大文豪に私はなる!   作:破戒僧

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第257話 プレゼント大作戦(後編)

 

 

 『ホーミーズ』

 『ソルソルの実』の能力によって作られる存在で、人間の寿命……『(ソール)』を入れることによって生み出される不思議な生物。

 

 今現在、この海には、それを生み出すことができる存在が2人いる。

 

 1人は、四皇『ビッグ・マム』こと、大海賊シャーロット・リンリン。

 彼女が支配する『万国(トットランド)』では、さながら税金のように、住民たちから『寿命』の徴収が行われており、そこに住む者達は、6か月ごとに1か月分の寿命を差し出している。それを国中にばらまいて大量のホーミーズを作り出すことで、強固な支配や防衛網に利用している。

 

 もう1人は、金獅子海賊団幹部にして提督スゥの娘、イリス。

 表立って明らかになってはいないが……『ビッグ・マム』が死んだ後の未来からやってきたために、次代としてその能力を所持している。

 

 そしてそのイリスから、同じ『娘』である者達に対してなされた提案が……専用の『ホーミーズ』を作ってスゥに誕生日のプレゼントとして送る、というもの。

 

 それを聞いてふと思いついたアリスが、『そういえば確か……』と尋ねる。

 

「前に聞いたと思うんだけど、イリスが『ホーミーズ』を作る時って、人間の寿命を入れなきゃいけないんでしょ? たしかそれって……主に敵船から奪った奴とか、イリスが未来から持ちこんだやつを使ってるんだったよね?」

 

「そうよ。そういえば前に、レオナ伯母さまから血相変えて『イリスの寿命使ってんの !?』って聞かれて心配されたことあったわね」

 

 苦笑しながら言うイリス。

 このメルヴィユに来てから、『万国』のようにあちこちに大量にとは言わないまでも、かなりの数のホーミーズをあちこちに作り出しているイリスは……そのもとになる『魂』をどうやって調達しているのかと、レオナが気にして、というか心配して聞いたことがあった。

 

 まさかとは思うが、自分の寿命を分け与えているのではと心配したレオナが聞いてきたのだが、もちろんそんなことはしていないので安心してくれていい、と落ち着かせながらどうにか説明したのをイリスは思い出していた。

 

 ではどうやって『魂』を調達しているのかというと、先ほど言った通り、敵船の者達から奪って――その際には口封じのためにきちんと全滅させて――集めるのに加え、未来から『持ち込んだ』ものを使っていた。

 

 この時代に来る前、もう人類が生きていられる時間は長くないという事実に直面していた未来の世界で……イリスとスノウが送り出される直前、有志達が集まって、自分の『寿命』をわけてくれていたのだ。

『もう1年かそこらで世界が皆死んじまうなら、それ以上寿命なんて持ってても仕方ねえ。持って行って有効活用してくれ』と。

 

 そうして未来から持ち込まれた『魂』を元に……今この時代で、イフィジャールやプネーマ、ペリリやえんらえんらといった、美少女擬人化ホーミーズ達が生まれたのである。

 そして、使った『魂』が未来の皆から託されたものであるからこそ、イリスはビッグ・マムのように、ホーミーズを使い捨ての兵隊のように扱うことは決してしないと決めていた。皆、友達であり、仲間であり、家族である。そんな風に接していたし、なんならいちいち『ホーミーズである』なんて意識すらしていない始末だ。

 

 なお、敵の魂を使って作ったホーミーズについては、こちらもぞんざいに扱う気はなかったが……さすがに前述の者達と同様とまではいかないようで。

 詳しくは、またの機会に。

 

 そして、今回イリスが用意しようとしている『スゥ専用ホーミーズ』も……その『託された魂』を使って作るつもりだという。

 

「ああ、じゃあ……『ホーミーズ作るからあたし達の魂分けて』とかいうわけじゃないのな。なんだ、びっくりした……」

 

「あははは、違う違う、そういうんじゃないって……でもまあ、ある意味当たってもいるんだけどね……」

 

「? どういうこと?」

 

「今回使うつもりの『(ソール)』は……未来の世界で、お母さんとお父さん、そしてスズ伯母様から託されたものなの」

 

「「「!」」」

 

 言いながら取り出したのは、淡く光る3つの球体。

 バレーボールくらいの大きさがあるそれは、長さにして数年分の寿命。それらは、未来のアリスとスズが、そしてスゥが託してくれたものだという。

 

 別の世界線、時間軸とはいえ、自分達やその母の命がそこにあるのだと聞いて、何とも言えない気分になるスズ達。

 

「3人とも、『過去の世界に行ったら、自分達が幸せになるために使っちゃっていいよ』って渡してくれたわ。でもそれなら……なおさら私達、コレらを、お母さんのために使いたいの」

 

「というか、そう言われたからこそ、こう使おうとしているのですが。母上の幸せは、我らの幸せも同じ。屁理屈かもしれませんが……まぎれもない本心です。それに母上なら……手にした力も、自分も含めて我ら皆が幸せになるために使うでしょうし」

 

「あー、うん、それめっちゃ納得できるわ……いつもそうだもんな母ちゃん」

 

「うむ、何だかんだでわしら5人や……じい様やばあ様、その他の仲間達のこともきちんと考えてくれるしの」

 

「それならボクらが、お母さんの幸せのために動くのも全然不思議でもなんでもないね、うん」

 

 そう、全員が納得ないし意見が一致したところで、あらためて話し合いにシフトする。

 この5人で話し合って決めたいことを、イリスが簡潔に述べた。

 

「単純な話で、この3つを使って『何のホーミーズ』を作ればいいかを一緒に考えてほしいの。私とスノウだけじゃ、これってものが決まらなくて……」

 

「……なるほど、確かに重要な課題じゃの」

 

 一度『魂』を入れてホーミーズを作ってしまうと、やり直しは利かない。

 これを作ってダメだったから、魂を取り出して、次はこっちに入れてみよう……ということはできない。そういう能力だ。

 

 ゆえに、替えの利かない魂を使うなら、きちんと入れる対象を吟味する必要がある。

 そのためにここで、自分達以上に『今の』母との付き合いが長いスズ達を頼ったわけだ。

 

 そう言われ、さすがに3人とも、しばし腕を組んで真剣に考える。

 そのまま1分少々。

 

 最初に沈黙を破ったのは、アリス。

 

「大前提として……専用としてなら、作るのは、お母さんの役に立てるホーミーズだよね? その上でだけど……戦闘用じゃない方がいいと思う」

 

「? そのこころは?」

 

「戦闘用に限った話じゃないけど、半端な程度の実力しかない奴なら、かえってお母さんの邪魔になる。実際、不定形かつ『能力者じゃない』がゆえの不死性を抜きにすれば……イフィジャールやプネーマより、お母さんの方が圧倒的に強いし。なんだったら、戦い方さえちゃんと選べば、ボクやスズ、レオナでも普通に勝てる」

 

「なるほど、確かに」

 

「そのほかの分野でも……お母さんってかなり多芸だから、半端なことしかできない奴なら、そばに置くよりも自分でやっちゃうでしょ? 最近じゃ、『代理雛』のマルチタスク式複数コントロールで、ただでさえ自分1人で何人分も仕事こなせるようになっちゃったし。だからそれも加味した上で、確実にお母さんの『力になれる』ホーミーズを作るべきだと思う」

 

「つまり……何かしら、母上1人ではどうにもならない分野ないし事柄を見つけて、それをカバーできるようなものを、ということか……中々難しい問題じゃな」

 

「そうだな……母ちゃんが関わってるけど母ちゃんが苦手なもの、母ちゃんがやりたいけど母ちゃんにはできないもの……ってことだもんな、つまり」

 

「言葉にして言ってみると、まるでとんちみたいね」

 

「……いきなり答えを出そうとしても難しそうですね。順序だてて考えましょう」

 

 

 

 しばし、顔を突き合わせて……スノウの言う通り『順序だてて』考える5人。

 

 スゥに送るものとしての最低条件は、スゥが必要としているもの……ないし、必要とする能力を持っていること。これは、『能力』とは言いつつ、技術でも知識でも何でもいい。

 またできれば、刹那的なものではなく、長く役に立てるものがいい。

 

 スゥが求めるものとは何か。スゥが何を必要としているか。

 それを考えるには、スゥの『立場』から逆算するという手がある。

 

 スゥの立場とは何か。

 “海賊文豪”の名で知られる作家。

 二代目金獅子海賊団提督。

 王下七武海。

 自分達の母。金獅子のシキの娘。

 “冥王”レイリーの弟子。

 “海賊女帝”ボア・ハンコックの親友。

 “黄金帝”テゾーロの友人(恩人)。

 その他色々。

 

『〇〇の恩人』という立場は、それを使って何かをするようなものではないので除外。

 テゾーロに限らず、ソゥはちょいちょい色々と助けているので、恩人云々は対象者が多すぎるというのもある。

『ハンコックの親友』……これも同様。だからといってどうこうない。

『レイリーの弟子』については、公にする気はないので除外。

 家族関係については、今更特別視して何かするものでもないし……その関係で何か自分達にできることがあるとすれば、誕生日のプレゼント云々ではなく普通に進んでやりたいので考えない。

 

 そうなると残ったのは、『海賊文豪』『金獅子海賊団提督』『王下七武海』の3つ。

 この3つの立場において何が必要か。何があれば、今のスゥの……自分達の母親の助けになるだろうか。

 

 

 

「『金獅子海賊団提督』っていうと……色々仕事あって『忙しー』って大変そうにしてるよな? 書類とか。そのへんの助けになる奴にする?」

 

「いや、それは確かにそう言ってるけど、今で十分余裕持って対応できてるし要らないと思う。特に最近はほら、さっき言った通り『代理雛』のマルチタスクで超スピードアップして終わらせてるから、そこに補助はいらないんじゃないかな」

 

「そもそも、母上の海賊団の頭目としての仕事は名誉職みたいなもんで、実質のところ舵取りしとるのはじい様じゃしの。母上自身そこまでやる気出してやっとるわけでもないから……回ってくる書類も最低限だと聞いた」

 

「じゃあ、『提督』としての書類仕事の手伝いはいらないってことか……」

 

「でしたら……『側近』ないし『護衛』はどうでしょう?」

 

「え? いや、それはさっきアリスの話でいらないってなったじゃん。中途半端な力じゃ逆に邪魔になるだけだから、って」

 

「ええ、ですから……中途半端ではなく、ガチで強力なのを用意すればいいかと。それに、一組織の頭目として、部下を控えさせておくのは自然です。母上を『守る』というのもそうですが……母上ご自身が相手をするまでもない雑魚を、母上に代わってさっさと片付ける役目とか」

 

「ああ、それはあるね……いわゆる露払い役か」

 

「母上の側近となると、ビューティとブルーメじゃが、どちらもどっちかというと後方支援担当というか、拠点で色々助ける担当じゃしの。矢面に立つタイプではないな……」

 

「つまりその、今ちょうどいない『露払い担当』にするってことか……でも、どうやって? 何に『魂』入れたらそんなヤバいレベルになる? ……ちょっと思いつかないんだけど」

 

「一応、考えはあります。……ソゥおばあ様を巻き込めば、あるいは」

 

「「「!?」」」

 

「いや、それは……確かに強くはなると思うけど……」

 

「別の問題が発生する気が……楽してほしいがために贈るプレゼントで、より心労が加速するようなことにならんかの……?」

 

「あと確実におじーちゃんとかDr.インディゴとか、一部古参幹部に流れ弾行くよそれ……」

 

 

 

「『王下七武海』に求められるものといえば……やっぱり『武力』だよね。次点で『知名度』」

 

「……どっちもこれ以上、というか外付けで何かするようなもんは要らんじゃろ。『武力』方面は、さっき『提督』としてのそれで考えたし」

 

「そもそも母ちゃん、『七武海』やってる理由って、今まで行けなかったところに取材に行けるからと、じいちゃんにやれって言われたからだよな……元々その地位に思い入れってないから、その役に立つようなもの贈っても嬉しくないんじゃね?」

 

「自分の『海賊文豪』としての知名度を、そういう、政治方面の思惑に使われるの大嫌いだしね……ぶっちゃけ、この『七武海』って立場、今後何かしら発展する見込みもなくない? むしろいつか頃合いを見てぶん投げるだろうし」

 

「……一旦保留にしますか」

 

 

 

「で、大本命の『海賊文豪』だけど……まず大前提として、文豪としての『能力』とか『才能』に関してボクらにできることはありません。当たり前だね」

 

「うむ、そうじゃな。あったとしても母上のことじゃ、欲しがらんじゃろ……そもそも、母上にとっての『作家』という立場は、純粋に趣味の延長上じゃからな。プロ意識こそあれ、それを『仕事』として考える気はあんまりない」

 

「その上で母ちゃんの役に立つもの、か……これも難しい……いや、そうでもないな。母ちゃん、結構いつもアレが欲しいこれが欲しいって言ってるし。割とすぐ思い浮かぶかも」

 

「例えば?」

 

「いっつもほしいって言ってるのは『時間』だけど……これはさすがにどうにもならないとして……やっぱ『資料』じゃないかな? 色々な小説書く時に、必要な文献とか色々取り寄せたりしてるし、取材に行った時とかは、関係する本めっちゃ買いあさるし」

 

「その『資料』の代わりになる、となると……資料がいちいち不要になるくらいに博識で、知りたいことを何でも教えてくれるようなホーミーズ? ……いや、そんな百科事典みたいな……いや、百科事典でも無理な感じの知識量を持ったホーミーズは無理じゃない……?」

 

「知っとる必要はなかろう。そもそも母上は、その資料を読むのも含めて楽しんどる感じあるし……口頭で全てに答えるような相談役である必要はない。それよりも……逐一必要な資料を探して、というのが手間のようじゃったから……母上が欲しい時に欲しいものをサッと出すような、そう……図書館の司書みたいなホーミーズならどうじゃ?」

 

「あ、それならできるかも! そっち方面に特化させて、資料の場所を記憶するくらいなら全然……ううん、いっそそれなら『保管場所』も兼ねない?」

 

「……どういう意味?」

 

「お母さんって、能力でいつもたくさん資料を体内に収納して持ち歩いてるでしょ? いざって時にさっと参照できるように。でもそれも所詮は、お母さんが資料として買って保管してる本のうち、使用頻度が高いごくごく一部だけだと思うの。そうじゃない資料をみたくなったら、保管場所であるメルヴィユの書庫に戻らなきゃいけない」

 

「それは仕方な……! つまり、その残りの膨大な蔵書を保管してしまいつつ、必要な時に取り出して提供できるようなホーミーズにしてしまえと?」

 

「そうそう。例えば、本棚……ううん、いっそ書庫丸ごとホーミーズにしちゃうとかさ。やったことないけど多分いけそうな気がする!」

 

「それが可能なら、疑似的に母上の収納能力を、本限定で再現してしまえるのぉ……とんでもないのが生まれそうじゃ」

 

 

 

「それとさ、母ちゃんが『作家として』大事にしてることって言ったら……今の話の中にも出てきたけど、やっぱ『取材』だろ? その時の移動手段になるホーミーズとかどうかな?」

 

「移動手段なら母上自前で持っとるじゃろ。単独で空飛べるし、船ごと飛ばしたりもできるし」

 

「それはそうだけど……どっちもその分母ちゃんの体力使うじゃん。それも全然気にならない程度には母ちゃん体力あるけど、いちいちそういうのにエネルギー使わなくていいならそれに越したことはなくない? そもそも海賊の移動って、大体部下に操船とか任せて、船長とか幹部はどっしりのんびり構えてるもんだし。母ちゃんの場合、一人旅とか、あたし達と一緒に旅してた時のイメージがあるから違和感ないけど、一応ほら、海賊団のトップで『七武海』だしさ」

 

「……言われてみればそうだね。立場に反してめっちゃアクティブだった」

 

「となると、乗り物のホーミーズでしょうか? それか、乗り物の『役割』をこなせるホーミーズ……」

 

「ホーミーズだから海上や海中でも問題なく活動できるけど……できれば空飛べた方がいいよね。天候に左右されない機動力として考えるなら」

 

「……あと、これも半端な機動力だと……体力消費しなくて済むだけで足が遅いとかだと、やっぱ母ちゃん自力で飛んじゃいそうだから、それなりに機動力はちゃんとありつつ、できれば他にも何か強みがあるといいかも」

 

「……なんか人事担当が採用基準で悩んでるみたいになってきとらんか、わしら?」

 

「あ、ボクもそれちょっと思った」

 

 

 

「あとゴメン、『立場』は関係なくなっちゃうんだけど……お母さんの役に立てるものって聞いて。1つ考えついたものあるんだよね」

 

「何じゃ、アリス?」

 

「お母さん、『紙人間』だから……火とか熱に弱いじゃん? 色々対策してはいるし、いざとなれば『七星剣』の翡翠の炎で耐性獲得できるけど……」

 

「あー、アレも確か『覇気』食うんだよな。つまり気力や体力の消耗につながると。頂上戦争では、赤犬と戦ってる時にやむを得ずアレ使ってたけど……」

 

「それを、体力の消費なしでカバーできるもの、ってのもアリじゃない? 単なる道具ならともかく、『ホーミーズ』なら割と色々自由というか融通利くから、いいの作れそう」

 

「いいわねそれ! やろやろ! あ、じゃあさっきいいの思い浮かばなかった『王下七武海』はボッシュートで」

 

「「「異議なし」」」

 

 

 

 その後も色々と考えた末に、彼女達が出した結論は……

 

 

 

 ☆☆☆

 

 

 

 えーと、ですね……

 

 誕生日を祝ってくれたことは、素直に嬉しい。

 

 この年になると、誕生日って言われても『また一年分年を取ったか』ってくらいにしか感じなくなっちゃったけど……娘達5人からのサプライズパーティーとかプレゼントとなれば、それはもうちょっとうるっと来ちゃうくらいには嬉しい。

 各々が選んで用意してくれたプレゼントも、めっちゃ感動&感謝しつつ、ありがたく受け取らせてもらった。

 

 ……まさか、位列持ちの名刀が何本も……しかも『最上大業物』なんてやばいのが出てくるとは思わなかったけど……うちのナワバリにそんなすごい刀工さんいたのか。

 しかも私のファンときた。献上されたっていう4本とも、私の作品にちなんでるもんなあ……。

 

 いやまあ、それをささげてくれたって事実も含めて……繰り返しになるけど、本当に嬉しいよ。

 

 

 

 ……それはそれとして……さっきからちょっと、いやちょっとどころじゃなく気になってることがあるんだけど、そろそろ聞いていいかな?

 

「うん、まあ、何が気になってるのかとか、何が聞きたいのかとか、ぶっちゃけ予想つくけど……どうぞ?」

 

「うん。ありがとアリス。じゃあ遠慮なく。……あのさあ―――」

 

 

 

「―――私の『娘』って、あんたたち()()だよね? ()()じゃなく」

 

 

 

「うん、そうだね。スズ、レオナ、ボク、スノウ、イリスの5人だね」

 

「そうだよね、うん……じゃあさ……そっちにいる4人は、誰?」

 

 私の視線の先には……今回のサプライズを企画・実行してくれた娘達5人の他に……見覚えのない女の子が4人、お行儀よくちょこんと座っていた。

 

(……いや、違うな……見覚えなくはないんだよ。毎朝、顔洗う時とかに鏡の前で見てる顔だから……)

 

 ……こんな感じのこと。前にも思ったことある気がするんですが。

 具体的には、『NEO海軍』の一件の時に、未来から来た褐色白髪炎上系ター〇ネーターを初めて見た時にさ。

 

 もう結論から言っちゃおう。そこに座っている4人だが……全員、私と同じ顔だ。

 ただし、『セラフィム』同様、『いつの私』という点では違うのと……あと他にもいくつか細々とした違いがあるっぽいけど。

 

 1人目。

 年齢的には……たぶん、20歳ちょい前くらいの頃の私。冤罪で賞金首にされちゃった頃だな。

 

 敏腕OLを思わせるピシッとしたビジネススーツを着て、その上からマントみたいな外套?を肩から羽織るように着ている。

 ……真面目そうなきりっとした表情で座って待機しているけど……心なしか、緊張してるようにも見える、かも。

 

 それからもう1つ特徴。私本人との違いとして……髪の毛が違う。髪型と髪色が。

 私の髪は、ふわっと軽くウェーブがかかってるみたいな、ボリュームあるロングヘアで、髪色はママゆずりのプラチナブロンドだ。

 それに対して彼女のは、ウェーブのかかっていないストレート。色は明るい茶髪である。

 

 次、2人目……と、3人目。

 どちらも十代中盤……15歳ぐらいの頃の私だな。

 

 こちらはがらっと変わって、平安時代とかの貴人を思わせる、雅な感じの和装を身に纏っていて……穏やかで落ち着いた感じの上品な笑みを浮かべてこちらに微笑んでいる。

 2人とも顔も同じだし、服装は色違いだけどデザインは同じだから……双子もしくは2Pカラーとかに見えるな。

 

 2人の違い、および私本人との違いは、やはり髪色と髪型。あとついでに、今言った通り服の色も違う。

 片方は、翡翠を思わせる明るい緑色の髪に、服はそれに合うような緑系と白系をベースにした、気品とか清潔感を感じさせるカラーリング。

 もう片方は、黒檀のような艶のある黒髪に、服は黒と赤をベースにしたカラーリング。こちらは見た目的にややインパクトがあるというか、主張が強い色?な感じがする。

 

 で、最後に4人目なんだが……4人の中では一番若い……いや、若いを通り越して幼い。たぶん……10歳くらいか?

 九蛇海賊団のナワバリの町でお世話になってた頃の……ホントにまだ子供で、ろくに戦えもしなかった頃の私の姿だ。……20年以上前だなもう。

 

 表情は……なんというか、あんまり感情が読み取れない、無表情。思わず使ってしまった『見聞色』でも、特に感情の動きが読み取れなかった。まるで何も考えてないみたいに。

 服装は、飾り気のないワンピースタイプの服だけど……つくり自体は上等なもののようだ。その上から軽く、子供用のコートを羽織ってる。

 

 そして問題はカラーリングなんだが……一言でいうと、『セラフィム』そのものだった。

 髪だけじゃなく、体もね。白髪に褐色肌でさ。

 

 ただ、『セラフィム』の……というか、『ルナーリア族』の最大の特徴である、黒い翼と背中の炎は見当たらない。

 なので、ただ単に褐色で白髪の女の子……に見えなくもない、かも。

 

 とまあ、年齢別の過去の私をコピペしてきて色を変えた感じの面子が4人そろってるわけなんだが……どういうことなのか説明しなさい。

 

 

 

 え、プレゼント? ……この子達が? 私への?

 いや、さすがに人間プレゼントとしてもらうのは……奴隷じゃないんだから……

 

 ……ホーミーズ!? 全員!? マジで!?

 

 ていうか、あ、やっぱり最後の子はそういう……ママも絡んでたの……。

 

 ん? イレギュラー? あんた達にとっても想定外な『四人目』……へえ……。

 ……えぇ~……そういう感じで2人に……っていうか『双子』に?

 ああ、なるほど……言われてみれば見覚えあるわ。座禅しながら、精神の世界っぽい謎空間で見たことある。……あの時とは顔とか諸々違うけど、雰囲気は……確かに一緒だな。

 

 ? ああ、うん、ちゃんと名前あるのね? ごめんごめん、ありがと。

 どれどれ……

 

 18歳くらいの頃の、茶髪の私が……『ユゥ』。

 15歳くらいの双子の私のうち、緑色の方が『ナナ』。

 同じく双子の私の、黒髪の方が『サーヤ』。

 10歳くらいでちっちゃい、セラフィムカラーの私が『ルゥ』。

 

 ……なるほど、ありがとう。覚えた。

 ……覚えた、けど……

 

 

 

 …………いやこれ、私……どうすればいいの?

 

 

 

 ☆☆☆

 

 

 

 

 

 そして―――

 

 

 

 

 

 時は流れ―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ―――“2年後”。

 

 

 

 




これにて『3D2Y編』『シン・トットムジカ編』は終了となります。

このあともう少しお時間を頂戴しまして、いよいよ『2年後編』に入りたいと思います。

プロットはどうにか書きあがったんですが、何分当初は予定してなかった範囲の話になりますので……矛盾とか変なところがないか恐々としつつ進めております。
……何かあったら優しく指摘してください(切実)

そんなわけで、また連載が再開しましたらどうかその時はよろしくお願いします。

破戒僧でした。
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