大文豪に私はなる!   作:破戒僧

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今回も過去話。


第194話 『お茶会』とその後

 

 

 そうして始まった『お茶会』。

 最初は、かの『四皇』主催のパーティーってことで、それはもう恐ろしかったんだけど……実際参加してみた感想を言うと、めっちゃ面白かった。

 というか、めっちゃ美味しかった。

 

 用意されてるお菓子のどれもこれも、ものすごくハイレベルなスイーツでさ。

 これ、普通は高級店とかで、一皿何千ベリーとか何万ベリーで(しかも一皿あたりの量が少ない上にめっちゃ飾りつけとかも凝って)出されるような奴だよ多分。

 

 それが、バイキング形式で……どころか会場の飾りつけとかにまで使われて食べ放題。

 みかじめ料をお菓子で収めさせる上に、支払えなければ国すら滅ぼす……“ビッグマム”という海賊の、お菓子にかける情熱ってものを見せつけられた気がした。

 

 もちろん、パーティー自体もそれなり以上に楽しめたよ。

 ひたすら緊張しっぱなしになっちゃうかとばかり思ってたんだけど……人間意外と慣れるもんだね。途中からはモルガンズ共々、普通に他の参加者との交流を楽しめた。

 

 最初にやったステューシーとル・フェルドとの話を聞いてたみたいで、パーティーが始まった後に続々と他の参加者達が話しかけてきてくれた。

 そしてそのほとんどが、私の『作家』としての仕事にかかわりがある人だったり、あるいは純粋に私のファンだったりした。

 

 ほんの一部だけど例を挙げれば、『深層海流』の名で知られる海運王・ウミットや、倉庫業の老舗であるギバーソンなど。

 前者は世界中に私が作った本を運ぶ仕事をよく請け負ってるし、後者はその保管を……といった感じ。どちらもいち利用者(むしろその関係者)程度の繋がりなのに、よく知っててもらえたな……なんかうれしい。

 

 あとは、大手葬儀屋のドラッグ・ピエクロ。葬儀屋なのでさすがに出版分野では関わりないけど……ファンだから会えて嬉しいって。

 ご用命の際はぜひ、って言って来たけど……そのセールストークはどうなんだ?

 

 それに、ゲストとしての参加者だけでなく……『ビッグ・マム海賊団』の中にもファンだって人がいたのはびっくりしたかも。

 会場で向こうから話しかけて来てくれてさ。名前聞いて驚いたよ。

 

 6女のカスタードや、16男のモスカート、18女のガレット、あとまだ小さかったけど、3()6()女のプリンちゃんとかも。

 皆それぞれ違った本を読んでくれてて、あのキャラが好きだとか、この展開は胸が熱くなったとか聞かせてくれてさ。読者との交流ができて私も満足である。

 

 まあさすがに……“ビッグ・マム”本人と話した時は、めっちゃ緊張したけどね……。

 懸賞金額43億8800万ベリーで、女海賊最高額。臨戦態勢でもなんでもないとはいえ、その存在感・威圧感は……さすがに見ていてめちゃくちゃやばいものだった。

 

 お茶会の中で、彼女と話したのは2回。

 

 1度目は、お茶会が始まって間もなくして、参加者達が持ってきた手土産を渡した時。

 モルガンズと一緒に私も、持ってきておいた『宝箱』を渡したんだけど、その時にほんの一声だけかけられてね。『今日は楽しんでおくれよ!』って、そのくらいの内容だったんだけど。

 

 そのあと、しばらくしてから一度あいさつした時にもう1回。

 招かれておいて食べてばかり、他の参加者と話してばかりじゃだめだろうってことで、主催者にあいさつしに行ったわけだ。ここでもモルガンズ同伴で。

 

 プレゼントの時とは違ってそこそこ長めに話したけど……その場では少なくとも、豪快で気のいいおばちゃんって感じだったな。

 本人の元々の存在感を除けば、威圧的な感じも何一つなく……『おれの子供達もお前の本が好きでねえ』とか褒めてもらえたし、ビッグ・マム自身も時々読んでくれてるんだってさ。すげえ、超ビッグネームが読者にいた……。

 

 ちなみに彼女が好きなのは、意外にもファミリードラマ系の作品。

 その中でも、身寄りのない子供達を引き取って育てる、強くたくましい心を持つシスターさんの奮闘記みたいなのが好みのようだった。子沢山だし、子供が出てくる話が好きなのかな?

 ただ、あまり暗い作は好みじゃないようで、ひたすら楽しく、皆で幸せに……っていうのが好きだって言ってた。

 あとは、あんまりややこしくなくて説教臭くないのがいい、とも。

 

 ……シスター、か。

 お茶会の最中にビッグ・マムの正面の席に置かれていた、あの写真の人物と、何か関係ある……のかな?

 

 『マザー・カルメル』っていう人らしいんだけど……どういう人なのかは、モルガンズも知らないんだって。

 ただ、ビッグ・マムがすごく慕っている、恩人みたいな人だそうなんだけど……彼女はその人のことを聞かれたり、触れられるのをよく思わないらしく、前もってモルガンズからも『写真の人物については触れたり質問したりしないように』と聞かされていた。

 

 今日はなかったけど、以前その『マザー』がどんな人物なのかを聞いただけで、『覇王色』で気絶させられてしまったゲストもいたらしいし。……気にはなるけど、触れない神に祟りなし、だな。

 

 そんな感じで主催者との挨拶も無事に終わった。

 

 話してる間中、にこやかに笑いつつも……どこか私自身を値踏みしてるような視線だった気がしたのは少し気になったけど……

 それも、ビッグ・マム本人だけじゃなく、その周囲にも何人か同じような視線を感じた。

 

 けどまあ、海賊だしね。そのくらいは仕方ないだろう。

 ……私の方も、決して100%友好的な視線だったとはいいがたいし。緊張も警戒もちょっとずつはしてたままだったもの。それも何も言われなかったし。

 

 その後はもう、純粋にお茶会を楽しませてもらった。

 

 おしゃべりは楽しいし知り合いも増えるし、雰囲気のにぎやかさも、慣れてしまえばそこまで気にならない。

 モルガンズの言う通り、そこまでマナーに厳格ってわけでもなく、まず楽しむこと第一……ってな感じだったしね。

 

 あと、何といってもスイーツがどれも美味しくて美味しくて……

 それと同じくらい、びっくりしたり面白いことも多くて……

 

 

 

 まず最初に驚かされたのは、開始後すぐにモルガンズと一緒に行ったドリンクコーナー。

 

「ようこそ、お客人。おや、そちらの彼女は初めてだな……楽しんでくれているか?」

 

「はい、とても。会えて光栄です」

 

「やあ、スムージー」

 

「よろしければドリンクなどどうだい? 今日も珍しいのが入っているよ」

 

 そこに待っていたのは、大幹部である“スイート四将星”の1人、シャーロット・スムージー。

 『足長族』とのハーフらしく、めっちゃ長くてむちむちの、タトゥーが入った足が特徴的だ。着てる服がレオタードっぽい奴だから、太ももどころかその付け根までばっちり見えるし……煽情的とすら言える。

 ビッグ・マム海賊団の中でも最上位の実力者で……『見聞色』を通してもその強さがわかる。

 

 ただ今はあくまで、このドリンクコーナーを仕切ってもてなしてくれる立場のようだから、緊張する必要はなさそうだ。

 

 けれど、その『ドリンク』ってのが……

 

「今日は『海にすむ白い野犬』『ミュール島の苔むした岩』『ペパー湾の青いサンゴ』だ。さ、どれがいい? 言ってくれれば今すぐ絞ろう」

 

 どれ一つとして普通の『ドリンク』の材料がない件。

 

 けどモルガンズは慣れた様子で『野犬を』と注文して……そしたらそれを受けてスムージーが、まるで雑巾か何かを絞るみたいにぎゅっとやって、吊るされていた犬から液体を、文字通り絞り出した。そしてそれをグラスに入れて、モルガンズに渡す。

 美味しそうに飲むモルガンズ。……すごい非日常的な光景がここにも……

 

 生き物のエキスはちょっと怖いので、私は『野犬』じゃなく、『岩』を頼んだ。

 同じように、硬さもものともせずに『絞る』と、それを私に渡してくれて……意を決して飲んでみると……すげえ、美味しい。すごくよくできたカクテルみたいだ。

 

 彼女の『シボシボの実』の能力で、色々なものを絞って液体を抽出できるらしいんだけど……目にすると面食らうものの、なるほどこういう場には向いた能力だな。

 

 その後も軽く話した後、会場内にある様々なスイーツを楽しんだ。

 種類が多すぎて、とても全部は食べきれないし、食べたものを全部並べることすら難しいけど……覚えてるものからいくつか紹介してみようか。

 

 

 会場内には色々な飾りつけがあるんだけど、それらも全てお菓子でできていて、食べられる。

 

 木の実とか、フルーツみたいな感じでぶら下がっている『飾り』がいくつもある。

 ためしに、オレンジっぽいのを1つとってみると……びっくりすることに、フルーツを模して造られたゼリーだった。手に取るとプルプルと揺れて、いかにも瑞々しくておいしそうな。

 食べてみると、一番外側は程よい歯ごたえがありつつも、口の中に入れてかみ砕くと、ホロホロとほどけてとけて……じんわりと舌に広がる。同時に立ち上った爽やかな風味が鼻にも抜ける。

 

 見た目の見事なつくりも相まって、すごく美味しい上に食べてて楽しい一品だった。いかにも職人技って感じのスイーツが、そこら中に『飾り付けて』あって食べ放題……。

 しかも、今私が食べたのはオレンジだけど、リンゴやグレープ、バナナにサクランボ……色々な種類がある。しかもそれぞれつくりが凝っていて、グレープは1つ1つ実の大きさが揃ってるし艶もあり、バナナはむいて食べられるみたい。ただ、皮も食べられるのでまるかじりも全然OK。

 味も精巧さも、全部がこのクオリティなのかと思うと、それだけでも戦慄した。

 

 同じように飾り付けで……クリスマスツリーにつけられるような、雲みたいな飾りがあったんだけど、それを取ってみるとなんと綿あめ。

 しかも、口に入れるとまー美味しいんだコレも。『何で砂糖なのにこんなに美味いの!?』って、どうにか声には出さなかったけど驚愕してしまった。

 

 口に入れた瞬間にとけるのは普通の綿あめと同じなんだけど……溶けている間に、ただ甘いだけじゃなくて、いくつもの風味が広がるんだよ。甘いけど後味がすっきりした上質な砂糖の味に始まって、ナッツみたいな香ばしさや、フルーツのような爽やかさ……

 すごくよく計算されて作られてるんだなってのが一瞬で分かった。

 

 触感もふんわり完璧だし、妙に繊維質というか、硬くなってるようなところも全然ない。口に入れる瞬間まで、ふわふわのままで……しかも触れても手にべたつかない。どういう仕組みだ?

 

 さっきのゼリーもそうだったけど、『飾り付け』でコレって……

 

 そしてもちろん、テーブルに普通に用意されているお菓子も美味しいのなんの。

 

 ほんのり上品な甘さと、カリカリに焼けた触感、それに香ばしさが絡み合って……プレーンなのに満足感がすごい、出来立てのドーナツ。

 普通のドーナツに砂糖をたくさん振っても、絶対にこうはならないと確信できる完成度。甘味が生地本来の味を全然邪魔してなくて、むしろ引き立て合っていた。噛むたびに口の中にその風味が広がり、しかも適度にしっとりしてて、口の中の水分が奪われる感じも全然なく、不快じゃない。

 

 香ばしくて適度に硬さのある生地で作られ、中身がぎっしりつまったシュークリーム。

 一口噛みつけば、その瞬間あふれ出したクリームが口の中にどっと流れ込んできて……歯に、頬の裏に、舌に絡みつく。ねっとりとした感触のところからしみいるような優しい甘さが、かみ砕いて口に広がる香ばしい生地とまたよく合う……コレ絶対、口の中に入った後の味まで全部計算されてるんだよな……。

 しかも大きさが様々、中身のクリームの種類も様々……目移りしてしまう。一口でぱくっと食べられる小さな奴もいいし、豪快にがぶりと噛みついて食べられる大きいのもいい。生クリーム、カスタードクリーム、チョコレートクリーム、その他にも色々な味があるし……。

 

 テーブルごと冷やされて周囲もひんやり涼しくなっている場所に用意されていたのは、これまた色々な味が用意されたアイスクリームやジェラートなど。

 バニラ味のソフトクリームをもらって食べると、これまた美味しい。舌の上で溶けていくのがわかるんだけど……冷たさと一緒にじんわり広がっていく甘い味と、やさしい匂い。しかも、温度で味が少しずつ変わっていく感じすらあって……なめとって口の中で溶かすのが楽しい。

 最後の方はコーンと一緒に食べたんだけど、これもまた、香ばしさと甘さがよく合ってね……カリカリ、サクサク音を立ててかみ砕くと同時に、小さくなった欠片に甘いクリームがまとわりついてしみこんで……ふわりと柔らかくなって……あー、変わる食感も風味もいい……。

 

 たっぷりのチョコレートでコーティングされ、生地にもチョコレートがたっぷりのガトーショコラは、噛むたびに暴力的なチョコの奔流が、さまざまに形を変えて口の中で暴れまわる。

 歯ごたえと共に砕けるチョコ、少しの力でホロホロと崩れるチョコ、口の中の温度で溶けて広がるチョコ……いろんなチョコが、しかし少しもお互いを邪魔せず、むしろ引き立て合って甘みと苦みのハーモニーが口の中に広がる。

 さっき食べたゼリーとはまた違った、ねっとりとして後に残る……しかし全然不快さとかしつこさみたいなのはない天国みたいな味わいが口の中から幸せにしてくれた。

 

 立て続けに甘いのばかり食べすぎて、ちょっと口を休ませたいなと思った時には……わずかな甘さと、それを引き立てる塩味が生きているビスケットを何枚か。

 サクサクの触感は楽しいし、それと共に砕けて口の中に広がるビスケット……その香ばしさと。舌にびりっとくるわずかな塩辛さが、口の中をリセットしてくれる。

 元通りに、いやそれ以上に、甘いお菓子を楽しめるコンディションにまで一瞬にして場を整えてくれた。もちろん、リセットとか関係なしにビスケット自体も美味しいし。好みにもよるだろうけど、これで紅茶やジュースも全然飲める。

 

 口直しの時に一緒にジュースを飲もうとしたら、喋るジュースポットが自分で動いて、各々の中に入っているジュースをグラスに注ぎ込んで混ぜて……見事なミックスジュースを自分達で作り上げてくれた。

 見ている分にも楽しいし、もちろんそうしてできたジュースも美味しいし……本当に、あらゆるシーンにエンターテイメント性がちりばめられているパーティーだな。

 せっかくなのでおかわりももらった。『こんなのが飲みたい』って大体のイメージを伝えると、ジュースのブレンドはもちろん、炭酸の有無とか味の濃さ、甘さのレベルまで調整して作ってくれるんだからすごいな……。

 

 そして、個人的に一番楽しみにしていた逸品……大好物のチーズケーキ!

 噛みしめた瞬間、歯から伝わってくる、生地にめり込んでかみ砕く瞬間……その瞬間から口の中にふわっと広がるチーズの濃厚な風味と上品な甘み……しかもそれは、噛むたびに強くなり、私の口の中全体に広がっていき……満たされて幸せな気分にしてくれる。

 ねっとりと濃厚な触感が、ちょっとしつこいくらいに舌に絡みつき……それを喉の奥に押し込もうと舌や口の中をもごもごと動かすことすら、味を強く引き出して幸福感を増してくれる。

 喉を通り過ぎて胃袋に落ちてもなお……ほんのり後味や、呼気に混じったチーズの風味が追い打ちで幸せな気分にしてくれる……すごいなコレ、食べた瞬間から食べた後まで、徹頭徹尾幸せだ。

 ……個人的な好みとかひいき目も絶対あると思うけど、それでももう……幸せ。

 

(いやあ……やばい、ここは天国か……?)

 

 気が付けば、めっちゃ普通に『お茶会』を楽しんでしまっている自分がいた。

 

 いやもう、これは仕方ない。こんなに美味しいものがあちこちにある場所なんて、楽しむなって方が無理だし……むしろ楽しまないのは失礼だし……うん。

 だから私は何もおかしくないし悪くない。

 

 

 

 そんな感じで幸せだったので、むしろそのままお茶会が終わってくれたらよかったと思うんだけど……そこはさすがに『四皇』主催のイベント。

 きちんと、というべきなのか……あんまり平和じゃない『メインイベント』も用意されてた。

 

 ごく最近、ビッグ・マム海賊団が協定違反とか何とかで滅ぼした国があったらしいんだけど……そこで手に入れた数々の『国宝』その他のお宝のお披露目がそれだった。

 

 しかし、それらをお披露目しようとしたときになって……それらを奪還するために会場にその国の軍の残党達が襲撃をかけてきた。

 これはちょっと、戦えないゲストもいるだろうし、やばいハプニングか……と思ってみてたんだけど、ビッグ・マムもその子供達も、全く慌てた様子もなく、速やかにそれらを迎撃。あっという間に鎮圧し、全員生け捕りにして捕らえてしまっていた。

 

 それもそのはず……実はなんと、この襲撃まで含めて今回のイベントの一部だったのだ。

 

 やらせとか演技だった、っていう意味じゃなくて……ビッグ・マム海賊団は、わざとこのお茶会の場でそれらのお宝がお披露目される、っていう噂を流して……祖国の宝の奪還に燃える彼らをここにおびき寄せたらしい。わざわざ警備を意図的に緩めて、隙を作りまでして。

 彼らの敗北を、その後の処刑を、ゲストたちの前で見世物にするつもりで。

 

 そして、縛られて身動きの取れなくなった彼らの前で、無情にも始まるお披露目会。

 

 これはデザインが気に入ったからもらっておいて部屋に飾ろう、とかいって召使にもっていかせたものもあった。

 あるいは、その場で『魂』を入れて、ファンシーな謎生物……『ホーミーズ』に変えてしまったりもしていた。

 

 逆に、これは趣味に合わないから要らないな、とか言って……その場で投げ捨てて壊したりもしていた。

 先の戦いで亡くなった王子様のお気に入りだったっていう、国宝の花瓶が、無残な姿に砕け散ったのを見て……騎士の人達は血涙を流さんばかりに怒り、悔しがっていた。

 

 全てのお宝がお披露目された後、最後の仕上げに、捉えた騎士の人達が一カ所に集められ……ある者は命乞いをし、ある者は怒号を飛ばし、ある者は恨み言を吐き捨て、ある者は何か言う気力すらない中……従兵達が放った銃弾の雨あられが、彼らに殺到し……処刑は一瞬で終わった。

 

 ……ケチつけるのもなんだけど……せっかくの楽しいパーティーなんだから、最後の最後に血なまぐさいものにしなくても……なんて思っちゃったな。

 

 

 

 …………そんで、もう1つ。

 その後に……それこそ、お茶会も何もかも終わった後に……余計な一幕が待っていることを、この時の私は、まだ知らなかった。

 

 

 

 その日の夜。

 ほとんどのゲスト達が、来た時と同じように乗合船に乗って帰るか、あるいは明日の朝帰ることにして『スイートシティ』に宿を取って宿泊している中……私は、『ホールケーキ(シャトー)』にお呼ばれしていた。

 

 なぜか、『お茶会』だけじゃなく……その日の夜、一緒に会食をって誘われてさ……

 全然わけもわからない中ではあったんだけど、断ることもできなかったので、呼ばれるままにそれに出て……ビッグ・マム本人に加えて、そのお子さんたちのいる場で夕食をご馳走になった。

 

 ちゃんと夕食らしく、お菓子以外もきちんと出てきたんだけど……正直味わかんなかった。

 

 だって、面子が……ビッグ・マム本人に加えて、

 

 長男・ペロスペロー(身長333cm、懸賞金7億)

 次男・カタクリ(身長509cm、懸賞金10憶越え)

 3男・ダイフク(身長489cm、懸賞金3億)

 4男・オーブン(身長492cm、懸賞金3億)

 10男・クラッカー(身長307cm、懸賞金8億6000万)

 19男・モンドール(身長260cm、懸賞金1億2000万)

 

 他、数名。

 

 何これ、圧迫面接か何か?

 とてもじゃないけど、食事を楽しむ余裕はないよ……皆さんメートル級身長で大柄だし、強面な顔の人も多いし……

 

 スムージーとかカスタードとかはまあ、見てて目に優しくはあるけど……それでもやっぱり緊張するどころじゃない。……彼女達も大きいし(物理的に)。

 

「ハ~ハハハママママ……お茶会は楽しんでくれたようだねえ“海賊文豪”のお嬢ちゃん」

 

「はい、とても……夢のような時間でした」

 

「そうかいそうかい、そりゃ招待したおれも嬉しいよ。ああ、宝箱のプレゼントもありがとうよ、中身も素晴らしかった……さっそくこの後いただくよ」

 

「何が入ってたんだ、ママ?」

 

「メイプルシロップさ。北方の辺境の島でしか作られない限定品でね。品薄なうえ毎年作られるわけでもないって代物らしい。パンケーキにかけて食べるのが楽しみだねえ」

 

「そいつはよかったなあ、ママ。くくくく……なかなか気の利いたプレゼントをしてくれたみたいだな、お嬢ちゃん。俺からも礼を言うよ、ペロリン」

 

 と、長男のペロスペローにも褒められた。

 

 モルガンズにアドバイス貰って選んだものだったけど、気に入ってもらえたみたいでよかった。

 変な美術品とか金品を送るよりも、ビッグ・マム本人が純粋に好きで楽しめるものを送った方が無難だって言われたからな……甘いお菓子や、その付け合わせになるものってことでコレにした。

 

 その後しばらく、雑談とかしながら食事をいただいた。

 

 スムージーやカスタード、ペロスペローやモンドールが積極的に話しかけてくれたおかげで、緊張しっぱなしのガタガタな感じにはならずに済んだ。……気を使ってもらえたのかな?

 まあ……状況的に私、『ヤ』の事務所に連れてこられて、強面のお兄さんたちに囲まれて逃げられなくされてる一般人的なそれだからな……今。

 

 ……というか、見てくれだけじゃなく、そういう状況なのかもしれないけど……

 

 そうなると、この次に来るのは……何かしらのお話、ないし要求?

 

「お茶会の時からそうだったけど……うちの娘達とも仲良くやってくれたみたいだねえ、“海賊文豪”。そんなあんたに、ちょっと話があるんだけどね?」

 

「話、ですか?」

 

「ああ、いい話さ。提案と言ってもいい。お前……」

 

 

 

「おれの息子と結婚して、うちの家族(ファミリー)にならないかい?」

 

 

 

 …………え゛……!?

 

 

 

 




なんかイメージ膨らませて『お茶会』の様子を書いてたら……夜10時台に投稿するには危険な内容になってしまった気がする。
多分、今日の昼に買い物の最中にしこたま甘いもの買い食いしたのが生きてる。

だから昼間のアレは意味のない暴飲暴食ではなく必要な取材だった(暴論)。

皆さんの食欲を少しでも刺激できていたら嬉しいです。さあ皆、夜食食べようぜ!
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