『NEO海軍』の一件から数日。
後のことを全部海軍に任せ、私自身は船に戻り、そのままメルヴィユに帰還して……そのまま1~2日ほどふて寝させてもらった。
その間、新聞はきちんと読んでたけど……『NEO海軍』の一件は報道されることはなかった。政府お得意の情報操作ないし隠蔽らしい。
まあ、元海軍大将が反旗を翻したなんて事実だけでも刺激的な上に、『エンドポイント』なんていう文字通りの爆弾まで関わってきた案件だもんな。そりゃ表沙汰にするわけにもいかないか。
あと、結局イリス達と、『S-アイビス』が自分で言ってた以外のことはわからないけど、世界政府の新型人間兵器『セラフィム』のこともあるし。あれって多分、今の段階だとまだ機密扱いだから、それが謎の勢力によって戦闘に投入されてたってなったら、色々騒ぎになると思う。
幸いと言っていいのか、あの海域での戦闘に参加したのは、私達と『NEO海軍』の人達だけ。
後から来た海軍達は、くま型のも含めて『セラフィム』は目にしていないので、彼らがそれらを検証する機会はない。
S-アイビスは、ツヴァイちゃんの『モドモドの実』の能力で12年分『戻って』消滅したし……他のくま型の4体は、海軍が来る前に全部回収した。
海に沈んだやつも含めて、だ。イリスがプネーマに銘じて海の底から回収させ、海底を通って別な場所で待ち合わせして、金獅子海賊団の船で回収……って感じでやった。なので心配ない。
こいつらはその日のうちにママに引き渡された。今頃、ママが狂喜乱舞しながら、あれらの中に搭載されている兵器その他を解析しているだろう。
その過程で、『グリーンブラッド』とかいうのについても詳しく解明してくれるといいな。
超人系の悪魔の実も再現できる手段か……そんなものを開発するなんて、さすがはベガパンクだ。……まだ会ったことないから、どんな人なのか知らないけど。
……しかし、こんなもんが存在してるとなると……余計に『SMILE』の中途半端っぷりが際立つな……あの、能力だけじゃなく成功か失敗かすらギャンブルになる『人造悪魔の実』。
未だに思うんだけど、アレよく商品として裏ルートで流通してるよね。1個あたりでも結構な値段みたいだし、ハズレ引いちゃった人から恨まれるんじゃないかとか思うんだけど。
かくいうママも……ママのことだし、『グリーンブラッド』の研究を通してなんかまたやべーもん作り出しそうで怖い感じがするな……。
こういう言い方だとアレだけど、Dr.インディゴも『TABOO』作れたわけだし、あれ以上のやべーのをさ。時間こそかかりそうだけど、それこそ、超人系や自然系の人造悪魔の実とかも作っちゃいそうで……今更だけど、あれらをママに渡してよかったんだろうか……(汗)。
……まあそれは置いといて。
さて、なんかいつの間にか脱線しちゃってたけど、戦利品のことは置いといて……事件の顛末についても触れておこうか。
さっきも言った通り、今回の事件は公にはなっていない。
局所的すぎたからだろうな……あのモルガンズですら察知することができていないみたいで、世界経済新聞にも何も載っていなかった。……私も知らせてないし。
これに関しては……私からも、いくら相手がモルガンズでも教えるつもりはない。……ゼファーさんの最期を、面白おかしく書いてもらいたくないし。
あの後のことは、船の上で言った通り、海軍の人らに任せたけど……その後どうなったかについては、クザン元帥にこっそり教えてもらった。
教えてもらったって言っても、簡単にだけどね……それだけで十分だったし。
あの後、ゼファーさん達が行きついたのは……まさかの『パンクハザード』。
原作にも出てきた、あの島『暑さ寒さが半々の島』である。
もっとも、この世界線では、赤犬と青キジの決闘が起こっていないので、そんな感じにはなってないそうなんだけど……そこに行きついたゼファーさんと、追いかけて来たクザン元帥達が戦いを繰り広げた。
そしてそこで、ゼファーさんは討ち取られた、らしい。
ただ、その後に関しては……海軍の有志の手によって、丁重に葬られた、とのこと。
ゼファーさんはまだ指名手配もされてなかったし、犯罪者として扱われはしたものの、そこまで広く、大きく知られたわけではない。
それもあって、あまりうるさくは言われなかったんだって。
そして、その際に作られたお墓の場所を教えてもらえたので……今度お墓参りに行きます。
それから……『NEO海軍』のその後について。
あの海戦の場にいた『NEO海軍』の構成員のほとんどは、やってきた海軍の人達に確保されちゃったんだけど……一部は、凍結を免れた船で逃げ出したんだって。
それと……それらとは別に、私達が手を貸してその場から逃がした人達が一部いる。
ゼファーさんにね、最後にって頼まれちゃったからね……。
助けたのは3人。
幹部2人……アインとビンズ。そして……ツヴァイちゃんである。
海軍の人達が来る前に回収して……そのままさっさとトンズラしました。
ゼファーさん曰く、これからの時代を生きて、見定めて、見届けていってほしい……だそうだ。
ゼファーさんの思い通りにはいかなかったわけだけど……それでも、最後の最後にゼファーさんが、もう少しだけ信じてみようと思った世界を。
その世界を生きていくものとして……ゼファーさんの野望を阻止した者の1人として、きちんと気合入れなきゃいけないな……なんて思った。
この3人については……頃合いを見計らってこっそり解放するつもりだ。
お墓参りには一応一緒に行って……その後かな。それまでは、悪いけど、ナワバリにある島の1つで軟禁させてもらっています。
一応、3人とも大人しくしてくれてる。……きちんと行儀よく待っていて、ゼファーさんにお別れしたいと思ってる……のかな?
なお、アインを戦利品としてお持ち帰りする気満々だったアリスを説得するのが大変だった。
解放する代わりに、後で『埋め合わせ』することになっちゃったけど……何要求されるのか地味に怖いです(汗)。
そして、今回の騒動で一番大きな問題……いや、問題ってのも違うか。
とにかく、特に大きな出来事というか、出会いというか……だったのが、この2人である。
スノウとイリスの双子の姉妹。未来の世界からやってきた……私とアリスの娘。
今回、NEO海軍を止めたことで、彼女達が生まれて育った『絶望の未来』は回避できたし、また別な未来から、ターミネーター的に刺客として送り込まれたらしい『S-アイビス』も仕留めたから……今回の、色んな未来がごちゃごちゃになった一連の騒動は、終結したと見ていいと思う。
そして、彼女達がこの時代に来たのは、『グランリブート』を阻止し、世界が滅びないようにするのが最大の目的だったわけだが……見事それも達成されたわけだ。
しかし、以前ちらっと言ったように……彼女達2人は、もう、未来に帰ることはできない。
未来で2人を送ってくれた人……『光月日和』とかいう人の『トキトキの実』とやらの能力は、あくまで一方通行。タイムマシンで来ていた未来トランクスと違って、戻る方法は用意されていないのだ。
そしてもちろん、この時代に来て、世界を守るために様々な意味で尽力してくれた2人を、『願いが叶ってよかったね、それじゃ!』なんて放り出すことはしません。
「というわけで……改めてよろしくね、スノウ、イリス! 『二代目金獅子海賊団』は、あなた達2人を歓迎します!」
「はいっ! これからよろしくお願いします……母上!」
「こちらこそ……一生懸命バンバン働くからよろしくね! お母さん!」
はい、こうなりました。
2人ともきちんと、うちの新入りとして迎え入れることになったよ。
もちろん、下っ端的な意味での『新入り』じゃないけどね。
立場……というか、身の上が特殊すぎるわけだから、悪いけど特別扱いさせてもらって……私の直属の部下、って形にした。スズ達『三姉妹』と似たような感じの立場にさせてもらったわけだ。さすがに年季が違うから、階級的なものはまた違うけどね。
これで、指揮系統も含めて特殊な立ち位置になったから、他者からの指示や余計なしがらみなんかもなく、安心して暮らせるはず。
基本的に私の直属は、私以外の指示に従うことはないからね。私のお膝元で、何も気にせずゆっくり暮らしてね。まあ、さすがに多少なり仕事はしてもらうけど。
あとこの2人の場合、使う能力が最大の問題だからね……。
未来の世界で食べた『グラグラの実』と『ソルソルの実』の能力……それから、スノウの武器である青龍偃月刀に食わせてある『ウオウオの実 モデル:青龍』は、この時代に能力者が健在な能力だ。しかも全部『四皇』の能力。
見られると厄介どころじゃない。仮に、『人造悪魔の実』によるものだと思われてもだ。注目されてしまうこと間違いなし。
幸い、彼女達は能力なしでもある程度強いし、カモフラージュもある程度可能なので……そのへんに注意しつつ頑張ってもらうことになるだろう。
それでも、いつまでも隠し続けることは難しいだろうから、いつかは……適当な理由ないし理屈を用意して、表舞台に出れるようにしてあげないとだな……考えておこう。
☆☆☆
そんなこんなで、新しくスノウとイリスが仲間に加わったわけだが……思えば、金獅子海賊団が『二代目』になってから、もう1年近く経つんだな……。
この1年で、うちの海賊団は、随分と成長した。
海賊団そのものはもちろんとして……それだけじゃなく、私の周囲の……『直属』とか、それに類する立場の人達が特に増えた。
スノウ達みたいに、ちょっと訳アリというか……理由があってそばに置いておきたい、特別扱いしたい子って、結構いるんだよね。その『理由』は、ケースバイケースで様々だけど。
具体例を言えば、戦闘能力は低いけど、個人的にお気に入りだし、『作家』と『絵師』としてビジネスパートナーでもあるからそばに置いて身分を保証してるマリアンヌとか。
今までは、そういう立場の人もそんなにいるわけじゃなかったし、都度受け入れて状況を整理して……って感じで大丈夫だったけど……こんな風にだんだんその立場の人が増えてくると、行き当たりばったり+適当配置じゃ無理が出始める。
近いうちに、そのあたりの人事をきちんと考え直して再設定する必要があるだろうな。
元々、急激に大きくなった海賊団そのものを、より効率的に管理・運用していくために、そのへんの再構築をしよう……っていうのは、パパが以前から言っていたことだ。
いい機会だし、それに乗じて私も、身の回りの『特別扱い枠』の子達の立ち位置をあらためて整理するとしよう。
いや、それなら……けっこう人数もいるし、いっそのこと専用の建物やら何やらを新規に用意するつもりでかかるのが一番いいかもね。
うん。これも合わせてパパに相談しよう。
パパが今進めている『策』の邪魔にならない形で進める必要もあるし、ね。
(やれやれ、大仕事は終わったけど……まだしばらく、色々忙しそうだなあ)