大文豪に私はなる!   作:破戒僧

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第213話 ゾロの3D2Y(5)

 

 

 よく晴れたある日。

 私は、『金獅子海賊団』のナワバリの1つである、とある『夏島』を訪れていた。

 

 来ているのは私だけじゃなく……スズ、レオナ、アリスの3人娘に加え、ブルーメとビューティの側近コンビ。

 さらにそこに、ゾロとサガの2人。

 

 ……とまあ、いつも『ルーボッツ島』で仲良く修行しているメンバーでここに来てます。

 何でこのメンバーでこの『夏島』に来ているのかと言えば……だ。

 

「もちろん、修行のためです」

 

「ホントかよ」

 

 と、いかにも信じられなさそうな目でこっちを見てくるゾロ。隣にいるサガも大体同じ感じ。

 その後すぐ、ゾロとサガは横に視線をそらす。その先には……スズ、レオナ、アリスの3人が、ちょうど着替えを終えてきたところだった。

 それを見て、より一層胡散臭いものを見るような目になるゾロ達。

 

「……俺にはどう見ても、海に遊びに来た家族連れにしか見えねえんだが」

 

 そんなゾロ達の視線の先にいる3人娘はというと……3人とも、水着姿だった。

 

 ワンピースタイプのスズ。

 タンクトップビキニのレオナ。

 ホルターネックのアリス。

 

 うん、3人ともよく似合っててかわいいね。

 

 あ、ちなみに私と、側近2人も既に水着に着替えてます。

 

 私は、クロスデザインタイプのビキニ。

 ビューティは……えーと、モノキニって言うんだっけ? 横が大きく開いてるやつ。

 ブルーメは……スクール水着。マジかよ。

 

 さらに、水着を持っていなかったゾロとサガも、こっちで用意したルーズタイプ……肌に密着しない、半ズボンみたいなゆったりしたタイプの水着に着替えている。

 

 そんな感じで、全員水着に着替えたうえ、ビーチパラソルとか、色々入ってるクーラーボックスなんかも完備でビーチに集合しているわけで……

 ……うん、まあ……遊びに来たようにしか見えないなこりゃ。そりゃゾロもそんな目になるわ。

 

 でもね、コレ本当に修行目的でこの島に来てるんだよ私達。

 もしコレがレジャーなら、それこそアイサとかマヤさんとか、そのへんの仲いいメンバーも集めて楽しくやるところだ。

 

 それにそもそも、ここにいる私達8人のうち、過半数になる5人は能力者なわけで。

 水着なんか着たところで、海で泳ぐことなんてできないじゃん?

 

「確かに……言われてみりゃそうだな。でも、じゃあなんだってそんな風に着替えてんだ?」

 

「単純に夏島だから暑いってのが1つと……これからやる修行のうちのいくつかは、肌をできるだけ露出してた方が効果がありそうだからね」

 

 サガの疑問にそう答える私。

 

 するとそこに『ハイハイハイハイ!』と割り込んでくる声が1つ。

 

 出所は、真剣な表情で勢いよく挙手している末娘である。

 

「何、アリス?」

 

「どんな修行なのかは知らないけど、肌を露出してた方がいいならもっといい水着が色々あったと思います! 今からでもそれに着替えることを提案します!」

 

「提案を却下します」

 

 ノータイムで言った私の言葉に『ガーン!』って感じになるアリス。

 そのアリスの背にスズのジト目が刺さっていることからもわかる通り、今の提案はいつものエロ目的である。……もう言うまでもないよね。

 

 というか、それ目的ですでにこの子は私達に『これ着て!』って自前の水着を持ってきたりしていて……しかもそれが、服と呼んでいいのかも微妙な……ただの紐みたいな奴だった。

 『スリングショット』とかいうやつらしいけど、あんなんちょっと激しく動いただけで確実にポロリしちゃう未来しか見えなかった。『見聞色』を使うまでもなく。

 ……アリスからすれば、まさしくそれが目当てなんだろうけど。

 

 それだけならまだしも、ゾロとサガにまで水着用意してやがったのだこのエロガキ。

 ぴったり密着する上に食い込みの角度や深さがえぐい、まごうことなきブーメランパンツを。

 

 この子には羞恥心とか遠慮とかそういうのはないんだろうか……そしてこれから先も育つことはないんだろうか。……なさそうだな。

 その実力や、海賊団内での地位や立場に比例してどんどん欲望隠さなくなってるし、我慢もしなくなってるし……。

 

 まあ、うちのエロガキについての話はこのへんにして、と。さあ修行だ修行。

 

「んで……こんなカッコで一体どんな修行をするってんだよ?」

 

「ふっふっふ、それはね……」

 

 

 ☆☆☆

 

 

 修行その1……ビーチバレー。

 

 やることは単純。というか、タイトルそのまんま。ビーチバレーである。

 砂浜にネットを立てて、空気をたっぷり詰め込んでパンパンになったボールを打ちあい、手や腕ではじいて相手の陣地に落として、それを防いで……という感じのゲームだ。

 

 それを今、ゾロ・サガチームと、レオナ・アリスチームでやってます。

 

「そりゃあっ!」

 

 

 ―――バムッ!!

 

 

「っ……そっち行ったぞゾロ!」

 

「わかってる……ックソ、角度が……おらっ!」

 

「おっと、間に合っちゃうんだ今の……でも……いい球が来たっ!」

 

 レオナが撃ったスパイクをゾロがどうにかレシーブし……しかしそのまま上に上がってしまった。

 それを待ち構えていたアリスが、飛び込むようにスパイクして……しかし今度はそれをサガが読んでいて、きれいにレシーブする。

 

 こんな感じで、楽しくビーチバレーをやってる…………と、思いきやそうでもなく。

 

(なんか前世で見た映画で、こんな感じで少林寺拳法の達人たちが立体機動じみた動きでサッカーやる映画あったなー……)

 

 観客席でそのプレーの様子を見ながら、私はそんなことを考えていました。

 

 このビーチバレー、修行としてやってるからには、普通の試合であるはずがなく……見た目からして異常な光景がそこに広がっているのである。

 

 まず、4人とも空中にいる。

 ジャンプしてるからじゃなく……ずっと空中にいる。地面というか砂浜には全然下りず、空を飛びながらバレーやってる。

 

 というのも、この夏島のこのビーチの一部のエリア……つまりは今いるここなわけだが、砂の成分や太陽光の当たり方の関係で、砂浜がメチャクチャ熱い。焼けた鉄板みたいに、裸足で歩こうもんなら火傷待ったなしってくらいに熱い。

 

 なので、地面に降りず……『月歩』を使って空中を飛び跳ねたり、能力を使って飛んだりしながらプレイすることになる。

 ゾロとサガはどちらも使えないので、以前レオナが言っていた『空を歩ける靴』を履いている。

 

 そんな風に足場が安定しない……というか足場が『ない』状態でビーチバレーするわけだ。

 必然、少林サ〇カーばりに立体的かつアクロバティックな動きでビーチバレーを繰り広げる4人。

 

 加えて、このビーチバレー、覇気アリにしている。

 攻撃側が撃つボールには、当然のように『武装色の覇気』が乗るので、受ける方も『武装色』で防御しつつ受けないとまともに受け止められない。

 レシーブ失敗すると、最悪地面に墜落して砂浜(熱)に突っ込むことになる。肌の露出が多い水着でそんなことになろうもんなら……言うまでもないよね?

 

 さらに、砂にボールが着弾しようもんなら、その衝撃で熱された砂が爆散して散弾銃のごとくぶつかってくる。これも結構きついダメージになるので、こぼして落とさないよう必死である。

 

 あと、その砂浜から照り返す熱で気温がそもそも40度軽く超えてるので、その暑さも敵だな。

 

 まとめると、空中を蹴って動く不安定な足場事情の中、照り付ける太陽と砂浜からの輻射熱にさらされながら、覇気を纏って飛んでくるボールを防ぎ、こちらも覇気を込めて打ち返し……というのを延々繰り返すわけだ。

 ね? よっぽど過酷な修行でしょ?

 

 4人とも汗だくになって、落ちないように気を付けつつ必死で球をどつきあってたんだけど……数分もするとだいぶ慣れてきたようで。

 より激しく、よりツッコミどころの多い試合が繰り広げられるようになっていく。

 

「“無刀流”……“竜巻き”!!」

 

「“無刀一閃”……“羅候”!!」

 

 ゾロが砂浜の熱砂を巻き込んで起こしたつむじ風の向こうから、サガが手刀でスパイクを放つ。

 つむじ風を通ることですごい勢いで球が曲がり、しかも砂を纏って飛んで行く。

 

「こんにゃろ! “嵐脚・惨爪”!!」

 

 それをレオナが空中で連続で蹴りを放ち、それによって起こった『鎌風』で砂を散らし、玉の勢いも殺してしまう。

 普通の威力になったそれをアリスがレシーブして上に弾き……レオナがオーバーヘッドキック。

 

 が、それを読んでいたサガが手刀で上に弾いて飛ばし……そこに回り込んでいたゾロが、

 

「“無刀流”……“飛竜・火焔”!!」

 

 叩きつけるように放った手刀ではじいて飛ばす。

 それをアリスが受け止めようとしたけど、そのアリスの目の前でボールが発火して炎を纏って突っ込んできて……さすがにぎょっとしてたな。

 

「でも……このくらいならッ!」

 

 それをアリスは、なんと高等技術である『触れない覇気』でガードし、火を吹き飛ばしつつレシーブして……どうやらまだまだ続きそうだ。

 

「つか、あんだけ無茶苦茶な使い方して壊れねえボールがまずすごくね? いくら覇気込めてるっつってもさ」

 

「あーあれ、ママに特注で作ってもらった特別性のボールだからね。『ワポメタル』配合の金属繊維を編み込んで作ってあるから、同じ大きさの鉄球より頑丈なんだってさ」

 

「そんなやべーもん使ってビーチバレーさせてるんですか……あとさっきからあきらかにビーチバレーには過剰な技能使ったり、レオナとか思いっきりボール蹴ってますけどいいんですか?」

 

「いいのいいの、細かいことは。修行にはいいし」

 

 

 ☆☆☆

 

 

 修行その2……ビーチフラッグ。

 

 これもやることは普通のビーチフラッグと同じ。砂浜にうつぶせで寝そべった状態から、合図と同時に走り出し……突き立ててある旗を取った人が勝ち。

 

 ただしこれも当然、普通のビーチフラッグではないです。

 

 さっきみたいに砂浜が超熱いとかいうことはない。場所は変えたので。

 けど、フラッグまでの距離が200mくらいあって……さらに、それぞれ腰とか腕とかに、普通に戦闘用の武装を装着した状態で待機してます。

 

 何でかというと……

 

「ハイよーい……ドン!」

 

 

「三刀流……“百八煩悩鳳”!!」

 

「一刀流……“一閃・破軍”!!」

 

「“嵐脚・獅子千切”!!」

 

「黒炭二刀流……“朽縄”!!」

 

 

 走り出すと同時にそれぞれ技を放って、目の前の地面を攻撃する皆。

 目の前の砂浜が吹き飛び……中から、激流のように常に流動している砂の層が現れた。その中にいくつか点在している、飛び石のような岩塊も。

 

 この場所の砂浜は『流砂』になっていて、普通に歩くと底なし沼みたいに引きずり込まれてしまう。なので、今回も『月歩』とかを使って落ちないようにいくか、砂を吹っ飛ばして安全地帯である岩塊を露出させ、そこを跳んでいくか、という対応が必要になるのだ。

 また後者の場合、どんどん流れてくる砂のせいですぐ地面が埋まってしまうので、その都度技を放ってまた砂を吹っ飛ばす必要がある。

 

 さらには……突き立ててあるフラッグも砂の中に沈んでしまうので、その前につかむか……無理ならまた砂を吹っ飛ばして、沈んだフラッグを探して手にする必要がある。

 

 なお、浮島状態の岩塊は普通の岩であり、あまりに大きな攻撃で力任せに砂を吹き飛ばしてしまうと、岩塊も破壊されて足場がなくなってしまう。なので、威力と範囲の加減が重要です。

 

 おっと……今回はサガが勝ちか。

 最小限の動きと技で、最短ルートで飛んで行ったのが大きかったな。

 

 

 ☆☆☆

 

 

 修行その3……スイカ割り。

 

 これもさっきの2つと同じ。

 やることは普通のスイカ割りだけど、中身が色々普通じゃないテイストとなっております。

 

 といってもこれは砂浜は全然何もない普通な感じなんだけど……使うスイカがね。

 『新世界』のとある島でのみ取れる、外皮が鉄より硬いスイカなんだよね。普通にサーベルとか使って切ろうとすると、普通に刃の方が刃こぼれするの。

 

 対してこっちが使う武器は、普通の木の棒。

 なので、普通に叩いたら100%こっちが負けて折れます。それ相応の強度の『武装色』を纏わせて叩かないといけません。

 

 まあでも、これだけならそこまで大変じゃないと思う。最近の皆、どんどん『武装色』の扱いが上手くなってきてるし。

 

 ただコレ、実際にやろうとするともう1つ注意しなきゃいけないことがあってね。

 スイカ割りってほら、目隠しするじゃん?

 

 

「ほらゾロ、まっすぐ、まっすぐ歩いて!」

 

「もうちょっと右じゃぞ! 右!」

 

「いやーもうちょっと左だと思うなあボクは!」

 

「まさかの後ろかもしれないのですよー」

 

 

 はいコレ。

 スイカ割り名物、でたらめ言って混乱させてくる友達。

 

 目をつぶってスイカを割ろうとするゾロに対し、まー楽しそうに好き放題言う3人娘+1名。

 声を上げている4人とも見事に言ってることが全部違うので、誰のどの言葉を信じていいかわからず、ゾロの表情が引きつっているのが見えます。

 

 この中の誰が本当のことを知っているかを推理して……なんてことをするわけではなく、ここでも『修行』である。『見聞色』の。

 周りにいる皆の声に惑わされず、気配的な意味での『声』を聴き……スイカと自分の今の位置が見えている彼女らの『声』から、思考とか意識を読み取って、スイカがどこにあるかを悟って割る……というのがこの修行のポイントである。

 

 面白がってワーワーキャーキャー言ってくる子供達に惑わされず、いかに『声』だけに集中して必要な情報を拾えるか。それが重要になる。

 『見聞色』から可能な限り多くの情報を拾い上げるというのは、超上級技能である『未来視』に通じるものでもあるので、何気に重要な修行だったりする。

 

 ゾロもそのへんの集中力はあるから……最初はイライラしてたっぽいけど、次第に気持ちを落ち着けて集中し、『声を聞く』ことに意識を向け……やがて、迷いない足取りで歩き始めた。

 誰が何を言って煽ったり、騙そうとしても、一切迷わずに。……さすがだな。

 

 ………………まあでも、

 

 

 ―――ばっしゃ―――ん!!

 

 

「あー……見事に海に突っ込んだな」

 

「なんか自信満々に進んでたから行けそうだと思ったんですけどね……」

 

「それはほら……ゾロって元々方向音痴だから、それでじゃない?」

 

「「ああ……」」

 

 場所がわかってても、なんならリアルタイムで案内しながら行こうとしても迷子になる、異次元の方向音痴ぶりだからなあ……この距離でも視界をふさぐとダメか。

 こりゃ、修行的な意味でも先は長そうというか、課題が大きいというか……

 

 

 

 そんな感じで今日はマリンスポーツ混じりの修行を1日こなしました。

 適宜、持ってきておいたクーラーボックスの中のスポーツドリンクその他で水分補給もきちんとしながらね。

 

 そして夜はリフレッシュのため、修行のことは忘れてバーベキューしました。

 持ち込んだ食材に加えて、途中でボビーとポーゴ――スズがスカウトして招き入れた、巨人族の2人――がとれたての魚をどっさり差し入れてくれたから、海鮮バーベキューだ。

 

 楽しく食べて飲んで、明日またがんばろうね、って感じで。

 

 なお、この夏島での修行は、1週間くらい行う予定です。その間に色々とつかめるといいね、皆。

 

 

 

 

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