大文豪に私はなる!   作:破戒僧

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第264話 ルフィVSパルフェ(後編)

 

 

鷹回転弾(ホークライフル)!!」

 

「“ハード砲拳(スマッシュ)”!!」

 

 ぶつかり合うルフィとパルフェの拳。

 ゴムの収縮に回転も加えて威力を増した一撃を、覇気を込めた拳で真っ向から迎え撃ち、弾く。

 

 威力が相殺された直後、お返しとばかりに……今度はパルフェが拳をぐるぐるとねじって……回転させて突き出した。

 

「“フェットチーネ”……砲拳(スマッシュ)”!!」

 

 こちらも拳で撃ち落とそうとしたルフィの眼前で、伸びたパルフェの拳がぎゅいん!と弧を描くような軌道で急カーブし、防御をすり抜けてルフィに当たる。

 

「うぐっ……! のヤロ……」

 

 しかし怯んでいる暇もない。

 腕が縮んで元に戻ると同時に、パルフェの足が伸びてルフィの足元を薙ぎ払う。

 

 間一髪ジャンプして回避したルフィは、跳びながら指から空気を吹き込み、腕を巨大化させる。

 その上で覇気を纏って黒く染まったその拳を振りかぶり、飛び込んでパルフェめがけて突き出した。

 

「ゴムゴムの……“象銃弾(エレファントブレット)”」

 

「それはもう見ましたわ」

 

 凄まじい威力で叩きつけられる巨大な拳を、しかしパルフェは汗一つかかず……横合いから『ガン!』と殴りつけて軌道をそらすことで対処する。

 そして、大技を放った結果生まれた隙を遠慮なくついて……ルフィの懐に飛び込んだ。

 

 そして、ルフィのみぞおちに、武装硬化した黒拳を突き刺すように叩き込む……が、

 

「そう来ると……思ってた!」

 

 次の瞬間、腕に行っていたはずの空気が一瞬で腕を通ってルフィの胴体に戻り……その体が風船のように膨らむ。

 その腹部は、覇気を纏って黒く染まり……そこでパルフェの拳を受け止めていた。

 

 当然ダメージはあるが、ルフィは歯を食いしばって……

 

「レイリーに言われたんだ……ただ砲弾や打撃をはじき返す“ただの防御”じゃ無駄がある! 1発残らず、倍返しにする“攻撃”にしろって!」

 

「!」

 

 めり込んだ拳に、ゴムの弾力と『覇気』による強化がかかり……撃ち込んだ威力以上の『反発』が生まれ……そのまま、

 

「ゴムゴムの……ダイレクト・“お礼(ファイア)”!!」

 

 凄まじい威力のゴムの反発が、パルフェを吹き飛ばした。

 まさしく弾丸のような勢いでとばされたパルフェは、広場の反対側にあったサンゴ岩に、轟音とともに激突。その一部が音を立てて崩れていくほどの衝撃だった。

 

 見事なまでに決まった反撃。これにはさすがに、ここまでほぼほぼ無傷だったパルフェにも痛打になった……かに思われた。

 

 ……しかし、

 

「あら、奇遇ですわね……。そういう技……(わたくし)も持ってますの」

 

 叩きつけられたかと思われたパルフェは……まるで岩に『着地』するように、足から激突して、その壁面に、膝を曲げてしゃがみこむ形になっていた。

 

 岩にめり込んでいる足が、今のルフィの『攻撃』の威力の大きさを物語るが……それでも、またしてもパルフェに傷はなく。

 それどころか、もうすでに彼女の『攻撃』は始まっていた。

 

 パルフェの縮んで曲がった足……その太ももの部分は、すさまじい力が込められているのがわかるように、普段の倍以上に膨らんでいた。

 

「たたきつけられた衝撃を全て足で吸収……私自身の脚力と、『能力』……おまけに覇気も乗っけて……!!」

 

 そして、それが勢い良く伸びると同時に……力が解放され、またしても弾丸のような勢いで飛び出したパルフェ。

 その衝撃の大きさを物語るように、足場にして蹴飛ばした大岩が完全に粉砕される。

 

 パルフェはその身を砲弾に変え、勢いそのままに、ルフィめがけて突っ込んで……ショルダータックルの要領で肩からぶつかる。

 しかし、飛んでくることを察したルフィは、間一髪それを飛びのいてかわした。

 

 ……が、

 

「“ハード”……“衝突(ストライク)”!!」

 

 空振りして広場の反対側の大岩に突っ込んだ……かと思われたパルフェは、なんとノータイムで弾み返すように、勢いを全く緩めずに跳ね返って来て……背後からルフィに強烈な飛び蹴りを叩き込んだ。

 

「ぐふぇえ―――っ!?」

 

 辛うじて覇気によるガードこそ間に合ったものの、まともな防御どころか踏ん張ることすらできず、ルフィはそのまま弾き飛ばされ、その先に会ったサンゴ岩に激突……どころか、そのまま貫通して吹き飛ばされていった。

 

 

 ☆☆☆

 

 

「やはり……ルフィでもまだ厳しいか」

 

「『四皇』本人でもない、しかも本気でもなさそうな幹部相手に、ルフィでも押されるなんて……」

 

 苦虫を嚙み潰したような表情のジンベエの横で、信じられないものを見たとでも言うように、ナミ達は愕然としていた。

 

 麦わらの一味の中で、名実ともに最強であるルフィが……彼こそが『海賊王』になるのだと、皆疑ってもいない彼が、

 目の前で、線が細くまだまだ若そうな少女相手に、ろくに有効打も与えられた様子もなく、圧倒されている。

 

 強いとは聞いていたし、なんなら聞くまでもなく、強いのだろうとは思っていた。

『新世界』の海に君臨する4人の皇帝。その海賊団で『大幹部』の地位にいる者が、弱いわけもない。

 

 だがそれでも、ルフィなら、うちの連中なら、そんな奴らが相手でも。

 そんな風にどこかで考えてしまっていたナミ達は、目の前の光景に、盛大に冷や水を浴びせられることになった。

 

「ルフィさんもまだまだ本気を出してはいないように見えますけど……」

 

「けどそれは相手も同じだ。覇気や能力こそ使っちゃいるが、ぜんぜん涼しい顔で……そういやそっちも気になってたんだよな。あいつが能力者なのは見て分かるが、何の能力だ? ルフィみてえに手足が伸び縮みしてると思ったら、やたらとタフだったり、他にも変な技を使ったり……」

 

「一部の技は、バーソロミュー・くまの使う空気弾にも似てた気がするわね」

 

「あっ、そうだ! 何か見覚えあると思ってたんだ……あの肉球で空気を弾いて打つやつだ!」

 

「いや、どんだけ節操ねえ能力だよそりゃ? おいジンベエ親分、教えてくれ、あの女の子の能力って一体何なんだ!?」

 

「それはな……」

 

 

「むがー!!」

 

 

 と、そんな話の間に、岩の向こうから戻ってきたルフィが、すぐさまパルフェに向かっていく。

 

 全身から煙を出し、猛スピードで疾走。遠距離攻撃の狙いを絞らせない。

 先程と同じ、不可視の『何か』が飛んでくるが、ルフィには当たらず地面を抉っている。

 

 そのまま急速に距離を詰めながら、ルフィは指から空気を吹き込んで……今度は両腕を大きく膨らませ、さらに『武装色』で黒く染める。

 巨大な怪物『クラーケン』をも打ち沈めた『象銃(エレファントガン)』に倍する、いやそれ以上の威圧感に、離れたところで見ていた野次馬達ですら目を剥いた。

 

「このくらい近づけば……もう何が当たっても止まらねえ!」

 

 大きく後ろに両腕を引き絞ると、さすがにもう身軽に攻撃をかわすことはできない。

 が、何発も当たる攻撃を『武装色』で耐えながら、余裕を見せて動かずそこにいるパルフェめがけて、地面を抉りながら両腕を突き出―――

 

「ゴムゴムの……“灰色(グリズ)”……」

 

 突き出す……かと思われたその瞬間、

 

 パルフェの縦ロールヘア×6が、動いた。

 大きな筒のような形のそれが、一斉に……ジャキン、とでも効果音が付きそうな形で、ルフィの方にその筒口を向ける。

 

「え?」

 

 そして、次の瞬間……その根元が一瞬、ぷくっと膨らんだかと思うと……

 

 

「“愚民滅殺お嬢様砲(グミネードランチャー)”!!」

 

 

 その6つの砲筒から……すさまじい勢いで、弾丸のような何かが発射された。

 

 

「「「えええぇぇええ~~~~!?」」」

 

 その、色々な意味であまりにも衝撃的な光景に、ルフィも、ナミ達も、野次馬の魚人島の民達も……皆が驚いて絶叫する中、打ちだされた6発の『何か』のうち、4発が漆黒の拳に命中。すでに勢いがついていたはずのそれを、真正面から弾き飛ばして無力化。

 残りの2発はルフィの胴体に直撃し、また再び大きく……いくつものサンゴ岩を貫通させて砕きながら大きく吹き飛ばした。

 

 大量の瓦礫を生み出し、その下敷きになるルフィだったが……どうにかその中から這い出して来る。ダメージは大きいようだが、まだ動けるようだ。

 

「ぜェ、ぜェ……こんの~! 面白すぎるだろアイツ……一体何なん……ん?」

 

 そこでふとルフィは……すぐ近くの地面に、今自分に直撃した『何か』の1つが転がっているのに気づいて、それを見る。

 それは、手のひらにちょこんと乗る……ピンポン玉くらいのサイズのボールだった。半透明で、ぐにぐにと弾力があり、握ったり押しつぶそうとすると、わずかに変形するものの、強い力で押し返してくる。スーパーボールのようだった。

 

 しばしそれを見つめていたルフィは……何を思ったか、それを口に放り込んだ。

 見ていた面々が『は?』となる中で、ルフィはそのまま、口に含んだボールをかみ砕いて……飲み込んでしまう。そして一言。

 

「うめェ」

 

「「「は!?」」」

 

「あら本当? それはどうも、お粗末様ですわ」

 

 突然の奇行に、見ている面々が『?』になる中、なぜかちょっと嬉しそうにするパルフェ。

 それも含めて訳が分からず、思わずといった調子でウソップから質問兼ツッコミが飛ぶ。

 

「いやお前何そんな得体の知れないもん食ってんだよ? さっきたらふく食っただろうに……敵の武器だろ? てか美味いのか?」

 

「うん。ちょっと硬ェけど、なんかグミみたいで美味かったぞ?」

 

「みたいじゃなくてグミそのものですわよ? (わたくし)、『グミグミの実』のグミ人間ですから」

 

「「「グミ!?」」」

 

 驚く面々の前で、パルフェは腕を……骨格を無視してぐにゃん、と曲げてみせる。

 ゴム人間であるルフィも同じようなことができるだろうが、パルフェはそこからさらに、ぐにょーん、と半分流体のような柔らかさにして、腕の原型をなくすまでやってみせた。

 

「グミと一言に言っても、『ハードグミ』から『ソフトグミ』まで様々ありますわ。私の体は、硬くすればハードグミ、高い防御力に加えて衝撃吸収能力もあるので、生半可な『覇気』なら防いで弾く防御力になりますし、逆に柔らかくすればソフトグミ、原形をとどめない変形で相手の攻撃をかわしたり、受け流したりも容易ですわ」

 

「ルフィみたいに手足が伸びてたのも『グミ』だったからか……となると多分、あの空気砲も、手のひらを『ハードグミ』にして空気を弾いて飛ばしていた……」

 

「ご明察。本家本元の『ゴムゴムの実』や『ニキュニキュの実』ほど、それに特化した働きはできませんけどね」

 

 それでも、体をグミにして衝撃を吸収したり、攻撃をはじいて防いだり、ゆらぐように動かして攻撃をかわしたり受け流したり、今のように体からグミの球体(スーパーボール)を出して飛び道具として使ったり……応用範囲は広く、そしてシンプルゆえに扱いやすく、強い。

 硬軟弾流変幻自在のグミの体に、パルフェ自身の戦いに関する才覚、鍛え上げた肉体と技能、そして持って生まれた『覇王色』を含む強力な覇気。

 それらを見事に使いこなし、強力無比な『力』とできているからこそ、パルフェは史上最年少で『将星』の肩書を手に入れた。

 そしてそれらの技能や能力は、今なお磨かれ続けている。

 

「さて、それじゃあネタばらしも済んだところで……もう時間もございませんし、次がラストチャンスですわよ“麦わら”さん。出し惜しみしているものがあるなら、さっさとお使いになることをお勧めしますわ」

 

「わかってるよ……お前強ェから、今のままじゃ多分勝てねえ」

 

 やや息を切らしながら言うルフィは、何のつもりかわからないが、腕を自分の顔の前にもって来て言う。

 

「ずっと不思議だったんだ、殴るたびに、でっけえ猛獣でも殴ってるみたいな手ごたえで……奥の奥まで続いてる気がしなかったから。グミで硬くしてるからだったんだな……でも、だったら俺もそのつもりで殴る……! “ギア”……」

 

 ルフィが、目の前の自分の腕に、ぱくっと食らいついたかと思うと、そのまま息を……

 

 

 ……しかし、その時、

 

 

 

「待ァ~てよォ、そこのお前らァ~~~!! なァ~に俺の財宝勝手に持ってっちゃってくれてんだよォ~~!?」

 

 

 

「「ん?」」

 

 突如として広場にそんな声が響き……思わず声のした方を見る、ルフィとパルフェ。

 広場の向こう側から、野次馬の間を縫って走ってこちらに向かってくる1人の男が見えた。目つきが悪く、息切れしているのかもともとそうなのか、べろんと舌を出している。

 

「あ! アイツもう起きたのか……俺達のこと追ってきたのかな?」

 

「? お知り合いでして?」

 

「いや違んだうけど……あいつ人魚攫ったり、よわほし攫ったり、財宝奪ったり、悪いことばっかしてんだ」

 

「あらやだ人攫い系? わかりやすくクズですわ~……ってかなんか見覚えありますわね。ペコムズ、あの殿方、リストにいらして?」

 

「待ってくれパルフェ様、今探して……あぁ、こいつだ。北の海出身の海賊『濡れ髪のカリブー』。最近出てきたルーキーで……ほー、2億もかかってんな」

 

 懸賞金2億ベリーの賞金首と聞いて、ぎょっとして人垣が彼を避けて動く。

 

 そのカリブーはというと、一直線にルフィとパルフェ……ではなく、タマゴ男爵とペコムズの方をにらみつけながら走っていく。

 その2人のすぐそばには、今しがたルフィから『弁償』として受け取った大量の財宝が。

 

「俺がせっかく奪った財宝だァ! どこの馬の骨か知らねェが……さっさと返しちゃえってんだよォ~~!!」

 

 カリブーの目はその財宝と、それを守るように立っている2人に釘付けであり……先ほど自分を一蹴したルフィ達や、そのルフィと相対しているパルフェには向いていない……というより、気づいていないようだった。

 

 丁寧な独り言とルフィの言葉で、大体の事情を察したパルフェは、その浅慮さや視野の狭さに呆れつつ、何もせず事の推移を見守ることにした。

 

 その視線の先で、カリブーは『底なし沼』の体からガトリング砲を取り出して掃射。

 ペコムズとタマゴ男爵を攻撃し、財宝を奪い返そうとするも……

 

 

 

「自分を無敵と勘違いしてきた“自然系(ロギア)”の寿命は短い。こんなんで『新世界』に入るつもりだったとは……呆れるぜ、ガオ」

 

「まったく、半熟物はこれだから困るでソワール……しかしこれで億越えとは、政府は随分と大盤振る舞いでポン」

 

 ビッグ・マム海賊団戦闘員、ペコムズ。

 懸賞金額……3億3千万ベリー。

 

 ビッグ・マム海賊団戦闘員・タマゴ男爵。

 懸賞金額……4億2900万ベリー

 

 知らなかったとはいえ、自分よりもはるかに格上である2人に不用意に襲い掛かったカリブーは……全く相手にならず、文字通り蹴散らされた。

 ペコムズの腹パンが決まってその場にうずくまったところを、振り下ろされたタマゴ男爵の踏みつけで頭を地面にたたきつけられ……あっさりと気絶。その足元に転がることになった。

 

 凶器……それも飛び道具も使って襲い掛かった海賊を、全く問題にもせずなぎ倒した2人を、驚きと畏怖のこもった目で見る魚人島の民達。

 

 同じく麦わらの一味の面々も、多くは『こいつらもやっぱヤベー』と驚く半面……一部は『面白いものを見た』とばかりに不敵に笑っていたりもした。また、『こんなのがうじゃうじゃいる奴らに喧嘩売っちゃったのか……』と絶望する者もいた。

 どれがどれを指しているかは想像にお任せする。

 

 その2人……ペコムズとタマゴ男爵はというと、別に有象無象の視線など気にしなかったが……わずかに苛立っているようにも見えた。

 未熟さを理解もせず、無謀にも自分達に……しかもパルフェの勝負を邪魔するようなタイミングで襲ってきたカリブーに、わすかではあるがイラついていたからかもしれない。

 

 ふと、タマゴ男爵が何かに気づいて……ため息をつく。

 

「パルフェ様、残念なお知らせが……時間切れでムッシュ」

 

 そう言って、置かれている砂時計……砂が完全に落ち切って『5分』経過してしまったことを示しているそれを指で指し示した。

 パルフェも『あらら』とでも言いたげな顔になって、ふぅ、と息をつく。

 

「それは残念……まあ、ちょっと熱くなりすぎだったかもしれませんし……ちょうどいいですわね。ってことで麦わらのルフィ、今日はここまでですわ」

 

「え、終わりか? まだ勝負ついてねえのに」

 

「勝負つける目的じゃありませんでしたし、仕方ありませんわ。……そんなに勝負したければ……さっき言ってらしたように、『新世界』でママに喧嘩でもなんでも売りにいらっしゃればいいでしょう……ママも『待ってる』って言ってましたしね」

 

 ぱんぱん、と土埃を払い落とし、少し乱れた服を整えながら言うパルフェ。

 

 ルフィ以外の見ていた面々は――魚人島の市民達も、麦わらの一味のクルー達の一部も――どうやら勝負はこれで終わりらしいと悟って……ほっとしたような息をついていた。

 双方ともにまだまだ本気でなかったにもかかわらず、一歩間違えば余波だけで甚大な被害が出かねないほどの衝突だった。これが今以上にヒートアップしたところなど、考えたくもない。そう、多くの者は思っていた。

 

「パルフェ様、こいつどうする、ガオ? そのへんに捨ててくか?」

 

「こんなの道端に捨ててっても魚人島の皆さまにご迷惑でしょう。人を呼んで海楼石の鎖か手錠で拘束、船の牢獄にぶち込んでおきなさい」

 

「連れ帰るのでポン?」

 

「こんな粗大ゴミ別に要りませんが……聞いた話では、仮にも(わたくし)達のナワバリたるここで人攫いなどやっていたと言いますし……何より勝負の邪魔しやがったのがムカつきますわ。持って帰ってママにあげましょ。弱くはないようだし、いい『ホーミーズ』になりますわきっと」

 

 そう言って、すたすたと歩き去っていく。

 その去り際に、ルフィ達の方をちらっとだけ振り向いて……

 

「では皆様方、ごきげんよう……あなた方の腕なら、『新世界』でも早々にリタイアするような無様をさらすことはないでしょう。それは私が保証いたします。いずれまた会うことがあれば、その時は今度こそ全力で……楽しみに待っていますわ」

 

「ああ……わかった。次に会う時は……俺がビッグ・マムをぶっ飛ばしに来た時だ!」

 

 一切ひるまず言い返すルフィの姿に、パルフェはくすりと笑うと……今度こそそのまま、タマゴ男爵とペコムズを連れてその場から歩き去った。直前まで行っていた死闘の激しさを全く感じさせない、一歩一歩が気品に満ちた優雅な動きで。

 

 短い時間の、ごく小さな嵐が去った後の広場に……決して後味のいいとは言えない、嫌な緊張感が残って漂ったままになっていた。

 

 

 

 

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