

 

 しかし、誰一人としてテゾーロ達の手配したセキュリティを突破できていない。

 

 元々のクオリティの高さに加えて、今回、政府や海軍の工作を見抜けずに私が一度逮捕されてしまったっていう負い目から、テゾーロがマジギレ継続中らしくて、『もう二度とそんな真似は許さん』とばかりの鉄壁具合に仕上げてくれているのだ。

 

 なお残念ながら、その黒幕が誰かはわかってない。

 十中八九、『せ』で始まって『ふ』で終わる人達だと思うんだけど……証拠が何もなくてね。

 

 捕らえた連中を尋問して聞き出そうにも、末端すぎて何も知らない奴ばっかりだった。『天国への扉(ヘブンズ・ドアー)』で調べたから間違いない。

 

 いかにも何か知ってそうな、凄腕って感じの連中は……捕まると同時に、定番の『奥歯に毒』で自殺したり、あらかじめ飲んでいた毒で死んだり(任務終了後に解毒剤を飲まなければそのまま……って仕組みか)と、ガチな感じのプロばっかだったので。

 『天国への扉』も、死体から読み取ることはできないんだよなあ……今のところは。

 

 ただ1度だけ、やたら体が鍛えられていて、消えたような速さで移動したり、銃弾を『ガキン!』と体ではじいたり、空中を走るような動きを見せた奴がいたそうだ。

 残念ながらそいつも確保には失敗して……捕まえたと同時に死んじゃったそうだが……明らかにどこぞの諜報機関の奴だな。しかも多分9番目。

 

 その死体は見せてもらったが、原作に出てきたやつじゃなかった……と思う。

 顔に見覚えはなかったし……『エニエス・ロビー編』でルフィ達が戦った奴じゃないと思う。人員補充したのかな? 死んだけど。

 

 テゾーロ達に負担をかけちゃって申し訳ないが……実は、『私がどこにいるかわかるようにする』っていうのも……何を隠そう、パパの計画の1つなんだよね。

 なので、言ってみればこの状況も計算のうちなのだ。当然、テゾーロにもあらかじめ事情は説明してある。

 

 このままもうしばらく滞在して……アクションを待つことになってるのだ。

 

 さて、と。果たして望むとおりのものが来るか、それとも……。

 

 

 ☆☆☆

 

 

 ……さらに数日後。

 

「もしもしパパ? 来たよ……ホントに」

 

『ジハハハハ……そうか。どうやら連中、よっぽど切羽詰まってるらしいな。なりふり構わず、打てる手は全て打ってきた、って感じか』

 

「いやあ……それにしたって正直、本当にこんなことになるとは思わなかったよ。だって、今回私が何したかって考えたら……こんな対応する? っていうかそもそも、選択肢にすら入れる?」

 

『それくらい、何を置いてもお前のことをどうにかしたかったんだろうよ。お前自身の能力はもちろんのこと……俺がやってることも考えたらな』

 

「? 確か……元々“白ひげ”の縄張りだった島々を制圧してるんだよね? それも、統治しても特に大きな旨みもなくて、略奪目的以外の海賊達もシカトしてるようなところを」

 

『おう。一見するとそうなんだが……その中にはいくつか、政府からするとちっと都合の悪い場所が混じってんのさ。そこまで重要じゃねえにしても、立地条件的に、昨今賑やかな『革命軍』の手に渡ったりすると色々困っちまうような場所がな』

 

「計算ずくってことかい」

 

『当然だ。連中はな……『やられても構わないことを無視する』か『やられたら困ることを徹底的に潰す』以外のやり方を知らねえのさ。それ以外があっちゃいけねえとすら思ってる。だから読みやすいし……こんな風に極端な方法に訴えてくる。武力を使えない以上は、ダメ元で……ってな』

 

「なるほどね……で、次は私は、この話を受ければいいのね?」

 

『ああ、だがすぐに返事はするなよ? 期限いっぱい使ってもったいぶれ……最終日になってから返事を出して了承を伝えろ。その間に俺も準備進めるからよ』

 

「はいはーい。やれやれ……これからどうなることやら……?」

 

 

 ☆☆☆

 

 

 そして、そのさらに数日後。

 『世界経済新聞』の一面に、こんな記事が躍り出た。

 

 

“千両道化”バギー

“海賊文豪”スゥ

 

頂上戦争でその力を見せつけた2人の大海賊の『王下七武海』加盟が決定!

 

政府からの『敵船拿捕許可状』の発行に伴い、両名の手配は撤回へ!

 

 

 

 

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