大文豪に私はなる!   作:破戒僧

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今回から新章突入になります。
といっても、まだ『3D2Y』の最中ですが。

そこそこ、いや結構オリキャラも出てくる予定なので、わかんなくならないようにしないと……(不安)

では、どうぞ。



第13章 Surprise Future Z
第215話 ある日の急報


 

 

「黒炭二刀流……“咬蛇・沼鎖”!!」

 

「三刀流……“煉獄鬼斬り”!!」

 

 ただいま修行中。

 

 全方向から迫るように、締め上げる蛇のような動きで放たれる、スズの斬撃。

 それを、ゾロの刃は真正面から切り払って打ち破り、その向こうにいるスズを捕らえようとするが……ひと呼吸早くスズが間に刃を割り込ませて防御し、そこから届いた衝撃も、体を泥に変えて受け流すことで無効化した。

 

 そのまま全方向に泥をまき散らして視界をふさぐも、ゾロは両手に持った2本の刀を大きくふるうと、一瞬で全てを切り払い、視界を全てクリアにする。

 

 それでも、ゾロの視界から逃れたその一瞬を使って体勢を立て直したスズは、横合いから2刀を振りぬいて迫る。

 

「おっと……危ねェな」

 

「やすやすと防いでおいてよく言いよるわ」

 

 そこから互いに始まる猛烈な連撃(ラッシュ)

 

 ウサギか何かのようにぴょんぴょんと飛び跳ねながら、縦横無尽に繰り出されるスズの剣を、ゾロは対照的に最小限の動きでどっしり構えて迎え撃つ。

 一見すると、勢いだけながらスズが押しているように見えなくもないけど、その実、ゾロの堅牢極まる守りを抜くことができないでいるのがよくわかった。

 

 斬っても斬っても前に進めず、逆にゾロの方はじわりじわりと押し込んでくる。

 

「相変わらず……馬力ではとんと勝てる気がせんわい……!」

 

「へっ、お前みてーなちんちくりんに負けてられねえもんでな! 攻め手に欠けるなら、能力でも何でも使って攻めてこい、卑怯でもなんでもねえぞ」

 

「そんなもんはわかっとるが……格上の覇気使い相手に、うかつに面積を増やすのは、逆効果なんじゃよ……あー、やっぱり鍛えておくべきは地力じゃな!」

 

 何回、あるいは何十回か打ち合った後にいったん距離を取り、そこからまた攻めるという繰り返し。……やはりというか、剣士としての力量はゾロが断然上だな。

 加えて、覇気使いとしての力量もだ。ゾロの剣は、スズの能力じゃ……完全には受け流せなくてダメージになってしまう。それを理解しての戦い方だな。

 

 一方、別な方では……サガとレオナが戦ってるが……こっちはスズとは対照的に、完全なインファイトになってる。

 

「だだだだだだだだだだ―――っ!!」

 

「おっと、危ない……まったく、とんだじゃじゃ馬だな……!」

 

「馬じゃない! 猫だ! いや違ったライオンだ!」

 

「いやそういうんじゃなくて」

 

 控えめにツッコミを入れつつ、サガは覇気をまとった剣でレオナの拳の連打をさばき、隙を見て切り込むんだが……ガキン、と硬質な音を立ててその剣はレオナの肌に弾かれる。

 

 2人の武装色の腕前はほぼ互角。しかし、レオナは『ネメアの獅子』の能力のおかげで防御力や耐久力に理不尽なまでのブーストがかかっているため、覇気ありの攻撃でもそうそうダメージにならないのだ。

 

 加えて、レオナは戦闘技能の1つとして『六式』を習得している。言うまでもなく、殴る蹴るの肉弾戦にはなおのこと向いている技能だ。

 『ネメアの獅子』の防御力に『鉄塊』までプラスされ、より一層攻撃が通らなくなってる。

 

 そして、彼女自身が『覇気』を覚えてからはもっとすごいことになった。

 当然のように刃物だろうが鈍器だろうが肌で受け止め、半端な威力なら逆に攻撃してきた方にダメージを返して破壊してしまう。覇気なしでの攻撃はむしろ、攻撃する側の方が危険だ。

 

 レオナの戦い方はいたってシンプルだ。

 頑丈さを武器に相手の攻撃をさばいて防いで、耐えてあるいはかわして、近づいて、殴る。これだけ。

 彼女自身『難しいことや細かいこと考えんの苦手だから』と自認しているので、その一点だけを極めるような鍛え方をした結果……今に至る。

 

 パワーもタフネスもレオナが上。

 スピードは互角。

 テクニックはサガが上。

 

 サガもサガで覇気を上手く使ってレオナの攻撃は的確にさばくものの、有効打になる攻撃が繰り出せないので、半ば千日手になっている。

 

 ……が、全く打つ手がないかと言われればそれも否であり……

 

「……ここだ!」

 

「うおっ!?」

 

 大振りのレオナのパンチを受け流した直後、大上段から振り下ろした一撃がレオナの脳天にガツンと当たって音を立て……ふらっと一瞬だけよろめく。

 真正面からの攻撃はてんで通じない。しかし、脳を揺らすことはできる……脳震盪狙いだ。

 

 しかし、普通の奴なら一発で失神確定の一撃だった――というか刀なので斬れるだろうが――が、レオナのタフネスは頸椎やら何やらにまで及んでいるので、ちょっとくらっとしただけで、一瞬後には体勢を立て直して構えなおしていた。

 それも一応予想はしていたのか、油断せず構えなおすサガ。

 

「やれやれ……戦うたびにタフになるな。そろそろこっちもまた色々考えなきゃいけないか」

 

「いや、気絶はしないけど頭ぐわんぐわんするのは相変わらずなんだぞこういうの……あーもー、脳みそも筋肉とかみたいに鍛えられたらいいのに。そしたら頭突きとかももっと威力上がるし」

 

「いや、人間としてそれはちょっとどうかと思うぞ……」

 

 色々とツッコミどころがある会話を交わしつつも、また再び打ち合い始める2人。

 

(うんうん、皆、強くなったなー)

 

 あの『頂上戦争』から既に1年。

 この『メルヴィユ』でゾロとサガ、それと一緒にレオナ達が修行をし始めてから、それだけの時間が経ったわけだが……皆、目に見えて成長している。

 

 ゾロ、サガ、スズ、レオナ……それにここにいないアリスも、ビューティもブルーメもだけど、全員『覇気』使えるようになったし……それを使った戦闘の経験も積んできている。

 錬度に差はあれど、今の状態でもそれなりに『新世界』を渡っていけるレベルになっただろう。

 

 ……まあ、皆『それなりに』じゃ満足してない面々ばかりなんだけどね。

 だから当初の予定通り、ここから残り1年間もきっちり修行の日々を送っていくことだろう。

 

 ただ、ガッツリ修行漬けのゾロやサガと違って、レオナ達はちょっとずつ『金獅子海賊団』としての仕事もやるようになってきたから……その分、修行に充てる時間は少し減ってきてる。

 けどその分、実戦経験の方を積めてるから、不足分は補えているはず。特に問題らしい問題はないだろう。

 

 そんな感じで考えながら見ていると、どちらももうそろそろ決着のようで……

 

 

「三刀流……“(ウル)・虎狩り”!!」

 

「黒炭二刀流……“暴蛇・碧大将”!!」

 

 

「一刀流……“一閃・破軍”!!」

 

「“獅子・鉄塊砲弾”!!」

 

 

 ゾロの、スズの、サガの、レオナの……それぞれの渾身の一撃がぶつかり合い……10トントラックが集団で玉突き事故でも起こしたのかってくらいの衝撃がまき散らされた。

 

 周囲の森にいた鳥とかが驚いて、ギャアギャア騒ぎながら大挙して逃げてったよ。ごめんねー、うちの子達がびっくりさせて。

 

 

 ☆☆☆

 

 

「だ―――!! また勝てなかった――!」

 

「動くなレオナ、手当できん。気持ちはわかるから大人しくしていろ」

 

 今回の模擬戦は、ゾロとサガの勝ちだった。

 

 『ドロドロの実』の能力で発生させた水流に乗り、その勢いを載せて2刀を振り下ろしたスズだったが、それでもなおゾロが馬力と覇気で勝ってみせた。

 スズを防御もろとも吹っ飛ばし、数十m先の地面に墜落させて決着。

 

 全身に鉄塊をかけて覇気をまとって、自身が巨大な砲弾になって突っ込んできたレオナを、サガは横っ腹に刀をぶち当てるように振りぬいて吹っ飛ばした。

 けどサガもそこまで余裕もなかったようで、手が痺れたのかその後ぶんぶん振ってたな。

 

「まったく……怖いな成長期ってのは。気を抜いたら追い抜かれちまいそうだ」

 

「結構じゃねェか。おかげでこっちも修行に身が入る」

 

 水分補給と汗の始末をしながら、スズがレオナの手当てをしている様子を見ている勝者2人。

 自分達も、刀がきちんと刃こぼれしていない=覇気を使いこなせていることを確認して満足げである。

 

 剣士にとって剣ないし刀は、武器であると同時に自分の命を預ける相棒。原作でも確かミホークが『刃こぼれすら恥と思え』とか言ってたような言ってなかったような……。

 でも内容はもっともだと思うので、そんな感じのことを修行の時に言っておきました。きちんと守れているようで何よりだ。

 

 娘達といい、ゾロ達といい、本当にすごい成長スピードだ……私もうかうかしてらんない。

 ……私があのくらいの強さになるまで、それなりに時間を要したと思うんだけどな……それこそ数年単位で。

 これが才能って奴なんだろうか。ちょっと考えてしまう。

 

 と、その時だった。

 

 

 

 ―――ぷるぷるぷるぷる……ぷるぷるぷるぷる……

 

 

 

 私の懐から、電伝虫の着信音が。

 何だろうと思って取り出してみると……発信元は……アリス?

 

 あの子今日確か、『金獅子海賊団』としての仕事で、ナワバリの1つであるとある島に行ってたと思うんだけど。最近、その島にちょっかい出してくる海賊がいるから、そいつの調査と……場合によってはシメるために。

 

 それに関する報告だろうか、と思って受話器を手に取る。

 

「もしもし?」

 

『もしもしお母さん? ……今どこ?』

 

「今は……ちょうどレオナ達の修行見てあげてたとこだけど。レオナとスズと……あとゾロとサガも一緒」

 

『……ごめん、ちょっと場所変えて。身内限定の話になりそうだから』

 

「……? わかった、ちょい待って」

 

 どうやら、身内以外がいる場所で話したくないっぽいアリス。何だか奥歯にものの引っかかったような声音だったのも気になったので……言う通りにする。

 何やら込み入った話になりそうなので、電伝虫を抱えて空を飛び……周りに誰もいない場所へ。……あのへんの岩場でいいかな。

 

 着地。よっこいしょっと。電伝虫を置いて……

 

「いいよ、アリス。今、私一人」

 

『ありがと。えっと、ボク今日、ナワバリの島の調査というか確認に行ってたじゃない? それでその……ちょっと手に負えない事態が起きまして』

 

「……そんなにやばい海賊が出たの?」

 

 さっきも言った通り、アリスの今回の任務は、ナワバリにちょっかいを出してくる海賊に関する調査と、場合によっては排除だったはず。

 それができないってことは、かなり厄介な……と思ったんだけど。

 

『あ、いや、海賊は問題なかった。もう叩き潰して終わってるから……あーでも、それやったのがボクじゃないというか……ボクが行った時には、もう海賊は壊滅してて……』

 

「? 現地にいる傘下の連中だけで片付いたってこと? それとも、第三勢力でも出てきて抗争に発展して自滅した?」

 

『どっちかと言えば後者かな。ただ、そのよくわからない第三者が……お母さんや、おじーちゃん達に会いたがってるんだよね。その上……ちょっと信じられないものをこの目で見ちゃって……ごめん、上手く説明できない。ボク自身もまだ混乱してるっぽい』

 

「……何があったの、ホントに?」

 

 私やパパに会いたがってるってことは、傘下入りの希望者? でもそれならそうとアリスも報告して来るだろうし……

 三姉妹の中でも随一肝の据わってるアリスをここまで困惑させるって、その『第三者』とやら……一体何者なんだ?

 

『手間取らせちゃってごめんなんだけど、確実にただ事じゃないんだ。というか、できれば電伝虫で話したくない……Dr.インディゴとおばーちゃんの合作で、盗聴防止機能がついてるのは知ってるけどさ、それでも念には念を入れたい。無茶は承知だけど……お願いお母さん、こっち来て、直接コレ見て! 何度も言ってごめん、これボク1人の手に負えない問題だから!』

 

「……わかった、ちょっと待ってなさい。すぐ行くから」

 

そう言って、電伝虫を切る。

 

 ……あのアリスがああまで言うってことは、ホントにただ事じゃないんだろう。

 自分から逮捕されてインペルダウンに進入する時すら、顔色一つ変えずにあっさりやってのけた子だ。

 

 それこそ……既存の常識が全く通用しないような、理解できない『何か』を目にしたとかでもなければ……自分では何もできないから私に助けを求めるなんてことはしないはず。

 特に焦ってる様子はなかったから、危険はないんだろうと思うけど……それでも、気になる。

 

「パパも忙しい身だから、今々すぐに連れ出すのは難しいだろうな……私1人でいくしかないか。……ビューティとブルーメに声かけて連れて行こう」

 

 

 

 そして、数時間後。

 行った先のある島で……私達は、とんでもないものを目にすることになる。

 

 そして、そこでの出会いが……私達『金獅子海賊団』どころか、この世界全体を巻き込みかねない、とある大事件に関わって、繋がっていくことになるのだが……

 

 当然ながら、この時の私達は、まだそれを知る由もなかった。

 

 

 ☆☆☆

 

 

 ―――ガチャ

 

 

「はい、それじゃ……信用できる人を呼んだから、ここに来てくれるまで大人しく待っててね。大丈夫だとは思うけど……くれぐれも妙な真似はしないように」

 

「ええ、わかってるわ。お……アリスさん」

 

「お心遣い、感謝いたします。ち……アリス殿」

 

「……あのさ。さっきから君達、ちょいちょいボクのこと、何か別な呼び方で呼びかけてやめてるよね? ボクの記憶の限りだと、君達初対面だと思うんだけど……何か隠してたりする?」

 

「うん」

 

「認めた!?」

 

「嘘ついても仕方ないもん。ただ……何を隠しているかは、今はまだ話せないわ」

 

「申し訳ない。無理を言っているのは承知ですが……それについても、どうか、は……失礼、『海賊文豪』殿がいらしてからにさせていただければと」

 

「……もー……さすがに怪しいよ君達。まあ、さっきみたいなの見せられたら、とても放っておけないから、言う通りにお母さんに会わせるけどさ……何度も言うけど、お母さんに手を出そうとかしたり、他にも妙なことしたら許さないからね!」

 

「それは大丈夫よ。むしろそんなのがいたら……私達の方が許さないから」

 

「ええ……私達は、そのために来たのですから」

 

「……ん~~……?」

 

 

 

 

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