どこでもらったんだろ……この前の土日に駆り出された職場のイベントかな……?
それとも先週東京まで遠征して、舞台版『ボボボーボ・ボーボボ』見に行ってきた時かな……
ともあれ、更新です。どうぞ。
『2年間』を終えて再集結・完全復活した『麦わらの一味』。
コーティングを施され、潜水可能となったサニー号に乗って、一路、海底の楽園『魚人島』を目指していたわけだが……その道中のこと。
「え、じゃあゾロ……あんたスゥのところで修行してたの?」
「ああ。飛ばされたのは別な場所だったんだが、その後にな……この間まで世話になってた」
ルフィ達は、この2年間、お互いにどう過ごしていたかを簡単に報告し合っていた。
ルフィは、『女ヶ島』の近くにあるルスカイナ島で、『冥王』レイリーと共に、巨大で狂暴な猛獣達を相手にサバイバルしながらの修行。
ナミは、さまよう空島『ウェザリア』で、様々な気候や気象、それに関する技術の勉強。
ウソップは『ボーイン諸島』でサバイバルしつつ、様々な特殊な植物に関する勉強と修行。
サンジは、『カマバッカ王国』にて、オカマ王イワンコフやその弟子たち、そしてアラバスタ以来の再会となったボンちゃんらと共に、『レシピ』と『男』をかけた死闘の日々。
チョッパーは『トリノ王国』にて、高度な薬学技術の勉強。
ロビンは、ルフィの父であるモンキー・D・ドラゴン率いる『革命軍』で見聞を広めつつ修行。
フランキーは、『未来国バルジモア』にて、Dr.ベガパンクが残した様々な発明から学びながら、己の肉体のさらなる改造と強化。
ブルックは、『新世界』の海に浮かぶエンターテイメントの殿堂『グラン・テゾーロ』にて、人の心を動かし震わせる『ソウルミュージック』の追求。
そしてゾロは……今や『王下七武海』の一員となった“海賊文豪”スゥの元で、サバイバル……のようなそうでもないような環境で、スゥやその娘達との修行。
そのゾロが、出発直前に持たされていたスーツケースを持ち出し、『そういやこれ土産だってよ』と甲板で広げているのが、今。
「土産? なんだ、食い物あるか、ゾロ?」
「あるにはあるが……肉はなさそうだな。まあ、日持ちしねえから入れなかったんだろ」
そう聞いたとたんに『なんだ』と露骨にがっかりするルフィ。
入っていたのは、傷つかないよう丁寧に包装された野菜や果物、加工品のジュースや漬物、米、それに酒などだった。残念ながら肉はないようだ。
準備したスゥ曰く、『なんか一人暮らししてる子供に送る食糧系の仕送りみたいなラインナップになったわ。そんなの居たことないけど』とのこと。
もちろん食料だけでなく、他にも色々と入っていた。
「おいおいおいすげーなゾロお前、これ全部もらって来たのかよ!?」
興奮気味なウソップが手に取っているのは、何種類もの『
それも、ウソップが見たところ……どれもこれも『スカイピア』で手に入れたものとは違う、見たことも聞いたこともないような希少種ばかり。中には、『金獅子海賊団』の技術部門が品種改良して誕生した新種も混じっていた。
技術者としての一面も持っているウソップからすれば、まさしく宝の山だ。
さらにその後ろでは、同じく技術者であり、『船大工』であるフランキーもそれを覗き込みながら『ほぉ……』と感心したような表情になっている。
「おいゾロ、コレ俺らでホントにもらっていいのか?」
「好きなようにすりゃいいだろ。俺は別に使い道もねえし、持ってても仕方ねえ。フランキーやナミと話し合って分けるなり何なりしろ」
そう聞いて大喜びで一つ一つ手に取っていくウソップとフランキー。
彼らの頭の中では、もうすでに使い道の検討が始まっていることだろう。
一方、また違った『土産』に注目する者も。
「これは……本かしら? どれも、“海賊文豪”の著作のようだけど」
「ああ、それもな……せっかくだから持ってけって持たされた。俺が読まねえような奴ばっかりだから、欲しいのがありゃ好きに持ってってくれ。……そういや、スゥが『ロビンに感想聞きたい』って言ってた奴もあったな。どれだか知らねえけど」
「あら、じゃあお言葉に甘えて……もらっちゃおうかしら」
「面白そうな本ばっかり……ねえゾロ、私もいい?」
「おれも! おれも!」
ロビンに続き、ナミやチョッパーも『はい! はい!』と挙手して本を手に取っていく。
空島でもそういう一面はあったが、知識人・文化人枠に区分される者達にとっては、こっちはこっちで宝の山のようだ。
かと思えば、
『俺達を!! 誰だと思っていやがる!!』
「「「うおぉぉぉおおぉおぉぉっ!! すげえぇぇえええ!!」」」
少年のように目をキラキラと輝かせて……『貝』から投影される、『天元突破グレンラガン』のアニメムービーに見入るルフィ、ウソップ、チョッパー、フランキー。
ウソップが先ほど狂喜乱舞した、素材としての『貝』とは別に入れられていたもの。
本来は大きな劇場などの娯楽施設にしか配布(販売)されない、アニメ放映用のそれを、太っ腹にも土産として持たせてくれていたようだ。
おそらく、こういう反応を見せて喜ぶ面々がいるであろうことも予想して。
さらに、アニメムービー入りの『貝』は、他にもいくつも入っていた。
『海の戦士ソラ』に加え、『覇海の刃』や『魔法少女マジマジ☆リリカ』、『半分の月が上る夜』や『パイレーツスレイヤー』と、名作が並ぶ。
もちろん、どれも一般向けには非売品のものばかりである。
そんな風に、それぞれ気に入ったものを手に取って盛り上がる面々の中で……1人、そのノリに乗れていない男が1人。
「vrbうrろbげいbおBv*V*VAD――」
「人語を話せ」
まるでゾンビのように表情と生気の抜け落ちた有様になっているサンジである。
『女ヶ島』に飛んでそこで2年間を過ごしたというルフィに加え、ゾロまでもが、こちらはスゥのところで、その娘達や側近達という、こちらも女の子ばかりの環境で――一応、幼馴染だという男は1人いたようだが――2年間みっちり修行していたという。
『女所帯の中に男2人だけで微妙に居心地が悪かった』とため息交じりに話していたゾロの姿も……自慢しているようにしか見えなかった。
自分など、無数の
同じ頃ゾロは、快適な住まいで美女・美少女達との共同生活。しかも食事は食べ放題、酒も飲み放題。その上できちんとゾロに合った修行方法を考えてくれて、そんな生活を2年間……
なんかもう。よからぬ何かが生まれるんじゃないかと思ってしまうほどの負のオーラをその身に纏っているサンジ。
『憎しみで人が殺せたら』とでも心の中で考えていそうなほどの目力でゾロをにらみつけ続けていた。
もちろんゾロは平然と無視して、『土産』の中に入っていた酒瓶を早くも開けてあおっている。
そんな2人がいる一方で、ふとブルックが何かを思い出したように、
「ヨホホ、そういえば……ルフィさんにお届け物があったんでした」
「ん? 何だ、呼んだかブルック?」
ちょうどアニメを見終えたところだったルフィに、ブルックは……自分の荷物の中から、片手で持てるくらいの大きさの小包のようなものと……それに括りつけられた手紙を差し出した。
「あなたに会うなら渡してくれ、と言われまして。こちら……ウタさんからです」
「……ウタ!? え、ブルックお前、ウタのこと知ってんのか? てか、会ったのか?」
「はい。何せ『グラン・テゾーロ』のNo.1の歌姫ですから。何度かステージでご一緒したこともありますよ。詳しくは手紙に書いてあると思いますが……よろしくと言ってました」
「そっか……あいつ、ちゃんと元気なんだな」
小さい頃、唐突に離れ離れになってしまった幼馴染の少女。
彼女と、その父であるシャンクスやその仲間達と、皆で楽しく過ごした日々を思い出しながら……ルフィは手にした手紙を読む。
内容そのものは、当たり障りのないものだった。
本当に海賊になっちゃったんだね、元気にやっているみたいでよかった、今度『グラン・テゾーロ』に遊びに来てね……等々。普通に、仲のいい……しかし、しばらく会っていない幼馴染に送る、近況報告その他の手紙。
それと一緒にブルックが持ってきていたのは……そのウタの歌が録音された、『
その貝殻から、世界最高の歌姫の歌声が流れ出してサニー号の甲板に響き渡る。
ルフィは、『ウタの奴、もっと歌上手くなったなー』と懐かしみながら思い、
ナミやロビンといった、ウタのことを知らない面々も、初めて聞くその歌声に聞き惚れ、
ブルックは、一時的にではあれ同僚だった少女の歌声を誇らしく思い、
そして、ダークサイドに堕ちそうになっていたサンジが、その魂を人知れず救済されていた。
何だかんだで……よく言えば丸く収まった、わるく言えばうやむやになった空気の中で、麦わらの一味は、魚人島へと近づいていくのだった。
……なお、この後、ブルックが持っていたツーショット写真でウタの姿を見て歓喜したサンジが……直後に彼女がルフィの幼馴染だと――しかも滅茶苦茶心の距離が近そうな感じで話すのを――聞いて、再びその身に特級呪物のごとき負のオーラを纏うのだった。
☆☆☆
天竜人はクソ。はっきりわかんだね。
……いやもう、マジでこれ以外に言えることがないんよ……。
こっちが想定できる『最悪』をいとも簡単に超えていった。人ってここまで邪悪に、醜く、自分勝手で、人を人とも……ダメだ、どんな風に言葉を尽くしても表現できる気がせん。
『文豪』として恥ずかしい限りだが……そのくらいマジで世界政府がクソだった。
くまの肉体に刻まれていた記憶。
それを本にして読ませてもらったわけだけど……その、想定の数倍、数十倍きつい内容の記憶のせいで、読破するだけでもすげー疲れたもん。精神的に。
小説ないし創作の中であれば、これよりえぐい物語も読んだことも書いたこともある。
けど、これが現実に起こったことなのかと……そしてその痛みを、この優しい……そう、本当に優しいくまが、そして何の罪もなかったはずのボニーや、その母親が受けて来たのかと思うと……ね……。
娘達と側近2人も一緒になって読んでたんだけど、何人か途中でリタイアしちゃったよ。
見ていられなくなって退出したり、涙が止まらなくなって読むのやめたり……。
そしてボニーはというと、途中で泣き崩れながらも……最後まで読み進めた。
そして、最後まで読み終えたところで……力尽きて、気を失った。
今は、医務室に運んで安静にさせている。部下の人達――まだ、この呼び方にしておくべきなんだよな……――がついてくれてるから、ひとまず任せようと思う。
多分だけど……ボニーにはしばらく休養が必要だろう。あんな真実を知ってしまって……どれだけ大きな心の傷を負ったか。
普通の人なら、罪の意識で――そんなものを感じる必要がないとしても――押しつぶされてしまってもおかしくない。そういうレベルの過去だった。
特にボニーは、だって、まだほんの……
……けど、もしも……それでも、ボニーが立ち上がって……
過去を知って、受け止めて、そしてその上で……くまを助けたいと望むのなら……。
……その時は、迷う必要もない。精一杯……応援してあげよう。
血がつながっていようがいまいが、親子の絆は深くて強い。そのことを……私も、娘達も、よ~~~く知ってる。
それにまあ、正直私は、そうなるだろうと思ってる。
ボニーは強い子だ。私もそれは、ちゃんとよく知ってるから。
で、結論から言えば……この時の私の予想は、半分当たって、半分外れた。
当たったのは、ボニーがきちんと立ち直って、復活したこと。
心折れることもなく……むしろ決意をあらたに、より一層強くして。
はずれたのは……それなりの期間、傷をいやす必要があると思っていたボニーが……
「頼む……父を助けるために……あんたの、あんた達の力を貸してくれ!」
……翌日には復活したこと。
そして今、彼女はこうして、部下達と一緒に私の部屋に乗り込んできて……頭を下げていた。
今まで調べた事実に加え、『記憶』を見た結果はっきりしたこととして……くまはやはり、ベガパンクの執刀によって最後の改造を施され、結果、人格も記憶も失った。
前にボニーが言っていたように、人としてのくまはそこで死んでしまったとすら言えた。
けれど……その過程が中々に特殊なものだったことも事実。
普通じゃない過程を経ている分、もしかしたら、同じように『普通じゃない』何らかの方法で、ある程度、あるいは完全な原状回復ができる可能性も……ゼロじゃないと見た。
「だったら私は……諦めたくない。可能性が少しでも……0.1%でもあるのなら、父を助けることを諦めたくない! 諦めるのも、絶望するのも……やれる限りのことを全部やってからにしたい!」
「………………」
「対価が必要なら何だってする! 私にできることなら、何だって! だから……だから頼む! あんた達の力を貸してくれ……お父さんを……助けるために! もう1度……優しかったお父さんに、大きくなった私をちゃんと見てもらうために!!」
この必死の懇願に、私が、私達がどう答えたかなんて……わざわざ言う必要もないよね?