大文豪に私はなる!   作:破戒僧

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いつもの時間にちょっと間に合わずに遅れてしまいました(汗)

そしてちょっと短めです。どうぞ。


第267話 『同盟』結成

 

 

 「「「『ハートの海賊団』と同盟~~!?」」」

 

 色々あって、本当に色々あって混沌極まりない状況になっているルフィ達だったが……それをさらに混乱させる内容の報告(というか決定)が、ルフィと、一緒に来たローから告げられた。

 

 この島で起こっている事態の打開に加えて、『四皇』の1人『百獣のカイドウ』の打倒を見据えた『海賊同盟』の結成。

 それにより、先ほど顔を合わせたローが一時的に味方になる、という話だった。

 

 当然、一味内部からは様々な意見が出る。

『四皇を視界に入れるなんてまだ早すぎる』『海賊の同盟には裏切りが付き物』など、どれも至極真っ当で、きちんと考えに入れなければならないであろうものばかり。

 

 ……しかしながら、これもいつも通りと言えばそうなのだが、ルフィは一度決めたことはよっぽどのことがない限り変えないため、一部が阿鼻叫喚の状態になりながらも……半ば諦めるような形で、同盟は受け入れられた。

 

 だが、それはそれとして確認ないし指摘しなければならないことはいくつもある。

 

「同盟についてはそれでいいとして……まだいくつか確認しなければならないことがあるわ。いいかしら、トラ男君」

 

「呼び方……いや、まあ、いい。何だ?」

 

「あなたの所属についてよ。確かあなた達は今『金獅子海賊団』の傘下に入っていて、中でも、現提督であるスゥに特に近い立場にいると聞いているけれど」

 

「え!? じゃあトラ男ってスゥの仲間なのか?」

 

「一応な。聞きたいのは、この島で起きていることにお嬢が関わっているのかどうか……そして、俺のこの行動について、お嬢が承知しているのかどうか……か?」

 

 こくり、とうなずくロビン。

 

「私達も多少なりスゥとはかかわりを持っているから、彼女のことは知っているわ。あなたの仕事があの研究所の防衛なら、あの研究所は『金獅子海賊団』のもので、首謀者はスゥ、あるいはその父親である『金獅子のシキ』ということになる。けれど彼女や、その周囲の面々が、ここで行われているような非道な研究に関わっているとは思えない」

 

 つらつら述べていくロビンの横で、チョッパー(inサンジ)や、ナミ(inフランキー)も、うんうん、とうなずく。

 絵面が絵面なので気を抜くと笑いそうになるが、表情自体は真剣である。

 

 親元から誘拐されてきたのに加えて、薬物を投与されて逃げられなくされたうえで、人体実験に使われている子供達。

 こんな惨状をスゥが、あるいはその周囲にいる者が引き起こしているとは、2人はもちろん、誰も思いたくはなかった。

 

「想像の通りだニコ屋、研究所とお嬢には、何も関わりはない。俺がここにいるのはあくまで俺の独断で、目的があってここに滞在している」

 

 それを聞いてほっとするナミ達だが、ロビンは顔色を変えずに続ける。

 

「それはよかったけれど……なら、あなたがここにいることはスゥも知らないの?」

 

「ああ」

 

「そうなると……今のあなたの状況は、下手をするとスゥや『金獅子海賊団』に対する背任行為にならないかしら? 海賊団として『上』の意向にそぐわない行動に加え……スゥは『王下七武海』の立場も持ってる。あの研究所で行われていた研究は、政府や海軍の視点から見ても到底許容されるものではないはず。これが発覚すれば、最悪の場合……あなたが部下として糾弾されるのにとどまらず、あなたと組んだ私達もまた、スゥ達『金獅子海賊団』を敵に回しかねない」

 

「えェ!? スゥを……っていうか、『金獅子海賊団』を!?」

 

「おいおい勘弁しろよ!? 『準四皇』だぞ!? そんなの敵に回してられねえって!」

 

 安心できたと思ったら、また別方向から絶望が叩き込まれてきて戸惑う一同。

 

「懸念はもっともだが……そうはならねえように動くつもりだ。元々俺は、部下の中では『ひな壇』を除けば最も信頼が厚い位置にいて、相応に独自の判断や行動も認められてる。結果としてお嬢や『金獅子海賊団』に損害を与えるようなことにならない限りは問題にはならねェ」

 

「それが可能なの? 見る限り、今のあなたは……スゥの部下という立場から見て、既にいくつも問題行動を起こしてしまっているように思えるけど」

 

 ルフィが『ヒナだん?』と首をかしげて何か聞きたそうにしていたが、無視してロビンもローも続ける。

 

「問題点は2つ。1つは、あなたの主であるスゥの『七武海』という立場。もう1つは、この同盟の最終目的である、四皇『百獣のカイドウ』の存在」

 

「…………」

 

「さっきも言ったけれど、あの研究所の首謀者……『シーザー・クラウン』というらしいその男は、『七武海』であるスゥからすれば明確に『獲物』と呼べる。その存在を把握しているのみならず、いつでも討ち取れる位置にいながらスゥに報告せず放置していた。もう1つの方は……まだ詳しくは聞いていないけど、あなたの『作戦』が成就した暁には、私達同盟は『百獣のカイドウ』とことを構えることになる。あなたがスゥの部下である以上、彼女や『金獅子海賊団』も巻き込まれるのは避けられない。外患誘致に等しい行為だけど、あなたの立場ならそれすら問題にならないの?」

 

 その問いかけに、ローはしばし考えて、

 

「1つ目に関しては何も問題ない。『七武海』は別に海賊を狩る義務があるわけじゃなく、『海賊を狩る行為が立場上合法になる』ってだけだ。部下も含めて、狩るかどうかは完全に自己判断だし、仮に、目の前に狩れる海賊がいるのを気まぐれで見逃そうが、誰にも責められる謂れはねェ。あの研究所についても、違法な『研究』そのものに俺は関わっちゃいねえから、『七武海の部下』としての立場において、罪に問われるようなまずいことはしちゃいないから問題ない。しいて言うなら、お嬢もどっちかっていうと嫌いであろう外道な研究に関して、報告を怠っていたことくらいだが……まあ、説教くらいは覚悟するさ」

 

「いや、説教で済むのかよ……」

 

「もう1つの方は? どっちかっていうと、そっちのが致命的よね? 無断で『四皇』に喧嘩を売るような真似……うちのルフィじゃあるまいし、さすがにまずいでしょ?」

 

 と、ナミ。ごく最近、自分達が知らない間に『ビッグ・マム』に喧嘩を売っていた船長のことを頭に思い浮かべながら。

 ローはというと、『何かやったのかこいつ』というような目を一瞬ルフィに向けつつも、

 

「そのための『作戦』だ。これも後で詳しく話すが、俺達は直接カイドウを相手取るわけじゃない……その前にいくつもの段階を踏んで『チャンス』を作る。その過程で、お嬢や『金獅子海賊団』に迷惑がかかるような要因はそぎ落としていく。そのための手札もいくつか用意できてる」

 

「俺達はカイドウと喧嘩するけど、スゥ達は喧嘩しねえってことか?」

 

「そういうことだ。正確には、『喧嘩する理由がなくなる』というのが正しいがな」

 

「そっか……うん、なら大丈夫だな!」

 

「ルフィ! お前はまたそんな簡単によぉ……」

 

「……けれど、どの道これ以上の情報は聞き出せなさそうね。時間もないようだし……」

 

「そうね……この子達のこともどうにかしなきゃいけない。そのための助けになるなら……仕方ないわ、今はその『作戦』って奴に集中しましょ! それで、この後どうすればいいの?」

 

 一部は『仕方なく』『どうしようもなく』ではあるが、ひとまず“麦わらの一味”全員、この場は納得して協力する気になったのを確認し……ローは『よし』と、その計画を話し始める。

 

「やることは単純だ。研究所の責任者……シーザーを誘拐する。そのためにまずは……」

 

 

 ☆☆☆

 

 

 ―――それからしばらく後。

 

「“(マスター)”、残念なお知らせが……ローが裏切ったようです」

 

「ああ、そうか……何を考えてるのかわからねえが、やっと尻尾を出したか」

 

 研究所内のとある一室にて、“(マスター)”ことシーザー・クラウンが、秘書であるモネからの報告を受け取っていた。

 

 ローがこちらを裏切り、『麦わら』と手を組んだ。

 近くで聞いたわけではないため、その詳細まではわからないが、何か目的をもってこちらに仕掛けてくる様子だ、と。

 

「元々信用ならねェ奴だとは思ってた。シュロロロロ……歯向かってくるならちょうどいい、俺の新兵器の実験台になってもらうとしよう」

 

「……なら、あいつの対処は俺が請け負おう」

 

 その部屋には、シーザーとモネの他に……もう1人いた。

 坊主頭に見えるくらいに短く刈り込んだ黒髪に、サングラスをかけた、強面だが無表情な男。なぜかその頬に、ハンバーグらしき塊肉が張り付いている。

 

「なんだ、手を貸してくれるのかヴェルゴ? そりゃありがたいが……」

 

「こっちが『心臓』を握っているとはいえ、あのガキも相応の実力者……『金獅子海賊団』で経験も積んで力もつけているだろう。油断していい相手じゃない。それに……奴とは多少因縁もある。俺が相手をするのが妥当だ」

 

「あらあら……ローも災難ね。悪だくみしてやれると思っていたところから突き落とされることになるなんて」

 

 おかしそうに笑うモネに対して、その男……ヴェルゴは、無表情のままだった。

 しかしながら、付き合いの長いモネには、彼がどこか苛立っている様子だというのが、声音からなんとなくわかった。

 

「あのガキ、シーザーはもちろん『(ジョーカー)』も欺けたと思い込んでいるらしい……おめでたい話だ。面倒ではあるが……今一度、身の程を思い知らせに行こう」

 

「やりすぎて殺しちゃだめよ? “(マスター)”は生け捕りをお望みだし……ローには『立場』もある。殺すとしても、色々と根回しは必要になるわ」

 

「わかっている。鉛玉を何発かぶち込んでやれば大人しくなるだろう……俺の弾丸から逃げられると思うな…………? ……変だな、俺の銃がない」

 

「あなた銃なんて持ってないじゃない」

 

「……ああそうだ、俺は銃使いじゃなかった」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さ~て……頭がおめでたいのはどっちだろうね? にひひひひ……」

 

 

 

 

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